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研修プログラムの選び方|目的・対象・課題別に最適な研修を見つけるガイド

研修の選択肢は、ここ数年で大きく広がりました。対面集合研修に加えて、リモート研修、オンデマンド、ブレンドラーニングと、選べる手段が一気に増えています。手段が増えたこと自体は望ましいのですが、「どの研修を、どの対象に、どう組み合わせればよいのか」が、かえって見えにくくなっているのも事実です。

このガイドでは、研修プログラムを選ぶための4つのステップ——(1)目的の見極め、(2)自社の現在地の診断、(3)対象(階層)×課題(領域)での絞り込み、(4)効果測定の設計——に沿って、自社に最適な研修と、さらに深く学べる関連ガイドを見つけられるように整理します。

研修選びは「形態」から考えると迷う

研修計画を立てるとき、多くの人事担当者が「来年は対面にすべきか、リモートか、ブレンドか」と、まず研修形態から考え始めます。しかし選択肢が多い今、形態から入ると判断軸が定まらず、かえって迷いやすくなります。

順番が逆です。先に決めるべきは形態ではなく、その研修で達成したい「目的(提供価値)」です。研修効果測定で知られるブリンカホフ教授は、企業研修の目的を6つの階層に整理した「価値ピラミッド」を提唱しています。上にいくほど経営へのインパクトが大きく、下にいくほど個人の満足度に近づきます。目的の位置づけが決まれば、適切な研修形態はおのずと絞り込まれます。

ブリンカホフ「6階層の価値ピラミッド」——研修の目的(提供価値)

上にいくほど経営インパクトが大きく、下にいくほど個人の満足度に近い

1

企業戦略の実現

DXや組織変革など、全社方針を実現するための研修。多くは経営層からのトップダウンで、研修以外の取り組みと一体で進みます。

2

現職務の成果向上

人材育成チームのコアミッション

受講者の現在の職務能力を高め、職場での行動変容と成果につなげる研修。現場力の強化による経営の盤石化が狙いです。

注目:限られた予算・時間・労力を最も集中させるべき階層とされています。

3

人材パイプラインの強化

グローバル人材やデジタル人材など、数年後に必要となる人材をあらかじめ先行して育てる研修です。

4

トラブル発生時の対応

避難訓練やシステムエラー対応など、普段は使わない、万が一の事態に備えるための研修です。

5

コンプライアンス

義務・規制・ルールを、全対象者に安定した質で確実に周知することが目的の研修です。

6

モチベーション向上

満足度や組織の魅力を高めることが目的の研修。業務時間外の自己啓発研修に近い位置づけです。

このピラミッドで特に意識したいのが、第2階層の「現職務の成果向上」です。受講者が現在の業務で成果を出せるようにすることは、人材育成チームが最も力を注ぐべき中核業務とされています。限られたリソースをどこに集中させるかを決めるうえで、まずは「自社のこの研修は、6階層のどこを狙っているのか」を一つひとつ言語化してみてください。目的が定まれば、次に見るべき「自社の現在地」と「最適な研修形態」が、はるかに選びやすくなります。

研修目的の整理や、目的に合った研修設計についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。自社の課題に合わせた研修プランをご提案します。

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【ステップ1】自社の人材育成の「現在地」を診断する

研修の目的が見えてきたら、次は自社の人材育成が今どの段階にあるかを把握します。同じ「研修を選ぶ」でも、自社の成熟度によって、適した進め方と優先すべき打ち手は変わるためです。

人材育成のベンチマーキングを長年行ってきたMind Tools for Business(旧Towards Maturity)の調査では、企業の人材育成の成熟度が4つのステージに分類されています。自社がどのステージにいるかを、まず確認してみてください。

人材育成の成熟度4ステージ(Mind Tools for Business 調査)

過半数の56%が最下段の「単発的な研修提供」にとどまり、成果につながりにくい状態にある

単発的な研修提供
56%
戦略的な研修提供
22%
人材育成施策の提供
12%
学習風土の実現
11%

診断のヒント:自社の研修が「年に何度かの単発研修」中心なら、過半数と同じ最下段にいる可能性が高い段階です。上の段階ほど、人材育成がビジネス成果に結びつきやすくなります。

注目したいのは、最も成果につながりにくい「単発的な研修提供」に、半数以上の企業がとどまっている点です。研修を実施してはいるものの、それが現場の成果に結びついていない——というのが、多くの企業の実態だといえます。

もし自社が最下段にあると感じても、悲観する必要はありません。次の段階へ進む第一歩は、ステップ1で見た「目的」に沿って研修を選び直し、現場での実践とフォローまでを設計に含めることです。続くステップ2以降では、その具体的な進め方——目的に合った研修形態の決め方、対象と課題による絞り込み——を順に見ていきます。

【ステップ2】6つの目的別に研修形態を決める

自社の現在地が見えたら、ステップ1で整理した「目的」ごとに、相性の良い研修形態を当てはめていきます。「目的が決まれば形態は自然に絞られる」という価値ピラミッドの考え方を、具体的な対応に落とし込んだものが次の6分類です。

1

企業戦略の実現|推奨:組織的な取り組みと一体で

研修単体では完結しません。経営層のサポート、職場の巻き込み、早期からの効果測定、チェンジマネジメントを組み合わせて進めます。

2

現職務の成果向上|推奨:ラーニングジャーニー+定着フォロー

数回の研修シリーズに職場実施とフォローを組み合わせ、演習を多く入れて「分かる」を「できる」まで引き上げます。予算・時間を最も集中させるべき領域です。

3

人材パイプラインの強化|推奨:ブレンドラーニング

最初のインプットはオンデマンドやeラーニングで省力化し、習得したスキルを長く維持するためのリマインダーと復習を継続します。

4

トラブル発生時の対応|推奨:研修よりサポートツール

普段は使わない内容のため、研修で教えても忘れられがちです。チェックリスト・マニュアル・FAQなどのパフォーマンスサポートを用意するほうが効果的です。

5

コンプライアンス|推奨:LMS+eラーニング

いつでも受講でき、講師によって質がぶれず、受講履歴も管理しやすいeラーニングが最適です。入社時・昇格時のオリエンテーションもここに含まれます。

6

モチベーション向上|推奨:外部公開コース/オンデマンド

社外の人との意見交換で視野が広がる外部公開コースや、好きなテーマを気軽に学べるオンデマンドのコンテンツライブラリーが向いています。

ここで大切なのは、すべての目的に同じ形態を当てはめないことです。たとえばコンプライアンスに数カ月のラーニングジャーニーを組むのは過剰ですし、逆に現職務の成果向上をeラーニングだけで終えると「分かったが、できない」で止まってしまいます。自社の主要な研修について、目的と形態がずれていないかを一つずつ照らし合わせてみてください。

目的と研修形態の組み合わせに迷ったときは、自社の課題に合わせた最適な設計をご提案します。領域別の研修ラインナップもあわせてご覧ください。

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【ステップ3】対象(階層)×課題(領域)で具体プログラムを絞り込む

目的と研修形態が決まったら、いよいよ「誰に(対象=階層)」と「どの課題に(領域)」を掛け合わせて、具体的なプログラムを絞り込みます。アイディア社では、研修を5つの階層と4つの領域——イノベーション・グローバル・コミュニケーション・リーダーシップ——で整理しています。下の早見表で、自社の対象者と課題が交わるところを見てください。

階層別 × 領域別 研修プログラム早見表

対象(階層)
/領域
イノベーション グローバル コミュニ
ケーション
リーダーシップ
シニア
マネージャー
(部長)
イノベーション
リーダー
エグゼクティブ
グローバル
シミュレーション
デジタル・
プレゼンテーション
デジタル・
リーダーシップ
マネージャー
(課長)
実践型
イノベーション
グローバル
マネジメント力強化
マネージャー
ロジック
AI時代の
マネジメント力強化策
プレーヤー
(管理職手前)
実践型
イノベーション
グローバル
実践力強化
Win-Win
コミュニケーション
相手が
動きたくなる
若手社員
(2〜5年目)
イノベーション
の基本
異文化
対応力強化
ロジカルな
コミュニケーション
マインド再設計
新入社員 創造的問題解決 1日グローバル ロジカルな
コミュニケーション
新人マインド

この表は「縦に見る」と「横に見る」で使い方が変わります。縦(同じ領域)に見れば、たとえばコミュニケーション領域が新入社員の「ロジカルなコミュニケーション」から、プレーヤーの「Win-Winコミュニケーション」、シニアマネージャーの「デジタル・プレゼンテーション」へと段階的に積み上がっているのが分かります。横(同じ階層)に見れば、その対象者にいま必要な4領域のバランスを確認できます。以下では、対象者ごとに、深く学べるガイドと該当する研修プログラムを案内します。

新入社員——土台をつくる

新入社員研修の目的は「学生から責任感のある社会人へのシフト」で、これは以前と変わりません。マナーや仕事の進め方といった従来の内容は継続しつつ、Z世代の特性や労働環境の変化に合わせた工夫を加えるのが見直しの基本です。領域別には、ロジカルなコミュニケーション、1日グローバル、新人マインドなどが入口になります。

→ 深く学ぶ:若手社員育成の完全ガイド/関連研修:新入社員研修

若手社員(2〜3年目)——伸び悩みとキャリアの分岐に対応する

パンデミック以降、若手社員研修の重要性が増しました。成長実感とモチベーションの維持、同期との関係構築、知識・スキルのばらつきの是正などが背景です。従来のニーズは段階別に整理でき、2年目上期は仕事の効率を高める「実行力」、2年目下期は自分でモチベーションを保つ力、3年目上期は周囲を動かす「影響力」、3年目下期は「キャリアデザイン」が中心になります。

→ 深く学ぶ:2年目社員の育成と研修体系3年目社員の育成と研修体系/関連研修:若手・次世代リーダー研修

プレーヤー・中堅社員——管理職の手前でヒューマンスキルを養う

管理職手前のスーパーバイザーやチームリーダーを対象とする層です。ここで大切になるのは、MBAのようなマネジメント知識よりも、メンバーのエンゲージメントやモチベーションを引き出すヒューマンスキルです。早いタイミングでピープルマネジメント力を身につけてもらうことが、その後の管理職への移行をスムーズにします。領域別には、実践型イノベーション、グローバル実践力強化、Win-Winコミュニケーション、相手が動きたくなる、などが該当します。

→ 関連研修:若手・次世代リーダー研修相手が動きたくなる研修

マネージャー・管理職——最も「古いまま」になりやすい層

ビジネス環境の変化に最も関心が高く、影響も大きいのが管理職です。ところが、研修が昔のままのプログラムで実施されているケースが最も多いのも、実は管理職研修です。環境変化に最もさらされる層だからこそ、リニューアルの優先度が高いといえます。領域別には、マネージャーロジック、AI時代のマネジメント力強化策、デジタル・リーダーシップなどが対象です。

→ 深く学ぶ:管理職研修の完全ガイド/関連研修:管理職・実践型マネジメント研修

グローバル人材(全階層横断)——領域をまたいで設計する

グローバル領域は、新入社員の「1日グローバル」からシニアマネージャーの「エグゼクティブグローバルシミュレーション」まで、すべての階層にまたがります。海外赴任者候補や外国籍社員など、対象によって必要な実践力も異なるため、階層と目的の両面から設計するのが効果的です。

→ 深く学ぶ:グローバル人材育成の完全ガイド/関連研修:グローバル人材育成研修グローバル人間ドック®

研修設計そのものを体系的に学ぶ(全階層共通)

対象や領域を問わず、「ニーズ把握から効果測定まで」という研修設計の流れを体系的に押さえたい場合は、以下のガイドが土台になります。本記事の4ステップを、設計の実務に落とし込む際の参考にしてください。

→ 深く学ぶ:研修設計の完全ガイド

自社の対象者と課題に、どのプログラムが最適か——早見表をもとに具体的なプランをご提案します。各領域の研修内容をまとめた資料もご用意しています。

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【ステップ4】予算・期間で「深さ」を決める

対象と具体プログラムが決まったら、最後に「どこまで深くやるか」を予算と期間から決めます。同じテーマでも、1日で要点を押さえる形から、半年かけて職場での定着まで作り込む形まで幅があります。アイディア社の「変化に強い部下の成長支援」研修を例に、同一テーマを4つの深さで設計した実例を見てみましょう。

同一テーマを4つの深さで設計した実例(変化に強い部下の成長支援)

左ほど短期・低負担、右ほど職場実践とフォローが厚くなり、定着・成果につながりやすい

1日

1日研修

教える・気づかせる・定着・動機づけ・成果を1日に凝縮。まず要点を押さえたい、予算と時間が限られる場合に。

約3カ月

半日 × 2回

事前インプット+リモート3時間×2+職場実践+個別コーチング。忙しい管理職の負担を抑えつつ実践につなげたい場合に。

数カ月

充実の3回(3日間)

反転学習で演習中心、研修の間に職場実践を挟む。体験学習サイクルを回して行動変容まで狙う場合に。

約6カ月

定着重視の6回

月次の研修+毎回の職場実践+個別コーチング+成果発表。後継者育成など、長期の定着が必要な場合に。

深さは「予算 × 期間 × 必要な定着度」で決まります。知識を「知っていればよい」程度なら短い形で十分ですが、職場での行動変容と成果まで求めるなら、職場実践とフォローを織り込んだ深い設計が必要になります。

なお、深くする=期間を間延びさせる、ではありません。成果が出やすいのは「マラソンではなくスプリント」、つまり密度の濃い短期集中です。目安としては3〜6カ月の中で3〜5回の学習サイクルを回すと、受講者を飽きさせず、成果とのバランスが最も良いとされています。長くだらだら続けるより、職場実践を挟みながら短期で回しきる設計を意識してください。

選んで終わりにしない——効果測定を設計に含める

ここまでで研修は選べますが、選定の最後のピースは「効果測定をどう組み込むか」です。研修を実施して終わりにすると、成果につながったのかが分からないまま、翌年もまた同じ単発研修を繰り返すことになりがちです。ステップ1で見た成熟度を一段上げるには、ここを設計に入れることが欠かせません。

73%
効果測定の予算が
「必要」と考える
約1/4
実際に測定の予算を
割けている組織
64%
予算がある組織は
「効果は証明できる」

注目すべきは、必要性は広く認識されているのに、実際に予算を割けている組織はごく一部という落差です。そして予算を確保した組織ほど「効果は証明できる」と考えています。効果測定は、研修を選ぶ段階から「何をもって成果とするか」を決めておくことで、後から測りやすくなります。たとえば「カスタマーサービス担当者が1カ月以内に一人で対応できるようになる」のように、行動と成果を具体的に置いておくと、満足度アンケートに頼らずに測れます。

研修の効果には「知っている → できる → やっている」という段階があります。研修のゴールを「知っている」で止めず、「やっている(職場で実践し、成果が出ている)」に置くこと——これが、目的の見極めから効果測定までを貫く、研修選びの軸になります。

目的の見極め、自社の現在地の診断、対象×課題での絞り込み、そして効果測定まで。この4つのステップで研修を選べば、単発の打ち上げ花火ではなく、現場の成果につながる人材育成に近づきます。自社の対象者と課題に最適な組み合わせを、本ガイドの早見表から見つけてください。

よくある質問

研修プログラムはどうやって選べばよいですか?

まず研修の「目的(提供価値)」を見極め、自社の人材育成の成熟度を把握したうえで、対象(階層)と課題(領域)を掛け合わせて絞り込み、最後に予算・期間に応じた深さと効果測定を設計します。本記事では、この4つのステップに沿って選び方を解説しています。

対面・リモート・オンデマンドのどれを選べばよいですか?

研修形態は「目的」によってほぼ決まります。たとえばコンプライアンスならLMSとeラーニング、現職務の成果向上ならラーニングジャーニーと定着フォローの組み合わせ、というように、達成したい価値から逆算して選ぶのが基本です。形態から先に決めると判断軸が定まらず迷いやすくなります。

階層別研修の見直しで、特に優先すべき層はどこですか?

環境変化の影響を最も受けるのは管理職ですが、研修が最も古いまま実施されているのも管理職研修です。優先的に見直す価値があります。一方で、既存の研修をすべて作り直す必要はなく、必要に応じて工夫を加える形で十分です。

研修の効果測定はどう設計すればよいですか?

研修を選ぶ段階で「何をもって成果とするか(行動と成果の具体的な目標)」を決めておくと、後から測りやすくなります。満足度アンケートだけでなく、職場での行動変容と成果まで含めて設計するのがポイントです。

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