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グローバル人材育成の完全ガイド|戦略策定から効果測定まで

海外売上が伸び続ける一方で、多くの企業のグローバル人材育成は「とりあえず英語研修」のまま止まっています。しかし、語学力だけでは交渉も会議も成果に結びつきません。本ガイドでは、なぜ今これほど全社的な育成が必要なのかという背景から、誰に何をどのように育成し、その成果をどう測るのかまでを、一次データと実例をもとに体系的に整理します。自社のグローバル人材育成を見直す出発点としてご活用ください。

なぜ今、グローバル人材育成が必要なのか

グローバル人材育成というと、海外赴任者や一部の専任部署だけのテーマと捉えられがちです。しかし、日本企業の海外依存度を示すデータを見ると、その前提はすでに実態と合わなくなっています。国際協力銀行(JBIC)の調査では、製造業全業種の海外売上高比率は平均36.5%にのぼります。一部の輸出企業に限った話ではなく、多くの業種で売上の三分の一以上が海外から生まれているのです。

業種別の海外売上高比率(JBIC 海外直接投資アンケート 第33回)

全業種平均でも36.5%。内需型に見える食料品でも17.7%が海外売上

自動車(組立)
78.3%
電機・電子(部品)
50.8%
全業種平均
36.5%
化学
36.3%
食料品
17.7%

読み取り:海外売上の比率は業種で幅がありますが、内需型に見える食料品でも17.7%。「自社はまだ海外比率が低い」という前提は、多くの企業ですでに過去のものになっています。

この変化は、個別企業の経営計画にも明確に表れています。半導体製造装置の東京エレクトロンは海外比率が88%に達し、新たな中期経営計画で売上3兆円を掲げています。生活用品のユニチャームは2030年に売上1兆4,000億円・海外比率70%を目標とし、しょうゆのキッコーマンは2022年度に海外比率68.9%まで上昇させ、国内市場の低迷を海外売上が支える構図になっています。いずれも、海外を前提に経営の舵が切られている例です。経営層を巻き込んだ発想の転換については、グローバル人材育成の成功条件でより詳しく整理しています。

一方で、グローバル研修そのものに対する企業の意識は、必ずしもこの実態に追いついていません。日本のグローバル研修は、1990年代の英会話・TOEIC重視に始まり、リーマンショック後の「グローバル人材ブーム」を経て、2015年ごろからはクールダウンし、働き方改革やリモートワークへ関心が移ってきました。その結果、「グローバル研修=英語研修」という古い等式のまま止まっている企業が少なくありません。しかし、海外依存度が高まり続けるなかで本当に必要なのは、語学にとどまらない実践力の育成です。どの対象者に何から着手すべきか、進め方と陥りやすい失敗はグローバル人材育成の進め方で具体的に解説しています。

本ガイドでは、この「英語研修だけでは成果が出ない」という前提に立ち、誰に何をどう育成し、成果をどう測るかまでを順を追って整理していきます。

「英語ができる」と「ビジネスで通用する」は違う

グローバル研修の最も多い誤解は、「英語力さえ高めれば成果につながる」という思い込みです。たしかに語学力は土台ですが、それだけでは「英語は話せるのに交渉が前に進まない」「会議には入れるが発言が成果に結びつかない」といった状態は解消しません。グローバルで成果を出すには、語学力とは別に、ビジネスの現場で使える実践力を分けて育てる必要があります。両者は鍛える要素も、測り方も、研修の形態も異なります。

語学力(語学研修)

キーワード

英語、語学、TOEIC、勉強

鍛える要素

文法・語彙・文章力・リスニング・リーディング

目的

英語力を高め、自分の意思を英語で伝えられるようになる

評価方法

TOEIC・GTEC・CASEC など

研修形態

マンツーマン・グループレッスン・eラーニング

実践力(実践トレーニング)

キーワード

実践・応用・コミュニケーション・演習・ビジネス

鍛える要素

コミュニケーション力・ロジック・ライティング・ミーティング・プレゼン・ネゴシエーション

目的

応用力を強化し、ビジネスをよりスムーズに英語で進められるようになる

評価方法

ミニシミュレーション(ライティング・電話・ミーティング・プレゼン)

研修形態

セミナー・メールや電話のトレーニング・場面別演習

読み取り:語学力は土台ですが、成果を直接生むのは実践力です。TOEICの点数が伸びても、交渉や会議で結果を出せるとは限りません。両者を切り分けて設計することが、成果につながる第一歩です。

自社の研修が語学力に偏っていないか、実践力にどこまで踏み込めているかは、予算配分を見直す入り口になります。語学力と実践力のバランスの取り方は、グローバル人材育成研修|語学力と実践力の予算配分で詳しく解説しています。

さらに、リモートワークの浸透によって、求められる実践力そのものが変化しています。いまのグローバルビジネスで重視される変化は、大きく4点に整理できます。1つ目はすべてがリモート化(Virtual everything)したことで、人間関係づくり・提案・交渉・トラブル対応までを現地に行かず英語で完結させる力が必要になったこと。2つ目は異文化対応の重要性(Culture is king)です。海外出張なら移動中に頭を切り替える時間がありますが、国内での日本語会議の直後に始まるリモート会議では、切り替え時間がわずか3分程度ということも珍しくありません。だからこそ、海外赴任者だけでなく、日本にいながら海外とやり取りする社員にも異文化理解が欠かせません。

3つ目はライティング重視(Write>Speak)です。スピーキングを鍛えたいという声は多い一方、実際のグローバル業務では読み書きの時間が圧倒的に長く、チャット・メール・資料・スライドそれぞれに適したライティング力が成果を左右します。4つ目はイノベーションとスピード(Innovation and speed)です。「日本でやっていることを別の言語で展開する」段階から、海外市場のニーズを掴み、現地と共に新しい価値を生む段階へと、求められる能力が変わってきています。

自社のグローバル人材が、語学力だけでなく実践力をどこまで備えているかを客観的に把握したい場合は、ビジネスシーンで本当に英語が使えるかを診断する仕組みが役立ちます。

▶ グローバル人間ドック(実践力診断)を見る▶ グローバル人材育成研修の一覧

誰に何を|対象者別のグローバル人材育成の設計図

グローバル人材育成は、全社員に同じ研修を一律に提供すればよいものではありません。新入社員と海外赴任者では悩みも到達目標も異なり、近年は外国籍社員の育成という新しいニーズも加わっています。まず「自社はどの対象を優先すべきか」を見極めることが、限られた予算を成果につなげる出発点です。代表的な5つの対象と、それぞれの悩み・打ち手を整理します。

新入社員・若手社員|まず苦手意識をなくす

悩み:グローバルへの苦手意識が強く、何から学べばよいか分からない。打ち手:異文化の基本とビジネス英語の入り口を1日で体験する「1日グローバル」や、異文化対応力の基礎研修で土台をつくります。

グローバル人材・海外赴任者|英語はできるが現場で通用しない

悩み:語学力はあるのに、交渉や会議で成果が出ない。打ち手:実践力を診断してから演習で鍛える実践力強化プログラム。海外赴任者には、異文化理解・コミュニケーション・マネジメントを軸とした数カ月単位の個別ジャーニーが有効です。

グローバルマネージャー|多国籍チームをまとめる

悩み:外国籍の部下や海外拠点をマネジメントしきれない。打ち手:ストーリーテリングや影響力の発揮、言いにくいことを伝える対話など、文化の壁を越えるマネジメントスキルを段階的に強化します。

全社員|海外との接点が少しずつ増えている

悩み:国内業務が中心だが、海外とのやり取りが部分的に発生し始めた。打ち手:オンデマンド研修でグローバル意識と異文化の基礎を底上げし、必要なときに動ける土台を全社で持っておきます。

外国籍社員・海外現地スタッフ|採用したが定着しない

悩み:採用した外国籍社員が早期に離職してしまう。打ち手:本人への異文化研修に加え、受け入れ側の上司・職場メンバーへの研修と、配属後の定期的なフォローをセットで設計します。

このうち、海外赴任者・海外現地スタッフの育成は目的別の設計が特に重要になります。対象別の研修の組み立て方は、海外研修・海外赴任者・現地スタッフ研修|目的別設計の3つの実践法で具体的に解説しています。自社の重点対象が定まれば、語学と実践のどちらに、どの順で投資するかも見えてきます。

対象が固まったら、次は具体的な研修設計です。実践力をビジネス現場で使えるレベルまで引き上げるプログラムの組み立てを相談できます。

▶ グローバル実践力強化研修を見る▶ グローバル人材育成研修の一覧

異文化対応を「スキル」に変える4つの文化フィルター

異文化対応は「相手の文化を尊重しましょう」という精神論で終わってしまいがちです。しかし、相手の傾向を見極める軸を持てば、対応を切り替える操作可能なスキルになります。実務で特に効くのが、次の4つの文化フィルターです。相手がどちら寄りかを見極め、それに合わせて伝え方を変えるという発想です。

相手に表れる文化的な特徴

日本側がとるべき対応のヒント

コンテクスト(ハイ/ロー)

言葉に頼らず行間で伝えるか、言葉で明確に伝えるか

伝え方を切り替える

ハイ寄りには非言語と行間に注意。ロー寄りにはテンポよく、テーマとポイントの数を明示する

権力格差(大/小)

上下関係を強く意識するか、対等に近いか

距離感を合わせる

格差が大きい相手には敬意とマナー、積極的な行動。小さい相手には理由と裏付けを示す

集団/個人主義

周囲に合わせて考えるか、自己を起点に考えるか

主張の出し方を変える

集団主義の相手には自己主張を抑え社風に合わせる。個人主義の相手には聞き手の利点と独自の意見を伝える

全体/詳細重視

全体像を重んじるか、細部の正確さを重んじるか

話の入り方を変える

全体重視の相手には大枠と目的から。詳細重視の相手には完成度と細部まで気を配る

読み取り:異文化対応は「察する」精神論ではなく、4つの軸で相手の傾向を見極めて対応を切り替えるスキルです。リモート会議では相手の雰囲気を掴む手がかりが減る分、この見極めがいっそう重要になります。

こうした見極めの軸は、知識として知っているだけでは行動に移りません。研修では、知識を実際の行動変容に変える設計が鍵になります。異文化理解を成果につなげる研修の設計ポイントは、異文化理解の研修|知識を行動変容に変える3つの設計ポイントで詳しく解説しています。

増える外国籍社員の育成|3種類のニーズと配属後フォロー

これまでグローバル研修の受講者は95%以上が日本人でした。しかし、ここ1〜2年で外国籍社員向けの研修が急に増えています。近年の新入社員研修では、全体の5%程度を外国籍社員が占めるようになりました。ひと口に外国籍社員の育成といっても、ニーズは大きく3種類に分かれます。第一に日本で採用した外国籍新入社員の研修、第二に海外の現地スタッフを日本へ呼んで行う研修、第三に海外の現地スタッフを現地で育てる研修です。それぞれ、従来の日本人向け研修とは少し違う工夫が必要になります。

まず最も身近なのが、日本で採用した外国籍新入社員の育成です。日本語を勉強中で上下関係に馴染みの薄い社員にとって、入社後の環境変化は大きなショックになり、早期にフォローしないとモチベーションが下がり、3年以内に退職してしまうリスクが高まります。これを防ぐには、本人への研修だけでなく、受け入れ側と継続的なフォローまでを一連の流れとして設計することが重要です。

国内採用した外国籍新入社員の育成の流れ

入社前|異文化研修

異文化研修(Working with Japanese Partners)のeラーニングで、1年目に直面する主要な場面を予習する

新入社員研修|文化的背景の説明

集団主義・権力格差・ハイコンテクストなど、日本の研修が独特に映る理由を最初に伝える

配属の前後|受け入れ側への研修

上司と職場メンバーに半日程度の研修を実施。本人研修の逆バージョンで、双方に共通言語をつくる

配属後|定期フォロー(3〜6回)

1〜2時間を1〜2カ月ごと、計3〜6回。日本での就業経験が豊富な外部講師が、困りごと・目標・行動計画に伴走する

外国籍社員の早期離職は、日本語力そのものよりも、文化的なつまずきと孤立から起きがちです。本人への異文化研修だけで終わらせず、受け入れ側への研修と配属後の定期フォローをセットにできるかどうかが、定着の分かれ目になります。

残る2つのニーズにも、押さえるべきポイントがあります。海外の現地スタッフを日本へ呼ぶ研修は、従来はリテンションやモチベーション向上が主目的でしたが、近年は海外拠点をマネジメントできる人材の育成や、本社が現地スタッフを把握する機会として導入する企業が増えています。海外の現地スタッフを現地で育てる研修では、現地スタッフが本社の想定以上に企業理念やビジョンへの関心が高い点が見落とされがちです。まずは難しいアセスメントよりも、簡単なアンケートとヒアリングでニーズを把握し、目的別研修や個人別の育成計画につなげるのが効果的です。なお、海外企業が映像コンテンツのライブラリーを充実させているのは、スキル向上のためというより、研修ラインアップの厚みが従業員満足度とリテンションに直結するからだという側面も見逃せません。

成果につなげる|効果測定と実証事例

研修を導入しても、成果につながらなければ意味がありません。ここでは、短期間で大規模なグローバル人材育成を成功させた事例を見たうえで、成果を測る仕組みを整理します。規模は日系企業と異なりますが、設計の考え方はそのまま自社に転用できます。

CASE STUDY:中国国家電網(State Grid)― 4カ月でグローバル人材129人を育成

BEFORE

国家規模のプロジェクトで急速な海外展開を迫られ、海外で通用する人材が圧倒的に不足。多くの企業のように毎年数十人ずつ慎重に育てる進め方では間に合わない状況でした。

AFTER

海外勤務を希望する社員が50%から75%へ増加。事業面でも海外売上が9,000億円規模から5兆円規模へと大きく伸びました。

やったこと ― 4カ月・500時間・50講座・120人の講師を投じた3ステージ設計

STAGE 1

ビジネス英語

17日・200時間。英語レベル別にスタートを分ける

STAGE 2

グローバルビジネスの基本

25日・200時間。海外戦略・異文化・ビジネスマナー

STAGE 3

M&A実践

12日・100時間。外部の専門機関を講師に迎える

ポイント:規模は違っても、ビジネスニーズに合わせて高い目標を設定し、語学・専門知識・実践をブレンドで一気に育てる設計は、自社の中期経営計画にもそのまま転用できます。

こうした成果を「やりっぱなし」で終わらせないために欠かせないのが、効果測定です。鍵になるのは、研修の実施後に測り始めるのではなく、設計段階から測定のイメージを作っておくこと。カークパトリックの4段階評価(反応・学習・行動・成果)のうち、特に成果は売上や昇進率といったビジネス指標で捉えます。実際、同社の別の人材育成改革では、研修満足度98%、事前から事後でテスト結果が75%から89%へ向上し、受講者の29%が1年以内に昇進するという形で、行動と成果のレベルまで測定されています。研修設計とIT活用を成果に結びつける具体策はグローバル研修の設計|実践力7割で成果を出す4つの判断軸とITツール活用法、効果測定を含む成功条件はグローバル人材育成の成功条件|効果測定の2つの方法で詳しく解説しています。

自社のグローバル人材育成を、対象者の見極めから効果測定まで一貫して設計したい場合は、現状の課題に合わせた組み立てをご相談いただけます。

▶ グローバル人材育成について相談する

よくある質問

グローバル人材育成とは何ですか?

海外と関わる業務で成果を出せる人材を育てる取り組み全般を指します。英語などの語学力に限らず、異文化への対応力、交渉やプレゼンテーション、ロジカルなコミュニケーションといった、ビジネスの現場で通用する実践力までを含めて育成するのが特徴です。対象も海外赴任者だけでなく、海外と接点を持つ全社員や外国籍社員にまで広がっています。

グローバル研修は英語研修と何が違うのですか?

英語研修は文法・語彙・リスニングなどの語学力を高めることが目的です。一方、グローバル研修は、その語学力を土台にしながら、コミュニケーション・ロジック・ミーティング・交渉・異文化対応といった実践力を鍛え、ビジネスで成果を出すことを目的とします。TOEICの点数が伸びても交渉や会議で結果を出せるとは限らないため、語学力と実践力を切り分けて設計することが重要です。

グローバル人材育成研修は誰を対象にすべきですか?

海外赴任者やグローバル人材だけが対象ではありません。海外との接点が増えている全社員、多国籍チームを率いるグローバルマネージャー、そして日本で採用した外国籍社員や海外現地スタッフまで、対象は幅広く存在します。まずは自社にとってどの対象が優先かを見極め、対象ごとに目的と打ち手を変えて設計することが、限られた予算を成果につなげる出発点になります。

グローバル研修の期間や費用の目安はどのくらいですか?

目的によって大きく異なります。異文化とビジネス英語の基本を体験する1日完結型から、数カ月から半年をかけて実践力を鍛えるプログラムや、海外赴任者向けの個別育成計画まで幅があります。費用も、対象人数や提供形態(集合研修・オンデマンド・個別フォロー)によって変わります。最初に診断やヒアリングで現状のニーズを把握し、それに合わせて設計するのが、無駄のない進め方です。

外国籍社員の研修で気をつけることは何ですか?

本人への異文化研修だけで終わらせないことが重要です。研修の冒頭で日本の文化的背景(集団主義・権力格差・ハイコンテクストなど)を説明したうえで、受け入れ側の上司や職場メンバーにも研修を行い、双方に共通言語をつくります。さらに、配属後に1〜2時間の定期フォローを1〜2カ月ごと、計3〜6回ほど実施すると、早期離職を防ぎ定着につながります。

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対象者の見極めから、語学力と実践力のバランス、効果測定までを一貫して設計します。自社の課題に合わせたグローバル人材育成の進め方を、お気軽にご相談ください。

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