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グローバル人材育成の進め方|全体像とよくある4つの失敗パターン

海外売上比率の拡大、海外M&A、外国人スタッフとの協業——グローバルビジネスの重要性は年々高まっています。しかし「グローバル人材を育てたい」と考えたとき、多くの企業がまず思い浮かべるのは英会話研修です。

語学力はもちろん必要ですが、それだけではグローバルビジネスの現場で成果を出せる人材は育ちません。本記事では、グローバル人材育成の全体像を俯瞰し、企画段階で多くの企業が陥る4つの失敗パターン、そしてそれを回避するための設計フレームワーク「WIDE & DEEP」をご紹介します。

本記事は、アイディア社がこれまで5万人以上のグローバル人材育成を支援してきた実績をもとにした全6回の連載シリーズの第1回です。

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なぜグローバル人材育成が経営課題になっているのか?

グローバル人材育成は単なる「研修テーマの一つ」ではなく、事業戦略を実行するためのインフラです。この認識がないまま施策を始めると、最初の段階で方向を見誤ります。

少子高齢化による国内市場の縮小を背景に、多くの企業が中期経営計画の柱としてグローバル展開を掲げています。海外売上比率の引き上げ、海外M&Aの推進、現地法人の強化など、具体的な施策を進める企業は増え続けています。

ところが、こうしたグローバル戦略を実行する段階になると、多くの経営者が共通してぶつかる壁があります。それが「人材」のボトルネックです。海外市場は国や地域によってビジネス慣行が大きく異なり、単に要員を確保するだけでなく、多様な環境で成果を出せる「質」が問われます。

さらに、海外M&Aの増加がこの課題を一層深刻にしています。M&Aを成功に導くには、買収先の経営陣や現地スタッフに受け入れられる人間性と高度なビジネススキルを兼ね備えた人材が不可欠です。成功企業の共通点は、中期経営計画にグローバル人材育成を明確に位置づけ、継続的にフォローしていることだと言われています。

つまり、「とりあえず英語研修を」と始めてしまうことが、最初の失敗につながります。グローバル人材育成を事業戦略の一部として位置づけ、全社的な取り組みとして設計することが出発点です。

研修でグローバル人材は本当に育つのか?——データが示す3つの効果

適切に設計された研修であれば、グローバル人材育成で明確な効果を得ることができます。アイディア社の1,145人の実力診断データは、研修前後でスキルが大幅に向上することを実証しています。

具体的には、以下の3つの領域で変化が見られます。

グローバルマインドの変化

グローバルマインド研修や異文化理解研修を受講すると、多くの参加者に意識面での変化が起こります。グローバルビジネスに対する漠然とした不安が解消され、前向きに取り組む姿勢が生まれます。外国人の考え方への理解が深まり、適切な対応方法が分かるようになることで、異文化の相手とよりスムーズに仕事ができるようになります。

グローバル実践力の向上——1,145人の実力診断データ

グローバル実践力とは、外国人と英語でビジネスを遂行する力のことです。アイディア社のグローバル実践力強化研修では、1,145人を対象にした5点満点の実力診断で明確な成長が確認されています。

グローバル実践力強化研修の成果(1,145人の実力診断データ)

適切に設計された研修により、受講者の過半数が「通用する」レベルに到達する

平均スコアの成長
+0.86pt
5点満点の実力診断で
研修前後の平均成長幅
「通用する」レベルの割合
8% → 46%
「十分通用する」「良くできる」
と評価された受講者の割合
「課題あり」レベルの割合
50% → 11%
「難しい」「一場面で通用する」
と評価された受講者の割合

注目すべきは、研修前に約半数を占めていた「課題あり」層が研修後に11%まで激減し、「通用する」層が約6倍に拡大している点です。これは単に知識を得たということではなく、実際のビジネス場面で使えるレベルまでスキルが引き上がったことを示しています。「研修で人は変わるのか」という問いに対して、1,145人のデータが明確に「Yes」と答えています。

グローバルビジネスに必要なスキルの強化に関心をお持ちの方は、アイディア社のグローバル研修プログラムをぜひご覧ください。5万人以上の育成実績をもとに、貴社の課題に合った設計をご提案します。

実務で役立つスキルとは?——元受講者が選ぶランキング

研修後にグローバルビジネスの実務に携わっている元受講者へのヒアリングでは、実際に役立っているスキルとして以下の内容が挙げられています。

実務で役立っているスキル(元受講者ヒアリング)

上位を占めたのは「語学力」そのものではなく、語学力を活かしてビジネス成果につなげる「実践力」

1

コミュニケーション

積極的に反応・会話参加・質問確認

2

ロジカルコミュニケーション

分かりやすい構成で話す力

3

eメールライティング

英文メールの構成と表現

4

英語発想転換

日本語直訳を脱する思考法

5

英語ミーティングスキル

会議の進行・発言・合意形成

このランキングが示す最も重要なポイントは、上位に入ったスキルの大半が「語学力」そのものではなく、語学力を活用してビジネス成果につなげる「実践力」であるという点です。「英語が話せる」ことと「英語でビジネス成果を出せる」ことの間には大きなギャップがあり、研修で鍛えるべきは後者です。この「語学力と実践力の違い」はグローバル人材育成の設計において極めて重要なポイントであり、連載第3回で詳しく解説します。

グローバル人材育成で失敗する原因とは?——よくある4つの落とし穴

4つの落とし穴に共通する根本原因は、「手段」から考え始めていることです。英語のレベル分け、研修形式、講師の国籍、測定テスト——いずれも手段にすぎません。出発点は常に「受講者が実務でどんな場面に直面し、どんなスキルが必要か」というニーズ分析です。

初めてグローバル系の研修を企画する際に、多くの企業が陥る典型的な失敗パターンがあります。これらを事前に知っておくだけで、無駄なコストと時間を大幅に削減できます。

グローバル人材育成でよくある4つの落とし穴

共通する原因は「手段から入る」こと。受講者の実務ニーズから逆算する設計が鍵

落とし穴 1

英語レベル別のクラス分けから始めてしまう

ありがちな失敗

TOEIC®スコアでクラス分けし、レベル別に英会話レッスンを開始する

正しいアプローチ

まず「受講者が仕事でどう英語を使うか」を把握する。ライティング中心ならライティング研修、ミーティングが多ければミーティングスキルの強化を優先。レベル分けはその次

落とし穴 2

ワンパターンの研修スタイル

ありがちな失敗

上級者はグループレッスン、初級者はeラーニング、赴任前は個人レッスンと画一的に割り当てる

正しいアプローチ

集合研修・少人数グループ・電話/オンライン・eラーニングなど複数の形式を組み合わせる。単調さを防ぎ、内容ごとに最適な形式を選び、実務の予行演習になる設計にする

落とし穴 3

ネイティブ講師へのこだわり

ありがちな失敗

「講師は全員ネイティブスピーカー」を選定基準にし、講師の国籍でベンダーを決める

正しいアプローチ

新テクニックの解説は日本人講師が有効な場合もある。実際のビジネス相手がインドや中国の方なら、その国の講師と訓練するほうが実践的。基準は「受講者の実務につながるか」

落とし穴 4

TOEIC®による研修効果測定

ありがちな失敗

研修前後にTOEIC®を受験させ、スコア変化を研修効果として報告する

正しいアプローチ

研修内容に合った測定方法を選ぶ。ミーティングやネゴシエーションを鍛えた研修なら、実務場面でのパフォーマンス評価が適切。事前スコアの妥当性も事前に確認する

この順序を間違えると、どれだけ予算をかけても的外れな研修になってしまいます。まず「受講者が実務でどんな場面に直面し、どんなスキルが必要か」を明確にすること。そこからすべての設計が始まります。

こうした落とし穴を避けるための研修設計のご相談も承っています。貴社の課題や受講者の状況に合わせたプログラム設計を、まずは無料でお打ち合わせさせていただきます。

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グローバル人材育成を成功させるフレームワークとは?——WIDE & DEEPで進める

対象者の規模と研修の密度を「WIDE(広く浅く)」と「DEEP(狭く深く)」に明確に分けることが、グローバル人材育成の設計で最も重要な判断です。中途半端な中間地帯に陥ると、コストだけかかって成果が出ません。

グローバル人材育成を立ち上げる際、「対象者を誰にするか」は悩ましいポイントの一つです。できるだけ多くの社員に教育機会を与えるべきか、必要性の高い人だけに絞って密度の濃い研修を行うべきか。この判断を助けるフレームワークが「WIDE & DEEP」です。

WIDE & DEEP — 振り切りが成果を生む

対象者の規模と研修の密度で設計方針を分ける。最もNGなのは中途半端な中間地帯

WIDE(広く浅く)

全社のグローバル意識を底上げする

対象

全社員(できるだけ広く)

狙い

グローバルへのアレルギー除去、接点づくり

成功の鍵

楽しく、軽く、バリエーション豊かに。最小限のコストで最大の接点を作る

よくある失敗

自己啓発の語学研修だけ/全社TOEIC®だけ

NG

中途半端

DEEP(狭く深く)

実務で成果を出す人材を集中育成する

対象

グローバル業務の担当者(数十人単位)

狙い

実務で成果を出せるスキルの集中強化

成功の鍵

事業戦略・現場ニーズから逆算して設計。語学力よりグローバル実践力に重点

よくある失敗

語学研修のみ/海外留学が数人だけ

判断基準:WIDEの成功=「どれだけ多くの社員にグローバルへの前向きな姿勢を生み出せたか」/DEEPの成功=「実務で使えるスキルがどれだけ身についたか」。同じ物差しで比較しないこと

絶対に避けるべきなのは「中途半端」です。対象者はそれほど多くないのに、一人ひとりに成果が得られないような薄い研修を実施するパターンが最も無駄になります。WIDEなら徹底的に広く軽く、DEEPなら徹底的に狭く深く。この振り切りが成果を生みます。

WIDE施策——全社のグローバル意識を底上げする

WIDE施策の目的は、できるだけ広い対象者のグローバル意識を高め、グローバルビジネスとの接点を作り、英語や異文化に対するアレルギーを取り除くことです。

よくある失敗パターンとしては、自己啓発の語学研修だけを用意するケース、全社一律でTOEIC®を受験させるケース、手挙げ方式の通信教育のみで済ませるケースがあります。いずれも、ワンパターンになりがちで、社員のモチベーションにつながりにくく、対象が思ったほど広がらないという問題を抱えています。

WIDE施策の成功ポイントは、多くの社員がワクワクできるバリエーションを、最小限のコストで提供することです。社内イベントの開催、外部講師を招いた講演会、英語版の社員食堂メニューの掲示、グローバル関連情報の社内発信、SNSを使った英語チャットなど、軽く楽しいグローバル接点を数多く設けるだけで十分な効果が得られます。

DEEP施策——実務で成果を出す人材を集中育成する

DEEP施策は、グローバルビジネスの高いスキルが求められる社員に対して、密度の濃い強化研修を実施することです。

ここでの典型的な問題は3つあります。まず、ありがちな語学研修のみで、実践力を身につけるほど密度が濃くないこと。次に、グローバル要素が薄い管理職研修を代替としてしまうこと。そして、数人規模の海外留学に頼りすぎることです。DEEP施策であっても数十人単位で実施しなければ、グローバルビジネスを実行できる人材プールは作れません。

成功のポイントはシンプルです。事業戦略または現場のニーズから逆算した内容で研修を設計すること。そして、語学力よりもグローバル実践力に重点を置くことです。

アイディア社では、2,000人以上の実績をもとにしたWIDE&DEEP両面のグローバル人材育成プログラムをご提供しています。「何から始めればいいか分からない」という段階からのご相談も歓迎です。

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WIDE & DEEP設計の早見表

WIDE(広く浅く)

DEEP(狭く深く)

目的

グローバル意識の底上げ・アレルギー除去

実務で成果を出せるスキルの集中強化

対象

全社員(できるだけ広く)

グローバル業務の担当者(数十人単位)

施策例

社内イベント・講演会・英語メニュー・SNSチャット

実践力強化研修・場面別演習・海外研修

コスト配分

低コスト(エネルギー・時間・予算を抑える)

重点投資(密度の濃い研修に予算を集中)

失敗パターン

自己啓発の語学研修だけ・全社TOEIC®だけ

語学研修のみ・海外留学が数人だけ

成功の鍵

楽しく、軽く、バリエーション豊かに

事業戦略・現場ニーズから逆算して設計

早見表から読み取れる最も重要なポイントは、WIDEとDEEPでは成功の定義が根本的に異なるということです。WIDE施策の成功は「どれだけ多くの社員にグローバルへの前向きな姿勢を生み出せたか」で測り、DEEP施策の成功は「実務で使えるスキルがどれだけ身についたか」で測ります。この違いを理解せずに同じ物差しで効果を比較すると、どちらの施策も中途半端に見えてしまいます。自社の状況に合わせて、まずどちらから着手すべきかを判断することが最初の一歩です。

よくある質問

グローバル人材育成は英語研修とどう違うのですか?

英語研修は語学力(文法・語彙・リスニングなど)の向上を目的としていますが、グローバル人材育成はそれに加えて「グローバルマインド」と「グローバル実践力」を含む、より広い概念です。語学力だけではグローバルビジネスで成果を出すことは難しく、異文化理解やロジカルコミュニケーション、ミーティング・ネゴシエーションなどの実践スキルも必要になります。英語研修はグローバル人材育成の一部であり、全体ではありません。

社員の英語レベルが全体的に低い場合、まず何から始めるべきですか?

まずはWIDE施策でグローバルに対するアレルギーを取り除くことから始めることをお勧めします。英語力が低い状態でいきなり語学研修を始めると挫折しやすくなります。社内イベントや異文化体験などを通じてグローバルビジネスへの関心と前向きな姿勢を醸成した上で、グローバル業務の担当者にはDEEP施策として実践力中心の研修を提供するのが効果的です。

WIDE施策とDEEP施策は同時に始めるべきですか?

理想的には同時並行で進めるのが効果的です。ただし、予算やリソースに制約がある場合は、まずDEEP施策から着手することをお勧めします。グローバルビジネスの現場で成果を出す必要がある社員を優先的に育成し、その成功事例を社内に発信することがWIDE施策の効果的な起点にもなります。

グローバル人材育成の研修期間はどのくらいが目安ですか?

WIDE施策は単発のイベントや短期の施策を継続的に実施する形が一般的です。DEEP施策は内容によりますが、実践力を定着させるには最低でも3〜4ヶ月のプログラムが必要です。アイディア社のグローバル実践力強化プログラムでは、15週間(約4ヶ月)のカリキュラムで、セミナー・グループレッスン・電話トレーニング・ライティングを組み合わせた設計を採用しています。

グローバル人材育成の最新トレンドを知るにはどうすればよいですか?

世界最大の人材育成カンファレンスであるATD人材育成国際会議では、毎年グローバル人材育成に関する最新の研究成果や企業事例が発表されています。アイディア社では毎年ATDに参加し、現地で収集した情報をフルカラーレポートにまとめて無料で公開しています。ATD2025レポート(全58ページ)では、AI活用やウェルネスなど11テーマの最新知見を収録しています。また、ATD2025帰国報告会のブログ記事でもポイントを解説していますので、あわせてご活用ください。

連載シリーズのご案内

本記事は「グローバル人材育成の進め方」全6回連載の第1回です。次回以降、以下のテーマを順次お届けします。

第1回(本記事):グローバル人材育成の全体像と4つの失敗パターン

第2回:グローバルマインドの鍛え方——異文化理解から行動変容へ

第3回:英語力×実践力の両輪で鍛える——語学研修だけでは足りない理由

第4回:研修プログラムの設計術とITツール活用

第5回:海外研修・海外赴任者育成の実践法

第6回:経営者と人事が押さえるべきグローバル人材育成の成功条件

最新のグローバル人材育成トレンドについては、ATD人材育成国際会議2025報告レポート(無料)もあわせてご活用ください。世界最大の人材育成カンファレンスで発信された最新知見をまとめています。

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