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日本の人材育成はグローバルとどこが違うか|4項目で徹底比較

日本の人材育成のレベルは、グローバルと比べてどこまで来ているのでしょうか。IDEA DEVELOPMENTは毎年、世界最大の人材育成国際大会ATD(Association for Talent Development)の日本イベント「ATDジャパンサミット」と、自社主催の「ラーニングイノベーションフォーラム」に参加し、グローバルの最前線と日本の実践事例を同時期に比較する機会を得ています。この記事では、その比較から見えてきた日本の人材育成の強み・弱み・今後の重点ポイントを4つの項目に沿って整理します。

結論:日本の人材育成はグローバルに肩を並べる水準まできた

1990年代の日本の企業研修は、講義中心のインプット型が大多数でした。一方グローバルではすでに、研修成果をビジネスに結びつけるアクションラーニング・パフォーマンスコンサルティング・コーチングフォローへの取り組みが始まっていました。当時は10年以上の差があったと言えます。

しかしここ数年で、日本の人材育成レベルは大きく向上しました。全体の結論から言うと、日本はグローバルに負けていないレベルまで来ています。ただし強い項目と弱い項目が明確に分かれており、それぞれに対応策があります。

比較項目
グローバル
日本
ポイント
マイクロラーニング
グローバルは受講者目線で楽しく実用的。日本は長く堅苦しいインプット型が多い
ラーニングジャーニー
グローバルはダイナミックで実務直結。日本は丁寧な段階的設計が強み
定着フォロー
日本のOJT文化・真面目な受講者・多様な定着ツール活用が強み
研修効果測定
グローバルは試行錯誤中。日本は研修終了アンケート以外の取り組みがほぼない

マイクロラーニング:日本はユーザー目線への転換が必要

マイクロラーニングとは、チェックリスト・ブログ・数分の映像など短いオンデマンドコンテンツのことです。グローバルで優れたマイクロラーニングの共通点は「受講者目線で設計されていること」です。興味を惹きつけるために面白く、即役立つ実践的な内容で、飽きない長さ——この3点が徹底されています。

一方、日本のマイクロラーニングは長い上に比較的堅苦しい「教育テレビ」のようなトーンのインプット中心になりがちです。ATDが提示するマイクロラーニングの賢い活用の4パターンは参考になります。事前課題として研修内容のエッセンスを10分以内でインプットし受講者のスタートラインを揃えること、定着フォローとして1分程度のリマインダーを定期的に送ること、受講者が自ら探して学ぶオンデマンド学習を4分以内で設計すること、職場で困ったときにすぐ答えを調べられるサポートツールとして5分以内で使えるものを用意すること——の4つです。

ラーニングジャーニー:日本の丁寧な設計をさらに進化させる

単発やりっぱなし研修よりも複数回のシリーズ研修の方が効果的です。グローバルのラーニングジャーニーの強みはブレンドラーニングの進化にあります。集合研修だけでなく、上司の巻き込み・個別コーチング・アセスメント・ITツールの活用などを積極的に組み合わせています。

日本のラーニングジャーニーが優れているのは「段階を踏んで丁寧に受講者が力をつけていける研修設計」です。基本→応用→実践の流れで受講者が無理なくスキルを身につけるステップアップ設計は、日本ならではの強みです。さらに、リーダーシップ以外の研修(コミュニケーション・交渉力・ビジネス英語など)にもラーニングジャーニーを適用している点は、グローバルより進んでいます。ラーニングジャーニーの設計についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

定着フォロー:日本の強みを自信を持って続ける

グローバルでも日本でも「研修後の定着フォロー」の重要性は認識されていますが、実践レベルでは日本に分があります。その理由は3つあります。

まず日本のOJT文化です。職場でマネージャーがメンバーを育成するのが当たり前という考え方は、欧米でよく見られる「育成は自分の仕事ではない」というマインドを乗り越える必要がありません。次に真面目な受講者の存在です。定着フォローや職場実施は地味で継続が必要な取り組みですが、そこで力を発揮するのが日本人の真面目さです。そして多彩な定着フォローのバリエーションです。OJT・実行計画・上司面談・職場勉強会・事後課題など、日本の定着フォローの取り組みはグローバルのワンパターン(強い上司の巻き込みと個別コーチング)より多様で豊かです。

研修効果測定:日本が最も遅れている領域

グローバルでも研修効果測定を強化する必要があり、数十年前とあまり変わっていないのが現状です。しかし少なくともグローバルでは試行錯誤が見られます。日本では研修終了アンケートと一部の知識確認テスト以外の取り組みがほとんど見られません。

担当者からよく聞く理由は「どう測ればいいかわからない」「精度が100%でないとトライできない」「悪い結果が怖い」「重要性に納得していない」の4つです。突破するための3つのヒントを紹介します。まず小さなスタートから始めることです。一番力を入れている研修1つに絞って効果測定を試してみましょう。次に既存のメソードを使うことです。ブリンカホフのサクセスケースメソードは実施しやすく結果がわかりやすいためお勧めです。最後に定性評価から始めることです。研修後にうまくいった受講者にインタビューし「職場でどう実践したか」「どんな成果が出たか」を収集するだけでも、効果測定の入口として有効です。研修効果測定の具体的なステップはこちらで解説しています。

日本の人材育成は着実に進化しています。今後の重点は「定着フォローへの自信を持って継続すること」「ラーニングジャーニーにブレンドラーニングを加えてさらに進化させること」「マイクロラーニングを受講者目線でチューニングすること」「研修効果測定に挑戦すること」の4点です。自社の研修レベルの現状確認や改善相談はお気軽にどうぞ

よくある質問

日本の企業でラーニングジャーニーを導入する際の最大のハードルは何ですか?

最大のハードルは「上司の巻き込み」です。ラーニングジャーニーの成果を出すためには、受講者の上司が研修前後に関与することが不可欠ですが、「研修は人事・研修部門の仕事」という分離意識が根強い組織では特に難しいです。突破策は、経営トップからの発信で上司への期待を公式化すること、上司の具体的な行動を明確に小さく依頼すること(5分のブリーフィング・研修後の報告を受けるだけでOKなど)です。

研修効果測定を「研修終了アンケート」以外で行う最も簡単な方法は何ですか?

配属後3ヶ月のタイミングで、うまくいっている受講者数名に15〜30分のインタビューを行うことです。「研修内容を職場でどのように使ったか」「その結果どんな変化があったか」を聞くだけで、成功事例が集まります。この定性データを経営者への報告に使うことで、研修投資への理解が深まります。カークパトリックの第3段階(行動変容)の評価として有効です。

グローバルのマイクロラーニングと日本のマイクロラーニングの具体的な違いは何ですか?

最も大きな違いはトーンとユーザー体験への配慮です。グローバルのマイクロラーニングは「YouTubeで見たくなる動画」を目指して設計されており、エンターテインメント性と実用性が共存しています。日本のものは「教育コンテンツ」として設計される傾向があり、情報量が多く、視聴後の行動変化よりも知識の伝達に重点が置かれています。まず「受講者はこれを見てどんな気持ちになるか」という問いから設計を見直すことが効果的です。

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