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実務で使う発想法|欠点列挙法とNM法でアイデアを生み出す具体手順

会議で「何か新しいアイデアはないか」と振られて、頭が真っ白になった経験はないでしょうか。ブレインストーミングを始めても、出てくるのは似たような案ばかりで堂々巡り——。アイデアを出すことに苦手意識を持つビジネスパーソンは少なくありません。

実は、新鮮なアイデアを生み出す力は「センス」ではなく、手順のある技術です。本記事では、数ある発想法を目的別に整理した「道具箱」の全体像を示したうえで、そのなかでも一人の実務ですぐ使える「欠点列挙法」と「NM法」の2つを取り上げ、自分の課題に落とし込む手順を具体的に解説します。

なぜ自己流のアイデア出しは枯れるのか

ブレインストーミングをしても似た案ばかりが並ぶのは、能力の問題ではなく「発想の枠」の問題です。人は新しいことを考えるときも、自分がすでに持っている知識・経験・過去の成功体験を出発点にします。その結果、次のような流れで思考が同じ枠の内側を回り、案も枠に収まってしまいます。

自己流が「似た案」しか生まない仕組み

STEP 1

課題に向き合う

「何かいいアイデアを」と考え始める

STEP 2

いつもの枠で発想する

自分の知識・経験・成功体験の延長で考える

STEP 3

似た案に収束する

枠の内側に収まり、堂々巡りになる

一人で粘っても、何人で集まっても、全員が似た枠を共有していればこの流れは変わりません。新鮮なアイデアは枠の外側にありますが、待っていても自然には出てきません。だからこそ、この流れを断ち、思考を意図的に枠の外へ連れ出す「仕掛け」が必要になります。その仕掛けを誰でも再現できる手順に落とし込んだものが、発想法です。

重要なのは、これがセンスの話ではないことです。実際、アイディア社のイノベーション研修で受講前に尋ねたところ、発想法を体系的に学んだ経験がある人はわずか11%にとどまりました。裏を返せば、手順を知って少し練習するだけで、ほとんどの人と差をつけられるということです。アイデアが出せないのは才能がないからではなく、枠の外へ出る手順をまだ知らないだけなのです。

発想法は1つではありません。行き詰まりの種類に応じて使い分ける、複数の道具があります。次章では、その全体像——目的別に整理した「道具箱」を確認します。

発想法という「目的別の道具箱」

発想法は1つではありません。アイディア社のイノベーション研修では、数ある発想法を「どの動作で枠の外へ出るか」という4つの動作に束ねた道具箱として整理しています。バラバラに覚えるのではなく動作で分けることで、行き詰まったときに「いま自分は何をすればよいか」から道具を選べるのが、この体系の特徴です。代表的な4つの動作と、その入口になる技法を見てみましょう。

他人の案
を使う

ブレインライティング

他のメンバーが書いたアイデアに次々と上乗せして、数多くの案を生み出します。

−を+
にする

欠点列挙法

本記事で解説

対象の欠点や不満を洗い出し、それを裏返して解決アイデアに変えます。

テーマを
離れる

NM法

本記事で解説

課題そのものから一度離れ、別のものから発想して新鮮な解決案を持ち込みます。

連想
する

強制連想法

無関係に見える刺激から連想を広げ、斬新な案を数多く出します。

道具箱にはこのほかにも、達人の知恵(他人の目から見て発想する)、逆転の発想(理想のゴールから逆算する)、分解の発想(要素に分けて組み替える)、マンダラチャート(分解と統合をビジュアルで整理する)といった技法があり、全部で8つの動作・技法がそろっています。大切なのは、すべてを使いこなそうとすることではなく、行き詰まったときに「どの動作で枠の外へ出るか」を意識して、1つ道具を選べることです。

なお、これらの発想法はあくまで「アイデアを生む」段階の道具です。課題を把握し、分析し、解決して実行へ移すという問題解決の流れ全体を知りたい場合は創造的問題解決研修の進め方を、そもそも顧客や利用者の視点から課題そのものを捉え直したい場合はデザインシンキング入門を参照してください。本記事は、そのなかの「発想」に絞って手順を掘り下げます。

この道具箱のなかでも、一人の実務で今日から試しやすいのが「−を+にする=欠点列挙法」と「テーマから離れる=NM法」の2つです。特別な道具や大人数を必要とせず、自分の抱える課題が1つあれば回せるためです。次章から、それぞれの具体的な手順を見ていきます。

欠点列挙法を実務で使う3ステップ

欠点列挙法は、対象のマイナス要素を洗い出し、それを裏返して解決アイデアに変える技法です。ゼロから良い案をひねり出すのではなく、誰でも挙げやすい「欠点」や「不満」から始められるのが大きな利点です。実務では、次の3ステップで進めます。

1

欠点を洗い出す

対象の不満・問題・障害・制約を、良し悪しを判断せず、思いつく限り書き出します。「良い案を出そう」と気負わなくてよいのがこの技法の入口です。

2

欠点を裏返す

挙げた欠点の1つひとつを、「こうだったら良いのに」という理想の状態に反転させます。マイナスをそのままプラスの目標に置き換えるイメージです。

3

解決案にする

反転した理想を実現するための、具体的な打ち手を考えます。ここで初めて「アイデアを出す」作業になりますが、ゴールがはっきりしているため格段に考えやすくなっています。

この技法の強みは、出発点を自分でつくらなくてよいことです。アイデアに詰まりやすい人ほど「良い案を出さなければ」と身構えてしまいますが、欠点列挙法ではまず不満を並べるだけ。日頃感じている「やりにくさ」が、そのまま改善のタネになります。枠の外へ飛ぶのではなく、足元の不満を起点に確実に一歩進められる「近くを掘る」発想だと考えると分かりやすいでしょう。

たとえば「定例会議が長い」という課題なら、STEP1で「議題が曖昧」「時間管理がない」「結論が残らない」と欠点を挙げ、STEP2で「議題が明確」「時間が守られる」「決定事項が共有される」と裏返します。STEP3では、それを実現する打ち手として「アジェンダを前日に共有する」「各議題に持ち時間を設定する」「決定事項を最後に1分で確認する」といった具体策に落とし込めます。漠然と「会議を改善したい」と考えるより、はるかにアイデアが出やすくなります。

欠点列挙法のような発想法を、実際の職場課題を題材に体系的に練習したい方へ。アイディア社の実践型イノベーション研修では、発想から実行までを一連の流れで身につけられます。

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NM法を実務で使う3ステップ

NM法は、課題そのものから一度離れ、まったく違う分野からヒントを借りて新鮮な解決案を持ち帰る技法です。欠点列挙法が手元の不満を起点に「近くを掘る」発想なら、NM法は思考をいったん遠くへ飛ばす発想です。いつもの経験の延長では出てこない案を呼び込みたいとき——同じ案ばかりで堂々巡りしているときに向いています。実務では、次の3ステップで進めます。

NM法の3ステップ

STEP 1

課題を一語に絞る

「何を実現したいのか」を、できるだけ短いキーワードに言い換える

STEP 2

別世界で似た例を探す

同じ働きや性質を持つものを、仕事と無関係な世界(自然・スポーツ・日常)から連想する

STEP 3

仕組みを持ち帰る

「なぜうまくいくのか」を観察し、その仕組みを自分の課題に翻訳して具体案にする

たとえば「新人がなかなか質問してこない」という課題なら、キーワードは「質問しやすさ」です。これを別世界に飛ばし、「コンビニのレジ横の商品はなぜ気軽に手が伸びるのか」を考えると、「ついでに手に取れる」「失敗してもリスクが小さい」「目に入る位置にある」といった仕組みが見えてきます。これを課題に持ち帰れば、「ついでに聞ける共有チャットをつくる」「先輩から先に小さく声をかける」「質問を歓迎する空気を見える化する」といった、自分一人で課題をにらんでいても出てこなかった案が生まれます。

欠点列挙法とNM法は、行き詰まりの種類で使い分けると効果的です。手元の不満がはっきりしているなら、近くを掘る欠点列挙法。考えが堂々巡りして同じ案しか出てこないなら、遠くへ飛ぶNM法、という具合です。前章で見た「どの動作で枠の外へ出るか」を思い出しながら選んでみてください。

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出したアイデアを「実行」に落とす

発想法でアイデアが出ても、実行しなければ職場は何も変わりません。むしろ「良い案が出た」ことで満足してしまうのが、実務で成果を生めるかどうかの分かれ目です。ここで一つ、見過ごせないデータがあります。アイディア社が研修の定着を高めるために整理した「時間の使い方」です。

育成にかけた時間の配分

「研修当日」に偏った従来型から、事前準備とフォローに時間を割く型へ(アイディア社の定着メソッド)

従来型

事前
5%
研修当日
90%
90%
事後フォロー
5%

成果が出る型

事前診断
10%
事前準備
15%
研修
25%
25%
フォロー
50%
50%

従来は時間の9割が「研修当日」に集中。成果が出る型は、振り返りと実行を支えるフォローに半分を割いています。

これは研修に限った話ではなく、一人で発想法を使うときも同じです。欠点列挙法やNM法を一度試すだけで終わらせるのは、ちょうど「研修当日」だけで満足してしまう従来型と同じ状態です。自分の課題で繰り返し使い、出た案を振り返り、実行に移す——この「フォロー」にこそ時間をかけることが、成果への近道になります。

そのために役立つのが、出したアイデアを「明日すぐできる最初の一歩」に落とす習慣です。アイディア社のイノベーション研修では、実行の起点となる「1stアクション」が次の3つを満たすかどうかを確認します。

アイデアを「最初の一歩」に変える3つのチェック

行動

具体的な行動になっているか

「検討する」ではなく「課題を3つ書き出す」のように、動詞で具体的に言い切れること。

2分

2分以内で始められるか

深く考えなくても、気軽にすぐ終えられる小ささであること。

最初

先にやるべきことが残っていないか

その一歩の前に別の準備が必要なら、それはまだ最初の一歩ではありません。

とはいえ、一人で続けるには限界もあります。とくに失敗を恐れる人ほど、上司を巻き込んだり、進捗を振り返る機会があったりすると、最初の一歩を踏み出しやすくなります。アイデアを出す力と、それを実行して成果につなげる仕組みは、セットで考えることが大切です。

アイデアを出すだけで終わらせず、職場で実行して成果につなげたい方へ。アイディア社の実践型イノベーション研修は、自分の課題を題材にした発想から、実行・定着までを伴走する設計です。

▶ 実践型イノベーション研修を見る▶ お問い合わせはこちら

よくある質問

発想法とは何ですか?

発想法とは、新しいアイデアを生み出すための手順をもった技術の総称です。本記事で扱う欠点列挙法やNM法のほか、ブレインライティング、強制連想法などがあり、「どの動作で発想の枠の外へ出るか」という目的別に整理できます。センスに頼るものではなく、手順を知って練習すれば誰でも使えるようになるのが特徴です。

欠点列挙法とNM法の違いは何ですか?

欠点列挙法は、対象の欠点や不満を洗い出し、それを裏返して解決アイデアに変える「近くを掘る」技法です。一方のNM法は、課題からいったん離れ、まったく違う分野からヒントを借りて新鮮な案を持ち帰る「遠くへ飛ぶ」技法です。手元の不満がはっきりしているときは欠点列挙法、同じ案しか出てこず堂々巡りするときはNM法が向いています。

アイデアが出ないときはどうすればよいですか?

まず「良い案を出さなければ」と気負わないことが大切です。欠点列挙法を使えば、日頃感じている不満や欠点を書き出すところから始められるため、ゼロから考えるより着手しやすくなります。それでも同じ発想に偏るときは、NM法で課題から離れ、別の分野の仕組みを借りてみると、新しい視点が得られます。

発想法は一人でも実践できますか?

はい。欠点列挙法もNM法も、特別な道具や大人数を必要とせず、自分の課題が1つあれば一人で取り組めます。ただし、出したアイデアを実行して成果につなげる段階では、上司を巻き込んだり、進捗を振り返る機会を設けたりすると、行動が続きやすくなります。

発想法を組織の力に変えるなら

個人の工夫を、チームや組織の成果につなげるには、発想から実行・定着までを支える仕組みが有効です。アイディア社では、貴社の課題に合わせたイノベーション研修をご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。

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