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研修事例

部門紹介の研修設計|インタビュー発表型に変える3日間プログラム

各部門からの一方的な説明を聞く形式の部門紹介に新入社員が集中できず、内容を覚えていなかった。部門担当者の準備・発表負担も大きく、双方にとって非効率な時間になっていた。

部門紹介の研修設計|インタビュー発表型に変える3日間プログラム

研修テーマ

新入社員による部門インタビュー&発表型プログラムに転換。ヒアリングスキル・プレゼンテーションスキルの習得を兼ねた1日プログラムを設計。

「部門紹介の時間、新入社員が集中して聞いていない」「各部門が用意した資料を一方的に説明するだけで、翌日には内容を忘れている」——新入社員研修で毎年繰り返されるこの課題の原因は、新入社員ではなく部門紹介の「形式」にあります。アイディア・デベロップメントでは、部門担当者が説明する形式をやめ、新入社員自身が各部門にインタビューし、自分たちで部門紹介を発表する「インタビュー発表型」への転換を、複数年にわたって実施してきました。本記事では、その設計の考え方と、3日間プログラムとしての具体的な組み立て方を解説します。

従来型の部門紹介が機能しない構造的な理由

従来の部門紹介が「やっただけ」に終わるのは、新入社員の集中力の問題ではなく、形式そのものの設計に原因があります。

第一に、人は一方的に聞いた情報よりも、自分で調べて言葉にした情報のほうがはるかに記憶に残ります。受け身で聞くだけの形式は、この学習の基本原則に逆らった設計になっています。第二に、各部門がそれぞれ自部門を紹介するため説明が長くなり、新入社員は途中で集中力を失います。第三に、配属先がまだ決まっていない段階では、他部門の情報は「他人事」として処理され、記憶にも意欲にもつながりません。

従来型(部門担当者が説明する)

インタビュー発表型(新入社員が調べて発表する)

担当者が一方的に説明する

新入社員は受け身の聞き手のまま。情報を取りに行く動きがない

→ 新入社員が自分で取りに行く

既存資料を読み、不明点を各部門の先輩に直接インタビューする

配属前は「他人事」

自分の配属先が未定のため、他部門の情報が記憶にも意欲にも残らない

→ 自分で得た情報は定着する

調べて発表するプロセスを通じて、理解度と記憶が大きく高まる

説明が長く集中が切れる

各部門のPRが続き、途中で集中力を失う

→ マナーとコミュニケーションの実践機会

アポ取り・傾聴・発表が、学んだスキルを試す本番に近い場になる

部門担当者の準備負担が重い

説明資料の作成と発表に毎年工数がかかる

→ 部門担当者は質問に答えるだけ

資料を準備して話す負担がなくなり、対話に集中できる

両者の目的は同じ「会社と各部門の理解」。違いは"誰が情報を取りに行くか"だけです。

つまりアイディア社が変えたのは「説明の上手さ」ではなく、「誰が情報を取りに行くか」という主体の置き場所です。聞き手だった新入社員を「調べて発表する側」に動かすだけで、上の3つの構造的な弱点がまとめて解消します。集中力と理解度が上がるだけでなく、配属前の新入社員が自社の全体像を主体的につかむきっかけにもなります。

導入研修全体の中での部門紹介の位置づけを知りたい方へ

部門紹介は導入研修の一部です。全体設計の考え方と定着のコツを別の研修事例で解説しています。
→ 新入社員の導入研修設計|2本柱と定着のコツ

インタビュー発表型がもたらす4つの複合効果

この形式の最大の強みは、「部門理解」だけでなく、新入社員に求められる複数のスキルが同時に鍛えられる点にあります。1つの施策で、定着・マナー・コミュニケーション・チームワークをまとめて引き出せます。

1

主体性と理解度が飛躍的に上がる

自分で質問を考え、先輩にアポを取り、話を聞いてまとめる。この一連の流れが「能動的に情報を取りに行く」訓練になり、受け身で聞いた情報との定着差は歴然です。

2

ビジネスマナーの実践機会になる

先輩へのアポ取りは、それ自体がビジネスマナーの実践です。メールの書き方、敬語、時間調整の配慮など、導入研修で学んだマナーをリアルな場面で試す貴重な機会になります。

3

コミュニケーションスキルを実践で使う

インタビューでは傾聴力が、発表ではロジカルに情報を伝える力が求められます。導入研修で学んだスキルを「本番に近い場面」で使うことで、定着が一気に加速します。

4

同期のチームワークが生まれる

チームでインタビュー内容をまとめ、発表準備を進める過程で、同期同士の協力関係が自然に生まれます。入社間もない時期の「一緒にやり遂げた」共同体験が、その後の同期ネットワークの土台になります。

つまりインタビュー発表型では、部門紹介が「会社を知るだけの時間」から「導入研修で学んだことを実地で使う総合演習」へと変わります。だからこそ、1つのプログラムで部門理解と複数スキルの定着を同時に満たせるのです。

コミュニケーション研修との連動設計を知りたい方へ

インタビュー発表型の部門紹介は、コミュニケーション研修で学んだスキルの実践機会として設計できます。
→ 新入社員コミュニケーション研修の見直し方

実施サイクル——準備・インタビュー・資料作成・発表の4ステップ

インタビュー発表型の部門紹介は、「インタビューの準備→インタビュー→プレゼン準備→発表」の4ステップで構成します。準備やプレゼン作成の前に短いインプット(簡単なスキル研修・プレゼン研修)を挟むことで、新入社員は「やり方を学ぶ→すぐ実践する」というサイクルを繰り返します。

部門紹介の4ステップ

STEP 1

インタビューの準備

質問を考え、各部門の先輩にアポを取る

STEP 2

インタビュー

チームごとに担当部門の先輩へ(4チーム・4部門)

STEP 3

プレゼン準備

プレゼン研修を受け、チームで発表資料に整理

STEP 4

プレゼン発表

部門担当者も同席し、補足を受けて品質を担保

このサイクルのポイントは、各ステップの前に短いインプットを置き、学んだことをすぐ使わせることです。インプットとアウトプットの間隔が短いほど、スキルの定着率は高まります。

STEP1:インタビューの準備

インタビューに入る前に、簡単なスキル研修で準備の基本を確認します。あわせて、事前に各部門の過去の部門紹介資料を配布し、「資料に書いてあることはそのまま使い、書いていないことを質問にする」よう指導します。基本情報は資料でカバーし、インタビューでは「実際に働いてみてどう感じるか」「この部門の強みと課題は何か」といった、資料では得られない生の情報を引き出す設計です。アポ取りの段階からプログラムに含めることで、社内コミュニケーションの実践がここから始まります。

STEP2:インタビュー

チームごとに担当部門を割り当て、各部門の先輩社員にインタビューを行います。新入社員はメモを取りながら傾聴し、「部門の役割」「仕事の流れ」「やりがいと課題」といった軸で聞き出した内容を整理します。この場が、導入研修で学んだ傾聴と質問のスキルを実地で使う機会になります。

STEP3:プレゼン準備

インタビュー終了後、プレゼン研修でプレゼンテーションの基本を学んでから、チームで発表資料を作成します。アイディア社ではプレゼンを「THINK(伝えたいことの整理)→MAKE(スライドへの落とし込み)→SPEAK(話し方)」の3フェーズで教えています。資料作成は制限時間を設け、スライドの上限枚数も決めます。時間と枚数を制約することで、「何を残し、何を省くか」という情報の優先順位づけの判断力が同時に鍛えられます。

STEP4:プレゼン発表

各チームが部門紹介の発表を行います。発表には部門担当者にも参加してもらい、内容の誤りや補足事項をその場で修正・追加してもらうことで、情報の正確性を担保します。発表後の質疑応答は、発表者のコミュニケーション力をさらに鍛える機会になります。成果発表のスキルは年度末にも活きますので、新入社員の成果発表設計もあわせてご覧ください。

3日間プログラムの設計——部門群を日替わりで一巡する

このインタビュー発表型の部門紹介は、1日で完結させるのではなく、3日間かけて社内の主要な部門群を一巡する設計です。各日が「準備→インタビュー→プレゼン準備→発表」の1サイクルになっており、日ごとに対象とする部門群(管理部門→営業部門→営業関連部門)を替えていきます。

3日間の流れ(各日8:45〜17:15)

1日目:管理部門

「準備→インタビュー→プレゼン準備→発表」を1サイクル。4チームが4つの管理部門を分担し、プレゼン研修を挟んで資料作成・発表まで行います。

2日目:営業部門

同じサイクルを営業部門で実施。合間に「アイディア主催の演習(演習のバリエーション)」を入れ、集中力を維持します。

3日目:営業関連部門

営業関連部門で同じサイクルを実施。演習を交えながら、3日間で社内の主要部門群を一巡します。

3日間に分けるのは、1日では一部の部門しか扱えないからです。日替わりで部門群を回し、各チームが毎日「準備から発表まで」を一巡することで、扱える部門の幅と、インタビュー・プレゼンの反復回数の両方を確保できます。合間に入れる演習のバリエーションが、3日間の集中力を支えます。自社の部門数に応じて、日数や1日あたりの部門数は調整してください。

運営を成功させる3つの切り口

このプログラムを機能させる鍵は、当日の進行よりも運営側の「仕込み」にあります。アイディア社は、運営の要点を「情報収集/職場の巻き込み方/プレゼン発表」の3つの切り口で整理しています。

1

情報収集:既存資料を「土台」として先に渡す

ゼロから調べさせず、資料をベースに足りない部分だけ聞きに行かせます。

具体例:過去の部門紹介資料を事前配布し、資料に書いていないこと(働いた実感・部門の強みと課題)をインタビューで引き出させる。

2

職場の巻き込み方:事前に各部門へ時間確保を依頼する

部門側の負担を下げつつ、アポ取り自体を新入社員の練習にします。

具体例:人事から各部門へ「新入社員がインタビューに伺います」と事前案内。アポ取りはマナーとコミュニケーションの練習機会とし、準備時間と簡単なスキル研修をセットで用意する。

3

プレゼン発表:教えてから準備・リハーサルさせ、本番に同席する

発表の質は、事前指導と当日の部門担当者の同席でコントロールします。

具体例:プレゼンのテクニックを教えたうえで準備とリハーサルを行い、発表には部門担当者に来てもらって補足してもらう(情報の正確性と発表品質の担保)。

つまり成否を分けるのは当日の進行ではなく、事前の仕込み——資料の渡し方、部門への根回し、発表前の指導です。ここを設計しておけば、新入社員の主体性に任せても、発表の質と情報の正確性は保てます。なお、部門紹介をきっかけに新入社員の主体性そのものを育てる観点は、新入社員の主体性の育て方で詳しく解説しています。

よくある質問

各部門の担当者にインタビューをお願いするのは負担が大きくないですか?

事前に人事から案内を出しておけば、ほとんどの部門で快く協力が得られます。従来の「説明資料を作って話す」準備に比べ、「新入社員の質問に答える」インタビュー形式のほうが担当者の負担は明らかに軽くなります。新入社員と直接対話する機会として歓迎されることも多いです。

インタビュー形式だと全部門の情報を網羅できないのでは?

担当した部門は深く理解でき、他チームの発表を通じて残りの部門の概要もカバーできます。基本情報は事前配布資料で補い、インタビューでは資料にない生の情報を得ることに集中させることで、質の高い部門理解が実現します。3日間で部門群を一巡する設計なら、扱える部門の幅も確保できます。

プレゼン資料の作成に時間がかかりすぎる場合はどう対処しますか?

制作時間とスライド枚数に上限を設けるのが有効です。制約があることで、「何を残し、何を省くか」という情報の優先順位づけの判断力が同時に鍛えられます。完璧を目指すより「時間内にベストを出す」姿勢を促しましょう。

このプログラムはリモートでも実施可能ですか?

可能です。インタビューはビデオ通話、資料作成はオンライン共同編集ツール、発表はウェブ会議で行えます。ただし対面のほうがインタビュー時の非言語コミュニケーション(表情・姿勢・目線)の練習効果は高いため、可能であれば対面実施を推奨します。

導入研修のどのタイミングで実施するのがベストですか?

導入研修の中盤、マインドセットとコミュニケーションの基礎を学んだ後が効果的です。入社直後だと基本スキルが未習得でインタビューの質が下がります。基礎を学んだ後に実施することで、学んだスキルの実践機会として機能し、スキルの定着も加速します。

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