創造的問題解決研修の進め方|ロジカル×クリエイティブで一人で答えを出す若手・中堅を育てる

創造的問題解決研修とは、ひと言でいえば「ロジカル(左脳)で問題を把握・分析し、クリエイティブ(右脳)で新しい解決策を生み出す」という2つの思考を、決まった順番で切り替えていく研修です。論理だけでも発想だけでも、現場で使える答えにはたどり着きません。この記事では、創造的問題解決を「状況把握・原因分析・解決策・実行計画」の4ステップに分け、とくに、管理職になる手前で自分の判断で答えを出していきたい若手・中堅社員に向けて、その進め方と研修の組み立て方を解説します。
創造的問題解決研修とは何か ―「ロジカル×クリエイティブ」の正体
「創造的問題解決(Innovative Problem Solving)」と聞くと、自由な発想やアイデア出しのイメージが先に立ちがちです。しかし実際の問題解決では、その前段に「いま何が起きているのか」「なぜ起きているのか」を論理的に突き止める作業が欠かせません。創造的問題解決研修のねらいは、このロジカルな分析とクリエイティブな発想を、別々の力としてではなく、ひとつのプロセスとしてつなげて使えるようにすることにあります。
鍵になるのは、論理と発想が「問題解決のどの工程で」「どんな問いに答えるために」働くのかを、はっきり分けて捉えることです。両者は対立するものではなく、担当する役割が違うだけです。下の表は、3つの観点ごとに、ロジカルとクリエイティブの役割を左右で対比したものです。
この役割分担が分かると、自社の研修や日々の問題解決が「どちらかに偏っていないか」を点検できます。たとえば、データ分析や論理的思考の研修は充実しているのに解決策がいつも無難な前例踏襲に終わるなら、後半のクリエイティブが弱いサインです。逆に、アイデア出しは活発でも実行に結びつかないなら、前半のロジカルな原因分析が抜けています。創造的問題解決研修は、この前半と後半を一本の流れとして設計することで、「分析倒れ」にも「思いつき倒れ」にも陥らない問題解決を身につけさせるものです。
なぜ管理職手前の若手・中堅にこそ創造的問題解決研修が効くのか
ここで対象として想定するのは、入社2〜5年目を中心とした、管理職になる手前の若手・中堅社員です。担当業務をひと通りこなせるようになり、これからは「与えられた仕事を正確にやる」段階から「自分で問題を見つけて、自分なりの答えを出す」段階へと移っていく時期です。多くの場合、こうした社員には新入社員研修でロジカルシンキングを学んだ経験があります。それでも現場でうまく発揮できない、という声は少なくありません。
背景にあるのは、この時期特有の心理です。この層は「先輩にいちいち相談せず、自分一人で解決できる領域を広げたい」という気持ちが強くなります。裏を返せば、与えられた型をなぞるだけの研修では新鮮味を感じにくく、学ぶ意欲も上がりにくい時期だということです。だからこそ、論理の振り返りに「自分で新しい答えを生み出す」発想の要素を掛け合わせた創造的問題解決研修が、こうした社員のモチベーションと実務の両方に噛み合います。
同じ「創造的問題解決」でも、新入社員向けと位置づけが異なる点には注意が必要です。新入社員向けでは、配属後に自分で考えて動くための思考の土台づくりに重点があります。一方、管理職手前の若手・中堅向けでは、その土台を前提に、論理的な分析と発想を一人で最後まで使い切り、実行できる答えに落とし込むことが目的になります。自社で導入する際は、対象がどちらの段階にあるのかを見極めたうえで、ねらいと演習の難易度を調整することが、研修を機能させる第一歩です。
創造的問題解決の進め方 ― 4つのステップ
ロジカルとクリエイティブを一本の流れにつなげる、というのが創造的問題解決の考え方でした。それを実際の手順に落とすと、「状況把握 → 原因分析 → 解決策 → 実行計画」という4つのステップになります。前半の2ステップがロジカル(左脳)、後半の2ステップがクリエイティブ(右脳)の担当です。順番を飛ばさず、ひとつずつ進めることが大切です。
創造的問題解決の4ステップ(前半:ロジカル → 後半:クリエイティブ)
状況把握
事実を集め、問題の全体像を正しくつかむ
原因分析
掘り下げて、根本原因を特定する
解決策
制約を外して、新鮮な案を広げる
実行計画
案を絞り、実行できる形に落とす
この流れで進める最大の利点は、思考の切り替えポイントがはっきりすることです。多くの現場では、状況がよく分からないうちに解決策の議論を始めてしまい、結局その場の思いつきで終わります。逆に、原因分析を完璧にしようとして時間切れになり、肝心の解決策にたどり着けないこともあります。4ステップを意識すると、「いまは原因を絞り込む段階だから発想は後回し」「ここからは発想を広げる段階だから批判はいったん止める」と、メンバー全員が同じリズムで考えられるようになります。研修では、この切り替えを演習で体験させることが設計の核になります。
アイディア社のイノベーション研修では、創造的問題解決をはじめ、ロジカルと発想を組み合わせたプログラムをご用意しています。自社の課題に合わせた設計のご相談も承ります。
カギは「3つの思考」の使い分け
4ステップを「ただの手順」で終わらせず、本当に質の高い答えにつなげるには、各工程で働かせる思考を意識的に切り替える必要があります。創造的問題解決で使う思考は、大きく3つです。それぞれ「考え方の動き」がまったく違います。
このうち「深く掘る」クリティカル思考と「つなげて捉える」システムズ思考は、前半の原因分析で働きます。前提を疑って表面的な原因で止まらずに掘り下げ、さらに要素のつながりや全体の構造として捉えることで、本当の根本原因にたどり着きます。一方「外へ広げる」クリエイティブ思考は、後半の解決策で働き、常識や制約を外して新鮮な案を数多く生み出します。
注意したいのは、創造的問題解決と聞くと、つい「広げる」発想(クリエイティブ思考)にばかり目が向くことです。実際には、解決策の質は前半の「掘る・つなぐ」の質で決まります。根本原因の捉え方が浅かったり単純すぎたりすると、どれだけ斬新なアイデアを出しても的を外してしまいます。研修を設計するときは、「発想ワークを盛り込めば創造的問題解決になる」という思い込みを捨て、前半の2つの思考を鍛える演習にしっかり時間を割くことが、成果を分ける分かれ目になります。
研修設計の実例 ― 管理職手前の若手・中堅向け 2日間プログラム
ここまでの考え方を、実際の研修プログラムに落とすとどうなるのか。アイディア社が設計した「ロジカルシンキング強化を兼ねた問題解決研修(2日間)」を例に、状況・やったこと・結果の順で見ていきます。
この設計のうまさは、新しい研修をゼロから足すのではなく、すでに実施しているロジカルシンキング研修を問題解決の前半(収束)として位置づけ直している点にあります。自社でも、論理的思考の研修はあるが発想や実行につながっていない、という場合は、後半の発散パートを足して一連の流れに組み直すだけで、創造的問題解決研修として成立させられます。なお、後半で使う具体的な発想技法(ブレインライティングやNM法など)の進め方は、別の記事で詳しく解説しています。
若手・中堅が「一人で問題を解決する力」を身につけた研修事例も公開しています。実際の進め方やプログラム構成の参考にどうぞ。
導入時に外さない3つのポイント
最後に、創造的問題解決研修を自社に導入する際、成果を左右する3つのポイントを整理します。いずれも、研修を「やって終わり」にしないための勘所です。
1. 「発想」より先に「分析」に時間を割く。創造的問題解決という言葉から、つい後半のアイデア出しに比重を置きたくなります。しかし前半の原因分析が浅いまま発想に進むと、的外れな解決策にしかなりません。研修時間の配分では、状況把握と原因分析(クリティカル思考・システムズ思考)の演習にしっかり時間を確保することが先決です。
2. 新しい研修を足すより、既存研修を組み直す。すでにロジカルシンキング研修を実施している場合、それをゼロから別物に置き換える必要はありません。論理的思考を「問題解決の前半」として位置づけ直し、後半に発想と実行計画を加えるだけで、一連の創造的問題解決研修として成立します。とくに2年目以降は、同じ内容の学び直しでは新鮮味がなく意欲が上がりにくいため、実務の問題解決という新しい文脈に乗せ直すことが効果的です。
3. 自分の業務テーマで演習し、実行計画まで作らせる。用意された一般的なケースを解くだけでは、「分かった」で終わり、職場では使われません。受講者自身が抱える実際の業務課題を題材にして4ステップを回し、最後に具体的な実行計画まで落とし込ませることが大切です。研修の最後に「明日から何をするか」が手元に残る状態をつくれば、学びが現場の行動に変わります。
まとめ ― ロジカルとクリエイティブを一本の流れにする
創造的問題解決研修とは、ロジカル(左脳)で収束させ、クリエイティブ(右脳)で発散させるという2つの思考を、「状況把握 → 原因分析 → 解決策 → 実行計画」の4ステップでつなぐ研修です。前半ではクリティカル思考とシステムズ思考で根本原因へ深く・広く迫り、後半ではクリエイティブ思考で新鮮な解決策を広げます。忘れてはならないのは、解決策の質は前半の分析の質で決まるということです。発想ワークだけを盛り込んでも、創造的問題解決研修にはなりません。
とくに、管理職になる手前で「一人で答えを出したい」という意欲が高まる若手・中堅社員にとって、この研修は実務とモチベーションの両方に噛み合います。すでにあるロジカルシンキング研修を問題解決の文脈に乗せ直し、後半に発想と実行計画を加える――そんな組み直しから始めるのが、無理のない第一歩です。
自社に合った創造的問題解決研修を設計しませんか
アイディア社では、ロジカルと発想を組み合わせた創造的問題解決をはじめ、対象や課題に合わせたイノベーション研修プログラムをご用意しています。現状の研修の組み直しから、新規設計のご相談まで承ります。
よくある質問
創造的問題解決研修とは何ですか?
ロジカル(左脳)で問題を把握・分析し、クリエイティブ(右脳)で新しい解決策を生み出す思考を、「状況把握→原因分析→解決策→実行計画」の4ステップでつなぐ研修です。論理と発想を別々の力としてではなく、一連の流れとして使えるようにすることを目的とします。
ロジカルシンキング研修とは何が違いますか?
ロジカルシンキング研修は主に前半の状況把握・原因分析(収束)を扱います。創造的問題解決研修はそれに加えて、後半の解決策づくり(発散)と実行計画までを含む点が異なります。論理的に原因を突き止めるだけでなく、新しい解決策を生み出し実行に移すところまでを一貫して扱います。
対象は何年目の社員ですか?
管理職になる手前の若手・中堅社員(入社2〜5年目が中心)に適しています。担当業務をひと通りこなせるようになり、先輩に頼らず自分の判断で問題を解決したいという意欲が高まる層に向いています。
クリティカル思考・システムズ思考・クリエイティブ思考はどう使い分けますか?
クリティカル思考は前提を疑って深く掘り下げ、システムズ思考は要素のつながりや全体の構造として捉えます。この2つを前半の原因分析で使い、根本原因を特定します。後半の解決策づくりでは、常識や制約を外して新鮮な案を数多く広げるクリエイティブ思考を使います。
研修期間の目安はどのくらいですか?
設計例では2日間です。1日目に状況把握と原因分析(収束)、2日目に解決策づくりと実行計画(発散)を行います。対象や目的に応じて、日数や演習内容は調整できます。
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