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人材育成担当者のスキルアップ|今押さえるべき5つの専門性と段階別の伸ばし方

人材育成の仕事は、企業研修の「企画・運営」だけではなくなっています。ニーズ分析から研修設計、リモート・対面・ハイブリッド・オンデマンドの研修実施、定着フォロー、効果測定まで、担当者に求められる役割は年々広がっています。しかし実際には「目の前の研修対応で手一杯で、自分自身のスキルアップに時間が取れない」という声をよく耳にします。

そこで本記事では、人材育成担当者が今押さえるべき5つの専門性(企画・設計・実施・定着・効果測定)と、経験年数別の優先順位、段階別ワンポイントアドバイスをまとめました。担当者向けオンデマンド・ブートキャンプを通じて把握した、実務担当者のリアルな声と現状データを反映しています。まずは下記の5問自己診断から始めて、自分の弱点と次の一手を見つけてください。

人材育成担当者の業務範囲は、この30年で大きく広がった

1993年当時、人材育成業界の業務範囲は「1日単位の対面集合研修の企画・運営・実施」のみでした。それから30年、業務範囲はニーズ分析から研修効果測定までのすべての段階に拡大し、研修形態も対面だけでなくリモート・ハイブリッド・オンデマンドと多様化しました。一言で言えば、人材育成担当者の役割は以前に比べて大幅に拡大し、明確な成果が求められる状況になっています。

人材育成担当者の業務範囲|1993年 vs 2023年

1993年

対面研修1領域のみ

・1日単位の対面集合研修
・企画/運営/実施の3業務

2023年

6段階×4形態に拡大

6段階:ニーズ分析→企画→設計→実施準備→実施→定着フォロー→効果測定

4形態:対面/リモート/ハイブリッド/オンデマンド

アイディア社が2023年に立ち上げた「人材育成担当者向けオンデマンド・ブートキャンプ」の受講者アンケートでも、業務範囲の拡大は明確に表れています。研修の企画・設計・実施準備・実施のどの段階でも、最少で45%の担当者が関与していました。さらに研修形態についても、対面研修だけでなくリモート・ハイブリッド・オンデマンドのいずれにも多くの担当者が関わっており、今後ハイブリッドとオンデマンドの実施回数はさらに増える見込みです。

担当者は、研修の企画から効果測定まで数か月を要する複数のプログラムを、異なるステージで同時に管理することが当たり前になっています。業務範囲が拡大し、複雑化した今、人材育成担当者自身のスキルアップは、もはや「余裕があればやる」ものではなく、組織の育成成果を出すための必須条件です。

まずは自己診断|あなたは5つの問いに自信を持って答えられるか

5つの専門性の解説に入る前に、まず自分の現在地を確認しましょう。次の5つの問いに、人材育成担当者・研修講師の立場で自信を持って答えられるかチェックしてみてください。すべて即答できる人は、すでに高い専門性を持っています。答えに詰まる問いがある場合、それが今のスキルアップの「次の一手」を示しています。

5問自己診断|人材育成担当者・研修講師の5つの専門性チェック

Q1

研修の企画|PLANNING

研修を企画する段階でインパクトマップはどのように役立ちますか?

Q2

研修設計|DESIGN

どのような研修形態があって、それぞれの研修設計にどのような特徴がありますか?

Q3

研修実施|DELIVERY

リモート研修を成功させるためには、どのような講師スキルが必要ですか?

Q4

定着フォロー|TRANSFER

定着フォローの5つの基本とは何ですか?

Q5

研修効果測定|EVALUATION

代表的な研修効果測定メソッドは何ですか?どれが実践的ですか?

5問のうち答えに詰まる問いがあれば、そこが今のあなたの伸びしろです。次章以降で、それぞれの問いの答えとなる5つの専門性のポイントを順に解説していきます。すべての問いに即答できた場合も、自分が部下や後輩に説明するときの整理として読み進めてみてください。

押さえるべき5つの専門性|企画・設計・実施・定着・効果測定

人材育成担当者・研修講師に求められる専門性は、研修プロセスの流れに沿って「企画(Planning)→ 設計(Design)→ 実施(Delivery)→ 定着フォロー(Transfer)→ 効果測定(Evaluation)」の5段階に整理できます。各専門性はバラバラに存在しているのではなく、前の段階が後の段階を支える連続したプロセスです。だからこそ、どこか1つが弱いと研修全体の成果が頭打ちになります。

人材育成担当者・研修講師に求められる5つの専門性

専門性 1
企画

PLANNING

ビジネス成果から逆算してインパクトマップで道筋を引く

専門性 2
設計

DESIGN

5つの研修形態の特徴を理解して使い分ける

専門性 3
実施

DELIVERY

形態別の講師スキルを身につけて受講者を巻き込む

専門性 4
定着

TRANSFER

5基本で職場での行動変容を引き出す

専門性 5
測定

EVALUATION

ビジネス成果につながったかを実践的に検証する

この5専門性は、海外の人材育成プロフェッショナルが共通言語として使っているフレームワークです。日本国内では「研修の企画と運営」という大まかな括りで語られがちですが、それを5段階に分解することで、自分の強みと改善点が明確になります。たとえば「企画は得意だが定着フォローまで踏み込めていない」「実施スキルはあるが効果測定はやったことがない」というように、自分の現在地が見えてきます。

次章では、5つの専門性それぞれについて押さえるべきポイントと、すぐに使えるフレーム・モデルを解説していきます。

5つの専門性の中身|押さえるべきポイントと参考フレーム

ここからは、5つの専門性それぞれの中身を解説します。各専門性で「これだけは押さえてほしい」というポイントと、すぐに実務で使えるフレーム・モデルを紹介していきます。すべてを一度に習得する必要はありません。自己診断で詰まった問いに対応する専門性から優先的に読み進めてください。

研修の企画(Planning)|インパクトマップで研修と成果をつなぐ

研修の企画段階で最も重要なのは、「研修内容」「職場での行動変容」「求めるビジネス成果」のベクトルを一致させることです。研修内容だけを練り込んでも、それが職場の行動につながり、最終的にビジネス成果に直結しなければ、研修への投資は回収できません。この4つの要素を一枚の図でつなぐツールがインパクトマップです。

インパクトマップ|研修企画で揃えるべき4つのベクトル

出発点

ビジネス成果

経営方針・KPIから求める成果を明確化

逆算1

職場の行動変容

成果を出すために必要な行動を特定

逆算2

必要なスキル

その行動に必要な知識・スキル・マインドを定義

最終決定

研修内容

スキル習得に最適な研修内容・形式を設計

活用シーン:ニーズ把握段階(企画の前段)/研修設計段階/効果測定段階の3つで一貫して参照することで、研修と成果のズレを防げます。

インパクトマップを使うと、企画段階での会話が「どんな研修にしますか?」から「どんな成果を出したいですか?」に変わります。経営層・現場マネジャー・受講者という三者の期待をすり合わせる際の共通言語にもなり、研修への投資判断もスムーズになります。

ブートキャンプ受講者からは「何より目的=得たい成果を見定めることが重要だと再確認した」「ニーズ把握では『今はどうなのか→何がそうさせているのか』を深堀すると、研修ではないソリューションが必要な場合も出てくる」といった気づきの声が寄せられています。企画段階の質が、その後の設計・実施・定着・効果測定すべての成否を決めると言っても過言ではありません。

研修設計(Design)|5つの研修形態の特徴を理解する

研修設計で押さえるべきは、代表的な5つの研修形態──対面研修、リモート研修、ブレンドラーニング、オンデマンド研修、個別ラーニングジャーニー──それぞれの特徴と設計ポイントを理解することです。研修目的に応じて最適な形態を選び、組み合わせる力が、設計の質を大きく左右します。

代表的な5つの研修形態と設計ポイント

研修形態 設計の鍵 向いている目的
① 対面研修 交流とアウトプットの場を意図的に設計。座学を減らし、演習・グループワーク中心に組み立てる 関係構築/マインド醸成/合宿型の深い学び
② リモート研修 1講義15分以内、講義:演習=50:50。プラットフォーム機能(投票・チャット・BO)を活用して双方向性を確保 全国・海外拠点を巻き込む短時間研修
③ ブレンドラーニング 事前学習(予習)→集合研修(アウトプット中心)→事後フォロー(職場実践)を一連の流れで設計 研修を「点」から「線」へ転換/成果直結型
④ オンデマンド研修 10分以内のマイクロコンテンツ、ビジュアル中心、FAQ形式のテーマ設定、YouTuber的な話し方 隙間時間学習/製品知識・基本動作の習得
⑤ 個別ラーニングジャーニー 受講者のキャリア・能力・職場ニーズを起点にカスタマイズ。Must/Can/Willと能力測定でニーズ把握 次世代リーダー育成/専門性の深化

多くの担当者が陥りがちなのは、「全員一斉に対面研修」「とりあえずリモート研修」というように、形態を惰性で選んでしまうことです。研修目的(マインド醸成なのか、スキル習得なのか、行動定着なのか)に応じて最適な形態は変わります。さらに、複数の形態を組み合わせるブレンドラーニングは、研修を「点」ではなく「線」として設計するうえで強力な選択肢です。

ブートキャンプ受講者からは「研修設計をより強化するために、目的を明確にして随時受講者と一緒に立ち返ることが重要」「対面でもリモートでも、研修を点で終わらせるのではなく、線でできるように考えることの方が大事」といった気づきの声が寄せられています。形態の選択肢を知り、目的から逆算して組み合わせる発想が、設計力の核です。

研修設計について体系的に学びたい場合は、関連記事もあわせて参考にしてください。

▼ あわせて読みたい

ブレンデッドラーニングとは|企業研修の効果を高める設計の3つのポイント ― 5つの研修形態を組み合わせる具体的な設計手順

研修設計の起点|ニーズヒアリング3つのアプローチで企画精度を高める ― 設計の前段にあたるニーズ把握の手順

研修実施(Delivery)|形態別に求められる講師スキル

研修実施の専門性は、研修形態によって求められるスキルが異なります。特に対面研修からリモート研修に切り替わったとき、多くの講師が「対面と同じやり方では通用しない」現実に直面します。ここではリモート研修と対面・ハイブリッド研修それぞれで押さえるべき講師スキルを整理します。

リモート研修を成功させる4つの講師スキル

スキル 1|SPEAK

簡潔かつロジカルな解説と声のメリハリ

画面越しでも飽きさせない話し方。長い説明を切り詰め、要点を構造化して伝える。声のトーン・速度・間に変化をつけて集中を持続させる

スキル 2|ENGAGE

プラットフォーム機能を使うマルチタスク力

投票・チャット・絵描き・BO(ブレイクアウトルーム)を使いながら受講者をスムーズに巻き込む。複数機能を同時に扱う段取り力が鍵

スキル 3|INSTRUCT

極めてわかりやすい明確な演習指示

対面と違い、リモートでは「察し」が効かない。何を・いつまでに・どう進めるかを口頭+画面表示で重ねて提示し、誤解の余地をゼロにする

スキル 4|FOLLOW

BOを数秒でつかんで適切にフォローする力

ブレイクアウトルームを回るとき、入室後数秒で議論の停滞・脱線・盛り上がりを察知し、最小限の介入で軌道修正する。観察力と判断スピード

これらの4スキルは、対面研修で「うまい講師」と評価されるスキルとは異なります。対面では場の空気で多少カバーできても、リモート研修では「指示の曖昧さ」「マルチタスクの不慣れ」がそのまま研修品質に直結します。さらに、講師1人ですべてをこなすのは困難なため、テクニカルサポートを担うプロデューサー役とのペア体制が、演習中心のリモート研修では事実上の標準になっています。

一方、対面・ハイブリッド研修ではリモート研修と異なる講師スキルが求められます。対面では「場の空気を読む」「即興で板書する」「グループワーク中に複数の島を巡回する」といった身体性を伴うスキルが重要です。ハイブリッド研修(対面参加者とリモート参加者が混在)は、最も難易度が高く、両方のスキルセットに加えて「リモート参加者を疎外しない進行」が求められます。

ブートキャンプ受講者からは「研修スタイルそれぞれで気をつけるポイントが違うが、いずれのスタイルでも主役は受講者であるということが大切」「対面、リモート、ハイブリッドのいずれにおいても、受講生を巻き込めるような仕掛けを考えたい」といった気づきの声が寄せられています。形態ごとのスキルセットを意識して、自分が今最も鍛えるべきスキルを特定することが、研修実施力の向上につながります。

定着フォロー(Transfer)|研修後の行動変容を引き出す5つの基本

「研修を実施したが、職場での行動変容につながらない」──これは経営者や現場マネジャーから最も多く寄せられる声です。定着フォローの専門性は、研修で学んだことを「知っている」から「できる」、そして「やっている」へ引き上げる仕組みを設計する力です。アイディア社は定着フォローの基本を次の5つに整理しています。

定着フォローの5つの基本

1

研修目的を「知っている」から「できる」「やっている」に到達させる設計

研修ゴールを単なる理解止まりにせず、職場での実行レベルまで明確に定義する。3段階のどこに到達させるかを設計段階で決める

2

複数回のフォロー研修で受講者の挑戦と振り返りを支援

研修を「点」で終わらせず、1ヶ月後・3ヶ月後など複数回のフォロー研修を組み込む。職場で試した結果を持ち寄り、改善する場を設ける

3

研修内容に合わせたフォローツールの提供

知識系はクイズ・フラッシュカード・振り返りシート。スキル系はチェックリスト・ワークシート。マインド系はリフレクション設問。学習タイプに応じたツールを用意する

4

受講者同士の交流の場づくり

研修後も受講者同士が学びを共有し続けられるコミュニティを設計。SlackやTeamsチャネル、定期的なピアラーニングセッションなどで横のつながりを維持する

5

受講者の上司・人事へのフォロー要請

職場での行動変容を支える鍵は、受講者本人より「上司の関わり」。研修内容を上司に共有し、職場での実践機会の提供と1on1での振り返りを要請する

多くの企業が陥るのは「3つ目のフォローツール提供だけで定着が進む」という誤解です。実際には5つの基本が揃ってこそ、研修の学びは職場の行動に変わります。特に5つ目の「上司・人事へのフォロー要請」は、受講者本人の意欲とは関係なく、職場環境が行動変容を後押しするか阻害するかを左右する決定要因です。

ブートキャンプ受講者からは「研修担当者は研修後の定着フォローまでをきちんと検討することが大切」「研修評価では『行動レベル』への到達度合いを検証することが多いが、レベル到達のためには学習者および周囲の意識付け、行動支援が大事」といった気づきの声が寄せられています。研修を「やって終わり」にしない設計力が、担当者の価値を最も顕著に示す領域です。

研修効果測定(Evaluation)|代表メソッドの違いと、最も実践的なSCM

研修効果測定の専門性は、研修への投資がビジネス成果につながったかを検証する力です。アンケートの満足度だけで「効果あり」とする時代は終わり、近年は職場での行動変容(レベル3)やビジネスインパクト(レベル4)まで踏み込んで測定することが求められています。アイディア社が2022年に実施したLIFアンケート(n=42)では、効果測定に意味があると思う人は100%である一方、期待する効果測定ができている企業はわずか14%にとどまっています。

代表的な4つの研修効果測定メソッド

メソッド 特徴と測定アプローチ 実務での扱いやすさ
カークパトリック
4レベル
最も普及している基本フレーム。レベル1:反応/レベル2:学習/レベル3:行動/レベル4:成果。レベル3-4の測定が課題 ★★★
共通言語として有用
フィリップス
ROI
カークパトリックにレベル5(ROI)を追加。金額換算でROIを算出。経営層への説得力が高い反面、データ収集の負荷が大きい ★★
重要研修に絞って実施
LTEM
(Thalheimer)
カークパトリックの改良版で8段階に細分化。「単なる出席」と「実際の学習」を区別。信号機色分けで現状診断しやすい ★★
自己診断ツールとして有用
SCM
サクセスケース・メソッド
1995年Phillipsが提唱。研修参加者全員ではなく「実際に成果を出した受講者」と「成果を出していない受講者」を抽出してインタビュー。成功事例・障壁・改善策が具体的に得られる ★★★★
最も実践的

4つのメソッドの中でアイディア社が「最も実践的」と推奨するのがSCM(サクセスケース・メソッド)です。SCMの強みは、研修の効果を「数字」ではなく「成功した受講者の具体的なストーリー」で示せる点にあります。経営層・現場マネジャー・人事のいずれにとっても理解しやすく、しかも「なぜ成果が出たのか/出なかったのか」の要因分析まで一気に進められます。アンケートの満足度測定だけでは見えない、研修と職場環境・上司の関わり・タイミングといった成果要因が明らかになり、次の研修改善に直接つながります。

ブートキャンプ受講者からは「研修効果測定では『行動レベル』への到達度合いを検証することが多いが、レベル到達のためには学習者および周囲の意識付け、行動支援が大事」「データを集める前に、何のために効果測定をするのか、誰にどう報告するのかを決めることが重要」といった気づきの声が寄せられています。効果測定は研修終了後に始めるものではなく、企画段階のインパクトマップで定義した「ビジネス成果」に立ち返って検証するプロセスです。5つの専門性が円環でつながっていることが、ここで実感できるはずです。

研修効果測定をさらに深掘りしたい場合は、関連記事もあわせて参考にしてください。

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研修効果測定モデル比較|カークパトリック・フィリップス・LTEM・SCMの違いと選び方 ― 4モデルの選び方を実務観点で深掘り

研修効果測定のやり方|実践できる3つのステップを解説 ― 効果測定をゼロから始めるための実践手順

経験年数で変わる|まず学ぶべき分野は何か

5つの専門性を見て「全部やらないといけないのか」と感じた人もいるかもしれません。実際には、人材育成担当者としての経験年数によって優先的に学ぶべき分野は変わります。アイディア社の「人材育成担当者向けオンデマンド・ブートキャンプ」受講者の声を分析した結果、以下のような傾向が見えています。

経験年数別|学びたい分野の優先順位

経験 3年未満

企画と設計を学ぶ

研修の入口にあたる「何のために研修をやるのか」「どう組み立てるのか」が最大の不安。ここを固めると残り3領域の習得が一気に進む

参考フレーム:インパクトマップ/5つの研修形態

経験 3〜8年

実施と実施準備は日常業務で学ぶ

この層は研修実施・準備の経験を日常業務で積みやすいため、自己学習の希望は相対的に低い。むしろ自分の弱点となる専門性を見極めて補強する時期

参考フレーム:5問自己診断/弱点補強

経験 8年以上

定着フォローと効果測定を学ぶ

研修の出口にあたる「成果につながったか」「行動変容を引き出せるか」が課題。経営層への報告責任が増し、ここの専門性が組織貢献の差別化要因になる

参考フレーム:5基本/SCM

興味深いのは、経験3年未満と8年以上で学習ニーズが「研修プロセスの両端」に分かれることです。新人担当者は企画・設計という「入口」を、ベテラン担当者は定着フォロー・効果測定という「出口」を学びたがる。これは、業務の中で自然に経験を積める「実施」とは違い、企画と効果測定は意識的に学ばなければ身につかない領域だからです。

もう一つ大切な視点は、「知っている→できる→やっている」の3段階。経験10年以上のベテラン担当者は「学んだだけでは意味がなく、できるレベル、さらに職場でやっているレベルまで到達して初めて専門性が組織に価値を生む」と語ります。経験年数に応じた優先順位を踏まえつつ、自分が今どの段階(知っている/できる/やっている)にあるかも同時に意識すると、学習計画が一気に具体化します。

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段階別ワンポイントアドバイス|今日から始める6つの実践ポイント

5つの専門性を踏まえて、研修プロセスの6段階それぞれで「今日から実践できるワンポイントアドバイス」をまとめました。一度にすべてを実行する必要はありません。自分が今関わっている研修プロジェクトに合わせて、該当する段階のポイントから取り入れてみてください。

研修6段階×ワンポイントアドバイス

STEP 1

企画

ステークホルダーの期待→行動変容→ビジネス成果のつながりを明確化する

経営層・現場マネジャー・受講者という三者の期待をすり合わせ、インパクトマップで一枚に整理する。ここを曖昧にしたまま走り出すと、後工程すべてに歪みが出る

STEP 2

設計

演習中心で記憶に残す設計にする

座学を減らし、講義:演習=50:50を目安に組み立てる。記憶定着には「聞く」より「やる」「話す」が圧倒的に有効。研修形態(対面/リモート/ブレンド/オンデマンド/個別)に応じて演習の作り方を変える

STEP 3

実施準備

受講者の上司と職場巻き込みの具体計画を立てる

研修当日までに「上司への事前説明」「職場での実践機会の確保」「受講後の振り返り場の設定」をスケジュールに組み込む。準備の良し悪しが、研修当日のクオリティとその後の定着を大きく左右する

STEP 4

実施

講師+プロデューサーの2人ペア体制で運営する

特に演習中心のリモート研修では、講師が受講者との対話に集中できるよう、BO管理・チャットフォロー・投票進行を担うプロデューサー役が事実上の標準。最初は社内スタッフが担当し、徐々に役割を専門化していく

STEP 5

フォロー

定期的なリマインダーで職場実践を後押しする

研修後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月といったタイミングで、振り返り設問・成功事例共有・上司との1on1テンプレートを配信する。リマインダーがあるだけで定着率は大きく変わる。AI活用で自動配信も現実的に

STEP 6

効果測定

成果重視の研修に絞って、小さくスタートする

全研修を一律に測定しようとすると挫折する。経営インパクトの大きい1〜2研修に絞り、SCM(サクセスケース・メソッド)で成功事例を可視化することから始める。1枚レポートで報告できる形まで簡素化する

6つのアドバイスをすべて完璧に実行する必要はありません。まずは自分が今関わっている研修プロジェクトに合わせて、1つの段階で1つのアドバイスを試してみてください。実践→振り返り→改善のサイクルを回しながら、徐々に対応できる段階を増やしていくのが現実的な進め方です。

研修プロセス全体を体系的に学びたい場合、アイディア社の「人材育成担当者向けオンデマンド・ブートキャンプ」では、5つの専門性と6段階のアドバイスを実例とともに学べます。経験年数別のラーニングジャーニーも用意されています。

よくある質問

人材育成担当者にまず必要なスキルは何ですか?

5つの専門性(企画/設計/実施/定着フォロー/効果測定)のうち、経験3年未満の方は「企画」と「設計」から押さえることをおすすめします。研修の出発点である「ビジネス成果から逆算するインパクトマップ」と、研修形態(対面/リモート/ブレンドラーニング/オンデマンド/個別ラーニングジャーニー)の特徴を理解すると、後工程の実施・定着・効果測定の習得が一気に進みます。一方で経験8年以上の方は、「定着フォロー」と「効果測定」を学ぶことが組織貢献の差別化要因になります。

経験年数によって学習の優先順位はどう変わりますか?

アイディア社のブートキャンプ受講者を分析すると、経験3年未満の担当者は「企画と設計」を、経験8年以上は「定着フォローと効果測定」を学びたがる傾向があります。実施準備と実施は日常業務の中で経験を積みやすいため、自己学習の希望は相対的に低めです。研修プロセスの「入口」と「出口」は意識的に学ばないと身につかないため、経験年数に応じて優先順位を切り替えることが現実的です。

リモート研修の講師スキルで特に重要なポイントは何ですか?

リモート研修では4つの講師スキルが特に重要です。①簡潔かつロジカルな解説と声のメリハリ、②投票・チャット・ブレイクアウトルームなどプラットフォーム機能を使いこなすマルチタスク力、③曖昧さのない明確な演習指示、④ブレイクアウトルームに入って数秒で議論の状況を判断し最小限の介入でフォローする力。さらに、演習中心の研修ではBO管理やチャットフォローを担う「プロデューサー役」を立てる2人ペア体制が事実上の標準になっています。

定着フォローの5つの基本とは何ですか?

アイディア社が定着フォローの基本として整理しているのは、①「知っている/できる/やっている」のどこに到達させるかを設計段階で決める、②複数回のフォロー研修で挑戦と振り返りを支援する、③研修タイプ(知識系/スキル系/マインド系)に合わせたフォローツールを用意する、④受講者同士の交流の場をつくる、⑤受講者の上司・人事へフォローを要請する──の5つです。特に5つ目の上司の関わりが、職場での行動変容を左右する最大の要因になります。

研修効果測定で最も実践的なメソッドは何ですか?

カークパトリックの4レベルが最も普及していますが、レベル3(行動)・レベル4(成果)の測定は実務では難易度が高くなります。アイディア社が「最も実践的」と推奨するのは、1995年にPhillipsが提唱したSCM(サクセスケース・メソッド)です。研修参加者全員ではなく「実際に成果を出した受講者」と「成果を出していない受講者」を抽出してインタビューし、成功事例・障壁・改善策を具体的に把握します。数字だけでなくストーリーで効果を示せるため、経営層・現場・人事のいずれにも伝わりやすいメソッドです。

まとめ|担当者自身の学びが、組織の育成インパクトを生む

人材育成担当者の業務範囲は、この30年で「対面研修の企画・運営」から「ニーズ分析~効果測定までの6段階×4形態」へ大きく拡大しました。業務が広がり複雑化した今、担当者自身のスキルアップは、もはや余裕があればやるものではなく、組織の育成成果を出すための必須条件です。

本記事で紹介した5つの専門性──企画(Planning)、設計(Design)、実施(Delivery)、定着フォロー(Transfer)、効果測定(Evaluation)──は、研修プロセスの流れに沿って連続するプロセスです。1つが弱いと全体の成果が頭打ちになる一方、1つを強化すれば前後の専門性も連動して伸びます。経験3年未満の方は「企画と設計」、経験8年以上の方は「定着フォローと効果測定」を優先するのが、業界全体の傾向から導かれる実践的な指針です。

大切なのは、学んだことを「知っている」から「できる」、そして「やっている」のレベルまで引き上げることです。本やセミナーで知識を仕入れるだけでは、担当者としての価値は生まれません。実際の研修プロジェクトに紐づけて、5つの専門性のどれか1つ、6段階のどれか1つから、今日から実践を始めてください。担当者自身の学びの深さが、最終的には全従業員の育成インパクトを左右します。

▼ 人材育成担当者向けプログラム

人材育成担当者向けオンデマンド・ブートキャンプ

5つの専門性(企画/設計/実施/定着フォロー/効果測定)を、実例・受講者の声・段階別ワンポイントアドバイスとあわせて体系的に学べるオンデマンドプログラムです。経験年数別のラーニングジャーニーで、自分のペースで進められます。研修設計の専門家であるアイディア・デベロップメント社が、研修担当者自身の育成を伴走支援します。

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