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研修事例

実践型イノベーション研修5日間の効果測定事例|成果をレポートで示す

イノベーション研修は「アイディアが出た」で終わりがちで、成果を事業のインパクトとして経営に説明できないことが課題だった。研修効果を数値で測れている企業は2%にとどまり、特にイノベーション領域は成果の可視化が難しかった。

実践型イノベーション研修5日間の効果測定事例|成果をレポートで示す

研修テーマ

実践型イノベーション研修(5日間・5ヶ月)を実施。成果を「アウトプット×能力」の2軸で測定し、個人別レポートと全体マップで可視化した。

イノベーション研修は盛り上がった。受講者の表情も明るい。けれど、経営会議で「それで、事業はどう変わったのか」と問われると、言葉に詰まる——。人材育成のご担当者から、こうした声をよくうかがいます。

本記事では、アイディア社の実践型イノベーション研修(5日間)を10名が受講した際に作成した効果測定レポートの実物を、ほぼそのまま公開します(受講者名・企業名は匿名化したサンプルです)。「アイディアが出た」という曖昧な手応えを、どのように事業の数字へ翻訳し、経営が納得できる形に可視化したのか。その一部始終をご覧いただけます。

なお、効果測定の理論——カークパトリックやSCMといったモデルの違い、成果を出す・測る・伝える手順、経営層への報告の型——は、それぞれ専用の記事に譲ります。本記事が扱うのは、その先にある「実物のレポートがどう見えるか」です。

アイディアは出た。で、事業はどう変わった?——イノベーション研修が経営に説明できない理由

そもそも、日本企業は研修の効果をどれだけ測れているのでしょうか。194名の人材育成担当者に尋ねた調査では、次のような結果が出ています。

研修効果測定はできているか(人材育成担当者 194名)

「少し」と「ほぼできていない」で81%。研修はしているが、効果を語れる状態にはない

十分にできている 2%

半分くらいはできている 17%

少しはできている 43%

ほぼできていない 38%

出典:アイディア社調べ(n=194)

「十分にできている」はわずか2%。「少し」と「ほぼできていない」を合わせると81%にのぼります。研修はしているが、その効果を語れる状態にはない——これが多くの企業の実態です。

そして、この難しさが最も色濃く出るのがイノベーション研修です。成果が「発想が柔らかくなった」「前向きになった」といった意識の変化に流れやすく、事業へのインパクトに翻訳しづらいからです。結果として、経営会議で「で、それがいくらの利益になるのか」と問われた瞬間に説明が止まり、翌年度の予算が削られていきます。アイディアを出すだけでなく、その成果を「見える化」する設計まで含めて初めて、イノベーション研修は投資として成立します。

効果測定の「ものさし」(カークパトリック/フィリップス/LTEM/SCMの違いと選び方)や、成果を出す・測る・伝える手順そのものは、研修効果測定モデル比較成果を「出す・測る・伝える」3ステップで詳しく解説しています。本記事では理論には立ち入らず、実際のレポートがどのように成果を映し出すのかを、次章から具体的に見ていきます。

「アイディアが出た」を「事業の数字」に翻訳する

イノベーション研修の成果を語るとき、つい「アイディアが何件出た」と件数を並べたくなります。けれど経営が知りたいのは件数ではなく、その先です。出たアイディアが、事業のどの数字を動かしたのか。実践型イノベーション研修(5日間)のレポートでは、受講者一人ひとりの成果を、必ず「目標」「実績の数字」「打ち手」のセットで記録します。まずは、その一例をご覧ください。

CASE|Aさん(購買部門)/実践型イノベーション研修 受講

BEFORE

アイディアは出るものの、事業成果に結びつくか半信半疑。試作案件の対応時間短縮を自分のテーマに設定した(目標:対応時間20%削減)。

AFTER

対応時間を30%削減。目標の20%を上回る成果を出した。

やったこと

1

取引先への確認作業をアウトソーシング化し、工数を圧縮した

2

「1stアクション」の設計を学び、最初の一手を具体化した

3

メンバーの意見を取り入れ、想定していなかった方法を採用した

ポイント:イノベーションの成果は「何件アイディアが出たか」ではなく「事業の数字がどう動いたか」で記録する。

この書き方をしておくと、経営会議で「で、いくらの効果が出たのか」と問われても、レポートを開くだけで答えられます。「30%削減」という数字と、それを生んだ打ち手がセットで残っているからです。他の受講者も、同じように「事業の数字」で成果が記録されています。

Bさん(開発部門)

約60案のアイディアから、実装可能な防災関連の新機能3件を創出(目標達成)。「個人プレーではなく複数人で協力することが重要だった」

Cさん(品質部門)

評価項目を90項目→40項目、期間を8週間→4週間に見直し(全体で50%以上削減)。「今後も使える評価項目を確定できた」

Dさん(購買部門)

社外32名を巻き込む当社初のオープンアイデアソンを開催し、事業につながるアイディア2件を創出。「掘り起こすには自分の視点だけでは限界がある」

4人に共通するのは、「アイディアを出す」で止まらず、「事業のどの指標を、どれだけ動かしたか」まで書き切っている点です。これが、イノベーション研修を「面白かった」で終わらせないレポートの条件です。

「成果が事業の数字で残る研修」を、自社でも設計できます。実践型イノベーション研修の内容と、成果の測り方をまとめた資料をご用意しています。

▶ 実践型イノベーション研修の詳細▶ 資料ダウンロード

個人の成果を「全体の地図」にする——アウトプット×能力の2軸で見る

10人分の成果コメントを並べるだけでは、経営は「で、全体としてどうなのか」と受け取れません。実践型イノベーション研修のレポートは、一人ひとりの成果を2つの軸の上に配置します。横軸が「アウトプット(意識→行動→成果)」、縦軸が「能力(研修前後の伸び)」です。これにより、集団がどこに到達したかを一目で示せます。まず、アウトプットの到達段階を見てみます。

受講後のアウトプット到達段階(受講者10名)

6名が「成果」ゾーンに到達。意識・行動どまりで終わっていない

意識ゾーン(意識は変わったが行動前) 0名

行動ゾーン(動いたが成果はこれから) 4名

成果ゾーン(個人・チーム・組織で成果) 6名

出典:実践型イノベーション研修 効果測定レポート(匿名サンプル・n=10)

10名のうち6名が、意識や行動どまりではなく、個人・チーム・組織のいずれかのレベルで成果が出た「成果ゾーン」に到達しています。「誰が頑張ったか」ではなく「集団がどこに固まったか」で示すと、経営は投資の妥当性を一目で判断できます。

もう一方の軸「能力」も、受講前後で全員が底上げされました。受講前は「ほとんどできない〜ややできる」に固まっていた10名が、受講後は「ややできる〜できる」へと移動し、その伸び幅は0.5〜1.5に及びます。2軸のマップ上では、全員の点が左下(低い能力・意識どまり)から右上(高い能力・成果)へと動いたことになります。バラバラの個人成果を、集団の「移動」として1枚に収める——これが2軸で見せることの価値です。

なお、一人の受講者を「自己申告・客観診断・職場成果」の3層で深く追う個別育成の設計は、グローバルマネージャーを6カ月で変えた個別育成の事例で詳しく紹介しています。本記事は、コホート(集団)全体をどう可視化するかに絞ります。

受講前後で「できる」が動き、次の一手まで決まった

ここまでで、アウトプットも能力も動いたことが見えました。では、受講者の満足度はどうだったのでしょうか。

4.8
総合満足度
4.5
研修内容
4.9
講師

5点満点・受講者アンケート(匿名サンプル)

いずれも高い水準です。ただし、満足度は効果測定でいう「レベル1(評価)」、いわば入口の指標にすぎません。ここで「良い研修だった」と終わらせては、翌年の設計に何も残りません。このレポートの最後のパートは、満足度ではなく「次に何をするか」です。2軸マップ上の位置ごとに、受講者への次のアクションを5つに差配します(順序ではなく、位置に応じた打ち手です)。

1

原因を探り、適合を見直す|成果も能力も伸び切らなかった層

なぜ動けなかったのか、研修内容と現場のミスマッチを調べ、次回の設計に反映します。

2

行動を後押しする|能力は高いが、まだ成果に届いていない層

力はあるのに動けていない状態です。最初の一歩を具体的に促し、行動につなげます。

3

フォローで伴走する|行動は始まっている層

フォローコーチングで、始まった行動を成果まで引き上げます。

4

能力を補強する|成果は出たが、能力の伸びが小さい層

成果の再現性に不安が残ります。能力面を固めて、次の成果につなげます。

5

成果を最大化・横展開する|成果も能力も高い層

出た成果をさらに広げ、他部門・他テーマへ展開します。

効果測定の目的は「評価して終わり」ではなく「次の投資判断」です。満足度で満足せず、受講者一人ひとりに次の一手を割り当てることで、研修は「やりっぱなし」から抜け出し、翌年の設計改善まで一続きになります。レポートは、成果を証明する道具であると同時に、次の研修を良くする設計図でもあるのです。

「成果を測り、次の一手まで設計する」——自社のイノベーション研修に、この仕組みをどう組み込めるか。個別にご相談いただけます。

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このレポートを、自社のイノベーション研修に持ち込む

ここまで見てきたレポートは、特別なツールで作ったものではありません。次の4つを研修設計にあらかじめ組み込んでおけば、同じように「成果が見えるレポート」が手に入ります。

1

成果を「事業の数字」で先に定義する

研修前に、受講者ごとに「どの指標を、どれだけ動かすか」を目標として決めます。イノベーションでも「アイディア数」ではなく事業指標で置くのがコツです。

2

アウトプットと能力の2軸を評価軸にする

「成果(意識→行動→成果)」と「能力(研修前後の伸び)」の2軸で測ると先に決めておきます。測る項目を最初に固めるほど、あとの集計が楽になります。

3

フォローで数字を取りにいく

研修後の電話コーチングやSNS報告で、現場の実践状況と数字を継続的に拾います。成果が実際に動くのはこの局面です(フォローコーチング20分の事例)。

4

位置ごとに次の一手を差配する

集計後、2軸マップ上の位置に応じて受講者ごとの次アクションを決め、翌年の研修設計に反映します。

効果測定は「研修が終わってから考える」ものではなく、「設計の段階で仕込む」ものです。この4ステップを最初に組み込んでおけば、レポートは自動的に「成果の証明書」になります。

各ステップをさらに深めたい場合は、目的別に次の記事が役立ちます。成功事例から効果を測る手順はサクセスケース・メソッド(SCM)実践ガイド、測った成果を経営に伝える方法は研修の成果を経営層に報告する方法、研修そのものの中身(発想を出す仕組みから定着まで)はイノベーション研修の進め方で解説しています。

よくある質問

Q. イノベーション研修でも、本当に成果を数字で測れますか?

測れます。ポイントは「アイディアの件数」ではなく「そのアイディアが動かした事業指標」で成果を定義することです。本記事の例でも、対応時間30%削減や評価項目の50%削減といった形で、事業の数字に落とし込んでいます。研修前に「どの指標を、どれだけ動かすか」を目標として決めておくことが前提になります。

Q. この2軸(アウトプット×能力)の評価は、自社の他の研修にも使えますか?

使えます。2軸は「成果が出たか(アウトプット)」と「できるようになったか(能力)」という、ほとんどの研修に共通する観点です。成果を重視する経営層にも、成長を重視する経営層にも、同じ1枚で説明できるのが利点です。イノベーション研修に限らず、管理職研修や新入社員研修でも同じ枠組みが適用できます。

Q. 満足度アンケート以外に、何を見ればよいのでしょうか?

満足度は「評価(レベル1)」の入口指標にすぎません。加えて見るべきは、(1)アウトプット(現場で成果が出たか)、(2)能力の伸び(研修前後の変化)、(3)次のアクション(受講者ごとの次の一手)の3点です。満足度が高くても成果が動いていなければ、それは研修設計を見直す材料になります。

Q. 受講者が10名に満たない少人数でも、このレポートは作れますか?

作れます。人数が少ないほど一人ひとりの成果を丁寧に追えるため、むしろ個人別レポートの精度は上がります。全体マップは点の数こそ少なくなりますが、「集団がどこへ動いたか」という傾向は、数名でも十分に読み取れます。

自社のイノベーション研修の成果を、経営が納得する形で可視化しませんか

実践型イノベーション研修(5日間)の内容と、本記事でご紹介した効果測定・レポート設計の考え方をまとめた資料をご用意しています。導入のご相談も承ります。

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