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世界最大の人材育成会議ATDに3年連続登壇|アイディア社が見た“次の常識”——研修は「単発」から「Myラーニングジャーニー」へ

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研修といえば、会議室に集まって全員が同じ内容を受ける——。長らく当たり前だったこの形が、世界では急速に過去のものになりつつあります。一人ひとりのニーズに合わせ、職場での成果まで設計する。そんな研修のあり方が、いま世界の標準になろうとしています。

その最前線が、世界最大の人材育成会議ATDです。アイディア社は2023年から3年連続で、このATDに「発表する側」として登壇してきました。本記事では、その現場で見えてきた「次の常識」を、4年間の定点観測から、明日使える具体的なフレームまで一気にお伝えします。

ATDとは何か。なぜ日本企業のアイディア社が「登壇する側」なのか

ATD(Association for Talent Development)は、1943年に設立された人材育成・組織開発の非営利団体です。本部はアメリカにあり、世界120カ国以上に約4万名の会員を持つ、人材育成の分野では世界最大かつ最高水準の組織として知られています。

そのATDが毎年アメリカで開催する国際会議が、ATD ICE(International Conference & Exposition)です。約300のセッションと300以上の出展ブースに、世界中から数千名の人材育成関係者が集まります。わずか4日間で、世界の人材育成トレンドと最先端の成功事例を一気に得られる、業界最大級の機会です。

このATD ICEで、アイディア社代表のジェイソン・ダーキーと、Next Practicesのイアン・タウンリーは、2023年・2024年・2025年と3年連続でスピーカーとして登壇しています。多くの日本企業がATDの情報を「レポートで読む側」であるのに対し、アイディア社は世界に向けて自社の知見と事例を「発表する側」に回っているのです。

4万
名の会員(世界最大)
120
カ国以上に会員
300+
セッション
3
年連続でアイディア社が登壇

世界最大の舞台で、日本企業として自社の事例を発表する側に回った会社。そこから見えている景色には、これから日本の人事担当者が先取りできる「次の常識」が映っています。では、その常識はいつ、どこから変わり始めたのでしょうか。次の章では、変化の起点となった2021年のATDに話を戻します。

次の常識の起点:研修は「集合・単発」から外れ始めた(2021年のATD)

変化の予兆がはっきり見えたのは、2021年のATDでした。コロナ禍でリモート研修が一気に広がった年です。多くの人が「コロナが落ち着けば集合研修に戻る」と考えていましたが、ATDで語られていたのは正反対の見立てでした。

この年のATDで目立ったトレンドは3つありました。第一に、リモートで失われがちな「マインド(心理的安全性やエンゲージメント)」を補う研修。第二に、集合研修からラーニングテクノロジーへの主役交代。そして第三に、ようやく注目され始めた研修効果測定です。

とりわけ象徴的だったのが、2つ目の「集合研修がマイナーへ」という流れでした。1993年に研修講師としてデビューし、毎年100回以上も集合研修に登壇してきたジェイソン・ダーキー自身が、「集合研修が本当に必須な場面は意外と少ない」「『わざわざ集まる必要があるのか』と問われたとき、説得できる自信がない」と語ったのです。長年その世界で実績を重ねてきた当事者だからこそ、この発言は重く響きました。

そして3つ目。研修効果測定が注目される一方で、ある厳しい現実も共有されました。インプットを与えて終わる「やりっぱなしの研修」では、そもそも測れるほどの効果が出ないということです。効果を出す鍵は、研修そのもの以上に、研修後の定着フォロー(ラーニングトランスファー)にある——これが2021年時点での結論でした。

2010年代までの常識

全員一律の集合研修

同じ会場で、同じ内容を、全員が同じペースで受ける

インプット中心

講義を聞いて知識を得たら、それで完了とみなす

研修当日で終わり

受講後の職場実践はフォローされず、やりっぱなしになりがち

効果測定は後回し

測りにくく、満足度アンケートにとどまる

2020年代の常識

→ 一人ひとりに合わせた個別設計

本人のニーズと実力に合わせて、内容とペースを変える

→ インプット+アウトプット

知識を得るだけでなく、できるようになるまで練習する

→ 職場実践と定着フォローまで

受講後に職場で使わせ、コーチングで定着まで伴走する

→ 効果測定を最初から織り込む

設計段階から測定を組み込み、途中で軌道修正する

変わらない原則:「人が行動を変えて成果を出す」というゴールは不変。変わったのは、そこへ到達するための設計です。

もし自社の年間研修計画が、いまも「集合研修に戻る」ことを前提に組まれているなら、その前提自体が世界の流れとズレ始めているのかもしれません。では、この「単発からの脱却」に対して、アイディア社はどんな答えを示したのでしょうか。次の章で、その名前のついたフレームをご紹介します。

アイディア社が名づけた答え——「Myラーニングジャーニー」とは

「単発からの脱却」と言っても、ではどうすればいいのか。ここで壁になるのが、従来の2つの選択肢のどちらも決め手に欠けることです。集合研修は、全員に同じ内容を届けられても、一人ひとりのニーズには合わせられません。逆に、eラーニングやオンデマンド研修は個別ニーズにある程度対応できますが、インプット中心のため定着や成果につながりにくい。この「個別か、定着か」のジレンマを両立させる研修スタイルを、ジェイソン・ダーキーは「Myラーニングジャーニー」と名づけました。

「My」は、一人ひとりのニーズに合わせる「自分用」という意味です。「ジャーニー(旅)」は、インプットだけで終わらず、定着フォローと職場実践まで含む一連の道のりであることを表します。受講者にとっては自分に必要な内容だけに集中できるため効率がよく、企業にとっては短時間で大人数のスキルアップ・行動変容・ビジネス成果につながる——これが両立の中身です。

このMyラーニングジャーニーは、次の5つのステップで設計されます。

Myラーニングジャーニーの5ステップ

STEP 1

ニーズ把握

何を学ぶべきかを見極める

STEP 2

インプット

短い教材で学ぶ

STEP 3

アウトプット

できるまで練習し職場で使う

STEP 4

コーチングフォロー

講師が個別に伴走する

STEP 5

効果測定

成果を1枚にまとめる

この5ステップを眺めると、つい中心は「インプット(学ぶ)」にあるように見えるかもしれません。しかし、Myラーニングジャーニーが従来の個別学習と決定的に違うのは、実はステップ3の「アウトプット」にあります。次の章で、その理由を掘り下げます。

最大の差は「アウトプット」にある——個別学習が成果につながらない理由

「一人ひとりに合わせる」と聞くと、多くの人は「各自に合ったeラーニングを配ること」を思い浮かべます。しかし、それだけでは従来の自己学習と大きくは変わりません。ニーズに合わせた良質なインプットを用意しても、知識を得ただけでは行動は変わらないからです。

Myラーニングジャーニーが従来の個別学習と決定的に違うのは、インプットの後の「アウトプット」にあります。マネジメントやコーチング、ヒューマンスキルのようなテーマでは、新しいことを学ぶより、すでに知っていることを「できるようになる」ほうが成果に直結します。そのアウトプットには、2つの要素があります。

かつては、何度も反復練習させ、一人ひとりに個別フィードバックを返すには、講師の時間というリソースが膨大にかかり、大人数への実施は困難でした。それが、近年のAIツールでようやく可能になりつつあります。たとえば数分のプレゼンに対して、AIがその場でフィードバックを返す——そうした練習が現実になっています。

アウトプットの2要素と、それを支えるコーチングフォロー

A. 反復練習+AIフィードバック

「わかった」を「できる」に。同じ場面を、できるようになるまで何度も。数分のプレゼンにもAIがその場でフィードバックを返します。

B. 職場実践

「できる」を「成果」に。研修期間中の実際の仕事で使い、上司も巻き込みます。経験と自信が積み上がります。

↓ この2つを成立させる鍵が、講師の「コーチングフォロー」
1

投稿には24時間以内に反応する

反復練習

受講者の投稿や演習に、24時間以内に反応し、一言コメントを返します。

なぜ:練習と投稿のサイクルを止めず、受講者のモチベーションを保つため。

2

月1回30分の1対1ミーティング

職場実践

不明点の解消、直接フィードバック、ロールプレイ、アクションプランの具体化を行います。

なぜ:職場での実践を振り返り、次の一手を一緒に決めるため。

3

研修期間は2〜5カ月で設計する

反復練習+職場実践

月1回ペースの伴走を、2〜5カ月かけて続けます。

なぜ:短期間では成果が出にくい。伴走の期間が、定着と成果を分けるため。

「動画を見せて終わり」では、人は動けるようになりません。できるようになるまで反復させ、職場で使わせ、フィードバックで支える。ここには、人とAIの新しい分業が生まれています。では、この設計は日本企業の現場でも本当に通用するのでしょうか。次の章で、アイディア社がATD2025で世界に発表した、日本の実装事例を見ていきます。

日本企業でも成果は出る——製薬メーカーR&Dの実装事例(ATD2025で発表)

では、この設計は日本企業の現場で本当に通用するのか。アイディア社がATD2025で世界に向けて発表したのは、まさにその答えとなる日本の事例でした。対象は、ある製薬メーカーの研究開発(R&D)部門で、海外メンバーと専門領域をまたいで働くグローバルマネージャーたちです。半年間のMyラーニングジャーニーで、彼らの実力と職場成果はどう変わったのでしょうか。

CASE STUDY:日本の製薬メーカーR&D ― グローバルマネージャー強化

BEFORE

専門性は高いが、多言語・多文化のチームを率いるマネジメント力・交渉力・影響力に課題。会議や交渉に多くの時間を取られていた。

AFTER

主要スキルが軒並み向上。会議の準備・進行の改善だけで週2.5時間、プログラム全体で計100時間を削減

やったこと

① 1カ月1テーマ × 6カ月:本人のニーズから、グローバルスキルとマネジメントを軸に内容を選定。

② 各テーマを「学ぶ→練習→職場実践」で回す:学んで終わりにせず、実際の仕事で使わせる。

③ 月2回の1対1コーチング+前後アセスメント:伴走しながら、能力の変化を測定する。

ポイント:「日本企業だから難しい」のではなく、設計次第で成果は出る。

とくに分かりやすいのが、受講者一人の能力評価の変化です。5点満点で、本人と上司が評価した主要スキルの前後を見てみます。

受講者の能力変化(5点満点・一例)

6カ月のMyラーニングジャーニー前後で、本人と上司が評価したスコアの比較

会議の進行(Meeting Facilitation)
2.83
4.00
交渉(Negotiation)
2.50
3.83
影響力(Influence)
2.50
3.83

3つの主要スキルがいずれも大きく向上。学んで終わりではなく、職場で使い切るまで伴走した結果です。

これはアメリカの巨大企業の話ではありません。日本企業の、しかも専門性の高いR&D人材という難しい対象で出た成果です。ジェイソン・ダーキーがかつて語った「日本は定着フォローをきちんと設計すれば、世界トップクラスの成果を出す」という見立てが、データで裏づけられた瞬間でした。

アイディア社は、こうしたMyラーニングジャーニーの設計・運用を支援しています。ATDの最新トレンドと企業事例は、無料レポートでもご覧いただけます。

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残るは、これを自社にどう持ち込むかです。最後に、明日から使える3つの問いにまとめます。

「次の常識」を自社に持ち込む3つの問い

ここまで見てきた「次の常識」は、特別な大企業だけのものではありません。要点は、研修を「全員一律・単発・やりっぱなし」から「一人ひとりのラーニングジャーニー」へと近づけていくことです。とはいえ、いきなりすべてを変える必要はありません。まずは、いま実施している研修を、次の3つの問いで点検してみてください。

Q1

インプットで終わっていませんか?

動画や講義で「学ぶ」だけで完結していないか。できるようになるまでの練習(アウトプット)があるか。

Q2

やりっぱなしになっていませんか?

研修当日で終わりにせず、職場実践と定着フォロー、そして効果測定まで設計されているか。

Q3

全員一律になっていませんか?

受講者のニーズや実力に関係なく、同じ内容を同じペースで届けていないか。

この3つのうち1つでも「できていない」があれば、そこが伸びしろです。すべてを一度に変える必要はありません。1つの研修に、1つのステップを足してみる。それが「次の常識」への確実な第一歩になります。世界の人材育成は、もう次の常識へと動き始めています。その流れを、自社の成果に変えていきましょう。

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