若手のイノベーション事例|Pixar・Google・Appleなど世界の企業に学ぶ「明日からの一手」

若手のイノベーション事例を学ばせたい――そう考えても、IDEOやApple、Googleといった世界企業の話は「うちの若手とは別世界」に感じられ、研修の題材として使いにくいと思う方は少なくありません。
ですが、世界の企業がやっていることは、抽象的な天才の物語ではなく、若手が明日から真似できる「型」に翻訳できます。たとえばIDEOが世に広めたデザインシンキングは、いまや多くの企業が新人・若手研修に取り入れる、学習可能なスキルになっています(デザインシンキングの基礎はこちらの記事で解説しています)。
この記事では、Pixar・Google・Genpact・Appleという4つの世界企業の事例から、若手が一歩を踏み出すための具体的な「一手」を抜き出します。研修を設計する人事の方にも、自分の発想を広げたい若手本人にも、明日から使えるヒントになるはずです。
なぜ今、若手育成に「世界の事例」が効くのか
「イノベーションは一部の才能ある人のもの」――この思い込みは、若手育成の現場に根強く残っています。ですが、アイディア社が2万人以上の受講者から集めたデータは、その前提を静かに覆します。
ほぼすべての人がイノベーションの必要を感じ、その力を高めたいと願っています。にもかかわらず、自分は得意だと思える人は5人に1人、実際に学んだことのある人は10人に1人ほどしかいません。つまり若手のイノベーション力を分けるのは「才能の有無」ではなく「学ぶ機会の有無」です。あの天才モーツァルトでさえ、自分ほど作曲に時間と思考を注いだ人間はいないと語り、創造性が天賦の才ではなく勤勉な積み重ねの産物であることを示しました。だからこそ、世界企業の事例は遠い天才譚ではなく、若手が学べる「型」のカタログとして読むことができます。
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世界の3社に学ぶ、若手が真似できる「型」
イノベーションを生み出す世界企業は、特別な天才を抱えているわけではありません。共通しているのは、アイデアを「安心して晒せる場」と「学べる型」を整えていることです。まずは、その代表となる3社の事例から見ていきます。
3社に共通するのは、イノベーションを「特別な才能」ではなく「学べる技能」として扱っている点です。PixarとGoogleは率直に言い合える「場」を、Genpactは誰もが学べる「型」を整えました。若手に必要なものも同じで、安心して晒せる場と、繰り返し回せる型の2つに尽きます。あなたの職場やチームには、この2つがどれくらい用意されているでしょうか。
イノベーションには「7段階」がある――現在地から2段階上を狙う
世界を変える企業の挑戦は、いきなり生まれるわけではありません。コンサルタントのジム・バンドロウスキーは、イノベーションの大胆さには段階があり、下から上まで大きく7つのレベルに分けられると整理します。最下段は「現状維持」、最上段はAppleのスティーブ・ジョブズが掲げた「宇宙にへこみを残す」ほどの志です。
ここで大事なのは、これが一本の物差しで測る点数ではなく、一段ずつ登っていく階段だという点です。「現状維持」のひとつ上が日々の小さな改善、その上が「業界を変える」ほどの飛躍、さらに上が「宇宙にへこみを残す」ほどの志――というように、志の高さが段になって積み上がっています。
大切なのは3つです。第一に、いまの自分(や自社)の企画がどの段にあるかを知ること。第二に、目指す高さを決めること。第三に、現在地から2段ほど上のチャレンジをあえて設定することです。イノベーション力の強い人は、問題を深く掘り下げてから斬新な案を出します。逆に弱い人は、問題意識も発想も浅いままです。つまり若手であっても、いまの改善案を「もう1段、大胆にできないか」と問い直すだけで、挑戦の高さは自分で設計できます。あなたの今の企画は、どの段にあるでしょうか。
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事例は「読むだけ」では成果にならない
ここまで見てきた世界企業の事例は、若手の心に火をつけてくれます。ですが、火がついただけでは成果は生まれません。アイディア社が2万人以上の受講者の傾向を整理すると、研修の設計しだいで成果がはっきり分かれることがわかります。
研修設計と成果の関係(受講者2万人以上の傾向)
意識は高いが動かない
モチベーションは上がるが、実際に取り組まない人が多い
行動はするが成果はまだ
職場で取り組み行動は起きるが、誇れる成果には届かない
具体的な成果が出る
研修と実践がそろい、具体的なビジネス成果につながる
事例を読んで「やってみたい」と火がついても、1日学んで終わりでは、多くの人がそのまま動きません。行動が成果に変わるのは、十分な研修期間と数ヶ月の実践がそろったときです。事例は火をつけ、続く設計がそれを成果に変えます。若手のイノベーションを「読み物」で終わらせないために、研修として小さく設計し、職場での実践と振り返りを回していくことが欠かせません。
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明日からの一手――若手・人事が今日できる3ステップ
世界企業の事例も、現在地から2段階上を狙う発想も、行動に移さなければ何も変わりません。最後に、若手本人も、研修を設計する人事の方も、今日から始められる3つのステップにまとめます。
事例で火をつける
世界企業の事例を「自分ごと」の題材として使い、まずどの一手を試すかを1つ選びます。自分の職場の身近な課題に引きつけるのがコツです。
型を1サイクル回す
「共感→定義→発想」の型を、身近な課題で小さく1周してみます。アイデアを広げる発想法の具体的な手順はこちらの記事を参考にしてください。
小さく実行し、職場を巻き込む
完璧でなくてよいので、必ず1つ実行する約束をします。上司や同僚を巻き込んで振り返り、これを数回くり返すと、小さな成功体験が成果へと積み上がります。
大切なのは、個人の一歩と、それを支える研修設計の両輪です。若手は小さな一手から、人事の方は「事例→型→実践」を回す設計から始められます。世界の事例は、遠い天才の物語ではなく、若手が今日から踏み出すための地図です。まずは3つのうちどれか1つから、始めてみてください。
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