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若手のイノベーション事例|Pixar・Google・Appleなど世界の企業に学ぶ「明日からの一手」

若手のイノベーション事例を学ばせたい――そう考えても、IDEOやApple、Googleといった世界企業の話は「うちの若手とは別世界」に感じられ、研修の題材として使いにくいと思う方は少なくありません。

ですが、世界の企業がやっていることは、抽象的な天才の物語ではなく、若手が明日から真似できる「型」に翻訳できます。たとえばIDEOが世に広めたデザインシンキングは、いまや多くの企業が新人・若手研修に取り入れる、学習可能なスキルになっています(デザインシンキングの基礎はこちらの記事で解説しています)。

この記事では、Pixar・Google・Genpact・Appleという4つの世界企業の事例から、若手が一歩を踏み出すための具体的な「一手」を抜き出します。研修を設計する人事の方にも、自分の発想を広げたい若手本人にも、明日から使えるヒントになるはずです。

なぜ今、若手育成に「世界の事例」が効くのか

「イノベーションは一部の才能ある人のもの」――この思い込みは、若手育成の現場に根強く残っています。ですが、アイディア社が2万人以上の受講者から集めたデータは、その前提を静かに覆します。

91%
イノベーションの必要を感じる
98%
イノベーション力を高めたい
19%
自分は得意だと思う
11%
学んだことがある

ほぼすべての人がイノベーションの必要を感じ、その力を高めたいと願っています。にもかかわらず、自分は得意だと思える人は5人に1人、実際に学んだことのある人は10人に1人ほどしかいません。つまり若手のイノベーション力を分けるのは「才能の有無」ではなく「学ぶ機会の有無」です。あの天才モーツァルトでさえ、自分ほど作曲に時間と思考を注いだ人間はいないと語り、創造性が天賦の才ではなく勤勉な積み重ねの産物であることを示しました。だからこそ、世界企業の事例は遠い天才譚ではなく、若手が学べる「型」のカタログとして読むことができます。

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世界の3社に学ぶ、若手が真似できる「型」

イノベーションを生み出す世界企業は、特別な天才を抱えているわけではありません。共通しているのは、アイデアを「安心して晒せる場」と「学べる型」を整えていることです。まずは、その代表となる3社の事例から見ていきます。

CASE STUDY 1:Pixar ― 率直に言い合う「場」がアイデアを磨く

BEFORE

多くの職場では、若手は「否定されたくない」「上司に遠慮」でアイデアを口に出せず、率直な批評がないまま平凡に終わる

AFTER

Pixarは作品を率直に批評し合う仕組み「Braintrust」で、初期の粗いアイデアを名作へと磨き上げてきた

やったこと

専門家が集まり、率直な討論・笑い・互いへの敬意を土台に、忖度なくフィードバックし合う。社長のエド・キャットマルは、この姿勢を会議で最も大切な要素に挙げます。前提にあるのは「技術より物語」――ジョン・ラセターが語るように、優れた映像も弱い物語は救えないからです。

若手の一手:アイデアの「面白さ・本質」を先に問い、率直に晒し合える小さな場を1つ持つ。

CASE STUDY 2:Google ― 心理的安全性が「挑戦の入口」になる

BEFORE

「優秀な人を集めれば成果が出る」と思われがち。だが安心して発言・挑戦できないチームは、力を出し切れない

AFTER

自社の高成果チームを分析した「Project Aristotle」で、成果を最も左右する要因は「心理的安全性」だと判明した。

やったこと

成果の高いチームに共通していたのは、率直に意見を言い、リスクを取り、素朴な疑問を口にしても恥をかかない空気でした。これは大きな変革の場面だけでなく、日常業務での挑戦の土台にもなります。

若手の一手:「初歩的すぎるかも」と感じる素朴な疑問こそ口に出す。それが新しい挑戦の入口になる(チームや組織として風土をどう設計するかはこちらの記事で解説)。

CASE STUDY 3:Genpact ― デザインシンキングを「資格で学べる技能」にする

BEFORE

プロセス・効率・品質という20世紀型の強みで成功。だが好奇心や共感で新価値を生む力は「一部の人の才能」と思われていた。

AFTER

従業員約7万5,000人にデザインシンキングを浸透させ、新規案件の80%でデザインシンキングが使われるまでになった。

やったこと

52のツールを8つの目的に整理し、習熟度に応じた認定制度(リーダー5%/講師1%/ファシリテーター4%/実践者30%/課題解決60%)で段階的に全社へ広げました。才能任せにせず、誰もが学べる「資格」にしたことが鍵です。

若手の一手:「共感→定義→発想」の型は才能でなく訓練で身につく。まず1サイクル回してみる(型の基礎はこちら、アイデアを広げる発想法はこちら)。

3社に共通するのは、イノベーションを「特別な才能」ではなく「学べる技能」として扱っている点です。PixarとGoogleは率直に言い合える「場」を、Genpactは誰もが学べる「型」を整えました。若手に必要なものも同じで、安心して晒せる場と、繰り返し回せる型の2つに尽きます。あなたの職場やチームには、この2つがどれくらい用意されているでしょうか。

イノベーションには「7段階」がある――現在地から2段階上を狙う

世界を変える企業の挑戦は、いきなり生まれるわけではありません。コンサルタントのジム・バンドロウスキーは、イノベーションの大胆さには段階があり、下から上まで大きく7つのレベルに分けられると整理します。最下段は「現状維持」、最上段はAppleのスティーブ・ジョブズが掲げた「宇宙にへこみを残す」ほどの志です。

ここで大事なのは、これが一本の物差しで測る点数ではなく、一段ずつ登っていく階段だという点です。「現状維持」のひとつ上が日々の小さな改善、その上が「業界を変える」ほどの飛躍、さらに上が「宇宙にへこみを残す」ほどの志――というように、志の高さが段になって積み上がっています。

大切なのは3つです。第一に、いまの自分(や自社)の企画がどの段にあるかを知ること。第二に、目指す高さを決めること。第三に、現在地から2段ほど上のチャレンジをあえて設定することです。イノベーション力の強い人は、問題を深く掘り下げてから斬新な案を出します。逆に弱い人は、問題意識も発想も浅いままです。つまり若手であっても、いまの改善案を「もう1段、大胆にできないか」と問い直すだけで、挑戦の高さは自分で設計できます。あなたの今の企画は、どの段にあるでしょうか。

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事例は「読むだけ」では成果にならない

ここまで見てきた世界企業の事例は、若手の心に火をつけてくれます。ですが、火がついただけでは成果は生まれません。アイディア社が2万人以上の受講者の傾向を整理すると、研修の設計しだいで成果がはっきり分かれることがわかります。

研修設計と成果の関係(受講者2万人以上の傾向)

1日 + 1ヶ月

意識は高いが動かない

モチベーションは上がるが、実際に取り組まない人が多い

3日 + 2ヶ月

行動はするが成果はまだ

職場で取り組み行動は起きるが、誇れる成果には届かない

5日 + 4ヶ月

具体的な成果が出る

研修と実践がそろい、具体的なビジネス成果につながる

事例を読んで「やってみたい」と火がついても、1日学んで終わりでは、多くの人がそのまま動きません。行動が成果に変わるのは、十分な研修期間と数ヶ月の実践がそろったときです。事例は火をつけ、続く設計がそれを成果に変えます。若手のイノベーションを「読み物」で終わらせないために、研修として小さく設計し、職場での実践と振り返りを回していくことが欠かせません。

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明日からの一手――若手・人事が今日できる3ステップ

世界企業の事例も、現在地から2段階上を狙う発想も、行動に移さなければ何も変わりません。最後に、若手本人も、研修を設計する人事の方も、今日から始められる3つのステップにまとめます。

1

事例で火をつける

世界企業の事例を「自分ごと」の題材として使い、まずどの一手を試すかを1つ選びます。自分の職場の身近な課題に引きつけるのがコツです。

2

型を1サイクル回す

「共感→定義→発想」の型を、身近な課題で小さく1周してみます。アイデアを広げる発想法の具体的な手順はこちらの記事を参考にしてください。

3

小さく実行し、職場を巻き込む

完璧でなくてよいので、必ず1つ実行する約束をします。上司や同僚を巻き込んで振り返り、これを数回くり返すと、小さな成功体験が成果へと積み上がります。

大切なのは、個人の一歩と、それを支える研修設計の両輪です。若手は小さな一手から、人事の方は「事例→型→実践」を回す設計から始められます。世界の事例は、遠い天才の物語ではなく、若手が今日から踏み出すための地図です。まずは3つのうちどれか1つから、始めてみてください。

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