基調講演は大盛況!
今日のシカゴは曇り空。午後からは少し雨が降ってきました。
外も少し寒いのですが、会場の中はもっと寒い。冷房が効き過ぎです。会場の中に入ると直ちにセーターを着込むという防寒対策が必要でした。
さて、ASTD 2010への参加4日目にして、いよいよ基調講演が開催されました。講演開始時間は朝8時。早朝にも関わらず2、3千人が会場に集まりました。
基調講演のオープニングは、地元シカゴ出身ということでブルースブラザーズのそっくりさんが登場して、独特なノリの歌で会場が盛り上がりました。こういうエンターテインメントの仕掛けは、さすがアメリカ、という感じです。
その基調講演では二人のスピーカーが登壇。
そして午後からは、今日も4人のスパイがそれぞれ3つのSessionに潜入していきました。
今日もまた、一日の諜報活動の成果を、文字とビデオ映像と写真でお伝えしていきます。
今日のVideoレポート
構成
- MOTIVATION(内的モチベーションの重要性)
- GLOBAL(事例を2つ)
- LEARNING MEDIA(事例を2つ)
- Matthew’s コーナー
基調講演
朝8時から、二つの基調講演が行われました。
The Power of Community : Transform your Organization with Social Media
コミュニティーの力:ソーシャルメディアで組織を変革する
Tony Bingham, President & CEO, ASTD
内容:
ブログ、ウィキ、ポッドキャストなどのソーシャルメディアを活用した人材育成策の重要性が、ASTDのトップから紹介された。ここ数年アメリカを中心に様々な研究、実験が行われ、成功事例が次々に生まれているのが、最新トレンドの一つ。
DRIVE : What the Science of Motivation Can Teach You about High Performance
ドライブ:モチベーションの科学が高い成果を生み出す
Daniel Pink, Author https://www.danpink.com/
内容:
知的労働には外的モチベーションでは効果が出ない
単純労働の生産性を上げるために、賃金アップなどの外的モチベーションはもちろん良い効果をもたらす。一方、知的労働に対しては、外的モチベーションは効果がないばかりではなく、創造性の低下を引き起こす等マイナスの効果も実験により確認された。知的労働の生産性を高めるためには、内的モチベーションを高めることが極めて重要。
内的モチベーションを高める方法は、自由・達成感・ミッションの3つ
知的労働の生産性を高めるためには、それを引き出すことのできる環境を整備することが重要。その鍵の一つ目は、束縛しないで自由に仕事ができる権限や環境を用意すること。二つ目は、自分が成果に貢献していることや達成感を強く実感できるようにすること。最後の三つ目は、「自分の仕事が社会を変える」「困難に立ち向かっている人達を救いたい」などの大きなミッションを感じながら仕事に取り組むこと。
参考映像:
本日の講演内容に近い講演映像をYoutubeで見つけましたので、以下でご紹介します。
今日のSessionでの諜報結果(総括)
- 最高!!: 4 Session
- 良かった: 6 Session
- トホホ: 2 Session
潜入したSessionのキモ
以下に4人のスパイが潜入したSessionの概要を、次の5つの項目に分けて紹介していきます。
- 分野1: RESULT
- 分野2: GLOBAL
- 分野3: LEARNING MEDIA
- 分野4: GREAT TRAINING
- 分野5: OTHERS
※文章中の「ヒント」とは?
各Sessionでスパイたちが収集した情報の中から、日本の人材育成担当者の方にとってヒントになりそうなことをエッセンスとして記しています。
分野1: RESULT
#001 Durkee
M204 ラーニングトランスファー:研修が目指すべきゴール
(Learning Transfer Guaranteed: Creating the New Finish Line of Learning)
内容:
正しいゴールを設定して、初めて研修成果の出る可能性が生まれる。正しいゴールは研修の評価ではなく、職場での活用ではなく、定着したお陰で得られたビジネス上の成果。
ヒント:
会社の目標(売り上げ・利益・効率アップ、経費削減など)から逆算して、どの研修プログラムにどうつながるかを考える。人材育成の成果を経営者にアピールする時、費用対効果 (ROI) より魅力的な事例やストーリーが説得力がある。
分野2: GLOBAL
#001 Durkee
M316 グローバルリーダーシップ開発:ベストプラクティスと戦略トップ10
(Global Leadership Development: Best Practices and Top 10 Strategies)
内容:
AMAとi4cpのグローバルリーダー育成調査結果を発表した。その中から、金賞を取ったボストンサイエンティフィックがグローバルリーダー育成プログラムを紹介した。
ヒント:
海外赴任者が海外現地法人の売り上げや利益を上げるために大切な能力は、
- 自社ブランドを強化する能力
- コミュニケーション能力
- イノベーションを促進する能力
#002 Kageyama
M317 インサイド・インテル:グローバルキャリア開発プログラムの企画と実行
(Inside Intel: Creating and Implementing a Global Career Development Program)
内容:
グローバルにキャリア開発を行ってきたインテル社の事例が紹介された。とてもシンプルだがパワフルなフレームワークやモデルを活用して展開したことが特徴的。
ヒント:
一人一人にとって記憶に残る最高の成果(Career Best)を生み出すためには、Talent(本人の能力)、Organization(組織のニーズ)、Passion(本人とチームの情熱)の3つの「TOP」が必要というモデルはキャリア開発を考える参考になりうる
#003 Catherine
M212 多国籍学習者のためのデザイン:異文化e-ラーニング
(Designed for the Multinational Learners: Cross Cultural E-Learning)
内容:
韓国のe-ラーニング制作の事例紹介。サムソンが25カ国に点在する海外拠点のローカル従業員に向けて、企業ポリシーと歴史/韓国文化を教育するために実施しているe-ラーニングプログラムについての解説。
ヒント:
- 【分析】事前に何カ国語のバージョンを作成するか決定する。
- 【デザイン】各国の文化に合わせてインターフェースを変える。
- 【テスト】パイロットを必ず各国で実施。
分野3: LEARNING MEDIA
#001 Durkee 、#002 Kageyama
M102 次世代ツールを使って魅力的なe-ラーニングを創造する
(Creating Irresistible E-Learning With Next-Generation Authoring Tools)
内容:
ゼブラ(商品名)という簡単によりインタラクティブなeラーニングを作るためのソフトの紹介。
ヒント:
現在、面白いeラーニングを作るためにはフラッシュの複雑なプログラムする力が必要だが、ゼブラなら誰でもできそう。良いツールがあればより良いeラーニングが増える可能性がある。
#004 Matthew
M215 未来のブレンドラーニングをつくる
(Creating the Blended Classroom of the Future)
内容:
Introduced a variety of different techniques for classroom and e-Learning and gave tips about how to connect them.
ヒント:
Using stories, simulations and social interaction in both e-Learning and in the classroom can be useful.
#003 Catherine
M115 効果的なインフォーマルトレーニングのためのWeb2.0ツール
(Web 2 .0 Tools for Effective Informal Training)
内容:
いろいろなソーシャルメディアを使って、インフォーマルトレーニングを行う具体的な方法を、ケーススタディを見せながら解説。
ヒント:
社内の日常的な質問/知識を、同僚どうしで教え合う感覚でキャプチャーしてソーシャルメディアにのせていく
分野4: GREAT TRAINING
#004 Matthew
M101 すばらしいトレーナーになるために;付加価値と違いを作るための17の方法
(Becoming the Greatest Trainer: 17 Ways to Add Value and Make a Difference)
内容:
Bob Pike shared techniques to make training exciting, memorable and applied.
ヒント:
Be a doctor, not a drug dealer. (Focus on understanding the problem, not just giving the same medicine to everyone.)
#004 Matthew
M308 キャリア危機!:厳しい環境で自己のキャリアをマネージングするテクニック
(Hot Seat: Taking Control of Your Training Career)
内容:
Jim Smith demonstrated exercises to keep you focused, energized and feeling good about yourself and your career.
ヒント:
- Don’t be afraid, be committed and celebrate more.
- Self-reflection can be high tension.
分野5: OTHERS
#002 Kageyama
M213 「無料」から価値を生み出す:ビジネスに成果をもたらすためのカスタマー教育への投資
(Making Free Count: Leveraging Customer Education to Drive Business Outcomes)
内容:
ソフトウエア制作会社Intuitの事例として、ソフト操作方法トレーニングを顧客に無料で行いながらも、会社の利益を大きくあげた経緯が紹介された
ヒント:
カスタマー教育を担当している方は、intuit社の事例を研究する価値があるかもしれない
#003 Catherine
M306 ITS Innovative Thinking System: 実用的なイノベーション能力開発ツール
(ITS: Powerful Hands-on Tools for Product and Process Innovation)
内容:
日本のコンサルタント会社が、発想力強化のために独自に開発したツールを紹介。
ヒント:
一般的な概念とは全く逆の考え方をヒントにしてイメージを膨らませ、そこから新たな発想やアイディアを得る
※文章中の「ヒント」とは?
各Sessionでスパイたちが収集した情報の中から、日本の人材育成担当者の方にとってヒントになりそうなことをエッセンスとして記しています。
明日の予定
- 基調講演(ソーシャルメディアを活用したリーダーシップ開発)
- EXPO(展示会)
- Session(計12個)
ということで、今日と同じ流れになります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。出張の疲れが溜まってきていますが、明日も役立つ情報をみなさまにお届けできるよう、スパイ活動に励んできます。