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ATD2025 人材育成国際会議レポート|最新トレンドと実践事例

ATD2025(ATD International Conference & EXPO 2025)が、2025年5月に米国ワシントンD.C.で開催されました。世界83カ国から約8,400名が参加した本会議の最新知見を、アイディア社は同年6月25日のオンライン報告会で約400名の人事・人材開発担当者にお届けしました。

本レポートでは、AI×ヒューマンスキル、ウェルネス、コンパッションリーダーシップ、研修効果測定など、日本企業の人材戦略にすぐ活かせる実践的なトレンドと事例を凝縮してご紹介します。ご不明な点やご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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ATD2025 人材育成国際会議とは|イベント概要

ATD(Association for Talent Development)は1943年に設立された、人材育成・組織開発分野における世界最大級の非営利団体です。世界120カ国以上に4万名の会員を擁し、毎年開催される国際会議(ATD-ICE)は人材開発領域で世界最高水準のイベントとして広く認知されています。

ATD-ICE 2025 大会情報

開催日程2025年5月18〜21日(4日間)
開催地米国ワシントンD.C.
参加者数約8,400名(83カ国)
セッション約300(13トラック構成)

帰国報告会

報告会名ATD人材育成国際会議2025 報告会
開催日時2025年6月25日(水)10:05〜12:00
形式オンラインセミナー
参加者数約400名

ATD2025の注目テーマ ― 4つのセクションで解説

ATD2025のセッションを横断的に分析すると、今年の注目テーマは「ヒューマン」と「テクノロジー」の交差点に集中していました。以下の4セクションに分けて解説します。気になるテーマをクリックすると該当セクションに移動します。

SECTION 1

OVERALL

人材育成部門に必要な3つのマインドシフト

SECTION 2

HOT + HUMAN

ウェルネス・心理的安全性・コンパッション

SECTION 3

HOT + TECHNOLOGY

AI活用の最前線・3Hモデル・柔軟性

SECTION 4

L&D BASICS

リーダーシップ・研修設計・効果測定

OVERALL|人材育成部門に必要な3つのマインドシフト

Axonify社のChief Learning Officer、JD Dillon氏のセッションでは、人材育成部門が直面する根本的な課題が提示されました。ビジネス環境の変化スピードに対して、従来型のL&D部門の対応が追いついていないという現実です。Dillon氏が提唱する3つのシフトは以下の通りです。

シフト1:人材育成に対する「考え方」を変える

多くの社員は「人材育成=学校教育の延長」と捉えがちです。しかし実際のビジネス環境では短期間で高い成果が求められており、単発の研修やeラーニングだけでは対応できません。育成の目的を「知識の習得」から「業務成果への貢献」に再定義することが出発点です。

シフト2:「マインドセット」を変える

短期的な目標達成と長期的な能力向上をバランスよく考え、研修・コーチング・オンデマンドリソースなど様々な手法を組み合わせた「常時学習のしくみ」を構築する必要があります。学習を「イベント」ではなく「習慣」として組織に埋め込む発想の転換が求められます。

シフト3:「影響力」を高める

Dillon氏は人材育成部門の影響力を高める12のステップを紹介しました。特に重要なのは「人材育成の専門用語ではなくビジネス用語で話す」「現場の課題を小さく解決して信頼を積み上げる」「育成施策の成果を求められる前に自ら共有する」という3点です。

2025年のL&Dトレンドの全体像については、2025年の人材育成トレンド予測|AI×ヒューマンスキルを「成果」に変える設計ポイントもあわせてご覧ください。

HOT + HUMAN|ウェルネス・心理的安全性・コンパッション

ウェルネス:「Burn Bright」という新しい概念

CCL(Center for Creative Leadership)のセッションでは、燃え尽き症候群(Burn Out)の対概念として「Burn Bright(健全に燃え続ける)」が提唱されました。ウェルネスが業績に直結するデータも示されています。

ウェルネスがパフォーマンスに与える影響

仕事の満足度

+1%

生産性向上

+6.6%

出典:CCL(Center for Creative Leadership)セッション

ウェルネスを構成する6つの要素として「目的」「レジリエンス」「つながり」「成長」「健康」「モチベーション」が挙げられ、日常の隙間時間(タイムコンフェッティ)を意図的に活用する具体的なヒントも共有されました。

心理的安全性:GIFTモデル

Great on the JobのCEO、Jodi Glickman氏は心理的安全性を高めるためのGIFTモデルを紹介しました。管理職のエンパシー向上に直結する実践的なフレームワークです。

心理的安全性を高める「GIFT」モデル

G

Generosity(厚情)

時間をつくって話をよく聞く。メンバーを承認し、相手を大切にする

I

Initiative(自主性)

メンバーの成長機会を自ら主体的につくり、建設的なフィードバックを伝える

F

Forward momentum(促進力)

常に戦略的に考え、次の行動を決めて前向きな見本となる

T

Transparency(透明性)

常に情報を共有し、自己開示をし、定期的にガイダンスとフィードバックを伝える

コンパッション × リーダーシップ

MRG社の5,764名を対象とした360度調査では、6つのコンパッションコンピテンシー(公平性・包括性・心理的安全性・信頼性・成長支援・コンフリクト対応)がすべて高い「コンパッションリーダー」はわずか15.7%にとどまることが判明しました。

コンパッションリーダーの割合(MRG社 n=5,764)

6つのコンパッションコンピテンシーがすべて上位半分に入るリーダー

15.7%

しかし、コンパッションの高いリーダーは目標達成力・判断力・ビジネス適性・上位層の巻き込み力も高い

コンパッションは「優しさ」ではなく「成果を出すためのスキル」として捉え直す必要があります。コンパッションを高める5つの行動として、共感を示す、戦略的に考える、意見を求める、明確にコミュニケーションする、協力するが挙げられました。

コンフリクトレゾリューション:3つの失敗パターン

Next Element社のNate Regier氏は、上司がコンフリクトに対応する際に陥る3つの失敗パターンを示しました。

上司がコンフリクトで陥る3つの失敗パターン

暴君(Iron Fist)

「やれ、さもなくば」と強権的に押し付ける

→ 優秀な人材が離れる。信頼を失う

逃げ腰(Too Nice)

対立を避け、相手に合わせすぎる

→ 何も進まない。チームが頼れない

猪突猛進(Fixers)

「任せろ、やり方を教える」と過干渉になる

→ 本人が燃え尽き、メンバーの自律性が育たない

解決策:コンパッションとアカウンタビリティのバランスを保つ

管理職のリーダーシップ開発について詳しくは、管理職・実践型マネジメント研修をご覧ください。

💡 ATD2025の知見を自社の研修に活かしませんか?

最新トレンドをもとにした実践型プログラムをご提供しています。貴社の課題に合わせたカスタマイズも可能です。

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HOT + TECHNOLOGY|AI活用の最前線

AIリテラシー:12のコンピテンシーと「3Hモデル」

UMU社のWilliam Rintz氏は、生成AI時代に求められる12のAIリテラシーコンピテンシーを提示しました。基礎知識、ツールの活用スキル、プロンプトエンジニアリング、AI生成コンテンツの判別力、倫理・法的側面の理解などが含まれます。

人間とAIの役割分担については「3Hモデル」が紹介されました。

人間 × AIの「3H」モデル ― 役割分担の整理

🧠

Head(頭)

情報収集と整理をAIと協働
調査・分析・要約はAIの得意領域

❤️

Heart(心)

パッションや意義は人間のみ
共感・倫理判断・ビジョンは人間固有

Hand(体)

単純作業をAIに委任し結果を検証
ルーチン業務の自動化+品質チェック

AIの課題と「Trust & Verify」

LLMの3大課題としてハルシネーション(虚偽の情報生成)・ドリフト(時間による回答の変動)・バイアス(偏り)が挙げられました。これらに対する現実的な対策として「信頼するが検証する(Trust & Verify)」の習慣を組織に定着させることが不可欠です。

AI時代の柔軟性:100万人のデータが示す真実

Zenger Folkman社の100万人分の360度評価データ分析から、柔軟性(Adaptability)がリーダーの全体評価と最も強く相関することが判明しました。しかし柔軟性はデジタルスキルと同様に年齢と逆相関するため、特に50歳以上のマネージャー層の強化が急務です。

柔軟性を高める6つのコンピテンシーとして、メンバーの動機付け・人間関係構築・信頼構築・多様性の受容・チームワーク強化・フィードバックの受容と実行が挙げられました。AIリテラシーを高める前に、まず土台としてのヒューマンスキル(柔軟性)を強化することが最重要課題です。

グローバル環境での柔軟性強化については、グローバル人材育成研修をご覧ください。

L&D BASICS|リーダーシップ・研修設計・効果測定

リーダーシップ研修の3大問題と解決策(DDI)

DDI社CEOのTacy Byham氏は、リーダーシップ研修が機能しない3つの根本原因を指摘しました。

リーダーシップ研修が機能しない3つの問題と解決策

問題 1

ビジネスの変化に合っていない

解決策

コンピテンシーからではなく、ビジネスニーズから研修を企画する

問題 2

パイプラインとつながっていない

解決策

受講者のステージに応じた育成ポートフォリオを構築する

問題 3

汎用的すぎて個人に合わない

解決策

アセスメントで個別カスタマイズ(パイプライン2倍強化の実績)

パーソナライズラーニングジャーニーの実践事例

アイディア社の代表ジェイソン・ダーキーとNext PracticesのIan Townley氏は、ATDで2年連続登壇となるセッションでパーソナライズラーニングジャーニーの成功事例を発表しました。日本の製薬メーカーR&D部門のグローバルマネージャー育成ケースでは、個別ニーズ診断→月1テーマ×6か月のジャーニー→3段階の効果測定(自己申告・実力診断・職場実践発表)という設計で実測可能な成果を得ています。

研修効果測定:ASMLの全社展開モデル

半導体露光装置メーカーASML社(従業員44,000人)の事例では、フィリップスのROIモデルを全社に展開しています。KPIトラッキング・受講者ヒアリング・ROI分析の3段階をバランスよく実施し、ダッシュボードでリアルタイムに可視化しています。

ASML社の研修効果測定の成果

学習投資のROI

212%

離職率の改善

12%

社内登用率の向上

10%

研修効果測定 × AI(Kirkpatrick Partners)

Kirkpatrick Partnersのセッションでは、カークパトリックの4レベルモデルとAIの組み合わせが紹介されました。

カークパトリック4レベル × AI活用のヒント

Level 1

反応

AIチャットボットによるアンケート収集・分析

Level 2

学習

AIロールプレイシミュレーションでスキル到達度を測定

Level 3

行動

AIによる実行計画策定・進捗管理・上司向けチェックリスト自動生成

Level 4

結果

AIによるデータ分析・ダッシュボード作成・ROI算出

研修効果測定の代表的なモデル比較について詳しくは、研修効果測定モデル比較|カークパトリック・フィリップス・LTEM・SCMを解説もご覧ください。また、研修の定着フォローについては研修の定着フォローをご参照ください。

参加者の声

報告会に参加いただいた約400名の皆様から、多くのフィードバックをいただきました。その一部をご紹介します。

★★★★★

膨大な情報を要点に絞って整理してくれた

膨大な情報をマッピングしながら要点を絞って説明してくださり、非常にわかりやすかったです。3名のアイディア社の方が交互に話してくださったので、飽きずに2時間聞くことができました。

— 人材育成ご担当者様

★★★★★

効果測定×AI活用という意外な組み合わせにヒントを得た

効果測定にAI活用ができるというのは意外であり、ぜひ検討してみたいと思いました。HR側だけでなく現場や上長にも負担がかかると感じてなかなか踏み込めていなかったので、ヒントをいただきました。

— 人材育成ご担当者様

★★★★★

コンパッション×リーダーシップが自社の課題にヒットした

コンパッション×リーダーシップがあまりに自分の職場にヒットしていたため、思わず身を乗り出して聞いてしまいました。管理職登用の基準が不透明であることも課題だと改めて感じました。

— 人材育成ご担当者様

★★★★★

ATD現地参加者としても学びを深められた

情報量が潤沢で得るものが多い時間でした。ATD-ICE2025に現地参加したのですが、自分が聞けなかったセッションを日本で解説いただき、学びをさらに深めることができました。

— 人材育成ご担当者様

セミナー動画(無料公開中)

当日のライブ配信を全4パート・無料で公開しています。各パートのテーマに合わせてご覧ください。

Part 1. OVERALL|人材育成部門に必要なマインドシフト

Part 2. HOT+HUMAN|ウェルネス・心理的安全性・コンパッション

Part 3. HOT+TECHNOLOGY|AI活用の最前線

Part 4. L&D BASICS|リーダーシップ・研修設計・効果測定

レポート資料の無料ダウンロード

本イベントで使用した全58ページのフルカラーテキストを無料で公開・配布しています。関係者の皆様でぜひご共有・ご活用ください。※同業他社様のダウンロードはお控えください。

よくある質問(Q&A)

Q1. ATD(ATD人材育成国際会議)とは何ですか?

ATD(Association for Talent Development)は1943年に設立された、世界最大級の人材育成・組織開発に関する非営利団体です。世界120カ国以上に4万名の会員を擁し、毎年開催される国際会議(ATD-ICE)には80カ国以上から約1万名が参加します。人材育成の最新トレンド・成功事例・テクノロジー活用などを学べる場として、世界最高水準のイベントとして知られています。

Q2. ATD2025ではどのようなテーマが取り上げられましたか?

ATD2025では13のセッショントラックが設けられ、特に注目を集めたのはAI×ヒューマンスキル、ウェルネス(Burn Bright)、コンパッションリーダーシップ、心理的安全性、研修効果測定のROIモデルなどです。「テクノロジー」と「ヒューマン」の交差点にあるテーマが多く、AIを活用しながらも人間ならではのスキルを高めることが世界的な潮流となっています。

Q3. コンパッションリーダーとは何ですか?

MRG社の5,764名を対象とした調査で定義された、6つのコンパッションコンピテンシー(公平性・包括性・心理的安全性・信頼性・成長支援・コンフリクト対応)がすべて高いリーダーです。該当するのはわずか15.7%ですが、コンパッションの高いリーダーは目標達成力やビジネス適性も高く、「優しさ」ではなく「成果を出すスキル」として注目されています。

Q4. 報告会の動画やレポートは入手できますか?

はい、本記事内で全4パートの動画を無料公開しています。また全58ページのフルカラーレポートを無料レポートダウンロードページからダウンロードいただけます。社内共有や検討資料としてご活用ください。

Q5. ATD2025のトレンドを自社の研修に取り入れるには?

アイディア社では、ATDの最新トレンドを踏まえた実践型の企業研修プログラムをご提供しています。管理職研修・グローバル人材育成研修・コミュニケーション研修など、貴社の課題に合わせたカスタマイズが可能です。まずはお問い合わせフォームまたはお電話(03-5368-0890)よりお気軽にご相談ください。

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