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人材育成トレンド2027|AI×ヒューマンで決める階層別の育成設計──グローバル3レポート・ATD2026・自社調査で読む

2027年の人材育成トレンドは「AI×ヒューマン」に収束します。AIを導入しているかどうかはもう差になりません。AIに任せる領域と、人間側で鍛える領域をどう線引きし、階層ごとの育成に落とし込むか。その設計の差が、2027年の成果を分けます。

毎年12月から1月にかけて、世界の研修会社・人事コンサルタント・調査機関から翌年の人材育成トレンドレポートが公開されます。当社(IDEA DEVELOPMENT)では毎年これらを精読し、日本企業の育成計画にどう効くかを分析してきました。前回の2024年版・2022年版も含め、本記事はその年次更新版です。

2027年版が前回までと違うのは、予測レポートの要約にとどまらず、2026年に出そろった実測データで前年の予測を答え合わせしてから、2027年の設計を決める点です。参照したのは、The Josh Bersin Company「2026 Imperatives」、TalentLMS「2026 L&D Report」(2025年9月調査)、Donald H. Taylor「L&D Global Sentiment Survey 2026」のグローバル3レポート、世界最大の人材育成会議ATD2026の現地報告、そして当社代表ジェイソン・ダーキーのHR NOTE寄稿「2026年のトレンド予測:AI×ヒューマン」と当社の2026年独自調査です。

2027年の人材育成トレンドは「AI×ヒューマン」に収束する

結論から言えば、2027年のトレンドはAIそのものではなく「AIと人間の掛け算」です。AIの導入率はすでに頭打ちに近く、差がつくのは人間側の設計に移っています。

変化は言葉のトーンに表れています。ジェイソン・ダーキーはHR NOTE寄稿(2026年1月)で、各社レポートの論調の変遷をこう整理しています。2024年は「AIはすごい」という掛け声が主役でした。2025年は「AIを使わなくてはダメ、さっそく試そう」という実験の年になりました。そして2026年のレポート群で主流になったのは「AIだけではダメ。AI×ヒューマンの掛け算があって初めて成果につながる」という見方です。

数字もこの流れを裏づけます。Donald H. Taylorの調査では、2023年秋の時点で生成AIを「実施中」と答えた人材育成担当者は55%でした(当社2024年版記事で紹介)。それが2025年9月のTalentLMS調査では、AI研修を「まだ提供していない」企業はわずか6%です。2年で「導入したか」という問いはほぼ意味を失い、問いは「導入した先で何が起きているか」に変わりました。

AI×人材育成の論調はどう変わったか(2024年→2027年)

2024年 「AIはすごい」

生成AIが各社レポートの筆頭キーワードに。担当者の「実施中」は55%(Taylor調査・2023年秋)。まず体験する年

2025年 「使わなくてはダメ」

「業務にAIを足す」から「業務プロセスを再設計する」への段階論(Bersin)。小さな実験を回す年

2026年 「AIだけではダメ」

AI研修「未提供」は6%まで減少(TalentLMS・2025年9月)。ATD2026も前半10セッションすべてが「AI×人間の役割分担」。掛け算の年

2027年 「人間側の設計で差がつく」

AIに任せる領域と人間が担う領域を階層別に線引きし、定着と測定まで設計する。本記事の主題

この流れを自社に置き換えると、2027年の計画で問うべきことが変わります。「AI研修を入れるか」ではなく、「AIが入った職場で、どの力を人間側に残し、どう鍛えるか」です。導入が済んだ企業ほど、次の一手は研修メニューの追加ではなく、育成設計そのものの見直しになります。

なぜ「導入したか」が差にならなくなったのか?

理由は3つあります。第一に、普及率が飽和したことです。94%の企業が何らかのAI研修を提供している状況では、提供の有無は競争力になりません。第二に、AIは人を置き換えるのではなく「上乗せ」として働くことが、大規模データで示されたことです。ATD2026でMatt Confer氏が紹介した1,111社・4.43億時間の業務分析では、AIは既存の生産性に追加の層として働き、しかも優秀な層ほど活用して成果を伸ばしていました。NBERの調査でも、コールセンターの5,179名に生成AIを導入した結果、生産性は平均14%向上しています。差は「AIを持っているか」ではなく、「使う人間の側」で生まれます。

第三に、副作用が見え始めたことです。TalentLMSの調査では、従業員の36%が「生成AIツールのせいで、自力で問題を解決する力が弱っている」と答えています。AIが答えを出すほど、問いを立てる力や判断する力が鍛えられなくなる。2027年の育成設計は、この副作用への対処も含めて組む必要があります。AIツールを場面別にどう使うかは人材育成にAIを活用する5つの場面で整理しているので、本記事では「人間側に何を残すか」に絞って読み解いていきます。

2025年の予測はどうなったか——答え合わせから読む2026年の実態

2025年版で挙げた4つのテーマは、方向としてはすべて当たりました。ただし中身は1年で様変わりしています。AIは「導入」が終わって「役割分担」が論点になり、管理職のヒューマンスキルは「多様性への対応」が中心課題に移り、研修設計は「短く・分散し・職場で」が主流になり、効果測定は圧力だけが先に強まりました。

トレンド記事は毎年「来年はこうなる」と語りますが、前年の予測を検証した上で次を語るものは多くありません。本記事では、2025年1月に当社が示した4テーマを、2026年に公開された実測データで1つずつ確かめました。

2025年1月に予測したこと

2026年の実測データが示したこと

1. AIへの具体的な取り組み

「業務にAIを足す」段階から「業務プロセスを再設計する」段階へ進むべき。ほとんどの企業はまだ第1段階(Bersin)

→ 導入は終わり、論点は「役割分担」へ

AI研修を未提供の企業は6%(TalentLMS)。一方で人材育成部門の業務の60〜70%が自動化見込み(Bersin 2026)、従業員の36%は「自力で解く力が弱った」。何をAIに任せ、何を人が担うかが次の問い

2. マネジャーのヒューマンスキル強化

コーチング力・エンゲージメントを高める管理職育成が、AIと並ぶ継続テーマになる(Bersin・Off Beat Works)

→ 継続。中身は「多様な部下との対話」へ

リーダーシップ研修は2026年の優先度2位・64%(TalentLMS)。しかし「自社のリーダーは優秀」と答える経営者・育成担当は40%にとどまり20年間ほぼ改善なし(DDI)。当社調査では新任管理職の悩み1位が「多様性によるコミュニケーションの難しさ」28%

3. 研修効果を高める

少人数制、90分単元のインプット20・アウトプット60・プランニング10分配分、朝6〜8時・夕方16時以降のリマインダー(Actionable・1,452社データ)

→ 「短く・分散し・職場で」が主流に

研修中のマルチタスクは58%→70%に増加、「時間がない」が3年連続で最大の障壁(TalentLMS)。長いコースから学習ジャーニーとパフォーマンスサポートへ移行(Taylor GSS 2026)。20-60-10の設計は職場に分散させる前提で生きる

4. 研修効果を測定する

行動変容と成果を測り、経営層に示すことが育成部門の必須業務になる

→ 圧力は強まったが、実装は4割弱

研修を「投資ではなくコスト」と見る経営層は54%から41%へ減った一方、事業成果で測っている企業はまだ37%(TalentLMS)。GSS 2026でも「価値の証明」が課題2位で、「圧力」への言及が急増

変わらない原則:AIが普及しても、成果を分けるのは「分かる」を「できる」に変える定着の設計と、それを測って示す仕組みです。

4行を見比べると、2027年に向けて動く方向がはっきりします。AIと管理職育成は「やるかどうか」ではなく「何をどう分担し、どんな対話を鍛えるか」の段階に入りました。研修設計と効果測定は、必要性の認識は十分に広がった一方で、現場の時間不足と測定の実装不足がボトルネックです。つまり2027年の計画で手を入れるべきは、新しいテーマの追加ではなく、この4テーマそれぞれの「次の段階」です。以下の4つのH2で、1つずつ具体化します。

本記事が参照した一次情報

グローバルの動向は、The Josh Bersin Company「2026 Imperatives: The Superworker Organization」(HRテクノロジーとAIエージェントの視点)、TalentLMS「The 2026 L&D Report」(2025年9月、米国のHR担当者101名・従業員1,000名を調査した実態データ)、Donald H. Taylor「L&D Global Sentiment Survey 2026」(105カ国・約3,700名の人材育成担当者の意識調査)の3本を軸にしました。

これに、2026年5月にロサンゼルスで開かれた世界最大の人材育成会議の現地報告「ATD2026レポート|AI×人間性で読む人材育成トレンド」、当社代表ジェイソン・ダーキーのHR NOTE寄稿「2026年のトレンド予測:AI×ヒューマン」(2026年1月)、マネージャー育成フォーラム2026(2026年6月)で公開した当社の管理職ニーズ調査、人材育成×AIフォーラム2026(2026年7月)の実装プログラムを重ねています。海外の調査結果を日本企業の現場に引き寄せる役割は、この自社素材が担います。

AIは「導入」から「役割分担」へ——何を任せ、何を人が担うのか?

2027年のAI活用の論点は「どのツールを入れるか」ではなく「何をAIに任せ、何を人が担うか」です。AIは人を置き換えるのではなく、既存の生産性に上乗せされる層として働きます。だからこそ、分担の線引きを設計した企業と、ツールを配っただけの企業とで成果が開きます。

2026年に公開された数字を3つ並べると、この構図が見えてきます。

60〜70%
人材育成部門の業務のうち自動化が見込まれる割合
(The Josh Bersin Company 2026)
+14%
生成AI導入後のコールセンター5,179名の生産性向上
(NBER調査・ATD2026で紹介)
126%
AIロールプレイ導入後のトレーナー生産性
(パーソルキャリア・ATD2026登壇事例)

3つの数字は主体が違います。1つ目は育成部門自身の業務、2つ目は一般従業員、3つ目は研修を提供する側のトレーナーです。つまりAIの影響は「受講者が使う」だけでなく、研修を作る側・教える側にも同時に及びます。人材育成担当者にとっての示唆は、自分たちの業務の6〜7割が自動化候補になる中で、残る3〜4割に何を置くかを先に決めることです。教材作成や集計をAIに渡し、浮いた時間を設計・対話・職場の巻き込みに回す。この配分を決めないまま導入すると、効率化だけが進んで育成の質は変わりません。

線引きの基準は「水平系」か「垂直系」か

分担の基準として最も使いやすいのが、ATD2026でRyan Gottfredson氏が示した「水平系能力」と「垂直系能力」の区別です。水平系とは知識・分析・効率といった、量と速さで測れる能力で、ここはAIが人間を上回ります。垂直系とは自己認識、EQ、マインドセット、不確実さや複雑さに耐える力といった、その人の「あり方」に根ざす能力で、ここが人間の価値として残ります。

この線引きを育成に当てはめると、知識系の研修はAIと自己学習に任せる比率を上げ、垂直系の能力は対面と対話に時間を集中させる、という配分になります。ATD2026では前半10セッションすべてがこの「AIと人間の役割分担」を通底テーマにしており、分担設計が世界の人材育成の共通課題になったことがわかります。各セッションの詳細はATD2026レポートにまとめています。

役割分担を設計した企業は何を変えたか

パーソルキャリアの営業オンボーディングは、分担設計の失敗と成功の両方を示す事例です。同社は当初、AIロールプレイへの過剰な期待(難易度を見誤り受講者の意欲が下がる)と、AIとトレーナーの役割境界があいまいなこと(内容が重複し気づきが生まれない)の2つでつまずきました。そこで、分かる人が関わる導入、AIでの反復練習、EQの育成、実商談、AIでの壁打ち、トレーナーとの1on1という6ステップに役割を分け直しています。結果は、トレーナー数が19名から15名に減りながら生産性は126%に向上し、上位層のAIロールプレイ回数は31%増えました。AIが反復を、人が気づきと関係づくりを担う分担が機能した形です。

当社のグローバル実践力強化研修でも同じ分担を取り入れています。従来は外国人講師がいなければ練習できず、練習時間を増やすほど講師費用が増えるという制約がありました。英語での反復演習とフィードバックをAIに任せ、講師は日本語でのセミナーと少人数の実践演習に専念する構成に変えた結果、受講者の練習時間は15時間から20時間に増え、講師費用は下がりました。AIで安くするのではなく、AIで練習量を増やす。役割分担の設計は、この順番で考えると成果につながります。

AIリテラシーとは操作ではなく、4つの判断である

役割分担を現場で機能させるには、従業員一人ひとりが「この仕事はAIか、人か、両方か」を判断できる必要があります。当社ではAIリテラシーを、ツールの操作ではなく次の4つの判断(4C)として定義し、若手向けの実践型AIワークショップで鍛えています。

1

Choose(選択)——AIのみ、人間のみ、人間+AIのどれで進めるかを決める

使う前に分担を決めます。水平系の作業はAI、垂直系の判断は人、その組み合わせが必要な仕事は人間+AI。ここを飛ばすと、AIに向かない仕事までAIに流れます。

2

Communicate(指示出し)——AIに適切な指示を出す

目的・役割・相手・成果物を言葉にして渡します。指示の質は、そのまま本人の「問いを立てる力」に比例します。

3

Confirm(ブラッシュアップ)——AIの出力を検証し、磨く

間違い・浅さ・平凡さを見抜いて直します。ここで人間の判断力と発想力が働き、AIの出力が自社の文脈に合った成果物に変わります。

4

Commit(再確認)——成果物の質に自分で責任を持つ

最終的な品質を担保するのは人です。AIが作ったからという言い訳をなくし、相手に出す前の確認を習慣にします。

4Cの順序が示すのは、AI活用の質は「使い方」より先に「任せ方の判断」で決まるということです。ツール研修を何回行っても、Chooseの判断ができなければAIは仕事の一部を機械的に置き換えるだけに終わります。2027年のAI研修で教えるべき中身は、操作手順ではなく、この4つの判断を自分の業務で回す経験です。ワークショップでは各自が実際の業務テーマを持ち込み、職場で試し、グループコーチングで振り返り、最後に上位層へ成果を発表する10週間で設計しています。

AIと人間の役割分担をテーマにしたATD2026の23セッションは、現地報告会レポートで図解つきにまとめています。パーソルキャリア事例の6ステップや、AI時代のリーダーシップ開発の実例もこちらから確認できます。

▶ ATD2026 帰国報告会レポートを無料でダウンロードする|▶ ATD2026レポート記事を読む

AI時代に人間側で鍛える8つの力とは?——マインド4×ヒューマンスキル4

AIに任せる領域を決めたら、次は人間側に残す力を具体的に名指しする番です。当社代表ジェイソン・ダーキーは、2026年のトレンド予測で「これから必要となる人間力」を、知識や情報に関わるマインド4つ(質問力・判断力・発想力・対応力)と、人に関わるヒューマンスキル4つ(共感力・理解力・表現力・協働力)に整理しました。2027年の育成計画は、この8つのどれをどの階層で鍛えるかを決めるところから始まります。

前提はシンプルです。暗記・情報収集・単純な情報整理は、AIのほうが人間よりはるかに速く正確です。人間がかなわない分野はAIに任せ、代わりに人間はAIが苦手とする部分で能力を発揮する。その「AIが苦手とする部分」を分解したのが、次の8つです。

AI時代に求められるマインドとヒューマンスキル(ジェイソン・ダーキー、HR NOTE寄稿 2026年1月をもとに作成)

マインド——知識・情報に関わる力

AIが情報を出す速さと量で人間を上回るからこそ、情報の「手前」と「先」で価値を出す力

ヒューマンスキル——人に関わる力

AIで情報は取れても、人の気持ちをつかみ、響く形で伝え、一緒に動く力は人間にしか出せない

▼ 8つの力と、AIが入ると薄れる場面・鍛える施策
1

質問力

マインド

強い好奇心を持って様々な切り口から考え、AIに鋭い質問をして付加価値のある情報を引き出す力。答えられる能力より、問える能力が差になります。

薄れる場面/鍛える施策:AIに最初の答えをもらう習慣で問いが浅くなる / プロンプトを「問いの設計」として扱う演習、管理職の気づかせる質問

2

判断力

マインド

AIを使えば誰でも同じ情報が手に入る時代に、同じ情報から他と違う気づきを得て、最適な判断をする力。分析力・解釈力が競争力になります。

薄れる場面/鍛える施策:AIの出力をそのまま採用して解釈を飛ばす / AIの出力を分析・訂正する演習、海外MBAはAIを使って判断力を鍛える研修を実施済み

3

発想力

マインド

発想・想像・アイディアは人間がAIより明らかに得意な領域。人間の発想とAIの情報収集力・スピードを組み合わせると、新しい価値が生まれます。

薄れる場面/鍛える施策:AIの平均的な案で満足する / アイディアを出す前のニーズ把握、発想技法、ブラッシュアップの3点セット(当社の発想力開発研修・2003年から数百回の結論)

4

対応力

マインド

激しい環境変化に柔軟に対応するアジリティと、変化でダメージを受けないレジリエンス。変化によって自分が成長し、視野が広がると感じられる姿勢を含みます。

薄れる場面/鍛える施策:知識を教えるだけでは身につかない / 対応後の振り返りとコーチングで経験学習サイクルを回す(担当者の役割)

5

共感力

ヒューマンスキル

相手の気持ちや感情をどこまで適切につかんで共感できるか。AIで情報は取れても、人の気持ちを汲むことは難しいため、求められる水準はさらに上がります。

薄れる場面/鍛える施策:一人で画面に向かう仕事が増え、鍛える機会が減っている / 受講者同士が交流する対面研修を「共感力を高める場」として設計し直す

6

理解力

ヒューマンスキル

相手の言葉だけでなく、その裏にある意図や意味、さらに奥にある思いまで深く察知する力。従来は長い経験とセンスが必要でした。

薄れる場面/鍛える施策:要約をAIに任せると「行間」を読む経験が積めない / 経験頼みだった深い理解を短期間で身につけさせる傾聴・質問の訓練(担当者の重要ミッション)

7

表現力

ヒューマンスキル

文字・数字・ビジュアル・映像・音声と表現方法が増え続ける中で、相手と状況に合わせて最適な内容と方法を選び、響くように伝える力。

薄れる場面/鍛える施策:AIが作るきれいだが平凡で記憶に残らない資料 / 全体構成とリハーサルをAIで補助しつつ、発表とフィードバックは人が担うプレゼンテーション研修

8

協働力

ヒューマンスキル

人と人とのスムーズな連携、コラボレーション、チームワーク。他のメンバーと円滑に仕事を進め、相乗効果を生み出す力です。

薄れる場面/鍛える施策:AIとの一対一の作業が増え、人と組む経験が減る / OJT・ハッカソン・プロジェクトなど集中的な共同体験

8つを見渡すと、2027年の育成設計の輪郭が決まります。上段のマインド4つは「AIに問い、AIの答えを疑い、AIにない案を出し、変化に向き合う」という、AIと組んで働くための思考習慣です。下段のヒューマンスキル4つは「相手をつかみ、深く理解し、響く形で伝え、一緒に動く」という、人と働くための対人技術です。研修メニューを決める前に、自社の各階層がこの8つのどこで弱いかを確かめると、投資先が絞れます。

なぜ「問う力」「考える力」から手を付けるのか?

理由は、放っておくと最初に弱る力だからです。TalentLMSの2026年調査では、従業員の36%が「生成AIツールのせいで自力で問題を解決する力が弱っている」と答えました。学生時代からAIに頼ってきた世代が入社する今、思考力の低下は新入社員で先に目立ち始めています。

当社が2026年に始めた新入社員向けの思考力強化プログラムは、この問題への直接の対処です。1日の集中研修のあと、3カ月間・毎日30分の訓練を続けます。内容は、ロジカルにプロンプトを書く、AIが出した粗い出力(いわゆるAIスロップ)を分析して訂正する、データを解釈して対応を提案する、オリジナルのアイディアを出す、相手に合わせて伝え方を変える、といった演習です。AIを使わせないのではなく、AIを材料にして質問力・判断力・発想力を鍛える設計にしています。発想技法そのものの選び方はアイデアを大量に出す5つの発想法で、管理職が部下の思考を引き出す問いの技術は気づかせる質問の記事で扱っています。

対面研修の役割は「共感力を鍛える場」へ変わる

ヒューマンスキル側で見落とされがちなのが、鍛える機会そのものが減っている点です。一人でPCの画面に向かう仕事が増え、人の気持ちを読む場面は日常から減りました。研修中でさえ、TalentLMSの調査では受講者の70%が別の作業を同時に行っていると答えています(2024年の58%から増加)。

だからこそ、対面研修の価値は「知識を教える場」から「受講者同士が交流し、共感力・理解力・協働力を使う場」に移ります。知識のインプットはAIと自己学習に任せ、対面の時間は相手の話を聞き、意図を察し、一緒に課題を解く演習に集中させる。若手向けには傾聴トレーニング(相手の真意をつかむ5つの行動)で、管理職向けの聞き方は心理的に安全な場は「聞き方」でつくるで具体化しています。

2027年の大きな流れは、テクニカルスキルよりヒューマンスキルを高めることです。ただし研修だけでは身につきません。研修、活かせる機会、職場で役立つツール、コーチングを組み合わせて、8つの力を高い水準に持っていく。その組み合わせを階層ごとに決めるのが、次に見る管理職育成と研修設計の論点です。

管理職のヒューマンスキルは「データで設計する」段階へ——なぜ20年変わらないのか?

管理職育成は2027年も最優先テーマであり続けますが、「一般論のマネジメント研修」を続ける限り成果は出ません。必要なのは、管理職が実際に何に困っているかを調査で特定し、現在地をアセスメントで測り、成果を検証する「データで設計する」管理職育成への転換です。

優先度の高さは数字に表れています。TalentLMSの2026年調査では、リーダーシップ研修はデジタルスキルに次ぐ優先度2位(64%)でした。ところがDDIのGlobal Leadership Forecastによれば、「自社のリーダーは優秀だ」と答える経営者・人材育成担当者は40%にとどまり、この数字は20年間ほぼ改善していません。ATD2026でJD Dillon氏が示した現場の実態はさらに厳しく、フロントラインマネージャーの82%は正式な訓練を受けずに上司になった「偶然の上司」で、研修予算の25%・約890億ドルをリーダーシップ開発に投じながら、75%の組織が効果を実感していません。投資しているのに変わらない。原因は量ではなく設計にあります。

管理職は本当は何に困っているのか——当社2026年調査から

設計を変える出発点は、管理職本人の悩みを具体的に知ることです。当社がマネージャー育成フォーラム2026(2026年6月)で公開した調査では、新任管理職のコミュニケーションの悩みは次のように分布しました。

新任管理職のマネジメント上のコミュニケーションの悩み(当社調査・2026年)

悩みの1位は「多様性によるコミュニケーションの難しさ」。上位3項目で全体の7割を占める

多様性への対応の難しさ
28%
時間・人数が足りない
21%
実践への不安
21%
理解度確認・意見の引き出し
17%
メンタル不調への対応
10%
中間管理職の負荷
3%

読み方:最大値28%を100%として各バーの長さを表示。同じ調査で「研修で最も良い学びになったこと」の1位は「気づかせる質問」(48%)、2位は「心理的安全性」(32%)でした。

この分布が示すのは、新任管理職の悩みの中心が「指示の出し方」ではなく「自分と違う背景を持つ部下との対話」に移ったことです。世代・国籍・働き方・価値観の異なるメンバーに、どう伝え、どう引き出すか。管理職手前の次世代リーダー層でも、悩みの上位は「Z世代・世代差」(25%)と「個別対応・マネジメントのバランス」(25%)で、同じ構図でした。そして研修で最も役立ったと答えたのが「気づかせる質問」と「心理的安全性」です。つまり2027年の管理職研修で増やすべき中身は、多様な部下との対話技術であり、鍛える手段は質問と聞き方の反復演習です。前章の8つの力でいえば、共感力・理解力・表現力を管理職の文脈に落とした形になります。

ただし共感だけでは足りません。ATD2026でKenneth Nowack氏らが示した研究では、共感力の高いリーダーほど批判的な会話を避け、評価を甘くする傾向がありました。部下の65〜72%がタイムリーなフィードバックを求めているのに、効果的に返せている上司は5人に1人です。多様な部下に寄り添う力と、言いにくいことを伝える力はセットで鍛える必要があります。後者の型は事実・解釈・期待で伝えるネガティブフィードバックで解説しています。

「データで設計する」管理職育成の3つの手順

20年変わらなかった構図を変えるには、研修の中身より先に設計の手順を変えます。第一に、ニーズを調査で決めることです。上の調査のように、自社の管理職が何に困っているかを割合で把握すれば、「マネジメントの基本」を網羅する研修から、悩みの上位3項目に時間を集中する研修に組み替えられます。

第二に、現在地をアセスメントで測ることです。当社では半日のシミュレーション演習で、ティーチング・コーチング・モチベーション・プレゼンテーションの4領域をレーダーチャートで可視化し、一人ひとりの個別プログラムを組みます。受講者全員に同じ研修を受けさせるのではなく、弱い領域に時間を配分する前提が、この測定で初めて成り立ちます。設計の詳細は管理職アセスメントで実力を可視化するにまとめています。

第三に、成果で検証することです。ATD2026で報告された電力会社Entergyの事例では、管理職候補・部長候補・次期役員の3階層のリーダーシップ開発をサクセッションプランと連動させた結果、チーム生産性が77%向上し、管理職候補プログラムの受講者は97%が定着、71%が初めての管理職に昇進しました。Zenger Folkman社のJoe Folkman氏のデータでも、推測ではなく課題分析に基づいて改善を実行した組織で、エンゲージメントが53%から62%に上がっています。従業員のエンゲージメントの70%は直属の上司とチーム環境で決まる以上、管理職育成の成果は部下側の数字で測れます。

管理職研修の目的・内容・設計・効果測定の全体像は管理職研修の完全ガイドで整理しています。2027年版の論点は、その全体像の中で「調査→アセスメント→検証」の3手順を回せているかどうかです。

自社の管理職が何に困っているかを把握し、アセスメントで現在地を測ってから設計する管理職育成について、当社の調査データと実例をもとにご相談いただけます。

▶ 管理職育成の設計を相談する|▶ 管理職研修の完全ガイドを読む

研修は「イベント」から「ジャーニー+定着+測定」へ——なぜ届いていないのか?

2027年の研修設計で変わるのは中身ではなく「形」です。1日の集合研修というイベントを、職場での実践と定着フォローまで含むジャーニーに組み替え、その成果を測って示す。世界の人材育成担当者はすでにこの方向に動き始めていますが、受講者側には思ったほど届いていません。

Donald H. Taylorの「L&D Global Sentiment Survey 2026」は、105カ国・約3,700名の人材育成担当者に「12カ月前にはやっていなかったことで、今やっていること」を尋ねました。回答の中心は、AIの業務への組み込み、データで価値を示すこと、長いコースから学習ジャーニーとパフォーマンスサポートへの移行、コーチングと組織文化への領域拡大でした。同時に、回答文に「圧力」という言葉が例年より急増しています。担当者は形を変え始めている一方で、成果を示す圧力に追われているのが2026年の実態です。

ではその変化は受講者に届いているのでしょうか。TalentLMSの調査が示したのは、提供する側と受ける側の認識の差です。

「会社は従業員のAI学習を積極的に支援している」と答えた割合

人材育成・HR担当者 vs 従業員(TalentLMS 2026 L&D Report、2025年9月・米国調査)

人材育成・HR担当者
83%
従業員
64%

提供する側と受ける側で19ポイントの差。担当者が「用意した」と思う施策の2割強は、従業員には支援として届いていません。

この差を自社に置き換えると、メニューを増やす前に確かめるべきことが見えます。届かない最大の理由は時間です。TalentLMSの調査では「時間がない」が3年連続で学習の最大の障壁で、HR担当者の半数、従業員の53%が「業務量が多くて研修の余地がない」と答えています。忙しい受講者に1日の集合研修を用意しても、職場に戻った瞬間に止まります。届けるには、研修を短く分けて職場に埋め込み、学んだことを使う場面と振り返りをあらかじめ設計しておく必要があります。これがイベントからジャーニーへ移る本当の理由です。

「分かる」を「できる」に変える定着フォローを、AIで軽くする

当社は以前から、研修の成果を「研修の質×定着の質」で考えています。研修が10点でも定着が1点なら成果は10、研修が5点でも定着が5点なら25、両方10点なら100です。やりっぱなしの単発研修がいくら良くても、成果は伸びません。2025年版で紹介したActionableの実証データ(90分単元をインプット20分・アウトプット60分・プランニング10分に配分し、リマインダーはメールよりチャットで、朝6〜8時か夕方16時以降に送る)は、この定着側の設計を数字で裏づけるもので、2027年も有効です。

変わったのは、定着フォローにかかる手間です。定着が大切だと分かっていても実行できない理由は、方法を知らないことと、仕組みを作る時間と人手がないことでした。当社が2026年に始めた「定着パック」は、定着プランの作成、教材作成、実施、効果測定の4段階のうち、教材(職場で思い出すヒント集、クイズ形式のリマインダー、活用状況アンケート)の作成をAIで行い、設計のノウハウと組み合わせます。新入社員向けの配属後フォローも同じ考え方で、3カ月間・毎日30分の自己学習による定着演習と、月1回30分の個別コーチングを組み合わせ、上司の負担を増やさずに成長を安定させる形にしました。人がやるべき設計と対話に時間を残し、繰り返しと集計はAIに渡す。前々章の役割分担を、定着フォローに当てはめた形です。

もう1つ、定着で決定的なのは上司の巻き込みです。ATD2026で紹介されたジョージア工科大学の新任管理職プログラムは、4カ月のブレンド型で、募集時に「全回出席」を受講条件にし、1回欠席で脱落という設計にした結果、出席率100%と具体的な行動変容を実現しました。受講者起点で設計して上司の負担を抑えつつ、上司と受講者の信頼を強める。ジャーニー全体の組み立て方はブレンデッドラーニングの設計ガイド(9週間ブループリント)、一人ひとりに合わせる方法はMyラーニングジャーニー、リマインダーの設計はナッジ理論で研修を定着させるでそれぞれ解説しています。

効果測定は「できるか」ではなく「どこから始めるか」

測定の必要性は、もう議論の段階を過ぎました。TalentLMSの調査では、HR担当者の75%が「育成戦略は会社のKPIと連動している」と答え、研修をコストと見る経営層は2022年の54%から2025年には41%に減っています。それでも事業成果で研修を測っている企業は37%にとどまります。GSS 2026でも「修了率や満足度を超えて価値を示すこと」が課題の2位でした。測りたいのに測れていない。原因の多くは「どこから始めればよいか分からない」ことです。

2027年の現実的な出発点は、全研修を測ろうとしないことです。ATD2026でErika Tedesco氏が示した3層のフレームでは、まず修了・出席・満足度という基本指標、次にスキルと知識の定着というパフォーマンス指標、最後に昇進・定着率・生産性というインパクト指標と、層を分けて必要な研修だけ上の層まで測ります。当社の「気軽な研修効果測定」も同じ考え方で、既存の研修1本を選び、職場実践の進捗アンケートで受講者を3分類(成果が出た人・出ていない人・途中で止めた人)し、成果が出た人と出なかった人だけに個別インタビューをして、成功事例をストーリーとして報告する手順です。アンケートの作成と集計、インタビューの文字起こしと要約はAIに任せられるため、担当者の手間は以前の数分の一で済みます。測定モデルの選び方は研修効果測定モデル比較、当社の実践手順は「出す→測る→伝える」3ステップにまとめています。

既存の研修を「ジャーニー+定着+測定」の形に組み替えたい、まず1本から効果測定を始めたいという段階からご相談いただけます。定着フォローと効果測定の設計を、AIで手間を抑えながら進める方法をご提案します。

▶ 定着フォロー・効果測定の設計を相談する|▶ 研修効果測定の方法(3ステップ実践ガイド)を読む

2027年に取り組む4つのアクション——階層別「AIに任せる/人を鍛える」

ここまでの4つのトレンドを自社の計画に落とすと、やることは階層ごとに「AIに任せる領域」と「人間側で鍛える力」を決め、その2つをつなぐ施策を置くことに集約されます。新入社員・若手・管理職・人材育成担当者の4階層について、当社が2026年に実際に設計・提供しているプログラムをもとに整理しました。

階層

AIに任せる領域

人間側で鍛える力と施策

1. 新入社員

AI依存で思考力が落ちた状態で入社してくる前提に立つ

事務作業・情報整理・反復演習

配属後の定着演習(ロジカル・ライティング・マナー等)をAI教材で毎日30分、3カ月。上司任せのフォローをAIで標準化し、上司の負担を増やさない

→ 質問力・判断力・発想力(思考力)

1日の思考力研修+3カ月×毎日30分の訓練。AIの粗い出力を分析・訂正する、データを解釈して提案する、自分の案を出す演習で、AIを材料に考える習慣を作る

2. 若手社員

AIを最も使う層。使い方より「任せ方の判断」が差になる

資料作成・情報収集・プレゼン準備・練習相手

全体構成からスライド、話す原稿、リハーサルまでAIで補助。従来は鏡の前や同僚と練習していた場面をAIコーチに置き換え、練習回数を増やす

→ 4Cの判断・表現力・協働力

実践型AIワークショップ(10週間:自分の業務テーマで試す→グループコーチング→上位層へ成果発表)。発表とフィードバックは人が担う。テクノロジー・ヒューマン・リアルの3領域を3日間で体験する集中研修も有効

3. 管理職

操作を覚える必要はない。可能性と注意点を知り、部下をフォローする

情報収集・資料・英語対応の判断、部下育成の反復練習

1日で「何ができるか・利点・注意点・管理職としてのフォロー」を4場面で押さえる。コーチングやネガティブフィードバックの練習相手はAIロールプレイに任せ、回数を確保する

→ 共感力・理解力・表現力(多様な部下との対話)

気づかせる質問、心理的安全性をつくる聞き方、事実・解釈・期待で伝えるフィードバック。半日のシミュレーション診断で現在地を測り、弱い領域に時間を配分する個別ジャーニーで鍛える

4. 人材育成担当者

業務の6〜7割が自動化候補。残す3〜4割を先に決める

教材作成・リマインダー・アンケート集計・インタビューの文字起こし・レポート

定着フォローの教材と効果測定の集計をAIで行い、「分かっているが手が回らない」で止まっていた定着と測定を実行に移す

→ ニーズ把握・設計・上司の巻き込み・コーチング

浮いた時間を、調査でニーズを決める、ジャーニーを設計する、上司を巻き込む、受講者と対話するという人にしかできない仕事に回す。担当者自身の体系的な学び直しも、オンデマンドなら50時間以内で可能

共通の原則:AIに渡すのは「反復・整理・集計」、人に残すのは「問い・判断・対話・設計」。階層が上がるほど、人間側の中身は思考から対話と設計へ移ります。

表を縦に読むと、人間側に残す力が階層とともに移っていくことがわかります。新入社員では「自分の頭で考える」力、若手では「AIに任せる判断と人に伝える力」、管理職では「多様な部下との対話」、担当者では「設計と巻き込み」です。横に読むと、どの階層でもAIに渡しているのは反復・整理・集計であり、AIがあるからこそ人間側の練習回数や対話の時間が増える設計になっています。AIで時間を浮かせること自体が目的ではなく、浮いた時間を8つの力に投資するのが、2027年の育成設計です。

4階層すべてを一度に変える必要はありません。前章までのデータに照らすと、最初に手を付ける価値が高いのは、悩みの分布がはっきりしている管理職と、AI依存の副作用が先に出る新入社員です。既存の階層別研修をどこから見直すかの判断軸は階層別研修の見直し方に、ニーズ把握から効果測定までの設計工程は研修設計の完全ガイドにまとめています。グローバル人材については、AIで英語の反復練習を担い、講師は実践演習に専念する分担をグローバル実践力の測り方とあわせて設計してください。

よくある質問(2027年の人材育成トレンド)

Q1. 2027年の育成計画で、最初に着手すべきことは何ですか?

新しい研修メニューを探す前に、階層ごとに「AIに任せる領域」と「人間側で鍛える力」を決めることです。本記事の8つの力(質問力・判断力・発想力・対応力・共感力・理解力・表現力・協働力)のうち、自社の各階層がどこで弱いかを確かめると投資先が絞れます。データに照らすと、悩みの分布がはっきりしている管理職と、AI依存の副作用が先に出る新入社員から手を付けるのが効率的です。

Q2. AI研修では何を教えればよいのですか?ツールの操作研修で十分ですか?

操作研修だけでは不十分です。AI研修を未提供の企業はすでに6%しかなく、操作の習得は差になりません。教えるべきは「この仕事はAIか、人か、両方か」を判断する力で、当社では選択・指示出し・ブラッシュアップ・再確認の4つの判断(4C)として定義しています。実際の業務テーマを持ち込み、職場で試し、振り返り、成果を発表する形にすると、操作ではなく判断が身につきます。管理職には操作より「可能性・利点・注意点・部下へのフォロー」の4点を押さえる1日研修が合います。

Q3. 管理職のヒューマンスキルは測れるのですか?

測れます。方法は2段階です。研修前は、半日のシミュレーション演習(指示出し・プレゼンテーション・会議・交渉・コーチング・フィードバック・動機づけ)を複数の講師が評価し、ティーチング・コーチング・モチベーション・プレゼンテーションの4領域をレーダーチャートで可視化します。研修後は、部下側の数字で測ります。従業員のエンゲージメントの70%は直属の上司とチーム環境で決まるため、エンゲージメント調査や定着率、昇進率の変化が管理職育成の成果指標になります。

Q4. AIと自己学習が広がる中で、対面研修はまだ必要ですか?

必要ですが、役割が変わります。知識のインプットはAIと自己学習に任せるのが2027年の基本で、対面に集める理由は「受講者同士が交流し、共感力・理解力・協働力を使う場」に絞られます。一人で画面に向かう仕事が増え、人の気持ちを読む経験が日常から減っている今、対面研修は共感力を鍛える数少ない機会です。対面の時間を講義ではなく、相手の話を聞き、意図を察し、一緒に課題を解く演習に充てると、集める価値が出ます。

Q5. グローバルのトレンドは、日本企業にそのまま当てはまりますか?

方向は当てはまりますが、優先順位は日本の実態で決める必要があります。本記事の3レポートは米国・英国の調査が中心で、たとえば「AI学習を会社が支援している」と感じる従業員は64%でしたが、日本企業では導入の進み方も世代構成も異なります。当社が2026年に行った管理職調査では、新任管理職の悩みの1位は「多様性によるコミュニケーションの難しさ」(28%)で、世界のレポートが指摘する管理職のヒューマンスキル強化という方向を、日本の現場の言葉で裏づけています。海外の傾向を軸にしつつ、自社の調査やアセスメントで優先順位を決めるのが、日本企業にとっての現実的な使い方です。

まとめ:2027年は「AI×ヒューマン」の掛け算を設計する年

2027年の人材育成トレンドは、AIそのものではなく「AIと人間の掛け算」に収束します。AIの導入はすでに差にならず、成果を分けるのは、何をAIに任せ、どの力を人間側に残し、どう鍛えて、どう測るかという設計です。

本記事で示した4つの動きを振り返ります。AIは「導入」から「役割分担」へ移り、水平系の作業をAIに渡し、垂直系の力を人が担う線引きが世界の共通課題になりました。人間側で鍛える力は、マインド4つとヒューマンスキル4つの8つに整理できます。管理職育成は、一般論の研修から、調査でニーズを決め、アセスメントで現在地を測り、成果で検証する「データで設計する」段階に入りました。研修の形は、1日のイベントから職場での実践と定着フォローを含むジャーニーへ変わり、効果測定は全研修ではなく1本から始める現実路線が主流です。

すべてを一度に変える必要はありません。自社の階層ごとに「AIに任せる領域/人間側で鍛える力」の表を埋めるところから始めれば、2027年の計画は新しいメニューの追加ではなく、育成設計の見直しとして動き出します。

2027年の育成計画を、AI×ヒューマンの視点で見直しませんか

階層別に「AIに任せる領域」と「人間側で鍛える力」を整理し、管理職のアセスメント、新入社員の思考力訓練、定着フォローと効果測定まで、当社の2026年の実装例をもとに設計をご提案します。現状の研修体系をお聞かせいただくところからで構いません。

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