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2023年の人材育成トレンド予測|5つのグローバル調査と6つの実践アプローチ

2023年の人材育成トレンド予測|IDEA DEVELOPMENTリモートカンファレンス

2023年1月17日、IDEA DEVELOPMENT株式会社は「2023年の人材育成トレンド予測」リモートカンファレンスを開催しました。海外の最新調査レポート5本と、日本企業ですぐ実践できる6つの研修手法を、VISION(方向性)とACTION(実践)の2部構成でお届けしたイベントです。

世界規模のeラーニングプラットフォームの受講データ、人材育成の成熟度ベンチマーキング、CLO(最高人材育成責任者)の優先課題、そして研修効果測定の最新調査──これらの一次情報を横断的に分析することで、「2023年に人材育成担当者が優先すべきこと」が浮かび上がりました。本レポートでは、その調査結果と具体的な研修手法をまとめてご紹介します。

研修設計の見直し・効果測定の強化をお考えの方へ

本記事で紹介するグローバルの調査データと実践手法をもとに、御社の研修プログラムの改善ポイントを一緒に整理します。ブレンドラーニングの導入、研修効果測定の仕組みづくりなど、お気軽にご相談ください。

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このレポートでわかること

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VISIONパートでは、Udemy Business、Mind Tools for Business、LinkedIn Learning、eLearning Guild、i4cpの5つのグローバル調査を横断的に分析し、2023年に人材育成担当者が押さえるべき方向性を整理します。ACTIONパートでは、その方向性を踏まえて日本企業で実践できる具体的な研修手法を解説します。

グローバル調査が示す5つの方向性

Udemy Business、Mind Tools for Business、LinkedIn Learning、eLearning Guild、i4cpの5つの調査を横断して見えてきたのは、表面上はバラバラに見える各テーマが「学習風土 → スキルギャップ → 育成手法の進化 → 効果測定」という因果のチェーンでつながっている、という構造です。

1. 学習風土(ラーニングカルチャー)の構築が土台になる

Udemy Businessの2023年レポートは、効果的な人材育成の第一条件として「強い学習風土」を挙げています。その理由は2つあります。従業員のエンゲージメントが高まること、そして細かいスキル単位で研修を行う際に、定着と職場活用がスムーズに進むことです。

Mind Tools for Businessの調査は、この「学習風土」の有無が組織の人材育成成果にどれほど影響するかを4段階の成熟度モデルで可視化しています。

人材育成の成熟度 ― 4ステージの分布

Mind Tools for Business調査:過半数の組織が成果につながらないステージ1にとどまっている

1. 単発的な研修提供
56%
2. 戦略的な研修提供
22%
3. 人材育成施策の提供
12%
4. 学習風土の実現
11%

ステージ1(56%)

成果になかなかつながらない。1人あたり育成費用 £626、デジタル予算比率 33%

ステージ2(22%)

成果につながることがある。1人あたり £875、デジタル予算比率 35%

ステージ3(12%)

成果につながっている。1人あたり £908、デジタル予算比率 40%

ステージ4(11%)

成果を高めている。1人あたり £705、デジタル予算比率 31%、社内コンテンツ比率 63%

注目すべきは、ステージ4の組織は1人あたりの育成費用がステージ3より低いにもかかわらず、最も高い成果を出している点です。費用を増やせば成果が出るのではなく、社内コンテンツの比率が63%と突出して高いことが示すように、「外部に頼らず自社に合った学習の仕組みを持っている」ことが成果の鍵になっています。自社の育成施策がどのステージにあるかを客観的に把握することが、改善の第一歩です。

2. スキルギャップの拡大とリスキルの緊急性

3つの調査が示すスキルギャップの実態

異なる調査機関が同じ結論に到達:スキルギャップは拡大しているが、対策は追いついていない

LINKEDIN LEARNING

46%

スキルギャップが拡大

前年比+9ポイント。経営者の49%が「従業員のスキルが戦略実行に不十分」と回答

LINKEDIN LEARNING

39%

リスキル施策は準備段階

実際に稼働しているリスキルプログラムを持つ組織はわずか15%

I4CP

12%

アップスキル施策が効果的

i4cp調査で自社のアップスキル施策を「効果的」と評価した割合。88%は改善の余地あり

スキルギャップが拡大している一方で、対策の準備は進んでいない──この「認識と実行のギャップ」が2023年の最大の課題です。LinkedIn Learningの調査では、スキルが活かされていないと感じる従業員の離職率は活かされていると感じる従業員の10倍に達しています。リスキルは「やるかどうか」ではなく「どこから始めるか」の段階に入っています。

スキルギャップの可視化やリスキル施策の設計について、具体的な研修事例と設計ノウハウを紹介しています。

▶ 研修設計の実践事例17選を見る▶ 研修について相談する

3. 受講者が求めているスキルの実態

Udemy Businessのプラットフォームデータからは、実際に受講者がどんなスキルを学んでいるかが見えてきます。「受講回数が多い講座」と「前年比で急増している講座」を比較すると、企業の人材育成がカバーすべき領域の変化がわかります。

Udemy Business ビジネス講座ランキング(2023年)

左が定番の人気講座、右が前年比で急増した講座。定番にはない新領域が急成長している

受講回数が多い ― 定番スキル

1

コミュニケーションスキル

2

プロジェクトマネジメント(PMP)

3

リーダーシップ

4

ビジネス分析

5

アジャイル / Scrum

前年比で急増 ― 新領域

1

CX(カスタマーエクスペリエンス管理) +449%

2

非言語コミュニケーション +268%

3

デジタル戦略 +230%

4

インダストリー4.0 +212%

5

ビジネスコミュニケーション +211%

左右を比較すると、コミュニケーションとリーダーシップは変わらず需要が高い一方で、CX(カスタマーエクスペリエンス)、デジタル戦略、インダストリー4.0といった「事業変革に直結するスキル」が急成長しています。従業員は「今の仕事をうまくやるスキル」だけでなく、「事業の未来を見据えたスキル」を自発的に学び始めている、ということです。人材育成担当者は、この2種類のスキルニーズを意識して研修ラインナップを点検する必要があります。

4. 人材育成予算は増加、しかし育成チームは多忙

LinkedIn Learningの調査では、人材育成予算が増える見込みの組織は48%に達し、6年間で最高水準を記録しました。特にAPAC地域では57%と他地域を上回っています。人材育成部門は経営層から戦略的パートナーとして認められ始め、72%が「より戦略的に動いている」、87%が「環境変化への対応に役立っている」と評価されています。

しかし、その裏側では人材育成チーム自身が深刻な多忙に陥っています。LinkedIn Learningのデータによれば、人材育成担当者の学習時間は前年比23%減、人事部門の同僚と比べて35%少ない状態です。DEI、リスキル、デジタルスキルアップ、リーダーシップ開発──すべてのプログラムの実施回数が前年より増えており、育成チームが「教えることに忙しくて自分が学ぶ時間がない」という矛盾に直面しています。

5. 研修の焦点を「インプット」から「職場の成果」へ

eLearning Guildの専門家たちが共通して主張したのは、「インプット型研修の概念を捨てよう」というメッセージです。具体的には、知識のインプットではなく職場での活用を起点に研修を設計すること、テクノロジーはあくまで手段であり目的ではないこと、そして集合研修をネットワーキング以外の目的で使わないことです。

研修が支援すべき「職場の5つの場面」

Conrad Gottfredson「5 Moments of Learning Need」── 研修設計は職場のこの5場面から逆算する

成果に直結する場面

1

職場活用

学んだことを実際の仕事で使う場面

2

課題解決

問題が発生したときに対処する場面

行動を変える場面

3

ブラッシュアップ

今までと違うやり方が必要な場面

4

初トライ

初めてのことに挑戦する場面

スキルを広げる場面

5

展開

持っているスキルを磨き・深め・広げる場面

ポイント:従来の研修は場面4・5(新しいことを学ぶ)に集中しがちですが、職場の成果に直結するのは場面1〜3(学んだことを使う・問題に対処する・やり方を変える)です。研修を設計する際は、この5場面のうちどれを支援するかを最初に決めることで、必要な手法と効果測定の指標が明確になります。

この「職場の成果から逆算する」という発想は、研修効果測定にも直結します。受講者の満足度やテスト結果ではなく、エンゲージメント、経営方針の実現、経費削減、リスク回避、成果と効率アップといった実際のビジネス成果を測定対象にすることで、効果測定が格段にやりやすくなります。

研修効果測定の代表的なモデル(カークパトリック、フィリップス、LTEM、SCM)を比較した解説記事があります。「何を測るべきか」の整理にご活用ください。

▶ 研修効果測定モデルの比較記事を読む▶ 研修効果測定の実践3ステップ

4つの研修スタイルの使い分け

カンファレンスの第2部ACTIONでは、日本企業で実践できる具体的な研修手法を6つのテーマで解説しました。最初のテーマは、オンデマンド・リモート・対面・ハイブリッドの4つの研修スタイルをどう使い分けるかです。

「オンラインか対面か」という二者択一ではなく、研修の目的と内容に応じて4つのスタイルを組み合わせることが、2023年以降の研修設計の基本です。各スタイルの特性と「向いている場面」を整理します。

オンデマンド研修 ― 受講者のペースでインプット

オンデマンド研修は、受講者が自分のペースで学べるインプット型の手法です。ただし、集合研修を録画しただけのコンテンツや、文字と音声だけの教材では効果がありません。同じ「オンデマンド」でも、コンテンツの作り方で学習効果に大きな差が出ます。

オンデマンドコンテンツの品質マップ ― 御社の教材はどこにあるか?

9つのフォーマットを効果順に3段階で分類。右に行くほど制作コストは上がるが、学習効果も上がる

効果が低い ― 今すぐ改善が必要

集合研修の録画

カメラ固定・音声不明瞭・長時間。受講者はほぼ離脱する

文字と音声

スライドを読み上げるだけ。視覚的変化がゼロ

文字のみ

テキストが流れるだけ。もはやeラーニングではない

普通 ― 最低限は機能するが改善余地あり

Zoomプレゼン

画面共有+講師の顔。講師のスキルに依存する

Teamsプレゼン

スライドが主役になりがち。双方向性が弱い

効果が高い ― 目指すべき水準

イメージとトランジション

写真・図解を30秒ごとに切り替え、テンポよく進行

シナリオ(ビジネス場面)

実際の職場シーンを映像化。受講者が自分事として見る

分かりやすい解説

講師+全画面ビジュアルの組み合わせ。YouTuberに近い話し方

自社チェック:自社のオンデマンド教材がどの段階にあるかを確認してください。「赤」の教材が残っていたら、まずそれを「緑」に差し替えることが最優先です。新しい教材をつくるより、低品質な教材を置き換える方が投資対効果が高くなります。

もう一つ重要なのが、受講者の進捗管理です。PDFを読んだ・ビデオを見たというインプットの確認だけでは不十分です。映像を見たうえで「自分は仕事でどう使うか」をコメント投稿させる、演習課題に対する回答と講師からのフィードバックを交わす、研修が職場でどう役立つかを受講者に説明させるなど、アウトプットを把握することが成功の鍵です。

リモート研修 vs 対面集合研修 ― 判断基準は「研修の中身」

リモート研修と対面集合研修は「どちらが優れているか」ではなく、研修内容によって得意・不得意が異なります。カンファレンスでは8つの切り口で比較しましたが、結論は明快です。

リモート vs 対面 ― 研修内容で決まる使い分けの原則

8つの切り口を「対面が勝つ」「リモートが勝つ」「引き分け」の3パターンに整理

対面が勝つ場面 ― 「体を動かす」「空気を共有する」研修

ペアワーク・ロールプレイ

スムーズ・スピーディ・盛り上がる。非言語の反応が見える

フィジカル系の演習

体を動かす・物を使う演習は対面でないと自然にできない

リモートが勝つ場面 ― 「全員の声を拾う」「成果物を残す」研修

共同作業

デジタルツールで同時編集。成果物がそのまま職場で使える

受講者の巻き込み

チャット・投票・リアクションで途中の声を拾いやすい

引き分け ― 設計次第でどちらでも対応可能

個人ワーク

リモートではネットが使える利点あり

ディスカッション

対面は周りに引っ張られる。リモートは温度差が出やすい

準備・費用

負担の性質が異なるだけで、総量は同程度

使い分けの原則:自社の研修プログラムの各パートを「対面でないと効果が落ちるもの」と「リモートでも十分、あるいはリモートの方が効果的なもの」に仕分けることが第一歩です。すべてをどちらかに統一するのではなく、パート単位で最適な形態を選ぶブレンド設計が効果を最大化します。

ハイブリッド研修 ― 成功は「3名体制」で決まる

ハイブリッド研修は、メイン会場(対面)・サブ会場(別拠点の対面)・リモート参加を同時に運営するスタイルです。実施のハードルは高いものの、受講者の所在地に関係なく同じ研修体験を提供できるメリットがあります。カンファレンスで強調されたのは、ハイブリッドの成否はITツールではなく「人の配置」で決まるということです。

ハイブリッド研修の3名体制 ― 誰が何をいつやるか

メイン講師1人では回らない。3名の役割分担と、研修場面ごとの連携を整理

M

メイン講師

メイン会場で研修を進行

S

リモート講師

リモート参加者への演習指示とフォロー

P

プロデューサー

リモート操作・運営・トラブル対応

場面1:講義

M 通常どおり講義を進行

S リモート参加者の質問をチャットで受け付け

P 映像・音声・サブ会場のスピーカー確認

場面2:ディスカッション

M メイン会場の受講者をファシリテート

S リモート参加者に演習指示を再確認、B/Oルームをリード

P B/Oルームの作成・管理・時間管理

場面3:グループワーク・共同作業

M メイン会場を巡回、グッズ配布・ホワイトボード活用

S リモート用の作業ファイルを共有、サブ会場をフォロー

P ファイル共有の操作、タイマー管理、トラブル対応

設備のポイント:メイン会場にはPC2台+有線LAN+外部マイク+カメラ三脚。サブ会場にはテーブルマイク+プロジェクター。リモート講師とプロデューサーは同じ部屋に配置すると連携がスムーズです。対面の集合研修に「特別感・インパクト・交流・現場感」が必要なのと同様、ハイブリッドでもリモート参加者が「置いていかれる」感覚を防ぐ体制づくりが最も重要です。

リモート研修やブレンデッドラーニングの設計について、具体的なプログラム例と受講者の声をまとめた記事があります。

▶ リモート・ブレンデッドラーニング設計の実践ポイント▶ 研修について相談する

ラーニングジャーニーの設計ポイント

4つの研修スタイルを「どう組み合わせるか」がブレンドラーニングであり、それを「時間軸で設計する」のがラーニングジャーニーです。カンファレンスでは、9週間のブレンドラーニングモデルと、研修効果測定で有名なブリンカホフ教授とプロモート社の知見をもとにした実践ノウハウを紹介しました。

9週間のブレンドラーニングモデル

ラーニングジャーニーの基本構造は「集合研修→自己学習→リモート研修→職場実施→上司の巻き込み」の5要素を9週間にわたって組み合わせるものです。単発の集合研修との最大の違いは、研修期間中に受講者が職場で実践し、その経験をリモート研修で共有・深化させるサイクルが回ることです。

9週間のブレンドラーニングモデル ― 各週で動いている要素

下に進むほど要素が重なり合い、密度が上がっていく。単発研修との決定的な違いはこの「並走」にある

集合 自己学習 リモート研修 職場実施 上司巻き込み

1

週目

キックオフ(1日)

全体のプログラムを理解し、成果発表のゴールイメージを共有。経営者スピーチでモチベーション点火

2

週目

自己学習 職場実施 上司巻き込み

インプット開始+即座に職場で実践。上司への事前説明で「何のための研修か」を共有

3

週目

自己学習 リモート研修 1回目 職場実施

職場実施の結果を共有。「何を試した? うまくいった? 課題は?」の3つの問いで振り返り

4

週目

自己学習 職場実施

リモート研修で得た気づきを踏まえて、難易度を上げた職場実施へ

5

週目

自己学習 リモート研修 2回目 職場実施 上司巻き込み

中間地点。成功事例の横展開と課題の深掘り。上司に中間報告し、後半の職場実施を後押し

6-7

週目

自己学習 リモート研修 3回目 職場実施

実践の質を高め、成果発表に向けた成果の言語化を開始。ここまでで職場での行動変容が定着

8-9

週目

自己学習 成果発表(1日) 上司巻き込み

上司・経営者に向けて、研修期間中の職場実施と成果を個人単位で発表。効果測定を兼ねる

読み方のポイント:各週のピルタグの数が「同時に走っている要素の数」を示します。5週目は4要素が同時並行で動いている最も密度の高い週です。単発の集合研修(1日で終わり)との違いは、この「複数要素が9週間にわたって重なり合う」構造にあります。

この設計の核心は、自己学習と職場実施が9週間を通じて並行して走り続けることです。では、5つの要素それぞれをどう設計すべきか。各要素の目的と成功のポイントを掘り下げます。

5つの要素の設計ガイド ― 目的・ポイント・よくある失敗

タイムラインの「何を」「なぜ」「気をつけること」を要素ごとに整理

0

キックオフセミナー(集合・1日)

目的:プログラム全体を理解し、最後までやりたいモチベーションを持たせる

成功のポイント

経営者からのスピーチで研修の重要性を強調する。成果発表のゴールイメージを最初に明確に伝える。受講者同士の共有を多くし「一緒にやる仲間」の意識をつくる

1

自己学習(eラーニング・全期間)

目的:必要な知識を受講者のペースで習得する

成功のポイント

インプット→アウトプット→フィードバックのサイクルを回す。受講者のニーズに合わせた内容にする。提出後に即反応する(1日以上待たせない)

2

リモート研修(隔週・計3回)

目的:職場実施の経験を共有し、次のアクションにつなげる

ここで扱うべき3つの問い

「仕事でどんな実施をした? 結果は?」(未実施の受講者にプレッシャー)→「うまくいったことは?」(成功事例の横展開)→「課題は? 次のステップは?」(改善行動の具体化)

3

職場実施+上司の巻き込み(全期間)

目的:研修内容を職場で実践し、ビジネス成果につなげる

よくある失敗:受講者が内容を活かさない3つの理由と対策

受講者が内容を活かさない理由

解決策

仕事で使う機会がない

研修内容と日常業務が離れすぎている

すぐ使える内容に絞る。上司を巻き込んで機会をつくる。場合によっては受講対象者を変える

何をすれば良いかが分からない

「学んだ」と「使える」の間にギャップがある

キックオフ中に「どう使うか」を具体的に教える。アクションプランをその場でつくらせる

優先順位が低い

日常業務に押されて後回しになる

仕事の内容に合わせた課題設定にする。上司を巻き込んで優先度を上げる

最も重要な原則:職場実施をしなければシリーズの良さが出ないし、シリーズにする意味もありません。ラーニングジャーニーの価値は研修セッションの中ではなく、セッションとセッションの間に生まれます。

成功を左右する4つの要素 ― Do / Don'tリスト

プロモート社が何千人もの受講者の経験から導き出した、ラーニングジャーニーの成功要因を4つのカテゴリに整理します。各カテゴリの「なぜそうすべきか」の理由と合わせてご確認ください。

ラーニングジャーニー成功の4要素 ― Do / Don't

1. 受講者のエンゲージメント

なぜ重要か:自己学習は本人の意欲が唯一のエンジン。意欲が切れたら全体が止まる

Do ― こうする

受講者の利点を強調する

「この研修で自分の仕事がどう楽になるか」を最初に示す

提出後に即反応する

1日以上の沈黙は「誰も見ていない」というメッセージになる

未提出の受講者を脱落させる

やらない人を残すと全体の士気が下がる

受講者同士の交流を促進する

仲間の成功事例が最も強い動機づけになる

Don't ― これはやらない

受身的な自己課題を設定しない

「読んでください」では行動につながらない

受講者のニーズに合わせない

画一的な内容だと「自分には関係ない」と離脱する

リモート研修直前に締切を設定しない

駆け込み提出は質が低く、学びにならない

フィードバックを汎用的にしない

「良いですね」だけでは受講者の努力が報われない

2. 上司の巻き込み

なぜ重要か:上司が関わるだけで研修効果に約3倍の差が出る(ブリンカホフ教授の研究)

Do ― こうする

事前説明会を実施する

上司が「何のための研修か」を理解していないとフォローできない

具体的なフォローヒントを与える

「見守ってください」ではなく「この質問をしてください」レベルまで具体化

上司にとっての利点を強調する

部下のパフォーマンス向上 = 上司の成果。この因果を示す

Don't ― これはやらない

フォローを上司に丸投げしない

上司は育成のプロではない。具体的な行動を指定する

上司の確認課題を多くしない

忙しい上司は3つ以上の依頼で離脱する

上司に運営サポートを求めない

上司の役割は「育成」であって「管理」ではない

3. 内容と職場実施

なぜ重要か:職場実施がなければシリーズの良さは出ない。シリーズにする意味もない

Do ― こうする

インプットを自己学習に移す

研修当日は演習・ディスカッション・職場実施の準備に集中

難易度を少しずつ上げる

最初の課題はハードル低く。成功体験を積ませてから難度を上げる

「仕事そのもの」を課題にする

仕事に直結する課題 = 追加負担なし = 継続できる

Don't ― これはやらない

既存の教材をそのまま使い回さない

集合研修用の教材は自己学習には向かない。再設計が必要

研修の場でインプットしない

貴重な対面/リモート時間を講義に使うのはもったいない

「お勉強」の追加課題を設定しない

「仕事 + 課題」の負担感が離脱の最大原因

4. 講師スキルとタイミング

なぜ重要か:ラーニングジャーニーでは講師の役割が「教える人」から「伴走者」に変わる

Do ― こうする

課題添削と研修実施を同じ講師にする

受講者の状況を把握している講師だから個別対応ができる

締切を分散させ、リマインダーを送る

期限が重なると全部後回しにされる。各課題の所要時間も提示

課題添削のトレーニングをする

テキストベースのフィードバックは対面と別のスキルが必要

Don't ― これはやらない

講師の隙間時間で添削できると思わない

ジャーニー型は教室時間は減るが、添削時間が増える。工数を正しく見積もる

課題添削方法を講師に任せない

講師ごとにフィードバックの質がばらつく。フォーマットを統一

未提出者を研修に参加させない

事前課題なしの参加者がいると全体の議論の質が下がる

ブレンドラーニングの設計方法と9週間モデルの詳細について、より具体的な解説記事を用意しています。

▶ ブレンドラーニング設計ガイドを読む▶ 人材育成担当者のスキルアップ3領域

研修効果測定の現状と課題

カンファレンスの最後のテーマは、研修効果測定です。Leo LearningとWatershedの共同調査(2017〜2022年の6年分)をもとに、研修効果測定の現状、課題、そして「やりたいのにできない」構造的な理由を解説しました。

ほぼ全員が「やりたい」のに、できていない構造

研修効果測定に対する人材育成担当者の意識は、6年間を通じて一貫しています。「やりたい」と答える人はほぼ全員。「測定可能だと思う」人も過半数。しかし現実には、予算があるのはわずか4分の1──この「意識と実行のギャップ」が6年間ほとんど変わっていない点が最大の問題です。

研修効果測定のファネル ― どこで止まっているか

Leo Learning&Watershed 6年間の調査。意識は高いが、実行に至るまでに大きく脱落する

90%超

研修効果測定を実施したい

6年間ほぼ変化なし。毎年「やりたい」が「やれない」

▼ ここで約30%が脱落

60%超

測定は可能だと思っている

「難しそう」という心理的ハードルが最初の壁

▼ ここでさらに約35%が脱落

27%

実際に予算を確保している

73%は「予算なし」で年を越す

構造的な問題:「やりたい」から「予算がある」までの脱落率が63ポイント。この差が6年間ほぼ縮まっていないということは、個人の努力では解決できない構造的な壁があるということです。予算を確保している組織は、そうでない組織と比べて経営層からのプレッシャーを2倍感じている──つまり、効果測定の予算は「ボトムアップ」ではなく「トップダウン」で動くことが調査データから示唆されています。

人材育成チームは何で評価されているか

効果測定の課題をさらに深掘りすると、「そもそも人材育成チーム自体がどんな基準で評価されているか」に行き着きます。調査結果は、多くの組織で評価基準が「研修の実施」に偏っていることを示しています。

人材育成チームの評価基準 ― 実施寄り vs 成果寄り

上位3つは「研修を実施したかどうか」の評価。ビジネス成果での評価はまだ少数派

実施寄りの評価(多い)

受講者の満足度
最多
研修内容の使用度
2位
評価されていない
3位

成果寄りの評価(まだ少ない)

ビジネス成果
少数
投資効果(ROI)
少数
受講者の人事評価向上
最少

示唆:「受講者の満足度」が最も多い評価基準ということは、多くの組織で人材育成チームが「研修を実施すること」を仕事のゴールにしていることを意味します。先述のeLearning Guildの提言「インプット型研修から職場の成果へ焦点を移す」を実現するには、チームの評価基準自体を「ビジネス成果」に変える必要があります。

効果測定の一番の課題は「第一歩が分からない」

研修効果測定の課題 ― 構造的な壁 vs 今すぐ動ける課題

課題を2つに分けると、着手の優先順位が見えてくる

構造的な壁 ― 組織の仕組みを変える必要がある

手が回らない

最大の課題。研修の企画・実施・運営に追われて効果測定まで手が届かない

必要なデータにアクセスできない

人事評価・業績データが別システムにあり、育成部門からは見えない

効果測定の予算がない

73%の組織に予算がない。ボトムアップでは獲得しにくい

今すぐ動ける ― 予算ゼロでも着手可能

第一歩が分からない

調査で2番目に多い課題。まず重要プログラム1つに絞って始めればよい

効果測定が難しいと思っている

完璧を求めすぎている。まず「職場で何を実践したか」を聞くだけでも効果測定になる

効果測定の必要性を感じない

経営層が求めていない。しかし先行して実績をつくれば予算獲得の根拠になる

着手の優先順位:右の「今すぐ動ける」課題から始めてください。重要プログラム1つを選び、受講者に「研修後に職場で何を実践したか」を聞くだけで効果測定の第一歩になります。その結果を経営層に報告すれば、左の「構造的な壁」を崩す根拠になります。

研修効果測定は「やるかどうか」ではなく「どこから始めるか」のフェーズに入っています。完璧な効果測定モデルを導入することよりも、まず1つのプログラムで「職場での行動変容」を追跡してみること。そのデータが次の改善と予算獲得の起点になります。

研修効果測定の代表的なモデル(カークパトリック、フィリップス、LTEM、SCM)の比較と、今日から実践できる3つのステップをまとめた記事を用意しています。

▶ 研修効果測定モデルの比較記事を読む▶ 研修効果測定の実践3ステップ

よくある質問

Q1. ラーニングジャーニーを導入したいが、最初の1本をどのプログラムで始めるべきか?

「経営方針と直結している」「年複数回実施している」「職場での行動変容が明確に期待されている」の3条件を満たすプログラムが最適です。具体的には、管理職研修やリーダーシップ開発プログラムが候補になることが多いです。全プログラムを一気に切り替えるのではなく、まず1つで試してフィードバックを得てから横展開する進め方が現実的です。

Q2. リモート研修と対面研修の比率はどう決めればいいか?

比率を先に決めるのではなく、研修の各パートの「内容」で形態を選びます。ペアワーク・ロールプレイ・フィジカル系の演習は対面、共同作業・受講者の巻き込みはリモートが効果的です。知識のインプットはオンデマンドに移し、対面・リモートの時間は演習とディスカッションに集中させるのが基本設計です。

Q3. 研修効果測定を始めたいが、経営層の理解を得るにはどうすればいいか?

まず小さな実績をつくることが最も効果的です。重要プログラム1つを選び、受講者に「研修後に職場で何を実践したか」を聞き、その結果を経営層に報告します。「受講者の84%が3カ月以内に職場で新しい行動を実践した」のような具体的なデータがあれば、予算獲得の説得力が格段に上がります。効果測定の具体的な進め方は「研修効果測定の実践3ステップ」をご覧ください。

Q4. オンデマンド教材を社内で制作したいが、予算も人員も限られている。何から始めるべきか?

最初から高品質な映像を目指す必要はありません。まず既存の集合研修の録画を使っている教材があれば、それを「講師+全画面ビジュアル」のスタイルに差し替えることから始めてください。スマートフォンのカメラ、外付けマイク(数千円程度)、無料の動画編集ツールで十分に制作できます。1コンテンツ10分以内、30秒ごとにビジュアルが変わるリズムを意識するだけで、受講者の離脱率が大きく改善します。

Q5. 上司の巻き込みが重要なのはわかるが、忙しい管理職に協力してもらうのが難しい。どうすればいいか?

上司の巻き込みで最も重要なのは「負担を最小にする」ことです。「部下の研修を見守ってください」のような曖昧な依頼ではなく、「研修期間中に1回、この3つの質問を部下に聞いてください」のように具体的かつ短時間でできるタスクにします。加えて、上司にとっての利点(部下のパフォーマンス向上=自分のチームの成果向上)を明確に伝えることが協力を得るコツです。

研修の設計見直し・ブレンドラーニング導入・効果測定の仕組みづくり

本記事で紹介したグローバルの調査データと実践手法をもとに、御社の研修プログラムの改善ポイントを一緒に整理します。「まず何から始めればいいか」のご相談だけでも歓迎です。

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