研修設計の実践事例17選|新入社員からグローバル人材育成まで【2023年版】

2023年12月12日に開催された「ラーニングイノベーションフォーラム 2023」(以下、LIF 2023)では、新入社員研修からグローバル人材育成、イノベーション、人材育成担当者のスキルアップまで、5つのテーマにわたる17の研修設計事例が紹介されました。
本レポートでは、各事例の研修背景・プログラム設計・成功のポイントを、動画とあわせて紹介します。「自社の研修設計にどう活かせるか」という視点で読み進めていただければ幸いです。
ラーニングイノベーションフォーラム 2023の全セッション動画を無料公開中
新入社員・若手社員編、マネージャー編、グローバル編、イノベーション編、人材育成プロフェッショナル編の5本の動画で、17事例の詳細な解説をご覧いただけます。
ラーニングイノベーションフォーラム 2023の全体像 ― 5テーマ・17事例の研修設計ショーケース
LIF 2023は、アイディア社が毎年開催しているオンラインカンファレンスです。2023年度に実施した研修プログラムの中から、特に成果が高かった事例を5つのテーマに分けて紹介しました。
参加者アンケートでは「とても良かった」「まあ良かった」を合わせた満足度が96%に達しました。「実施された事例の紹介で、内容がイメージしやすかった」「複数のジャンルにわたる事例紹介がとても参考になった」といった声が多く寄せられています。
5テーマの構成
フォーラムの第1部「Best of 2023 事例紹介」は、対象者の階層に沿って5つの編で構成されています。新入社員・若手の育成から始まり、マネージャーの部下育成、グローバル対応、イノベーション推進、そして人材育成担当者自身のスキルアップへと、組織全体の育成課題をカバーする設計です。
テーマ別ナビゲーション
年間一貫施策、社会人基礎力診断、配属直前対策、問題解決研修の4事例
成長支援研修、メンタースキル強化、組織的マネジメント、交渉力定着フォローの4事例
個別ラーニングジャーニー、海外研修、オンデマンド研修、外国籍社員フォローの4事例
新入社員向けデザインシンキング、ヒューマン×テクノロジー合宿、ChatGPTマニュアルの3事例
人材育成ブートキャンプ、受講者中心の技術研修設計の2事例
それでは、各テーマの事例を順に見ていきましょう。
新入社員・若手社員編 ― 「点の研修」を「線の育成」に変える4つの事例
第1部の最初のテーマは、新入社員・若手社員の育成です。4つの事例に共通するのは、「単発の研修で終わらせず、事前課題・研修・職場実践・フォローをつなげて一貫した育成施策にする」というアプローチです。
事例1:新入社員~3年目の研修効果向上施策 ― 「点から線」への転換
新入社員研修を定期的に行い、2年目・3年目にも研修を実施している企業の事例です。研修は行っているものの、それぞれが単発で終わり、一貫性のある育成施策になっていないという課題がありました。さらに、研修内容をより受講者主体の演習中心にしたい、研修以外の事前課題・事後フォロー・職場の巻き込みも強化したいという要望がありました。
この事例では、5つの切り口を「何を教えるか(What)」と「どう届けるか(How)」の2軸に分け、同時に変革しました。研修内容だけ変えても届け方が従来のままでは効果が出ない、という考え方です。
事例2:社会人基礎力の実力を測る実力診断
パンデミック期間中に入社した社員のスキルにばらつきがあるという課題に対応するため、3年目社員を対象に「社会人基礎力の実力診断」を導入した事例です。リモート研修そのものよりも、職場でのOJT・メンターのフォロー・上司との関わりが部署や人によって大きく異なっていたことが、スキルのばらつきの主因でした。
診断は「考える」「伝える」「やる」の3領域で構成され、各領域の中にさらに具体的な項目が設定されています。ペーパーテストではなく、ゲームやロールプレイ形式の楽しい演習で実践力を測定するのが特徴です。
考える(THINKING)
情報を整理し、課題を発見し、新しい解決策を生み出す力
伝える(COMMUNICATION)
相手の意図を正確に把握し、自分の考えを分かりやすく伝え、周囲と共感する力
やる(ACTION)
迷わず行動を起こし、周囲を巻き込んで成果を出す力
この診断が優れているのは、個人と組織の両方に価値を提供する設計になっている点です。受講者は当日その場でフィードバックと個別学習プランを受け取れるため、「自分の弱みがわかった」だけで終わりません。人事部門は3年目社員全体のレベルとばらつきを一覧で把握でき、翌年の研修計画をデータに基づいて策定できます。「診断して終わり」ではなく、「診断結果が次のアクションにつながる」仕組みが設計に組み込まれています。
事例3:アフターコロナに必要な新入社員の配属直前対策
配属直前に「プロフェッショナルマインド応用編」を実施し、職場でよくある問題と解決案を事前に考えてもらう研修です。アフターコロナで新入社員が直面するジレンマが変化したことを受け、研修内容を改善しました。
プログラムは「ACTIVE LISTENING」「Win-Win発想」「職場チャレンジ」の3部構成です。特に注目すべきは「職場チャレンジ」のセクションで取り上げたパンデミック後特有の3つのジレンマです。いずれも「新入社員の認識」と「上司の認識」のずれが原因であり、どちらが悪いという話ではありません。
事例4:若手社員向けの実践的な問題解決研修
若手社員の問題解決能力を高めるために、前年度から導入した1日の問題解決研修を「シリーズ研修」に発展させた事例です。前年度の研修で内容・反応ともに好評だったため、さらにスキル定着・上司の巻き込み・職場課題への適用を強化しました。
問題解決研修の全体フロー ― 「学ぶ→試す→振り返る→上司と共有する」
課題設定
上司と相談して研修期間中に取り組む実際の業務課題を決定
4ステップを学ぶ
状況把握→原因分析→解決策→実行計画。自分の課題への解決案を持ち帰る
職場で実践
研修で得た解決アイディアを実際の業務課題に適用。個別コーチングあり
振り返り+中級編
実践の共有と各ステップの深掘り演習。成果をビデオ撮影
上司と共有
撮影した成果発表を職場で上司に共有し、今後の活用プランを話し合う
このフローのポイントは「事前」と「研修後」の設計です。事前に上司と課題を決めるステップを入れることで、上司の巻き込みと研修内容の実務直結を同時に実現しています。研修後のビデオ共有は、受講者にとっては学びの言語化の機会になり、上司にとっては研修の成果を確認する手段になります。「研修で何を学んだかが上司に見える」仕組みが、職場での継続的な活用を後押しします。
新入社員・若手社員の育成施策を検討中の方は、以下の記事・事例もご参照ください。
マネージャー編 ― 「研修で学ぶ」から「職場で使い続ける」への転換
2つ目のテーマは、マネージャーの育成です。4つの事例に共通するのは、「研修当日に学ぶ」だけでなく「職場で使い続ける仕組み」を設計に組み込んでいる点です。管理職は忙しく、研修で学んでも職場に戻ると日常業務に追われてしまいます。そのギャップをどう埋めるかが、各事例の設計思想の核になっています。
事例5:部下の成長支援研修 ― 忙しいマネージャーのための「負担最小・効果最大」設計
部下育成・コーチング・キャリアマネジメントを強化したいが、管理職は忙しく長時間の研修に参加させにくい。この課題に対して、「事前インプット→短時間リモート研修→職場実践→個別コーチング」のサイクルを2回繰り返す設計で解決した事例です。
ポイントは「負担を最小にしながら効果を最大にする」というバランスの取り方です。研修は3時間のリモートで2回まで。その代わり、事前にオンデマンドでインプットを済ませ、研修当日はロールプレイ・ディスカッション・アクションプランのアウトプットに集中します。
事例6:新入社員の配属後の成長支援とメンタースキル強化
新入社員の配属後フォローを強化するために、業務上の指導員とは別に「心のケア担当」としてメンターを配置し、そのメンタースキルをオンデマンド映像で育成した事例です。世代の変化とパンデミックの影響で、新入社員には業務指示だけでなく心理的なサポートが必要だと感じたことがきっかけでした。
メンター候補は受講者数が非常に多く、集合研修では対応できません。そこで、1本10分未満のオンデマンド映像シリーズを制作しました。映像は「悪い例→解説→良い例」の3パート構成で、見るだけでメンタリングの具体的なイメージがつかめる設計です。
メンタースキルの4段階 ― 新入社員の心理に沿ったステップ設計
「聞いてもらえて良かった」
安心させる / 聞いてあげる
新入社員の状態:不安
「頭の整理ができた」
話を引き出す質問 / 確認とサマリー
新入社員の状態:混乱
「そういう観点もある」
考えさせる質問 / バリエーション
新入社員の状態:視野が狭い
「どうすればよいか分かった」
ゴール設定 / 動機づけ
新入社員の状態:行動に移せる
この4段階は「新入社員が面談後にどう感じるか」を基準に設計されています。いきなりアドバイスを与えるのではなく、まず安心させ、頭を整理させ、新しい視点を与え、最後に行動プランにつなげるという順序です。各ステップの「新入社員の状態」が異なるため、メンターに求められるスキルも段階的に変わります。悪い例の映像ではこの順序を飛ばした「あるあるダメメンター」を見せることで、受講者の「自分もやっているかも」という気づきを引き出しています。
事例7:組織を動かして人のマネジメントを強化する施策
マネージャー研修を何度実施しても、部下育成やチーム活性化の達成率がなかなか改善されない。その根本原因は「研修=勉強」という位置づけにありました。受講者が「勉強すればよい、職場で使わなくても大丈夫」と無意識に思ってしまう構造です。
この事例では、「研修」ではなく「組織プロジェクト」として位置づけ直し、役員→部長→課長→メンバーの全階層を巻き込んで1年間かけて取り組みました。
事例8:交渉力強化の定着フォロー ― スキルを「キープ」する仕組み
エンジニア集団で技術力が強い会社の事例です。コストダウンのプレッシャーが強い業界で、交渉力を武器にするために前年度に交渉力強化研修を実施。交渉する機会の多い社員はスキルを活かして成果を出し続けていましたが、交渉機会が少ない社員はせっかく身につけたスキルが薄れていくという課題がありました。
そこで、スキルを「キープ」するために、講師と1対1のスピードロールプレイ(20分)を月1回のペースで実施するフォロー施策を追加しました。受講者の実際のビジネスケースを使ったオリジナル演習で、短時間でも実践力を長持ちさせる設計です。
交渉力研修の全体設計 ― 「学ぶ→深める→使う→キープする」
基本編(半日)― 「これならできるかも」
ネゴシエーションの基本、キーワード、分析、提案を学ぶ。交渉は喧嘩でも辛い話でもなく、学べるスキルだと実感させる
受講者の心理変化:ネゴは怖い → 「悪くないし、できるかも」
応用編(半日)― 「やることが分かってきた」
分析テクニック(ヒアリングスキル、情報整理)と提案テクニックを深掘りする
受講者の心理変化:まだ難しい → 「もう少し練習すればいける」
実践編(半日)― 「自分のビジネスで使う」
自社の実際のケースを使ったペアワークとロールプレイ。汎用的な演習から自社固有の場面に切り替わる
受講者の心理変化:自信がない → 「実際のビジネスで使えそう」
定着編(月1回×20分)― 「繰り返して自分のものにする」
講師と1対1のスピードロールプレイ。受講者のニーズに合わせたオリジナルケースで個別フィードバック。負担なく長持ちさせるために頻度は月1回に抑える
受講者の心理変化:忘れかけていた → 「何回も繰り返すと自分のものになる」
この事例の設計が秀逸なのは、各フェーズに「受講者の心理変化」を設定している点です。研修設計者が「このフェーズが終わったとき、受講者にどう感じてほしいか」を明確にすることで、各フェーズの到達目標が具体化されます。「何を教えるか」だけでなく「受講者がどう変わるか」で設計すると、研修の効果検証もしやすくなります。
マネージャー育成・管理職研修の設計について、より詳しい情報はこちらをご覧ください。
グローバル編 ― 「全員同じ研修」から「個別ニーズ対応」への進化
3つ目のテーマは、グローバル人材育成です。4つの事例に共通するのは、「対象者の温度差とニーズの違い」に応じて施策を使い分けている点です。海外赴任者と国内社員、グローバル業務に積極的な社員と関心の薄い社員では、必要な施策がまったく異なります。
事例9:グローバルリーダーの個別ラーニングジャーニー
海外赴任中のリーダーに対する個別サポート施策です。従来の赴任前研修は「出発前に全員同じ内容を受ける」設計でしたが、この事例では「赴任中の個別ニーズに合わせたカスタムプログラム」に転換しました。国・文化・立場・仕事内容・スキル・相手が受講者ごとに大きく異なるため、画一的な研修では対応できないのです。
プログラムは3つのカテゴリで構成され、受講者ごとにアセスメントで必要な内容を特定してから、該当するカテゴリのスキルを選択して学びます。3カテゴリは「理解する→伝える→動かす」の順で段階的に難易度が上がる設計です。
UNDERSTAND ― 異文化を理解する
赴任先の文化的背景を理解し、行動の違いの「なぜ」が分かるようになる段階
コンテクスト(ハイ・ロー)
権力格差
個人/集団主義
全体/詳細重視
COMMUNICATE ― 異文化の中で伝える
理解した文化的背景を踏まえて、相手に正確に意図を伝え、合意を得る段階
プレゼンテーション
ミーティング
電話会議/ビデオ会議
ファシリテーション
ネゴシエーション
ライティング
MANAGE ― 異文化のチームを動かす
伝えるだけでなく、現地チームの行動を引き出し、成果につなげる段階
モチベーション
部下育成
コーチング
エグゼクティブプレゼンス
ストーリーテリング
フィードバック
タグの数を見ると、COMMUNICATEとMANAGEにスキルが集中していることが分かります。「理解する」だけなら座学で済みますが、「伝える」「動かす」には複数の実践スキルが必要です。受講者ごとにアセスメントを行い、この中から必要なスキルだけを選んで個別プログラムを組む設計が、画一的な赴任前研修との大きな違いです。1サイクルは4週間で、「インプット(映像・PDF)→コーチング→定着演習→職場実践→振り返りコーチング」の流れを繰り返します。
事例10:グローバルマインドを一気に高める海外研修 in シンガポール
パンデミック期間中に海外出張・海外研修・海外旅行がすべて止まり、社員の視野が狭くなりグローバルの実体験が弱くなっているという課題に対する施策です。短期間でインパクトの強い体験を提供するため、多文化が共存するシンガポールを選びました。
3泊4日のプログラムは、毎日異なる文化圏に触れる設計になっています。単なる「講義+観光」ではなく、午前中に現地講師から文化・歴史・政治を学び、午後はその文化圏の街に出てフィールドワーク(市場調査ミッション)を行うという「インプット→即実践」のサイクルを毎日回します。
シンガポール海外研修 ― 3つの文化圏を3日で体験する設計
移動日
東京→シンガポール
この設計のポイントは「毎日、文化圏が変わる」ことです。1つの文化を深く学ぶのではなく、3日間で3つの異なる文化に連続して触れることで、「文化によって当たり前が違う」という実感を短期間で得られます。フィールドワークでは現地の人と直接コミュニケーションを取るミッションが課されるため、教室で異文化理論を学ぶだけでは得られない「体感」を持ち帰ることができます。最終日の成果発表はビデオ撮影し、帰国後に上司と共有する仕組みです。
事例11:全社的にグローバル意識を高めるオンデマンド研修
売上構成や成長戦略を考えると全社員のグローバル意識を高める必要があるが、社員によってグローバルへの温度差が大きい。すでに毎日グローバル業務をしている社員もいれば、まったく接点のない社員もいます。後者に対して「研修に参加しなさい」と言っても逆効果です。
そこで、「負担と感じず、簡単に、いつでもどこでも学習できる」オンデマンドのマイクロラーニングを導入しました。1コンテンツは10分未満。プログラムは「マインド→学び方→仕事での使い方」の3層で構成されており、基盤の意識づけから始めて段階的に実務スキルへつなげる設計です。
MINDSET ― 日本語の発想を英語に転換するマインド
スキルを学ぶ前に、まず「英語で考える」ための土台を作る
コンテンツ:English Switch(日本語と英語の文章構造 / 主語を明確にする / 動作動詞を使う / テンポの良い対話をする)
STUDY TECHNIQUES ― 自己学習を効果的に行うテクニック
業務時間外でも効率よくスキルアップするための学び方を習得
コンテンツ(6本):Listening(ITツールで教材作成) / Reading(自分に合った題材作成) / Vocabulary(実務語彙の効率的習得) / Expressing(考えを英語で文章化) / Writing(ChatGPTでビジネスライティング強化) / Speaking(チャットボットで対話練習)
WORK TECHNIQUES ― 業務シーンを英語でこなすテクニック
実際の業務場面に直結するスキルで「使える」レベルに引き上げる
コンテンツ(3本):Presentation(ツール活用で英語プレゼンを楽にする) / Email(迷わず伝わる英文メール) / Research(日英混在の情報収集テクニック)
グローバル意識が低い社員に対して最も重要なのは、最初の1本で「アレルギーを解消する」ことです。そのため、MINDSET(第1層)をスキル学習の前に置き、「英語は文法を完璧にすることではなく、発想を転換すること」というメッセージで心理的ハードルを下げています。第2層のSTUDY TECHNIQUESではChatGPTやチャットボットといったAIツールを積極的に活用し、「テクノロジーの力を借りれば自分でもできる」という実感を持たせる設計です。
事例12:外国籍社員の実践的なフォローワークショップ
外国籍社員のリテンションとモチベーション向上を目的としたワークショップです。外国籍社員は日本での業務経験がすでにある人が対象のため、汎用的な異文化研修や「日系企業で働くオリエンテーション」では物足りません。新しい学びと個別の悩み相談を組み合わせた、1時間のコンパクトな設計にしました。
グローバル人材育成の研修設計について、より詳しい情報はこちらをご覧ください。
イノベーション編 ― テクノロジーを「目的」にしない3つの事例
4つ目のテーマは、イノベーションです。3つの事例に共通するのは、「テクノロジーそのものを目的にしない」という設計思想です。デザインシンキング、VR/AR/AI、ChatGPTといったテクノロジーやフレームワークは手段であり、「受講者が何をできるようになるか」を先に定義してから手段を選んでいます。
事例13:入社直後のイノベーションマインドを高める研修
多くの企業がイノベーション施策に取り組んでいますが、対象者は中堅〜ベテラン社員が中心です。しかし、すでに考えが固まり従来の業務に慣れている層に「固定観念を捨ててイノベーションを起こせ」と言っても、なかなか変化は起きません。
この事例では発想を転換し、先入観のない新入社員に配属直後のタイミングでデザインシンキング研修を実施しました。早い段階でイノベーションの重要性、テクニック、考え方を身につけてもらう狙いです。ただし、業務経験のない新入社員に対しては、通常のイノベーション研修とは異なる工夫が必要です。
事例14:ヒューマン × テクノロジーの強化合宿
VR・AR・AIの最新テクノロジー体験と、人間ならではの体験学習を意図的に「対」にして組み合わせた2泊3日の合宿です。テクノロジーの実体験だけでなく、「ヒューマンとテクノロジーの組み合わせで何ができるか」を受講者自身に考えさせる設計です。
プログラムの核心は、すべての体験が「アナログ(ヒューマン)→ デジタル(テクノロジー)→ 比較と気づき」のサイクルで設計されている点です。
事例15:全社員がChatGPTを使い倒せるようになるためのマニュアル
全社員がChatGPTを使える環境を整備し、経営者が「使いましょう」と呼びかけても、実際に使いこなしている社員はまだ少ないという課題への対応事例です。世の中にChatGPTのマニュアルは数多くありますが、汎用的なものでは社員の行動は変わりません。自社の業務に沿った、簡単ですぐに役立つマニュアルを制作しました。
マニュアルは3つの業務カテゴリで構成され、それぞれのカテゴリ内がレベル別(初級→中級→上級)に整理されています。「どこから始めればよいか」が一目で分かる設計です。
ChatGPT活用マニュアルの構成 ― 業務カテゴリ × レベル別
eメールライティング
英文メールの返信・翻訳・作成を段階的に習得
メールに返信する
メールを翻訳する / 書く
テンプレート作成 / 高度な文面作成
プレゼンテーション
資料作成から英語での発表までをAIで効率化
日本語から英語プレゼンを作成
英訳とトーン調整
AIを使って英語でプレゼンする
英語自己学習
AIツールを活用した自律的な語学力強化
実務語彙を効果的に習得
自分に合った題材で理解度向上
ライティング演習
このマニュアルの設計で最も重視されたのは「受講者に『試してみたい』と思わせること」です。ツールの機能や技術を詳しく説明するのではなく、業務の目的(メールを素早く返信したい、英語プレゼンを楽にしたい)から入り、その目的を達成するためにChatGPTをどう使うかを示します。さらに、作業をこなすだけでなく「生成AIを使って部下を育成するヒント」まで含めている点も特徴的です。単なるツール操作マニュアルではなく、マネージャーが部下育成にAIを活用するための入口にもなっています。
人材育成プロフェッショナル編 ― 「教える側」のスキルを高める2つの事例
最後のテーマは、人材育成担当者自身のスキルアップです。研修の企画・設計・実施を担う「教える側」のプロフェッショナルが、どうすれば効率よく専門スキルを身につけられるか。2つの事例は、それぞれ異なるアプローチでこの課題に取り組んでいます。
事例16:人材育成ブートキャンプ ― OJTで3年かかる知識を50時間で
人材育成担当者は社員の育成と教育を一年中行っていますが、自分自身の育成を体系的に受ける機会はほとんどありません。OJTでベストプラクティスを把握するには約3年かかるのが実態です。そこで、OJTで3年かかる人材育成のベストプラクティスを50時間以内で習得できるオンデマンドブートキャンプを制作しました。
ブートキャンプのコンテンツは2つの軸で構成されています。「研修をどう作るか」という縦軸(プロセス)と、「どの研修に適用するか」という横軸(対象別のヒント)です。受講者はこの2軸を行き来しながら、自社の状況に必要な知識を効率よく取得します。
事例17:受講者中心の技術研修のオリジナル設計
技術研修は講義中心のインプット型が多く、講師スキル研修を実施しても根本的に受講者中心の研修にはなりにくいという課題への取り組みです。新しい技術研修を企画する際に、企画チーム・内容の専門家・研修設計のプロが共同開発するアプローチを採用しました。
研修設計のプロセスは「企画→準備→実施」の3フェーズで構成されています。フォーラムではこの3フェーズを解説しましたが、とりわけ強調されたのは「企画」フェーズの重要性です。目的の明確化、コンセプトの設計、流れの決定という企画段階をどれだけ丁寧に行うかが、研修全体の成否を決定します。
受講者中心の技術研修設計 ― 3フェーズ×9ステップ
3フェーズの視覚的な差に注目してください。「企画」だけがボーダーとヘッダーの色が濃くなっています。これは「企画が8割を決める」という設計思想を反映しています。準備と実施ももちろん重要ですが、企画段階で目的・コンセプト・流れを明確にしておけば、後工程はスムーズに進みます。逆に企画が曖昧なまま準備に入ると、テキストも演習もスライドも方向性が定まらず、手戻りが発生します。
特に重要なのは「目的」の定義方法です。「本日のテーマはタイムマネジメントです」はテーマの紹介であり、目的ではありません。「この研修後、皆さんは限られた時間内により多くの仕事を成し遂げることができるようになります」が目的です。受講者が何をできるようになるかを動作動詞で定義することで、研修の設計・実施・効果測定がすべて一貫します。
参加者の声
LIF 2023の参加者アンケートから、掲載許可をいただいたコメントを紹介します。
よくある質問(Q&A)
Q1. ラーニングイノベーションフォーラム 2023のセッション動画は視聴できますか?
はい、本記事内に5つのテーマすべての動画を埋め込んでいます。新入社員・若手社員編、マネージャー編、グローバル編、イノベーション編、人材育成プロフェッショナル編の各セクションからご覧いただけます。
Q2. 紹介されている研修プログラムは自社に導入できますか?
本フォーラムで紹介した17事例は、すべてアイディア社が実際に設計・実施した研修プログラムです。各企業の課題や対象者に合わせてカスタマイズした上で導入いただけます。まずはお問い合わせフォームから現在の課題をお聞かせください。
Q3. 新入社員研修から管理職研修まで、一社で対応してもらえますか?
対応可能です。アイディア社では新入社員から管理職まで、階層別の研修プログラムを一貫して設計・実施しています。LIF 2023で紹介した事例のように、年間を通じた一貫した育成施策の設計もご相談いただけます。
Q4. 研修の効果測定はどのように行っていますか?
事例5(部下の成長支援研修)の個別コーチングによる効果測定や、事例2(社会人基礎力診断)のアセスメントなど、研修プログラムに合わせた測定方法を設計します。研修前後のスキル変化を数値で可視化する仕組みを、企画段階から組み込むことを推奨しています。
Q5. オンラインやハイブリッド形式の研修にも対応していますか?
対応しています。事例5(成長支援研修)の3時間リモート研修、事例6(メンタースキル強化)のオンデマンド映像、事例11(グローバルオンデマンド研修)のマイクロラーニングなど、LIF 2023でも多くのオンライン・ハイブリッド事例を紹介しています。対面・リモート・オンデマンドを組み合わせたブレンドラーニングの設計が得意分野です。
研修設計のご相談を承っています
LIF 2023で紹介した17事例のような研修プログラムの設計・導入にご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。新入社員研修から管理職育成、グローバル人材育成まで、貴社の課題に合わせた研修設計をご提案します。







