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年代別早見表で読む若手育成|どの年次が何の環境で育ったか

若手社員の育成を考えるとき、「Z世代だから」「ゆとり世代は」と一括りに語ってしまうことはないでしょうか。しかし、同じ20代でも、いつ学生時代を過ごし、いつ社会に出たかによって、身についている力も、つまずくポイントもまるで違います。一括りの世代論で研修を組むと、目の前の社員に届かない打ち手になりがちです。

この記事では、「年代」と「入社時の環境」という2つの軸を早見表で読み解き、どの年次の社員が何の環境で育ったかを整理します。そのうえで、年次ごとに優先して鍛えるべき力と研修設計の考え方までをつなげて解説します。自社の若手を一括りにせず、世代の実像に合わせて育成を組み直すための地図としてお使いください。

まず「世代の地層」を読む|今の各年代は何の中で育ったか

育成の打ち手を考える前に、いま社内にいる各年代がどんな時代の空気を吸って育ってきたかを押さえておくと、世代の違いを印象ではなく具体的な出来事で捉えられます。社会に出た時期は、その人がどんな経済状況・テクノロジー・コミュニケーション様式を「当たり前」として身につけたかに直結します。次の早見表は、入社時期を起点に世代の地層を4つに分けたものです。

入社時期で見る世代の地層

1999年ごろ入社|現在50代前半

「失われた10年」のさなかに就職氷河期を経験。iモードで携帯が初めてネットにつながった世代で、社会に出たときデジタルはまだ黎明期でした。

2008年ごろ入社|現在40代前半

リーマンショックの逆風で社会に出た世代。TwitterとFacebookの日本語版が始まった年が新人時代で、SNS黎明期を社会人として迎えました。

2016年ごろ入社|現在30代前半

働き方改革が動き出す前夜に入社。InstagramやポケモンGOが日常になり、スマホが「あって当たり前」の状態で社会人になった最初の世代です。

2020〜2023年入社|現在の若手層

入社や学生生活の節目にコロナ禍が直撃。リモートとハイブリッドが標準の中でキャリアを始めた、今まさに育成の中心となる世代です。

こうして並べると、人事担当者は「目の前の社員がどの時代の空気の中で育ったか」を一覧で押さえられます。50代前半と20代では、社会に出たときのデジタル環境も雇用環境もまったく異なり、それが仕事への向き合い方の土台になっています。ただし、この4つの地層はあくまで大きな区切りにすぎません。育成設計でより重要になるのは、いちばん右の「現在の若手層」の内側にある、もっと細かい断層です。同じ20代でも、入社した年が1年違うだけで、育った環境がはっきり分かれます。次の章でその断層を見ていきます。

同じ若手でも「入社年の断層」がある|どの年次が何の環境で育ったか

「現在の若手層」を一枚岩で捉えると、育成設計を誤ります。コロナ禍の数年間は、学生生活と入社のタイミングが1年違うだけで、過ごした環境がリモート・ハイブリッド・対面のどれだったかが大きく変わりました。次の早見表は、入社年ごとに学生期から現在までの環境をたどったものです。

入社年・タイプ 2020 2021 2022 2023
2021年入社|
スムーズスタート
学生
リモート
入社
リモート
2年目
ハイブリッド
3年目
ハイブリッド・対面
2022年入社|
リモートネイティブ
学生
リモート
学生
リモート
入社
ハイブリッド
2年目
ハイブリッド・対面
2023年入社|
リモートオンリー?
学生
リモート
学生
リモート
学生
ハイブリッド
入社
ハイブリッド・対面
2024年入社|
ソフトランディング
学生
リモート
学生
リモート
学生
ハイブリッド
学生
対面

表を縦に見ると、入社年が遅くなるほど学生時代に対面経験を取り戻していることが分かります。それぞれのタイプには、環境が生んだ特性があります。

2021
入社

スムーズスタート

リモート授業と就職活動でリモートに慣れ、入社後の立ち上がりは比較的スムーズでした。一方、卒業から1年目に心配やストレスを抱えやすかった世代です。

2022
入社

リモートネイティブ

リモートに抵抗なく入社教育を受けた一方、学生時代の行動範囲が狭く、視野も狭くなりがちです。対面スキルや社会勉強が不十分なまま育った人もいます。

2023
入社

リモートオンリー?

学生時代の社会勉強や課外活動が強く制限された世代です。リモートに慣れているというより、対面に苦手意識を持ちやすく、メンターに頼る部分が大きい傾向があります。

2024
入社

ソフトランディング

リモート・ハイブリッド・対面のすべてを経験しています。直前の世代よりストレスが少なく、仕事やコミュニケーションに前向きですが、コロナ前に入社した先輩とは経験も期待も異なります。

同じ「20代の若手」でも、対面への慣れ、視野の広さ、メンターへの依存度がはっきり分かれているのが分かります。だからこそ、若手研修を一括で組むと、ある層には易しすぎ、別の層には届かない設計になりがちです。さらに付け加えると、2025年以降に入社した新入社員は、学生時代の大半が対面に戻った最初の世代で、コロナの影響をほとんど受けていません。この断層を前提に、年次ごとに手当てを変える発想が欠かせません。では、環境のこうした違いは、いま鍛えるべき力にどう影響しているのでしょうか。次の章で見ていきます。

環境差が「いま鍛えるべき力」を変えた|社会人基礎力の重要度シフト

育った環境がこれだけ違えば、若手に求められる力の優先順位も変わります。経済産業省が定義する社会人基礎力(12項目)にアイディア社が3項目を加えた15項目で、〜2019年と2020年代の重要度を比べると、その変化がはっきり見えてきます。次の対比は、これまでも重視されてきた土台の力と、環境変化によって重要度が増した力を並べたものです。

〜2019年から変わらず重視される土台

主体性(◎→◎)

自ら動いて成果を出す力。環境が変わっても、若手育成の出発点であり続けています。

傾聴力(◎→◎)

相手の意見を丁寧に聴く力。新入社員の段階から鍛える基本です。

発信力(◯→◯)

自分の意見を分かりやすく伝える力。対面・リモートを問わず必要とされます。

規律性(◯→◯)

社会のルールや人との約束を守る力。安定して重視され続けています。

2020年代に重要度が増した力

テクノロジー活用力(△→◎)

ツールを自分でタイムリーに使いこなす力。15項目のなかで最も大きく重要度が伸びました。

実行力(◯→◎)

目的を設定し確実に行動する力。自走が求められる場面の増加で重みが増しました。

働きかけ力(◯→◎)

他人に働きかけ、巻き込む力。リモート下で薄れやすいぶん、意識的な強化が要ります。

学習能力(◯→◎)

新しいことを一人で学ぶ力。変化の速い時代に、リスキルの土台になります。

課題発見力・創造力・情況把握力(△→◯)

考え抜く力と周囲を把握する力。狭まりがちだった視野を補う意味でも底上げが必要です。

変わらない原則:基礎となる力は普遍ですが、環境が変われば「いま重点投資すべき力」は入れ替わります。

主体性や傾聴力といった土台の重要性は変わりません。一方で、テクノロジー活用力は△から◎へと最も大きく伸び、実行力・働きかけ力・学習能力も◯から◎へと上がりました。リモートやハイブリッドで自走する場面が増え、ツールを使いこなし、自分で学び、周囲を巻き込む力が以前より強く求められるようになったためです。つまり若手育成は、基礎を固めるだけでなく、環境変化で重みを増した力に重点的に投資する発想が欠かせません。では、この優先順位を年次別にどう振り分ければよいのでしょうか。次の章で、早見表を自社に当てはめる手順に落とし込みます。

早見表を自社に当てはめる|3ステップと年次別の打ち手

ここまでの早見表は、診断で終わらせては意味がありません。自社の若手に当てはめ、年次ごとの研修設計につなげて初めて効果が生まれます。次の3ステップで、早見表を具体的な育成プランに落とし込みます。

早見表を育成プランに落とす3ステップ

STEP 1

分類する

自社の若手が入社年でどのタイプに当たるかを早見表で特定する

STEP 2

優先順位を決める

年次ごとに、重みを増した力から鍛える順序を決める

STEP 3

研修に落とす

優先する力を年次別の研修プログラムに割り当てる

STEP2で年次ごとに優先する力を決めるとき、目安になるのが「その力を鍛えるのに最適な年次」です。社会人基礎力の各項目には、どの年次で重点的に伸ばすと効果的かという対応があります。それを研修に割り当てると、年次別の打ち手は次のように整理できます。

新入
社員

土台を固める|主体性・傾聴力・発信力・規律性・応用力

プロフェッショナルマインド研修とロジカルコミュニケーション研修で、「自ら動く」「分かりやすく伝える」の基礎を定着させます。対面経験が不足しがちな層には、対面でのやりとりを補う場づくりも有効です。

2年目

自走と思考を伸ばす|実行力・課題発見力・創造力・情況把握力・テクノロジー活用力

実行力強化研修や問題解決研修で考えて動く力を鍛え、あわせてAIやツールを使いこなすテクノロジー活用の場を設けます。重要度が大きく伸びた力を集中的に手当てする年次です。

3年目

影響力と自己更新へ|働きかけ力・柔軟性・ストレスコントロール力・学習能力

影響力強化研修やスキリング研修、キャリアデザイン研修で、人を巻き込み、自ら学び続ける力へと広げます。視野が狭くなりがちな層には、外部と接点を持たせる設計が効きます。

年次ごとに優先する力を決めて研修に割り当てれば、若手研修を一括で組むことによる「ある層には易しすぎ、別の層には届かない」というずれを避けられます。早見表は、自社の若手を分類し、年次別プログラムの設計図として使うことで、本当の効果を発揮します。

まとめ|年代と入社環境の2軸で若手育成を組み直す

若手社員を「Z世代」と一括りにせず、年代と入社環境の2軸で捉えると、育成の打ち手の精度が上がります。本記事で見てきたのは3点です。今の各年代が何の時代背景で育ったかという世代の地層、同じ若手でも入社年で対面・リモート・ハイブリッドのどの環境で育ったかという断層、そして環境変化がテクノロジー活用力をはじめとする鍛えるべき力の優先順位を変えたこと。この3つを早見表で押さえ、年次別の研修設計に落とし込むことが、届く若手育成の出発点になります。

若手育成を年次別に見直すなら

早見表で自社の若手を分類したら、次は年次別の研修設計です。アイディア社は新入社員から3年目まで、年次の特性に合わせた育成プログラムを提供しています。最新の年次別育成ノウハウは、1-2-3年目社員育成フォーラムでも紹介しています。

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