2023年の人材育成トレンド予測|海外5大レポートから読み解くVISIONとACTION

2023年の人材育成トレンド予測 ― 当日のセミナー動画を無料公開中
海外5大レポートから読み解く「VISION」と、研修形態・ラーニングジャーニー・効果測定の「ACTION」を、セミナー動画付きでお届けします。
「海外の人材育成トレンドを知りたいが、英語のレポートを読む時間がない」「研修のやり方を見直したいが、何から手をつけるべきか分からない」――こうした声に応えるセミナーとして、2023年1月17日に「2023年の人材育成トレンド予測」をリモートカンファレンス形式で開催しました。
本セミナーでは、IDEA DEVELOPMENT代表のジェイソン・ダーキーが、Udemy Business、Mind Tools for Business、LinkedIn Learning、eLearning Guild、i4cpという海外の主要5団体が発表した最新レポートを読み解き、2023年の人材育成トレンドを「VISION(何を目指すか)」と「ACTION(どう実行するか)」の2つの切り口で大胆に予測しました。
本記事では、セミナー当日のテキストをもとに、各レポートのエッセンスと日本企業の人材育成担当者が今すぐ活用できるポイントを整理してお伝えします。
VISION① 学習風土・アジリティ・教育提供方法 ― Udemy Businessレポート
Udemy Businessは、世界的なeラーニングプラットフォームが毎年発行する企業ラーニングトレンドレポートです。数百万人の受講データに基づいた分析は、グローバルな人材育成の方向性を知る上で貴重な情報源になっています。2023年版レポートでは、効果的な人材育成を実現するための3つのポイントが提示されました。
ポイント1:学習風土(ラーニングカルチャー)を築く
基盤づくり強い学習風土が大切な理由は2つあります。1つは従業員のエンゲージメントが高まること。もう1つは、細かいスキル単位で研修を行う際に、強い学習風土があると定着と職場活用がスムーズにいくことです。
自社で試すなら:まず経営者が学習の重要性を発信し、マネージャーが部下の学習時間を確保する仕組みをつくる。「学んだことを職場で使えた」事例を社内で共有する場を設ける。
ポイント2:アジリティ(俊敏性)を高める
変化対応環境変化が激しく、従業員のワークスタイルとニーズが早く変わる中では、人材育成チーム自身が臨機応変に対応する必要があります。同時に、従業員にもアジリティを高める研修施策が求められています。テクニカルスキルの総学習時間が前年比49%増加しているというデータは、従業員自身もスキルアップの必要性を感じている証拠です。
自社で試すなら:年間の研修計画を固定せず、四半期ごとに見直す柔軟な運用にする。現場のニーズ変化を人材育成チームが早くキャッチできる情報収集の仕組みをつくる。
ポイント3:教育の提供方法を考え直す
個別最適化従業員一人ひとりに対してオリジナル研修を提供できることを目指す方向性です。受講者主体のeラーニングとブレンドラーニングを組み合わせて、継続的なスキルアップにつながるようにすることがレポートの提言です。
自社で試すなら:全員一律の研修を見直し、事前の知識テストで受講者のレベルを把握した上で、レベル別にコンテンツを出し分ける設計に変える。オンデマンドとリモートを組み合わせたブレンドラーニングを検討する。
この3つのポイントは「基盤→変化対応→個別最適化」の順に深まります。学習風土という基盤がなければアジリティのある研修運営はできず、アジリティがなければ個別最適化にも対応できません。自社がどの段階にいるかを見極め、順番に取り組むことが重要です。
Udemyの人気ビジネス講座ランキング:何が求められているか
Udemyのプラットフォーム上で、企業の受講者がどんな講座を受けているかのデータも示されました。「安定して人気のある講座」と「前年から急成長した講座」の2つのランキングを見ると、企業の人材育成ニーズの変化が読み取れます。
VISION② 人材育成の成熟度4ステージ ― Mind Tools for Businessレポート
Mind Tools for Business(旧名Towards Maturity)は、長年にわたり人材育成のベンチマーキングを行っている調査機関です。このレポートでは、世界各国の人材育成の状況を「成熟度4ステージモデル」で分類し、ステージごとの特徴と課題を明らかにしています。自社の人材育成がどのステージにいるかを客観的に把握するための指標として有用です。
人材育成の成熟度4ステージ:56%がステージ1に集中
Mind Toolsは、組織の人材育成の成熟度を4つのステージで分類しています。注目すべきは、調査対象の56%がステージ1(単発的な研修提供)にとどまっているという事実です。
人材育成の成熟度4ステージと分布
半数以上がステージ1にとどまり、ビジネス成果につながる段階に達していない
各ステージの違いを一言でまとめると、ステージ1は「研修をやっているがビジネス成果につながらない」、ステージ2は「つながることがある」、ステージ3は「つながっている」、ステージ4は「ビジネス成果を高める」です。ステージが上がるほど、研修が経営成果に直結するようになります。
ステージ4の組織は何が違うのか
レポートでは、ステージ別に人材育成チームの取り組みを比較した詳細なデータが示されています。ステージ1とステージ4の差が特に大きかった項目を見ると、高い成熟度の組織に共通する特徴が浮かび上がります。
人材育成チームが直面する課題:外部要因 vs 内部要因
レポートでは、人材育成チームが直面している課題のランキングも示されました。上位と下位を比較すると、興味深い構造が見えてきます。
VISION③ L&Dの戦略化、リスキル、育成チームの7能力 ― LinkedIn Learningレポート
LinkedIn Learningは、採用プラットフォームで知られるリンクドインのeラーニング事業部が毎年発行するレポートです。2022年版のタイトルは「人材育成の変革(The Transformation of L&D)」。人材育成部門(L&D)が経営において戦略的な役割を担うようになった変化と、それに伴って育成チーム自身に求められる新しいスキルを明らかにしています。
人材育成部門の影響力が急上昇している
レポートの最大のメッセージは、L&D(人材育成)部門がかつてないほど経営に影響を与える存在になったということです。4つの数字がそれを裏付けています。
動いている
L&Dが貢献
増える見込み
前年より拡大
経営者の72%がL&Dを「より戦略的な機能」と評価し、87%が「環境変化への対応にL&Dが貢献した」と回答しています。予算も48%の企業で増加見込みとなっており、人材育成への投資意欲は6年間で最高水準です。ただし、46%がスキルギャップの拡大を感じているというデータは、期待の高まりに対して成果が追いついていない現実も示しています。
リスキルの必要性は認識されているが、実行はこれから
リスキル(新しいスキルの習得)に対する関心は高まっていますが、実際の進捗には大きな開きがあります。L&D担当者の79%が「既存社員のリスキルは新規採用より費用対効果が高い」と認め、54%が「社内異動がコロナ以降の優先事項になった」と回答しています。
リスキル強化施策の進捗状況
76%がまだ準備段階以前。測定・評価段階に到達しているのはわずか5%
読者への示唆:リスキル施策がまだ準備段階でも焦る必要はありません。重要なのは、スキルギャップの特定から始めて、小さなパイロットで検証し、データに基づいて拡大するステップを踏むことです。一気に大規模なリスキルプログラムを始めるのではなく、段階的に進めている企業の方が成功しています。
人材育成チームに求められる7つの能力
L&Dの役割が戦略的になるにつれて、育成チーム自身にも従来とは異なるスキルが求められるようになっています。LinkedInがRedThread Research社と共同で実施した調査では、300人以上のL&D専門家が「今後必要になる能力」として7つのカテゴリを挙げました。
リーダーシップ
最重要リーダーシップ開発の専門知識に加え、チェンジマネジメントが特に重要。組織変革を推進する力が求められている。
テクノロジー
拡張領域ラーニングテクノロジーだけでなく、社内で使われているビジネスシステムの理解も必要。
社会人基礎力
拡張領域特にレジリエンス、環境変化への対応能力、課題解決力が重要。育成チーム自身が変化に強くなる必要がある。
パートナーシップ
拡張領域経営者・事業部門・IT部門など、さまざまなステークホルダーとの良い関係構築力。
ビジネスの基本
拡張領域MBA的な分野、イノベーション、プロジェクトマネジメントの知識。ビジネスの言語で語れることが重要。
人材育成の基本
従来領域研修の企画、設計、講師スキル、効果測定、コーチングなど。従来からの基盤スキル。
データサイエンスと意思決定
新領域ビッグデータを活用して効果的な育成に貢献する力。データに基づいた意思決定が戦略的L&Dの条件。
注目すべきは、7つの能力のうち「人材育成の基本」は1つだけで、残り6つはリーダーシップ・テクノロジー・ビジネス・データサイエンスなど、従来のL&Dの守備範囲を超えた領域だということです。人材育成チームが「研修の専門家」から「ビジネス成果を支援する戦略パートナー」に進化するためには、チーム自身のスキルアップが不可欠です。
しかし皮肉なことに、L&D担当者の学習時間は他の部門より23%少なく、人事部門と比べても35%少ないというデータも出ています。「学びを提供する側が最も学んでいない」という矛盾を解消することが、2023年の重要テーマの一つです。
人材育成チームのスキルアップや、研修体系の見直しについてご相談いただけます。
VISION④ 個別化と職場成果ファースト ― eLearning Guildレポート
eLearning Guildは、イギリスにある人材育成の研究・情報配信団体です。毎年、業界の有名人が1年を振り返り翌年を予測するレポートを発行しており、実務に直結するインサイトが評価されています。2023年版のメッセージは大きく2つ。eラーニングの「Individualization(個別化)」と、研修から「職場成果ファースト」への発想転換です。
eラーニングの可能性を引き出す鍵は「個別化」
eラーニング分野の第一人者であるMichael Allen氏は、2023年のeラーニングの重点テーマはただ一つ「Individualization」だと断言しています。パーソナライゼーション(名前を入れる等の表面的な個人化)とは根本的に異なり、学習体験そのものを一人ひとりに最適化することを指します。
コンテンツの個別化
受講者の知識レベルに合わせて内容を提供する。既に知っていることを繰り返し学ばせない。
学習スタイルの個別化
提供方法を受講者の好みに合わせる。PDF、映像、ゲーム、対話型など選択肢を用意する。
ローカリゼーション
受講者の職場環境、言語、文化などに合わせてコンテンツを調整する。
フォローの個別化
難易度を受講者に合わせ、リマインダーを使って適切なタイミングでフォローする。
この4つの個別化を実現することで、受講者は「自分のための学習体験」と感じ、集中力とモチベーションが高まります。全員に同じコンテンツを同じ方法で提供する従来のeラーニングとは、根本的にアプローチが異なります。
発想の転換:「研修」ではなく「職場での成果」から逆算する
もう一つの大きなメッセージは、Bob Mosher氏とConrad Gottfredson氏が提唱する「職場成果ファースト」の発想転換です。インプット型研修の概念を捨て、職場での施策から逆算して人材育成を設計するという考え方です。
Gottfredson氏が開発した「5 Moments of Learning Need(学習の5つの場面)」フレームワークは、人材育成の企画において、研修だけでなく職場の全場面をカバーする設計を求めています。
学習の5つの場面(5 Moments of Learning Need)
職場活用
研修内容を使う場面
課題解決
問題を解決する場面
変化対応
違う行動をとる場面
初トライ
新しいことに挑戦
深化・展開
スキルを磨き広げる
従来の研修は主に「NEW(初トライ)」の場面、つまり新しい知識やスキルを初めて学ぶ場面に焦点を当てていました。しかし、職場で実際に成果を出すためには、学んだことを「APPLY(活用)」し、問題が起きたら「SOLVE(解決)」し、環境が変わったら「CHANGE(変化対応)」する、という場面もサポートする必要があります。
職場成果ファーストにすると効果測定が変わる
この発想転換の大きなメリットの一つは、研修の効果測定が格段にやりやすくなることです。受講者満足度やテスト結果ではなく、職場での実際のビジネス成果を直接測れるようになります。
VISION⑤ CHRO・CLO・CDOが語る2023年の優先課題 ― i4cpレポート
i4cp(Institute for Corporate Productivity)は、米国にある企業人事のベンチマーキングフォーラムであり研究機関です。人材育成業界内での信頼性がきわめて高く、最新データと企業のタイムリーな事例が多いことで評価されています。2023年版レポートでは、i4cpの6つのボード(CHRO、CLO、CDOなど)のメンバーが、それぞれの立場から2023年の優先課題と予測を共有しています。
i4cpが示す2023年の4大予測
まず、i4cpが提示した2023年の総合的な4つの予測を整理します。
健全な企業風土は不況に強い
財務パフォーマンスと企業風土の健全性は不可分。不景気の中でも文化を優先する組織は、生産性と定着率で他社を上回る。
矛盾するジレンマを扱う力がリーダーの条件
リモートと出社、コスト削減と人材投資など、ベクトルの異なる課題を上手にマネージすることが経営者に求められる。
人事は現場経験が戦略的な武器になる
人事部門メンバーにとって、現場のビジネス経験が大切なベース。現場を知っている人事が戦略的な施策を打てる。
柔軟なワークスタイルは妥協ではなく戦略
フレキシブルな働き方は従業員への譲歩ではなく、優秀な人材を引きつけ定着させる人事戦略の一部。
3つのCxOが見る2023年の優先課題
i4cpの3つのボード(CHRO=最高人事責任者、CLO=最高学習責任者、CDO=最高ダイバーシティ責任者)のメンバーが、それぞれの立場から挙げた2023年の優先課題を並べてみると、共通テーマと視点の違いが浮かび上がります。
ここまでがVISION編(第1部)です。海外の5つのレポートから浮かび上がった共通メッセージは、「学習風土を基盤に、個別最適化されたラーニングを職場成果ファーストで設計し、データで効果を測定する」という方向性です。続くACTION編では、これを日本企業の現場で実行するための具体的な手法を見ていきます。
ACTION① 研修形態の使い分け ― オンデマンド・リモート・対面・ハイブリッド
VISION編で見えてきた「個別最適化」「職場成果ファースト」「ブレンドラーニング」を実行に移すには、研修形態の使い分けが鍵になります。ACTION編では、4つの研修形態(オンデマンド・リモート・対面・ハイブリッド)の特性と使い分けのポイントを整理した上で、それらを組み合わせたラーニングジャーニーの設計手法と、成果を測る効果測定の実態について解説します。
それぞれの研修形態には得意な場面と注意すべきポイントがあり、「どれが最も優れているか」ではなく「どの場面にどの形態を使うか」という発想で選ぶことが重要です。
オンデマンド研修
知識インプット受講者が自分のペースで視聴・学習する形態。映像教材の質が成否を分けます。実際のビジネスシーンを使った映像、解説+ビジュアル、シナリオ型が効果的です。集合研修の録画や文字だけのスライドは受講者の集中力が続きません。
成功のポイント
コンテンツを1カ所にまとめ、受講者が「自分は何を勉強すればよいか」が一目でわかる構成にする。インプットだけでなく、映像を見た上で「自分の仕事でどう使うか」をコメント投稿させるアウトプット設計が定着の鍵。
リモート研修
演習・対話ビデオ会議ツールを使ったリアルタイムの研修。個人ワーク、ディスカッション、共同作業は対面と同等の効果が出せます。途中で受講者の声を拾いやすいのはリモートの強みです。一方、ペアワークやフィジカル系の演習は対面の方がスムーズです。
成功のポイント
ブレイクアウトルームを活用した少人数ディスカッション、チャットでの即時フィードバック、共有ファイルを使った共同作業など、リモートならではの設計を取り入れる。対面の研修をそのままオンラインに移すのではなく、リモートに最適化した設計が必要。
対面集合研修
体験・交流受講者が同じ会場に集まる従来型の研修。特別感、インパクト、モチベーションアップ、勢いをつける、受講者同士の交流、現場感の6つの成功条件があります。知識インプットのためだけに集めるのは非効率です。
成功のポイント
知識のインプットはオンデマンドに任せ、対面では「その場でしかできないこと」に集中する。ネットワーキング、フィジカル系の演習、キックオフの動機づけ、成果発表が対面の最も効果的な使い方。
ハイブリッド研修
柔軟性・大人数メイン会場(対面)+サブ会場(ミックス)+リモート参加を同時に運営する形態。地理的制約を超えて大人数に高品質な研修を提供できますが、設計と運営に工夫が必要です。
成功のポイント
メイン講師に加え、リモート講師(演習指示・フォロー担当)とプロデューサー(リモート操作・運営担当)の3人体制で運営する。サブ会場にはプロジェクター+全員の声を拾えるマイク+カメラが必要。リモート参加者専用の作業ファイルと演習を別途設計する。
4つの形態を「どれか1つに絞る」のではなく、目的に応じて組み合わせることがポイントです。知識のインプットはオンデマンド、ディスカッションと演習はリモート、キックオフと成果発表は対面、地理的制約がある大人数にはハイブリッド、という形で使い分けると、コストと効果のバランスが最適化されます。この組み合わせの設計手法が、次のセクションで解説する「ラーニングジャーニー」です。
ACTION② ラーニングジャーニーの設計 ― 9週間のブレンドラーニング
4つの研修形態を「単発のイベント」ではなく「一連の旅(ジャーニー)」として設計するのがラーニングジャーニーです。研修効果測定で有名なブリンカホフ教授と、ラーニングジャーニーのITプラットフォームを開発したプロモート社(Promote International)が、何千人もの受講者の経験から得た設計ノウハウをもとに解説しました。
9週間ブレンドラーニングの全体設計
以下は、セミナーで紹介された9週間のラーニングジャーニー設計例です。集合研修、自己学習、リモート研修、職場実施、上司の巻き込みという5つの要素を組み合わせ、受講者が学んだことを確実に職場で活かせるよう設計されています。
ラーニングジャーニー 9週間の設計例
キックオフ
集合研修1日
全体像の理解
動機づけ
自己学習
eラーニング
知識インプット
受講者ペース
リモート研修
演習・意見交換
成功事例の共有
課題の解決
職場実施+上司
学んだ内容を
即実践
上司がフォロー
成果発表
集合研修1日
上司・経営者へ
成果を報告
この設計のポイントは、キックオフと成果発表だけを集合研修(対面)にし、その間の知識インプットはeラーニング(自己学習)、ディスカッションと振り返りはリモート研修、そして最も重要な「職場での実践」と「上司の巻き込み」を研修期間中ずっと継続する点です。研修の価値は「セッションの中」ではなく「セッションの間に何が起きたか」で決まるというのが、プロモート社の数千人の経験から導き出された結論です。
ラーニングジャーニーのDo/Don'tリスト
プロモート社が実際の運用から得た具体的なノウハウを、4つの切り口(受講者エンゲージメント・上司の巻き込み・内容と職場実施・タイミング)のDo/Don'tリストとして整理しました。
このDo/Don'tリストに共通するのは、「受講者の業務に直結すること」「フィードバックを素早く返すこと」「上司を味方につけること」の3原則です。長期間にわたるラーニングジャーニーでは、受講者のモチベーション維持が最大の課題になります。課題を出しっぱなしにせず、即座にフィードバックを返し、成功事例を共有し、未提出者には毅然と対応することで、全員が最後まで走り切れる仕組みをつくります。
ブレンドラーニングの設計方法やラーニングジャーニーの導入について、アイディア社がご相談を承ります。
ACTION③ 研修効果測定の現状と課題
最後のACTIONテーマは、研修効果測定です。Leo Learning(オンライン研修の専門企業)とWatershed(人材育成アナリティクス企業)の共同調査レポート「Measuring the Business Impact of Learning」をもとに、効果測定の「理想と現実のギャップ」を明らかにします。
「やりたい」と「できている」のギャップ
調査の結果、研修効果測定に対する意欲は非常に高い一方で、実際に予算を確保して取り組めている組織はごく一部に限られています。
研修効果測定の理想と現実
意欲は高いのに、予算がついていない現実
ギャップの本質:「やりたい」と「予算が必要」はともに73%で一致しています。しかし実際に予算がある組織は27%だけ。73%の意欲に対して27%の実行という約2.7倍のギャップが、効果測定が進まない最大の原因です。
効果測定が進まない5つの障壁
効果測定を実施する上での最大の課題について、2017年から2022年までの経年変化を追ったデータが示されました。注目すべきは、最大の障壁が「手が回らない」という優先順位の問題であることです。
研修効果測定の障壁TOP5
最大の障壁は「難しい」ではなく「手が回らない」
読者への示唆:「効果測定が難しいからできない」という認識は実態と異なります。最大の障壁は「手が回らない」(40%)と「第一歩が分からない」(22%)、つまり優先順位と着手方法の問題です。VISION④で紹介した「職場成果ファースト」の発想に切り替えれば、研修の企画段階で成果指標を定義するため、追加の工数をかけずに効果測定が組み込めます。
研修効果測定の進め方や、効果を高める研修設計についてお気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 海外のトレンドレポートは日本企業にもそのまま当てはまりますか?
レポートのデータは主に欧米企業を対象としていますが、「学習風土の重要性」「リスキルの必要性」「研修の個別最適化」「効果測定の課題」といったテーマは日本企業にも共通しています。むしろ日本は欧米に比べて人材育成のデジタル化が遅れている分、これらのトレンドを先取りすることで競合との差別化になります。ただし、各社の状況に合わせてローカライズすることが前提です。
Q2. 人材育成の成熟度ステージを上げるには、まず何から着手すればよいですか?
Mind Toolsのレポートで示されたステージ1とステージ4の差が最も大きかった項目は「経営方針に合わせて育成施策を柔軟に変える」と「研修で定着のための十分な訓練がある」の2つです。まずは自社の研修が経営課題と直結しているかを見直し、次に研修後の定着フォロー(職場での実践支援)を仕組み化することが、最も効果的な第一歩です。
Q3. ラーニングジャーニーを導入したいのですが、最小規模ではどのくらいから始められますか?
セミナーで紹介した9週間のフルスケールが理想ですが、最小構成であれば「対面キックオフ(半日)+eラーニング(2〜3週間)+リモートフォロー研修(1回)+職場実施」の4要素で始められます。重要なのは、単発の研修で終わらせず「職場実施」と「上司の巻き込み」を必ず組み込むことです。小さく始めて成果を可視化し、次回の予算獲得につなげるアプローチが効果的です。
Q4. 研修効果測定の第一歩としておすすめの方法はありますか?
受講者アンケートの満足度(レベル1)に加えて、研修の3カ月後に「学んだ内容を職場でどの程度使っているか」を5段階で自己評価してもらう定着度調査(レベル3相当)を追加するだけで、大きな一歩になります。さらに上司にも「部下の行動変化を感じるか」を確認すると、客観性が高まります。大掛かりなシステムは不要で、Googleフォームで十分です。
Q5. セミナーで使用したテキストは入手できますか?
本セミナーで使用したテキスト(全40ページ)は無料で公開・配布しています。詳細は以下のお問い合わせページからご連絡ください。テキストには本記事で紹介しきれなかった研修プログラム例や詳細なデータも含まれています。
参加者の声
セミナー参加者のアンケートから、掲載許可をいただいたご感想を紹介します。
人材育成のトレンドを自社の研修に活かしませんか?
本セミナーで紹介したブレンドラーニング設計、研修効果測定、リスキル施策など、海外トレンドを日本企業の現場に合わせてカスタマイズした研修プログラムをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。







