ATD人材育成国際会議2024 報告会レポート|AI・心理的安全性・脳科学の最新トレンド

2024年5月、アメリカ・ニューオーリンズで開催されたATD人材育成国際会議(ATD International Conference & Exposition 2024)。世界77カ国から約9,000名が参加し、約300のセッションと300以上の展示ブースが設けられた、人材育成分野における世界最大級のイベントです。
IDEA DEVELOPMENT株式会社では、多忙な人材育成担当者様に代わってこの国際会議に参加し、現地で集めた最新トレンドと成功事例を報告会として共有しました。2024年6月6日にオンラインで開催された報告会には約300名が参加。本記事では、当日の全6パートの内容をダイジェストでお届けするとともに、セミナー映像を無料公開しています。
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無料レポートをダウンロードするATD2024で取り上げられたテーマは、ラーニングテクノロジー(AI活用)、心理的安全性、メンタルヘルス、ヒューマンリーダーシップ、パーソナライズ学習、脳科学、研修設計、講師スキル、研修効果測定と多岐にわたります。以下、報告会の各パートの内容を紹介します。
ATD人材育成国際会議 2024 報告会の概要
ATD(Association for Talent Development)は1943年に設立された人材育成分野の世界最大の非営利団体で、120カ国以上に4万名の会員を有しています。毎年開催される国際会議では、著名人の基調講演やワークショップ、最新の研究発表など、人材育成の最前線を知ることができます。
2024年のATD国際会議は5月19日から22日までニューオーリンズで開催されました。セッションは「リーダーシップとマネジメント開発」「ラーニング・テクノロジー」「インストラクショナル・デザイン」「ラーニングの科学」「ラーニングの測定と評価」など13のトラックに分かれ、約300のセッションが展開されました。
IDEA DEVELOPMENTの報告会では、これらの膨大なセッションの中から国内企業の人材育成担当者に特に役立つテーマを6つのパートに厳選して紹介しました。
Part 1:ラーニングテクノロジー|AI時代の人材育成
報告会の冒頭を飾ったのは、ATD2024で最も注目されたテーマ「ラーニングテクノロジー」です。AIをはじめとするテクノロジーが人材育成をどう変えるのか、4つのセッションから要点を紹介しました。
Booz Allen HamiltonのJason Jury氏は「ケイパビリティアカデミー」の立ち上げ方を解説しました。従来のeラーニングやタレントマネジメントから進化し、2020年以降は実務スキルに直結したケイパビリティアカデミーが主流になりつつあります。ポイントは、責任者が人事ではなく職場のリーダーであること、そして必ず職場実践を組み込む設計にすることです。導入企業は変化への対応力も業績も高い傾向が確認されています。
AxonifyのJD Dillon氏は「AIは5つ目のデジタルパラダイムシフト」と位置づけました。パソコン、インターネット、ソーシャルメディア、モバイルに続くAIの波に、人材育成部門は乗り遅れてはならないと強調。現在は自動音声やチャットボットが中心ですが、5年以内にパーソナライズ学習が当たり前になり、育成の効果が明確かつ測りやすくなると予測しています。
UMUのDongshuo Li氏は、AIツールと研修を組み合わせた場合の効果について研究データを紹介しました。AI単体で作業した場合と比べ、AIと研修を組み合わせると成果が劇的に上がることが複数の研究で確認されています。特に経験の浅い人ほどAI活用の効果が大きく、AIリテラシーの育成が重要な経営課題になりつつあります。
NovartisのJulie McGovern氏は、研修設計の各フェーズ(ADDIE)でAIを実際に活用している事例を紹介しました。ニーズ分析ではデータ分析と研修目的の提案、設計段階ではアイディア出しと演習の提案、実施段階ではオンラインロールプレイとAIフィードバック、効果測定ではアンケート分析と報告書作成など、すべてのフェーズでAIが研修担当者の強力なパートナーになることを示しました。
▼ Part 1 セミナー映像
AI時代の研修設計にご関心のある方へ
ATD2024レポートでは、Booz Allen Hamilton、Novartis、IBMなどの具体的なAI活用事例を67ページにわたって紹介しています。
無料レポートをダウンロードするPart 2:心理的安全性|チームの生産性を支える脳科学
Part 2では、近年ますます注目を集める「心理的安全性」について、AccentureのTorin Monet氏とImmersion NeuroscienceのPaul J. Zak氏が脳科学的な根拠とともに解説しました。
心理的安全性が高い組織では、コラボレーションが57%向上し、生産性が50%高く、離職率は27%低いというデータが示されました。さらに新しいことに挑戦する意欲は150%高く、エンゲージメントも76%向上します。逆に心理的安全性が低い環境では、うつ症状が28%、不安障害が34%、ストレス関連疾患が37%増加するという深刻な影響もあります。
GoogleやMicrosoftの研究でも、心理的安全性はハイパフォーマンスチームの基盤であることが確認されています。Googleの180チーム2年間の研究では、成功するチームに必要な5つの要素の中で心理的安全性が土台になっていました。脳科学の観点からは、安心できる環境ではドーパミン、セロトニン、オキシトシンなどの神経伝達物質が適切に分泌され、学習・イノベーション・コラボレーションが促進されることが説明されました。
ForzesのEvert Pruis氏は、ヘルシーな職場風土を実現するための5ステップ(振り返りと内省→離れる→心境を意図的に変える→共感する→リラックスする)を、Unilever、P&G、Saudi Aramco、PwCなどの経営者インタビューをもとに紹介しました。
▼ Part 2 セミナー映像
Part 3:ヒューマンリーダーシップ|フィードバック文化とハイブリッドワーク
Part 3では、Zenger FolkmanのJack Zenger氏がフィードバック文化の構築について、逆転の発想を提案しました。通常フィードバックは「上司から部下へ」というイメージがありますが、フィードバック文化をつくるには上司が部下からフィードバックを求めることが効果的だというデータを示しました。
11万名以上の360度評価データベースによると、部下からのフィードバックを積極的に求める上司は、リーダーシップの評価が高いだけでなく、フィードバックを伝えるスキルも78%と高く評価されています。またポジティブとネガティブの理想的な比率は5:1であるという行動科学者ゴットマン教授の研究も紹介されました。
Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのWendy Martling氏とKelly Titus氏は、ハイブリッドワーク環境でチームワークを強化するための4ステップ(タレント戦略→風土づくり→人材育成→情報発信)を実例とともに紹介しました。明確な方針、会議のルール設定、ハイブリッド研修の設計、定期的なコミュニティ活動など、具体的な取り組みが参加者から高い関心を集めました。
▼ Part 3 セミナー映像
心理的安全性やフィードバック文化に関心のある方へ
ATD2024レポートでは、GoogleやMicrosoftの研究データに加え、Accenture、Zenger Folkmanなどの専門家による実践的なアプローチを紹介しています。
研修について相談する(無料)Part 4:パーソナライズ学習|一人ひとりに合わせた研修設計
Part 4では、IDEA DEVELOPMENTのJason Durkee社長とNext PracticesのIan Townley氏が「パーソナルラーニングジャーニー」の設計方法を解説しました。受講者一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズ学習は研修の質と効果が高い反面、運営と準備の負荷が課題でした。近年のITの進化により大人数での実施が現実的になりつつあります。
効果的なパーソナライズ学習には5つのステップがあります。まずゴールセット(受講者インタビュー+アセスメント+ニーズ分析から個別プログラムを設計)、次にインプット(映像マイクロラーニング、課題図書、専門家インタビューなど)、アウトプット(文章、プレゼン、職場実践)、講師セッション(1対1の振り返りと練習)、そして研修効果測定です。
DDIのVerity Creedy氏はアセスメントの効果的な活用法を、IBMのDavid Leaser氏はデジタルバッジによるスキルの見える化について紹介しました。IBMでは195カ国で700万以上のバッジが獲得され、研修修了率が694%向上、エンゲージメントが87%向上するなどの成果が出ています。
▼ Part 4 セミナー映像
Part 5:脳科学|テクノロジー時代の研修設計とコーチング
Part 5では、Consciously DigitalのAnastasia Dedyukhina氏が「テクノロジーが記憶力と学習力に与える影響」について、脳科学の知見から解説しました。パンデミック以降、会議は148%増加し、画面の切り替え頻度は2004年の2.5分から2021年には44秒にまで短縮されています。スマートフォンが机にあるだけで作動記憶が11%低下するという研究結果も紹介されました。
この環境下で効果的な研修を設計するための5つのヒントが示されました。集中力管理に重点を置くこと(少人数研修、マルチタスク禁止)、体験学習にすること(五感に刺激を与える)、記憶を再構築すること(間隔学習、アクティブラーニング)、脳と身体を活性化させること(30分に1回画面から離れる)、そして目標達成をサポートすること(周りの巻き込み、明確な納期)です。
Envisia LearningのKenneth Nowack氏は、コーチングの脳科学的な裏付けを紹介しました。注目すべき研究結果として、プロコーチとAIボットの目標達成効果に有意な差がないこと、そしてAIボットの方が共感性やアクティブリスニングの評価が高かったことが報告されました。ただしAIだと明かされると受講者の評価は下がるという興味深い結果も出ています。
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Part 6:コアコンピテンシー|研修設計・講師スキル・効果測定
最後のPart 6では、人材育成の基盤となるコアコンピテンシーとして、研修設計、講師スキル、研修効果測定の3テーマが紹介されました。
TorchのMandy Varley氏は、既存研修を「ベクトル合わせ(職場ニーズとの一致度)×効果測定(ビジネス成果との結びつき)」の2軸で4分類し、それぞれの改善方向を提示しました。AmazonのAdrienne Herndon氏は、ソフトウェア開発のSCRUM手法を研修設計に応用した事例を紹介。SCRUM導入後12週間で、コンテンツの締切遵守率が96.3%から99.3%に向上し、作成本数も大幅に増加しました。
米国空軍のJohn Erdman氏は、専門家を講師に変えるための10日間の講師育成プログラムを紹介しました。成人学習の基本、研修設計(ADDIEモデル)、講師スキル(プレゼン、ファシリテーション)の3本柱で構成され、模擬研修3回+個別フィードバックという実践的な内容です。Shift FacilitationのMoe Poirier氏による「講師タイプ別診断」(先生タイプ、体育会系タイプ、ヒーロータイプ、コーチタイプ、エンターテイナータイプの5類型)も参加者の関心を集めました。
研修効果測定では、ROI InstituteのPatti P. Phillips氏がFirst AdvantageとROI Instituteの2つのケースを紹介しました。First Advantageでは7カ月間のブレンドラーニング管理職研修でROI 1,620%を達成。ROI Instituteのケースではヒューマンリーダーシップ研修のROIが97%となり、経営者は数字そのものよりも、しっかりした効果測定を行った姿勢を評価して翌年の研修予算を増額したという実例が紹介されました。
▼ Part 6 セミナー映像
研修効果測定や研修設計の改善にご関心のある方へ
ATD2024レポートでは、Amazon、米国空軍、ROI Instituteなどの実践的な事例と手法を詳しく解説しています。
無料レポートをダウンロードする参加者の声
報告会には約300名の人材育成担当者が参加しました。アンケートから、掲載許可をいただいた方の声を紹介します。
レポートを無料で公開中
本イベントで使用したフルカラーテキスト(全67ページ)を無料で公開・配布しています。ラーニングテクノロジー(AI活用)、心理的安全性、メンタルヘルス、ヒューマンリーダーシップ、パーソナライズ学習、脳科学、研修設計、講師スキル、研修効果測定の全トピックが、セッションで使われた実際のスライドやデータとともにまとめられています。ぜひお手元にダウンロードいただき、関係者の皆様でご共有・ご活用ください。
よくある質問
ATD人材育成国際会議とはどのようなイベントですか?
ATD(Association for Talent Development)が毎年開催する、人材育成分野の世界最大級の国際カンファレンスです。1943年設立の非営利団体が主催し、世界120カ国以上から数千名の人材育成専門家が参加します。約300のセッション、基調講演、ワークショップ、300以上の展示ブースが設けられ、最新の研修手法やテクノロジー、成功事例を学ぶことができます。2024年はアメリカ・ニューオーリンズで5月19日〜22日に開催されました。
ATD2024で最も注目されたテーマは何ですか?
2024年で最も注目されたのはAIと人材育成の融合です。研修設計の各フェーズ(ニーズ分析・設計・準備・実施・効果測定)でAIを活用する事例がNovartisやBooz Allen Hamiltonなどから紹介されました。また心理的安全性、パーソナライズ学習、脳科学に基づく研修設計も大きな注目を集めました。
報告会のレポートや映像は無料で視聴できますか?
はい、報告会の全映像(6パート)は本ページで無料公開しています。また、当日使用したフルカラーテキスト(67ページ)もこちらのページから無料でダウンロードいただけます。
ATDの報告会は毎年開催されていますか?
はい、IDEA DEVELOPMENTでは毎年ATD国際会議に参加し、帰国後に報告会を開催しています。2019年、2021年、2022年、2023年、2024年と毎年実施しており、各年のレポートもダウンロードいただけます。最新のATD2025報告会についてもレポートをご用意しています。
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