企業研修の成果を上げた実践事例16選|新入社員・管理職・グローバル・研修設計のヒント【2022年ベストプラクティス】

2022年に成果を上げた研修事例16選を3時間で凝縮紹介
新入社員、マネージャー、グローバル、コミュニケーション、人材育成プロフェッショナルの5つの領域から、実際の企業で導入された研修プログラムの設計と成果を具体的に解説しています。セミナー映像も全パート無料公開中です。
2022年12月6日、IDEA DEVELOPMENT株式会社(アイディア社)はオンライン形式で「ラーニングイノベーションフォーラム 2022」を開催しました。テーマは「Best of 2022」。2022年度に実施した研修プログラムの中から、現場で特に高い成果を上げた16の事例を、新入社員・マネージャー・グローバル・コミュニケーション・人材育成プロフェッショナルの5つの領域に分けて紹介した3時間のリモートカンファレンスです。
「リモート研修のマンネリ化をどう打破するか」「対面とオンラインをどう組み合わせれば効果が出るか」「限られたリソースで定着まで担保するには」。2022年は、パンデミックから2年以上が経過し、リモート研修の「量」から「質」への転換が求められた年でした。本フォーラムで紹介された事例は、まさにその転換期に成果を出した企業の実践知です。
本記事では、フォーラム当日の内容をもとに、16事例のダイジェストと設計のポイントをお伝えします。各パートのセミナー映像も無料で公開していますので、気になる事例は動画でも詳しくご覧いただけます。
2022年はリモートワーク3年目に入り、「ハイブリッド研修」が大きなテーマとなりました。対面とオンラインの使い分け、オンデマンドコンテンツの導入、定着フォローの仕組み化など、各事例に共通するのは「研修の形式ではなく成果にこだわる設計」です。
この記事で紹介する事例一覧
階層別研修の事例
新入社員編5事例
ハイブリッド研修 / リモートマナー / オンデマンド導入 / 主体性定着 / リモート×対面コミュニケーション
マネージャー編3事例
リモートマネジメント / リモートコーチング / マネジメント研修のブレンド化
テーマ別研修の事例
グローバル編3事例
オンデマンド英語自己学習 / グローバルプロジェクトのチームビルディング / 外国籍新入社員の異文化対応
コミュニケーション編2事例
交渉力強化研修(弱い立場からの交渉術)/ 顧客志向の強化(技術者向け)
人材育成担当者向けの事例
各事例は「どんな課題があったか」「何をしたか(プログラム設計のポイント)」「なぜうまくいったか」の3点を中心にまとめています。自社の研修設計のヒントとして、気になる領域からご覧ください。
新入社員編|ハイブリッド時代のコミュニケーションと定着の工夫(5事例)
2022年の新入社員研修は、対面回帰が部分的に始まりつつも、リモートとの併用が前提でした。ここで紹介する5つの事例に共通するのは、「形式をどう使い分けるか」だけでなく、「形式を使い分けることで何を達成するか」という設計意図が明確な点です。
事例1:リモート×対面のコミュニケーションスキル(大手製薬会社)
ハイブリッドワークが定着する中で、新入社員の営業職にはリモートでも対面でも高いコミュニケーションスキルが求められます。この事例では、ロジカルコミュニケーションとプレゼンテーションの内容を、対面集合研修とリモート研修を組み合わせて実施しました。
リモートとオンラインの「使い分け」に悩む企業は多いですが、この事例のポイントは「リモートだからできること」を積極的に活かした点です。リモート環境そのものをコミュニケーションの訓練に使い、対面でしかできない演習は対面に集約する。形式を学習目標から逆算して設計することが、ハイブリッド研修を成功させる鍵です。
事例2:無理のないハイブリッド研修(大手情報・通信会社)
対面研修ならではのチームビルディングと対面コミュニケーションスキルを身につけさせたい。しかし、ソーシャルディスタンスの制約で各会議室に通常の3分の1しか入れないという現実に直面しました。この事例は、その物理的な制約を逆手に取った設計で注目を集めました。
この設計の本質は「講師のリソースが足りないから仕方なくハイブリッドにした」のではなく、「インプットとアウトプットを分離することで、むしろ品質が上がった」という点です。解説部分の講師スキルのバラつきが消え、演習フォローに集中できる講師の負荷も下がります。対面研修の人数制限に悩む企業にとって、「制約を設計の工夫に変える」発想のヒントになります。
事例3:効果的なリモートマナー研修(大手システム開発会社)
新入社員研修の定番であるビジネスマナーは、お辞儀や名刺交換など身体を使う項目が多く、リモートに不向きとされてきました。しかしこの事例では「対面研修をそのままやろうとしない」という発想の転換から、リモートならではの効果的なマナー研修を実現しています。
具体的には、良い例・悪い例を映像で見せてイメージを定着させ、Zoomの投票・チャット・アノテーション機能を最大限に活用した参加型の演習を多数組み込みました。たとえば「学生言葉を社会人の言葉に通訳する」演習では、受講者がリアルタイムで言い換えを投稿し、全員で添削するという双方向のやり取りが生まれます。身体を使うマナー(名刺交換・お客様案内など)は配属直前に対面でフォローするという割り切りも、設計のポイントです。
リモート研修は「対面の劣化版」ではなく、リモートだからこそできる学習体験があるという事例です。特にZoom機能を「ゲーム感覚の演習」に転用する発想は、マナー研修に限らず幅広い研修テーマに応用できます。
事例4:オンデマンド導入研修(大手情報・通信会社)
多くの企業で春入社の新入社員には充実した導入研修がありますが、秋入社は人数が少なく同等の研修を実施するのが難しいという課題があります。この事例では「解説部分をオンデマンド映像にして、集合研修ではスキル習得のアウトプットと演習に集中する」というブレンドラーニングの設計で解決しました。
設計の特徴は、単に研修の録画を見せるのではなく、ディスカッション・クイズ・投稿・フィードバックを組み込んだ「ラーニングジャーニー」にアレンジしている点です。事前学習の進捗は講師が確認し、提出状況が悪ければフォローを入れます。短くても講師による研修を入れることで、提出率と習得度の両方が向上したという結果が出ています。
「少人数でも質を落とさない」という課題は、秋入社に限らず、中途採用の導入研修や海外拠点の研修にも共通します。「インプットはオンデマンド、アウトプットは講師付きの集合研修」という組み合わせは、コスト効率と学習効果を両立する設計パターンとして覚えておきたいところです。
事例5:主体性の定着プロジェクト(大手情報・通信会社)
数年来の新入社員に対する最大の課題は「主体性を十分に発揮しないこと」。言われたことはしっかりやるが、自分で考えてその先をやらない。この本質的な課題に対して、「研修そのものの構造を受講者主導に変える」というアプローチで挑んだ事例です。
具体的には、研修期間中に1日15分の「定着プロジェクト」を組み込みました。新入社員はテーマを自ら選び、4日間のサイクル(プランニング→プロトタイプ→フィードバック→提出)で短いアウトプットを仕上げます。テーマは「研修で得られた知識を忘れないようにする対策」「分かることができるようにする対策」など、研修内容に直結した5種類から選択します。
この設計のポイントは3つあります。第一に、講師の進行なしで回るようにインプットを映像にしたこと。第二に、他のメンバーが作ったアウトプットが研修期間中に役立つ「副産物」になること。第三に、自分で考えて短時間でまとめる経験そのものが主体性の訓練になっていること。「主体性を教える」のではなく「主体性を発揮せざるを得ない構造にする」という発想の転換は、多くの企業の新入社員研修に応用できるヒントです。
新入社員研修の設計をもっと詳しく知りたい方へ
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新入社員編|セミナー映像
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マネージャー編|リモート環境で部下を育てる仕組みづくり(3事例)
リモートワークが3年目に入った2022年、マネージャーが直面していた課題は「自己流のリモートマネジメントが限界に達している」ことでした。パンデミック初期は各自の工夫で乗り切れましたが、2年以上が経過すると、マネージャーの能力とセンスによるバラつきが無視できなくなります。ここで紹介する3つの事例は、いずれもリモート環境でマネジメントスキルを「再構築」するための取り組みです。
事例1:リモートマネジメントの基本(大手自動車メーカー)
リモートマネジメント研修が少ないため、多くのマネージャーは自分の思いつきで試行錯誤しながら動いている状態。2年間の蓄積で、マネージャー間のスキル差が拡大していました。この研修では、最低ラインのリモートマネジメントのベストプラクティスを浸透させながら、個別課題にも対応する設計にしました。
マネージャーが直面する3つのリモートコミュニケーション課題
この研修の設計で注目すべきは2つあります。第一に、研修そのものを「良いリモートコミュニケーションの見本」として設計している点。研修中のファシリテーションが、そのままマネージャーのお手本になる構造です。第二に、半日という短い時間設定。リモート環境でのマネージャー研修は、長時間の拘束が逆効果になるため、講師1人に対して受講者12人以内で個別フィードバックができる密度の高い設計を採用しています。
事例2:リモートコーチングスキル(大手精密機器メーカー)
コーチング研修を実施している企業は多いものの、高度なコミュニケーションスキルが求められるコーチングの定着はもともと難しく、リモート環境ではさらに顕著になります。この事例では「プロコーチではなく普通のマネージャーでもリモートでできるコーチングスキル」に範囲を絞り、定着フォローまで組み込んだ設計を採用しました。
コーチングスキルが定着する4ステップの設計
研修で知る・練習する
リモートコーチング研修(1日)。GROWモデルの基本を学び、ロールプレイで練習
職場で実践・ビデオ提出
部下との実際のコーチングをビデオ撮影して提出。「やってみる」を強制する仕組み
個別フィードバック
提出ビデオに対してGROWモデルの各項目(G/R/O/W)ごとに5段階評価+詳細コメント
プロコーチ体験
プロコーチとの個別セッションを体験。「良いコーチングとはこういうもの」という目指すイメージを持つ
コーチング研修の多くが「研修中はできたが職場で使えない」という結果に終わる原因は、研修と職場実践の間にフォローがないことです。この事例の設計が優れているのは、ビデオ提出によって「やらざるを得ない」状況をつくり、さらに個別フィードバックで改善ポイントを明確にしている点です。最後にプロコーチの体験を入れることで、「自分はまだ伸びしろがある」「こういうレベルを目指せばいい」というモチベーションにもつながります。この「知る→やる→見てもらう→良い見本を体験する」という4段階の流れは、コーチングに限らずスキル系研修の定着設計として参考になります。
事例3:マネジメント研修の効果的なブレンド化(大手機械メーカー)
長年対面で実施していた大人気のグローバル人材の早期選抜研修が、パンデミックの影響で実施できなくなった事例です。本来は日本→タイ→シンガポールとセッションごとに開催地が変わり、パーティーや観光も組み込まれた「特別な体験」でした。リモートになると、こうした特別感の演出は難しくなります。
そこで、研修の重点を「特別な機会とモチベーションアップ」から「成果を出すこととスキルアップ」に明確にシフトしました。具体的な設計として、インプットを数分程度のオンデマンド映像にし、ライブ研修は「影響力(相手が動きたくなる)」「成長支援(モチベーション・コーチング)」「成果向上(目標達成とマネジメント)」の3テーマをそれぞれ半日〜1日で実施。毎回の研修後にアクションプランを作成し、次回の研修で全員共有するサイクルを回しました。
さらに、上司を巻き込んで職場実施をサポートする仕組みと、個別コーチングを3回入れることで、研修と職場をつなぐ設計にしています。最後には上層部への成果発表を設定し、学びの「出口」を明確にしました。この事例は、「対面研修ができなくなった」というネガティブな状況を、「やりっぱなしの対面研修から、成果にこだわるブレンドラーニングジャーニーへのシフト」というポジティブな転換に変えた好例です。
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マネージャー編|セミナー映像
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グローバル編|語学力・異文化理解・チーム構築の3つのアプローチ(3事例)
グローバル人材育成の課題は「英語力を上げる」だけに留まりません。ここで紹介する3つの事例は、語学力の習慣化、多国籍チームの関係構築、外国籍社員のオンボーディングと、アプローチが異なります。共通するのは、「知識を教える」のではなく「実際のビジネス場面で使えるようにする」という設計思想です。
事例1:オンデマンド英語自己学習(大手化学メーカー)
新入社員に早いうちから英語のアレルギーをなくし、自己学習の習慣を身につけさせたい。しかし配属後に強制的に勉強させることはできず、時間外に多くの時間を使わせることもできません。この事例では「毎日30分、スマホでできるビジネス英語の訓練」を、曜日ごとにスキルとツールを変えるサイクル設計で実現しました。
英語研修の最大の課題は「続かないこと」です。この設計が巧みなのは、毎日異なるスキル(書く・聞く・覚える・読む・話す)を異なるツールで鍛える変化をつけることで飽きを防ぎ、週の始まりと終わりだけ講師のフィードバックを入れてモチベーションの谷を作らないようにしている点です。集合研修でキックオフし、定期的に講師と話す場をつくり、進捗をモニタリングするという「仕組み」が、自己学習の継続を支えています。
事例2:グローバルプロジェクトのチームビルディング(大手製薬会社)
世界中のITシステムを統合する大規模DXプロジェクトを3年かけて実施するにあたり、日本・欧州・北米・その他の4地域からメンバーを集めてチームを編成しました。組織も文化も経験もバックグラウンドも言語も異なるメンバーが、いきなりプロジェクトを進めるのは無理があります。この研修は、プロジェクトの第一歩として設計された異文化理解+チームビルディングプログラムです。
多国籍チームの研修でよくある失敗は「最初から全員一緒にやる」ことです。この事例の設計が優れているのは、最初にグループを分けて各自の文化的な「弱点」を補強してから合流させている点です。日本人にはローコンテクストのスキルを、外国籍社員には日本の文化的背景を事前に教えることで、合流セッションでの摩擦を減らし、建設的なコミュニケーションが生まれやすくなります。グローバルプロジェクトのキックオフ研修を設計する際のモデルケースとして参考になります。
事例3:外国籍新入社員向けの異文化対応(教育機関)
外国籍の新入社員を採用する企業が増えていますが、文化的な違いによるストレスで優秀な人材が1年以内に退職してしまうケースは少なくありません。この事例では、入社前にeラーニング「Working with Japanese Partners」を実施し、日本での1年目に遭遇する場面ごとに「何が求められているか」「なぜそうなるのか(文化的背景)」「どうすれば良いか」を映像で学ぶプログラムです。
カバーする場面は、新入社員研修(ビジネスマナーと集団主義)、OJT(先輩の指導と権力格差)、配属直後(報連相・時間感覚・プロセス思考)、1年目後半(リクエストの出し方・評価の受け方)と、入社から1年間の時間軸に沿って10のエピソードで構成されています。
この事例のポイントは3つです。第一に、外国人の視点から伝えること。日本人が「当たり前」と思っていることを、外国人が理解できる文脈で説明します。第二に、理想的な夢物語ではなくシビアな現実も伝えること。入社後の「こんなはずじゃなかった」を減らし、期待値を適切に設定します。第三に、完璧を目指さないこと。「外国人として許されるレベル」を目標にすることで、過度なプレッシャーを防ぎます。外国籍社員の早期離職に悩む企業にとって、入社前のオンボーディング設計のヒントが詰まった事例です。
グローバル人材育成の全体像を知りたい方へ
語学力強化、異文化理解、グローバルチームの関係構築など、目的に合わせた研修プログラムの設計について解説しています。
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コミュニケーション編|弱い立場からの交渉術と顧客志向の育て方(2事例)
コミュニケーション研修の成果は「知っているかどうか」ではなく「実際の場面で使えるかどうか」で決まります。ここで紹介する2つの事例は、いずれも「知る→練習する→職場で使う→フィードバックをもらう」というサイクルを設計に組み込み、定着まで追いかけているのが特徴です。
事例1:交渉力強化研修(自動車部品メーカー)
ビジネス環境の変化が激しくなり、長期計画が崩れたり要望が急に変わったりする場面が増えています。特に、サプライチェーンの中で立場の弱いサプライヤーにとって、顧客との交渉は大きなプレッシャーです。この研修は「弱い立場でも使える交渉スキル」に焦点を当て、4段階で受講者の自信を段階的に育てる設計にしました。
4段階で受講者の自信を育てるプログラム設計
基本編(半日)|交渉の基本フレーム
キーワード・分析・提案の基本を学ぶ。Win-Winの交渉であり、力関係を考慮した内容。
受講者の声:「交渉ってそう悪くないし、喧嘩でもつらい話でもない。これならできるかも」
応用編(半日)|分析と提案のテクニック
ヒアリングスキル、情報整理、具体的な提案テクニックを深掘り。事前インプット付き。
受講者の声:「まだ難しいが、やることが分かってきた。もう少し練習すればいけるでしょう」
実践編(半日)|自社ケースでのロールプレイ
実際のビジネスケースを使ったペアワークとロールプレイ。現実の場面に近い設定で練習。
受講者の声:「実際のビジネスではこんなふうに使うのか。自信はないが自分のベストを尽くそう」
定着編|講師と1対1のスピードロールプレイ
電話トレーニング(1対1×20分)を複数回実施。様々な設定で繰り返し練習し、個別フィードバック。
受講者の声:「何回も繰り返すと自分のものになる。以前と全然違う。交渉は難しくないし、結構できるかも」
この研修の設計で最も参考になるのは「受講者の心理変化」をプログラムの各段階にマッピングしている点です。研修後に「良い研修だった」という感想が出ても、職場で使えなければ意味がありません。基本編で「恐くない」と感じさせ、応用編で「やり方が分かった」、実践編で「現実に近い場面でやってみた」、定着編で「繰り返しで自分のものになった」という心理の階段を設計に組み込むことで、スキルの定着率が格段に上がります。
事例2:顧客志向の強化(大手情報・通信会社)
企業理念に「顧客志向」を掲げていても、日頃顧客と直に接する機会のない技術者にとっては、それを行動に移すのは簡単ではありません。この研修では、技術者が顧客のビジネスに関心を持ち、ニーズと課題に敏感になり、自社のソリューションを自ら考えるようになることを目指しました。
3カ月間のプログラムは「ニーズ把握→解決アイディア→提案」の3ステップで構成されています。各ステップに半日の研修と個別コーチングを組み合わせ、研修と研修の間に職場実践を挟みます。最終回では、受講者が想定企業に対する提案を直接上層部にプレゼンテーションします。他部署のメンバーとチームを組むことで視野が広がり、他チームの提案を聞くことで提案のイメージも広がります。さらに、各チームが作った提案が今後の営業活動で使えるテンプレートになるという副産物も生まれました。
設計上の重要なポイントは、上層部を最初から巻き込むことです。上層部が関与していないと、受講者は「研修だから仕方なくやっている」という意識になりがちです。上層部がコメントと評価をする最終プレゼンテーションがあることで、受講者の本気度が変わります。
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人材育成プロフェッショナル編|研修の設計・実施・効果測定を磨く(3事例)
最後のセクションは、人材育成担当者・社内講師自身のスキルアップに焦点を当てた3つの事例です。「良い研修をつくる」「良い研修を届ける」「研修の成果を測って伝える」という、人材育成の仕事そのものを強化する取り組みを紹介します。
事例1:リモート研修の達人(大手自動車メーカー)
リモート研修が主流になっても、受講者の集中力が途中で切れてしまう、一方通行のつまらない研修が少なくないのが現状です。この事例は、社内講師のリモート研修スキルを一気に引き上げるための3モジュール構成のプログラムです。
第1モジュールは「講師スキル」。受講者を惹きつけるプレゼンテーションとファシリテーションのテクニックを、事前インプット(自己学習)→リモート研修(アウトプット)→職場実施(実践)のサイクルで習得します。第2モジュールは「研修設計」。受講者が飽きない、スキルが身につく演習中心の研修をつくる力を鍛えます。第3モジュールは「プロデューサースキル」。複雑な研修設計をスムーズに運営し、トラブルに対処するコツを学びます。
この研修の設計で特徴的なのは、受講者にとって見本となる演習中心の研修スタイルを採用している点です。「研修を受けること自体が、良いリモート研修のお手本になる」という構造は、マネージャー編で紹介したリモートマネジメント研修(研修そのものが良いリモートコミュニケーションの見本)と同じ発想です。
事例2:オンデマンドコンテンツづくり(大手電機機器メーカー)
「オンライン研修ができたから、今年はオンデマンドですね」という経営者の一言で始まったプロジェクト。社内講師に任せたところ、できあがったコンテンツの品質にバラつきが出てしまいました。最低ラインを担保しながら講師をスキルアップするための研修です。
プログラムは「事前インプット(eラーニング)→リモート研修1回目(フィードバック)→職場でのコンテンツ作成・提出→リモート研修2回目(改善フィードバック)」の流れです。eラーニングでは、ストーリー構成(THINK)、スライド作成(MAKE)、伝え方(SPEAK)、撮影のコツを体系的に学びます。
設計上の最大のポイントは「受講者目線になっていないことに気づかせる」ことを最優先にしている点です。多くの社内講師は自分の知識を伝えることに集中しがちですが、受講者が本当に視聴し続けるかどうかは別の問題です。まずテンプレートから始めること(10分以内、Zoomで録画、章立て)を勧め、成功体験をつくってから自分の声と顔を出すレベルに進めるという段階設計が効いています。
事例3:実践的な研修効果測定
研修の効果測定は、人材育成業界で数十年にわたる課題の一つです。「やらなくてはいけない」と分かっていながら、受講者のアンケートと簡単な知識テストで終わるケースがほとんど。カークパトリックモデルのような方法を知っていても、なかなか実行に移せないのが現状です。この事例では、ブリンカホフのサクセスケースメソッドの日本語訳が刊行されたタイミングに合わせ、実践的な研修効果測定の研修を企画しました。
研修効果測定の3ステップ|測る前に成果を出す
Transfer|成果を出す
成果がなければ測定に苦労する。逆に派手で分かりやすい成果が出れば、測るのは難しくない。
効果的な研修設計
内容を絞る / 演習中心(講義3:演習7)/ シリーズ研修 / ブレンドラーニング
効果的な定着フォロー
上司を巻き込む / 職場で即実践 / フォロー / 研修中に成果確認
Measure|成果を測る
簡単ですぐできる、工数とリソースがあまりいらない方法を選ぶ。
インパクトマップ / アンケート(シリーズ研修なら不要)/ インタビュー / レポート作成(2軸評価がおすすめ)
Share|成果を伝える
測った結果を経営層・関係者に伝え、研修の価値を可視化する。
アウトプット×能力のマップ / 成果・行動・意識の3軸 / 研修前後の能力比較 / 発表がない場合は映像で解説
この3ステップの順番が重要です。多くの企業は「効果測定をしなければ」とSTEP 2(測る)から始めようとしますが、STEP 1(成果を出す)が不十分な研修をいくら測っても、良い結果は出ません。まず研修の設計と定着を強化して「派手な成果」が出るようにし、その上で測り、伝える。この順番を守ることが、研修効果測定を実務で回すための第一歩です。
研修効果測定の方法をもっと詳しく知りたい方へ
カークパトリック、フィリップス、LTEM、SCMの4つの代表的モデルを比較解説した記事をご用意しています。
▶ 研修効果測定の代表的なモデル比較|カークパトリック・フィリップス・LTEM・SCMを解説|▶ お問い合わせ
人材育成プロフェッショナル編|セミナー映像
人材育成プロフェッショナル編の全事例を収録したセミナー映像を無料公開しています。
参加者の声
フォーラム終了後のアンケートから、掲載許可をいただいた参加者の声をご紹介します。
よくある質問(Q&A)
Q1. ラーニングイノベーションフォーラムとは何ですか?
IDEA DEVELOPMENT株式会社(アイディア社)が毎年開催する、人材育成担当者向けの無料セミナーです。その年に実施した研修プログラムの中から、特に高い成果を上げた事例を選りすぐって紹介します。新入社員研修、管理職研修、グローバル研修、コミュニケーション研修、研修設計・効果測定など幅広い領域をカバーし、プログラム設計の具体的なポイントまで解説するのが特徴です。
Q2. フォーラムの動画は視聴できますか?
はい、全5パート(新入社員編・マネージャー編・グローバル編・コミュニケーション編・人材育成プロフェッショナル編)のセミナー映像を無料公開しています。本記事の各セクション内に動画を埋め込んでいますので、気になるパートからご覧ください。
Q3. 2022年の研修事例に共通する特徴はありますか?
2022年はパンデミックから2年以上が経過し、リモート研修の「量」から「質」への転換が求められた年でした。紹介された16事例に共通するのは、対面とオンラインを「仕方なく使い分ける」のではなく、各形式の強みを活かして学習効果を最大化する設計です。具体的には、ハイブリッド研修の設計、オンデマンドコンテンツの活用、定着フォローの仕組み化が多くの事例で見られます。
Q4. 紹介された事例の研修プログラムを自社に導入できますか?
はい、本フォーラムで紹介された研修プログラムはすべてアイディア社が企業と共同で設計・実施したものです。自社の課題や対象者に合わせてカスタマイズした形でご導入いただけます。まずはお問い合わせフォームから、ご関心のある領域や現在の課題をお聞かせください。
Q5. 他の年度のフォーラム内容も確認できますか?
はい、毎年のフォーラムの内容をブログ記事としてまとめています。年度によってトレンドや注力テーマが異なりますので、複数年の事例を比較することで、研修設計のヒントがさらに広がります。アイディア社の公式ブログからご覧ください。







