単発研修から年次連動型の演習中心研修でスキルとマインドを定着化した事例
各年次の研修が独立していて連動性がなく、一方通行の講義が主流で演習が少なかった。研修後の職場実践につながる仕組みもなく、スキルとマインドが定着しないまま育成投資の効果が見えにくい状態が続いていた。

研修テーマ
若手社員向け年次連動型育成体系への移行(演習中心の研修設計・職場実践課題の組み込み・上司巻き込み型フォロー)
単発研修の限界:なぜスキルとマインドが職場で活かされないのか
「研修を実施しているのに、職場での行動が変わらない」——多くの人事担当者がこの課題を感じています。その原因は研修の「内容」ではなく、「設計」にあることがほとんどです。各年次の研修が独立していて連動がない、講義一辺倒で演習が少ない——この2点が重なると、学んだことが日常業務に活かされない構造が生まれます。
本事例は、金融商品取引業を営む企業(従業員数約9,000人)において、単発・講義中心だった若手育成体系を「年次連動型・演習中心」へと全面的に見直した取り組みをご紹介するものです。
研修導入の背景:3つの構造的な課題
今回の見直しに至った背景には、以下の3つの課題が複合的に絡み合っていました。
課題① 各年次の研修が連動していない
1年目・2年目・3年目それぞれの研修が独立して設計されており、前年度に学んだ内容が次年度の研修に引き継がれていませんでした。その結果、毎年「ゼロからのスタート」になり、学びが積み上がる感覚が受講者に生まれにくい状態でした。
課題② 一方通行の講義が主流で演習が少ない
研修時間の大半が講義に充てられており、受講者が実際に手を動かしたり、話したり、考えたりする演習の時間が圧倒的に不足していました。「知識として知っている」状態止まりになり、職場で実践できるスキルとして定着しにくい設計でした。
課題③ 研修と職場実践がつながっていない
研修が終われば学びも終わり、という「やりっぱなし研修」の状態でした。研修で学んだことを職場で試す機会や仕組みがなく、学びと日常業務が切り離されたままになっていました。
改善の3本柱:年次連動・演習中心・職場実践
課題を踏まえ、今回の見直しでは以下の3点を軸に研修体系を再設計しました。最も重視したのは、「研修が終わっても学びが続く仕組み」を設計に組み込むことです。
改善① 単発研修から年次連動型研修へ
1年目・2年目・3年目の研修を段階的に深化する設計に変更しました。例えば、1年目で学んだロジカルコミュニケーションの基礎を、2年目では「上司を巻き込む働きかけ力」として応用し、3年目では「チームへの影響力」へと発展させます。
こうした連続性を持たせることで、受講者は「去年学んだことの続き」という感覚で研修に臨め、学びが積み上がっていく実感が生まれます。また、各年次で扱うテーマの重複が減り、研修全体の設計効率も上がりました。
改善② 演習中心の研修設計へ
講義の時間を最小限に絞り、演習・ロールプレイ・グループワークに研修時間の大部分を充てる設計に切り替えました。「知識として知っている」状態から「実際にできる」状態に引き上げるには、繰り返し体験させることが不可欠です。
演習のバリエーションにも工夫を加え、受講者が飽きず集中力を保てるよう、内容・形式・グループ構成を研修内で変化させました。受講者のバイオリズムを考慮したスケジュール設計も、研修全体のクオリティを高める重要な要素です。
改善③ 職場実践の組み込み
研修で学んだことを職場で試す「職場実践課題」を、研修設計の一部として組み込みました。研修終了時に「来週これを職場で試す」という具体的なアクションを決めて帰ることで、学びが日常業務の中で繰り返し活かされる仕組みをつくりました。
上司も受講者の実践状況を確認・フィードバックする役割を担うことで、研修の効果が職場全体に広がります。「研修担当者と受講者だけのプロジェクト」から「職場ぐるみの育成活動」へと転換することが、定着率を高める鍵です。
研修後の変化と成果
年次連動型・演習中心の設計に切り替えてから、若手社員が研修で学んだスキルを職場で意識的に実践するケースが増えました。以前は「研修と仕事は別物」という感覚があったところ、「研修で習ったことを使ってみよう」という姿勢の変化が見られるようになっています。
受講者からは「去年学んだことがようやく腑に落ちた」「研修の内容がつながっている感じがする」という声が届いています。学びが積み上がる実感が、受講者自身のモチベーション維持にもつながっています。
マインド面でも変化が見られ、「成長している実感がある」「自分の課題が明確になった」という声が増えてきました。スキルとマインドの両面での定着が、今回の設計変更によって実現できています。
年次連動型・演習中心の若手社員育成体系の設計については、アイディア・デベロップメント社へお気軽にご相談ください。
よくある質問
年次連動型の研修体系に移行するには、どのくらいの期間がかかりますか?
既存の研修内容の棚卸しと再設計が必要なため、導入準備には通常3〜6カ月程度かかります。全年次を一度に変えるのではなく、まず1年目から着手して順次展開する方法が、現場への負担が少なくスムーズです。
演習中心の研修設計は、社内の講師でも実施できますか?
演習の設計・進行には専門的なファシリテーションスキルが必要です。社内講師が担当する場合は、まず講師自身が「インタラクティブ講師スキル研修」を受けることをおすすめします。外部講師と社内講師を組み合わせるハイブリッド方式も有効です。
職場実践課題への上司の巻き込み方が分かりません。どうすればよいですか?
上司への負担感を最小化することが重要です。1回あたり10分以内で完結する関わり方(簡単なチェックインや一言フィードバック)を設計し、「上司のための育成スキル研修」とセットで導入することで、無理なく巻き込めます。
若手社員の育成体系を「やりっぱなし研修」から脱却させたい方へ
アイディア・デベロップメント社では、年次連動型・演習中心の若手育成体系の設計から導入・運用支援まで、一貫してサポートしています。貴社の現状の研修体系の課題整理から始めることも可能です。お気軽にご相談ください。
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