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英語力×実践力の両輪で鍛える|語学研修だけでは足りない理由【連載第3回】

「英語研修を毎年やっているのに、社員がグローバルビジネスで成果を出せない」——人材育成担当者からよく聞く悩みです。その原因は、多くの場合、語学力と実践力を混同していることにあります。

語学力とは英語そのものの力(文法・語彙・リスニングなど)。一方、グローバル実践力とは、持っている語学力をフルに活用して、外国人と英語でビジネスを遂行する力のことです。この2つは似ているようで全く異なるスキルであり、鍛え方も違います。

本記事は、全6回連載「グローバル人材育成の進め方」の第3回です。前回(第2回)はグローバルマインドの鍛え方を解説しました。今回は、マインドの土台の上に構築する「語学力」と「グローバル実践力」の違いと、それぞれの効果的な鍛え方を掘り下げます。

語学力とグローバル実践力——何が違うのか

グローバル人材育成の現場では「英語力を上げる」という言葉が頻繁に使われますが、この「英語力」の中身を分解してみると、大きく2つの領域に分かれます。

語学力は、英語という言語そのものを扱う力です。文法の正確さ、語彙の豊富さ、リスニングの精度、リーディングのスピードといった要素で構成されます。目的は「自分の意思を英語で伝えることができるようになる」ことであり、TOEIC®やGTECなどのテストで測定可能です。

一方、グローバル実践力は、その語学力を活用してビジネスの成果につなげる応用力です。ロジカルに構成された話し方、説得力のあるプレゼンテーション、合意を導くミーティングスキル、相手を動かすネゴシエーション——これらは語学力だけでは身につきません。実践力の評価は、実際のビジネスシーンに近いシミュレーション(ロールプレイ)で行うのが適切です。

現場でよく起きるのが、TOEIC®のスコアは高いのに外国人とのビジネスが上手くいかないケースです。これは語学力はあるが実践力が不足している典型的な例です。逆に、英語はそれほど流暢ではないのにグローバルプロジェクトで成果を出している社員もいます。この場合、実践力(特にコミュニケーション力とロジカルな表現力)が語学力を補っているのです。

語学力と実践力の違いを一覧で比較する

 
語学力
 
グローバル実践力

キーワード
英語、語学、TOEIC、勉強
 
実践、応用、コミュニケーション、演習

構成要素
文法、語彙、リスニング、リーディング、スピーキング
 
ロジック、ライティング、ミーティング、プレゼン、ネゴシエーション

目的
自分の意思を英語で伝えられるようになる
 
ビジネスをよりスムーズに英語で遂行できるようになる

評価方法
TOEIC®、GTEC、CASECなど
 
ミニシミュレーション(ロールプレイ)

研修形態
マンツーマン、グループレッスン、eラーニング
 
セミナー、メール・電話トレーニング、場面別演習

 
※ 企業研修の予算はグローバル実践力の強化に重点を置くことが効果的

この表が示すように、語学力と実践力は目的・構成要素・評価方法・研修形態のすべてが異なります。グローバル人材育成の予算を配分する際は、語学力はITツールと自己学習で効率的にカバーし、企業研修の予算は実践力の強化に重点を置くのが賢明です。語学力は個人の努力で伸ばせる部分が大きいですが、実践力は対人の演習が不可欠で自己学習では鍛えにくいからです。

語学力を効率的に高める6つのアプローチ

語学力の強化は、自己学習でも十分に成果を出せる領域です。ただし、学習法によって効果に大きな差が出ます。ここでは、日本人ビジネスパーソンが英語力を効率的に伸ばすための6つのアプローチを紹介します。

① 理解する(Understanding)——日本語と英語の根本的な違いを知る

英語の勉強を始める前に、まず日本語と英語のそもそもの構造の違いを理解しておくと、学習効率が格段に上がります。たとえば、日本語は名詞中心の言語で単語力が非常に重要ですが、英語は動詞中心の言語で「何をしたいか説明する力」が求められます。この違いを意識するだけで、英語での発想の仕方が変わります。

② 覚える(Learning)——思考回路を英語モードに切り替える

多くの学習者は英単語の暗記から勉強を始めますが、その前に必要なステップがあります。それは、日本語の思考回路を英語に変換しやすい形に組み替える「発想転換」のトレーニングです。日本語の名詞中心の表現を、英語らしい動詞中心の表現に置き換える練習を積むことで、英語を「考えてから話す」までの時間を短縮できます。

③ 読む(Reading)——イメージ先行で読解スピードを上げる

英語を読む力を高めるコツは、いきなり詳細に入らないことです。まず見出しと冒頭文を読んで内容を数秒間イメージし、その全体像を持ってから詳細を読むと理解度が高まります。さらに、同じ文章をスピードを意識して2〜3回読み、毎回時間を測定すると速読力のトレーニングになります。

④ 聞く(Listening)——繰り返しと工夫の組み合わせ

リスニング力を伸ばすポイントは、同じ短い文章を何回も聞くことです。ただし、黙って聞くだけでは効率が悪いため、さまざまな工夫を組み合わせます。文章を読んでから聞くと単語の聞き取りが向上し、音読をするとリスニングスピードが上がります。聞きながら書く「ディクテーション」は高い理解度に到達するための効果的な方法です。

⑤ 書く(Writing)——ローコンテクストの原則を意識する

日英のビジネスライティングに共通するのは、簡潔に書くこと、そして解決志向で書くこと(相手にどのような行動を求めているかを明確にする)です。一方、大きく異なるのは「行間」の扱いです。日本語では行間にニュアンスを込めることがありますが、英語では相手が考えなくても分かるように、具体的かつ明確に書く必要があります。第2回で解説したローコンテクスト文化の原則がここでも活きてきます。

⑥ 話す(Speaking)——準備とロジックが鍵

スピーキング力を高めるには練習相手が必要ですが、それ以上に重要なのが事前準備です。「考えてから話すまでの時間」を短縮するために、伝えたい内容のロジックやストーリー展開を事前に整理しておきます。さらに、積極的にあいづちを打ちながら、必要に応じて中断・質問するコミュニケーションスタイルを身につけることで、会話の主導権を握れるようになります。

グローバル実践力を高める——語学力の先にある「使いこなす力」

語学力が一定レベルに達していても、外国人とのビジネスがスムーズにいかない社員は少なくありません。多くの場合、不足しているのはコミュニケーション基礎力ロジカルに表現する力です。

グローバル実践力の強化は、この2つの基礎をまずマスターした上で、応用としてライティング・プレゼンテーション・ミーティング・ネゴシエーションなどの場面別トレーニングを積み重ねていく形が効果的です。アイディア社の実績では、この段階的アプローチにより、英語力のレベルにかかわらず実践力が大幅に向上したケースが多数あります。

特に重要なのは、実践力の強化は自己学習では困難であるという点です。語学力はITツールと教材の発達により個人学習でもある程度伸ばせますが、実践力は対人でのフィードバックとリアルタイムの演習が不可欠です。だからこそ、企業研修の予算と時間はグローバル実践力の強化に重点的に配分することをお勧めします。

グローバル実践力を含めた研修プログラムの設計については、アイディア社までお気軽にご相談ください。受講者の業務内容と英語レベルに合わせた最適なカリキュラムをご提案します。

実務で本当に役立つスキルトップ5

アイディア社の研修を受講した後、実際にグローバルビジネスの現場で英語を使っている元受講者へのヒアリング結果では、実務で最も役立っているスキルは以下の順でした。

1
コミュニケーションテクニック
積極的に反応し、会話に入り、質問・確認する力
2
ロジカルコミュニケーション
分かりやすい構成で話す力
3
eメールライティング
簡潔に、相手目線から、解決志向で書く力
4
英語発想転換
名詞中心の日本語を、英語らしい動詞表現に置き換える力
5
英語ミーティングスキル
明確な会議目的を伝え、自分の意見に説得力を持たせる力

注目すべきは、1位〜3位のすべてが「語学力」ではなく「実践力」の領域であるという点です。コミュニケーションテクニック、ロジカルな話し方、相手を動かすメールの書き方——これらはTOEIC®の勉強だけでは身につきません。語学力を活かして成果を出すには、実践力の鍛錬が欠かせないのです。

アイディア社のグローバル実践力強化研修は、1,145人の受講者データで平均+0.86ポイント(5点満点)の実力向上が確認されています。貴社の課題に合わせたプログラムについて、まずはお気軽にお問い合わせください。

語学力×実践力の最適バランス——研修予算の考え方

限られた予算の中でグローバル人材育成の成果を最大化するには、語学力と実践力への投資バランスが重要です。結論から言えば、企業研修の予算は実践力の強化に7割以上を配分するのが理想的です。

語学力は、スマホアプリ、Webコンテンツ、eラーニングなど、個人が自分のペースで学べるツールが充実しています。会社としては自己学習を支援する環境(学習アプリの導入、オンライン英会話の補助など)を整えれば、比較的低コストでカバーできます。

一方、実践力は対人のトレーニングが不可欠です。ロジカルに話す力は、フィードバックをもらいながら繰り返し練習することで初めて身につきます。ミーティングやネゴシエーションのスキルも、相手がいなければ鍛えようがありません。だからこそ、企業研修の予算と講師のリソースは実践力の強化に集中投下すべきなのです。

ただし、受講者の語学力に対する苦手意識が強い場合は、研修の最初の段階に語学力と実践力の強化をミックスしたプログラムを入れることで不安を解消できます。語学力への不安が消えた状態で実践力のトレーニングに入ると、吸収効率が格段に上がります。

次回の第4回では、これらの考え方を具体的な研修プログラムの設計に落とし込む方法と、効果を高めるITツールの活用法を解説します。

よくある質問

TOEIC®のスコアが低い社員にも実践力研修は効果がありますか?

効果があります。グローバル実践力の多くはコミュニケーション力やロジカルシンキングに基づいており、語学力のレベルにかかわらず向上させることが可能です。アイディア社の研修データでも、TOEICスコアの高低にかかわらず実践力の伸びが確認されています。ただし、最低限の語学力(目安としてTOEIC400点程度)がないと研修の進行に支障が出る場合があるため、そのレベル以下の受講者には語学力の基礎固めを並行して行うことをお勧めします。

語学研修と実践力研修は同時に行うべきですか、それとも順番に行うべきですか?

理想的には並行して進めるのが効果的です。ただし、実践力研修の初期段階に語学力強化の要素をミックスする「段階的アプローチ」が最も成果が出やすいことが分かっています。最初の数週間は語学力と実践力の基礎を一緒に鍛え、その後は実践力中心のトレーニングに移行する設計がお勧めです。

グローバル実践力の研修効果はどのように測定すればよいですか?

TOEIC®などの語学テストではなく、研修内容に合った測定方法を使うことが重要です。具体的には、ビジネスの疑似体験(ロールプレイ)としてミーティング・プレゼンテーション・ネゴシエーションなどを行い、研修前後でそれぞれの実力を比較する方法が効果的です。また、研修後に実務でグローバルビジネスを行っている受講者にヒアリングを実施し、行動の変化と成果を確認する方法も説得力のある効果測定になります。

連載シリーズのご案内

本記事は「グローバル人材育成の進め方」全6回連載の第3回です。

第1回:グローバル人材育成の全体像と4つの落とし穴

第2回:グローバルマインドの鍛え方——異文化理解から行動変容へ

第3回(本記事):英語力×実践力の両輪で鍛える——語学研修だけでは足りない理由

第4回:研修プログラムの設計術とITツール活用

第5回:海外研修・海外赴任者育成の実践法

第6回:経営者と人事が押さえるべきグローバル人材育成の成功条件

最新のグローバル人材育成トレンドについては、ATD人材育成国際会議2025報告レポート(無料)もあわせてご活用ください。

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「語学研修だけでは現場で成果が出ない」——そんな課題に、1,145人の研修データに裏打ちされた実践力強化プログラムをご提案します。語学力と実践力の最適バランスを含めた設計から、まずはお気軽にご相談ください。

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