2025年の新入社員研修で見えた傾向と、配属後フォロー設計のポイント

目次
1. 記事概要
4月の新入社員研修は、毎年「同じように見えて、実は毎年違う」イベントです。私たちは2025年4月7日〜25日の期間に、延べ約2,000名の新入社員研修を担当しました。 
今年は特に、コロナ後の影響が“受講姿勢”だけでなく“仕事のやり方”にも現れ、研修の中身とフォロー設計を見直すべきサインがはっきり見えました。
2. この記事でわかること
- 2025年の新入社員に顕著だった「良い変化」と「つまずきポイント」
- 大人数でも質を落としにくい研修運営(サブ講師・ハイブリッド設計)
- 配属後に効くフォロー(数カ月後ヒアリング/秋フォロー研修)
- 来年度に向けて見直すべき研修テーマ(電話・AI・ハイブリッドワーク 等)
3. 本文
2025年の新入社員に見えた“良い変化”と“注意点”
集中力と前向きさが高い(ただし学生気分は残りやすい)
今年の新入社員は、集中力が高く、前向きで、心理的な余裕も感じられました。 
実際、200名超の大人数研修でも眠そうな受講者がほとんど見られないほど、受講態度は良好でした。 
一方で、導入期間が快適に進む分、配属後にギャップを強く感じるケースも想定されます。 
リスクを恐れにくい一方、完成度に甘くなりやすい
ここ数年と比べると、リスクやミスを過度に恐れない傾向が見えました。 
ただ、裏返すと「完成度が高くなくても満足してしまう」傾向もあるため、職場では品質基準・期限・再提出などの“当たり前”を丁寧にすり合わせる必要があります。 
コミュニケーションは前向き。でも文章/構成力は差が出やすい
発言やコミュニケーションに前向きな一方で、成果(アウトプット)は平均的で、ロジカルシンキング(文章作成や説明の構成力)に個人差が目立ちました。 
「話せる」=「伝わる」ではないため、研修では“話し方”だけでなく、要点整理・結論先出し・根拠の置き方までセットで扱うのがおすすめです。
大人数でも質を落とさない運営:サブ講師配置とハイブリッド設計
サブ講師配置の目安:受講者30名に対して1名
今年は44〜375名規模の研修もありました。 
大人数研修で起きやすい失敗は「一方通行の講義」になること。演習中心の設計にするなら、受講者のアウトプットを拾う体制が必須で、受講者30名につきサブ講師1名を目安にしました。 
ハイブリッド研修は“複雑だが強い”
数百名規模では、現在もリモートやハイブリッドを採用する企業があります。 
代表的なのは「講師解説は配信」「各部屋は対面で演習+サブ講師が支援」という形。 
うまく設計できると、クラス間の品質のばらつきが出にくく、修了アンケートでも総合評価が安定しやすい、という示唆が得られています。
2025年に効きやすかった研修テーマ(3本柱)
今年の実施内容は大きく次の3テーマに整理できます。
- プロフェッショナルマインド(主体性/社会人マインド/配属後の対策)
- ロジカルシンキング(ピラミッド、ロジックツリー、MECE等の基本)
- コミュニケーション(報連相、傾聴、プレゼン等)
ポイントは、知識の詰め込みではなく「配属後に何を求められるか」から逆算して、演習で“型”を作ることです。
配属後フォローで差がつく:やるべき2つのタイミング
導入研修中は楽しそうに過ごせても、配属後にギャップが来ます。 
そこで重要なのが、次の2点です。
(1)配属から数カ月後のヒアリング
「困っていること」「詰まっている場面」を言語化させ、早めに手当てします。ここでの設問は、スキルよりも職場適応(期待・基準・相談の仕方)に寄せるのがコツです。
(2)秋のフォロー研修
モチベーションを維持しつつ、職場の厳しさにも適応できるように促す。秋のフォロー研修が特に大切、という示唆が得られています。
来年度に向けて:研修を“古い定番”のままにしない
近年言われてきた「主体性がない/正解をすぐ求める/リスクを恐れる」は、変化の兆しがあります。 
それ以上に見直したいのが、研修テーマと現場ニーズのズレです。 
見直し例:電話応対は“固定電話前提”を捨てる
電話応対は大切でも、固定電話の出方・転送が業務にないなら省略してよい、という考え方です。
代わりに必要なのは、以下のような“今の現場”に直結する内容です。
- 電話で話す経験が少ない新入社員向け:電話に出る重要性と話し方
- 議事録作成でのAIツール活用
- ハイブリッドワーク下でのチームコミュニケーション
- ハラスメントを恐れて遠慮しがちな上司との関係構築
また、今の新入社員は単語ベースのやりとりに慣れていて文章化が苦手、電話に抵抗がある、ビジネスメールの型も未習得…といった前提に立つ必要があります。さらに、AIツールの使い方もセットで教えないと行動変容につながりにくい、という示唆もあります。
まとめ:2025年の結論(そして次の一手)
今年の新入社員は、態度は非常に良い一方で、能力・習得度は平均〜やや良い程度。そして、来年度からは長年の定番研修に手を入れるべき局面に来ています。 
研修は「やった」で終わらせず、配属後のヒアリングと秋フォローまで含めて、1年の設計として再構築することが成果への近道です。
4. よくある質問(FAQ)
Q1. 2025年の新入社員研修で最も強く感じた特徴は?
集中力が高く前向きで、コミュニケーションにも積極的な一方、学生気分が残る場面もありました。  
Q2. 文章力・説明の構成力を伸ばすには?
ロジカルシンキングは個人差が出やすいため、「結論→根拠→具体例」の型を演習で反復し、配属後の実務文章(メール・報告)に直結させるのが効果的です。 
Q3. 大人数研修で品質を保つコツは?
一方通行の講義にしないこと。演習中心なら、受講者30名に対してサブ講師1名を目安にし、アウトプットを拾う体制を作るのが有効です。 
Q4. 配属後フォローはいつ何をすべき?
配属から数カ月後のヒアリングと、秋のフォロー研修が重要です。職場適応を促しつつ、前向きさとモチベーションを維持できる設計にします。 
Q5. 来年度、見直すべき研修テーマは?
固定電話前提の電話応対を削り、電話経験の少なさへの対応、議事録でのAI活用、ハイブリッドワークのコミュニケーション、上司との関係構築など“今の現場”に合わせたテーマへ更新するのがおすすめです。 
5. 研修の見直し・設計相談
貴社の現場に合わせて、研修をゼロから設計します。
研修は、内容だけでなく「対象・人数・現場課題・運営条件」で最適解が変わります。私たちはパッケージの押し売りではなく、貴社の状況を伺った上で、目的に直結する設計(プログラム/演習/実施形式/配属後フォローまで)をご提案します。まずは現状とお悩みをお聞かせください。
本記事は、@人事「プライムコラム」掲載の寄稿
(執筆:ジェイソン・ダーキー/IDEA DEVELOPMENT株式会社)をもとに
当社ブログ向けに再編集しています。
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