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海外拠点×外国籍社員の育成「新常識」|3つのケース別・研修設計の実践ポイント

1. 記事概要

外国籍社員の育成は、従来の「日本人向け研修」をそのまま当てはめると、意図せず“アウェイ感”や不安を強め、定着や成果に逆効果になることがあります。そこで本記事では、ケース別に起こりがちな問題と、研修設計に組み込める具体的な解決ヒントを紹介します。

2. この記事でわかること

  • 外国籍社員育成ニーズの3分類(国内採用/来日研修/海外での育成)
  • 外国籍新入社員の定着に効く「文化的背景説明」「受け入れ側フォロー」「定期フォロー設計」
  • 海外拠点スタッフ育成で本社が検討すべき「理念浸透」「ニーズ把握」「リテンション」の要点
  • 失敗しないための、研修“コンテンツ”以前の設計の考え方(会社ごとに最適化する視点)


3. 本文

日本で採用した外国籍新入社員の研修

近年の新入社員研修では、全体の5%程度が外国籍社員で、日本語の読み書きに問題がない層と、勉強中の層がほぼ半々という状況が見られます。 
特に日本文化(とりわけ上下関係)に馴染みが薄い場合、入社後の環境変化が大きなショックになりやすく、早期フォローがないとモチベーション低下〜離職リスクにつながります。


1-1. 研修に「文化的背景の説明」を最初に入れる

日本の新入社員研修でよくあるホームルームや団体行動、マナー研修は、外国籍社員から見ると独特に映ることがあります。そこで最初に、背景となる文化要素(例:集団主義、権力格差、ハイコンテクスト等)を説明しておくと、「なぜ必要か」を理解しやすくなります。 

設計に入れたい一言例(そのまま使えます)

  • 「“正解の行動”を覚える前に、背景にある価値観(なぜそうするのか)を共有します」
  • 「日本の職場は“行間”や“細部の正確さ”を重視する場面があるため、前提から確認します」


1-2. “本人”より先に「受け入れ側」をフォローする

異文化研修を外国籍社員に実施することも有効ですが、それ以上に重要なのが、受け入れ先の上司・職場メンバーへの研修です。短時間(半日程度)でも実施し、双方に共通認識・共通言語を持たせることがポイントです。 


1-3. 配属後の「定期フォロー」を設計に組み込む

もう一つ有効なのが、外国籍社員の定期的なフォローです。実施イメージとして、1〜2時間、1〜2カ月ごと、合計3〜6回程度が挙げられています。内容は「困りごとの共有」「疑問解消」「不安除去」「目標設定」「アクションプラン策定」など。


海外の現地スタッフの国内研修(来日研修)

海外拠点をマネジメントできる人材育成や、本社側が現地スタッフを把握する機会として、日本での研修を導入する企業が増えている一方、プログラム設計を誤ると不満が募り「せっかくの機会なのにもったいない」という評価につながる恐れがあります。


2-1. 来日研修は「モチベーションが高い=成功」ではない

来日研修は貴重な機会で期待値が上がりやすい分、ねらい/得られるもの/帰国後の実践が曖昧だとギャップが出ます。そこで、設計段階で以下を明文化するのがおすすめです。
• 研修のゴール(例:理念理解/本社との共通言語化/現場課題の解像度UP など)
• 研修後に持ち帰る成果物(例:アクションプラン、上司への提案、改善テーマ)
• 帰国後フォロー(例:オンライン振り返り、成果共有会、上司巻き込み)


海外現地スタッフの海外での研修

海外拠点スタッフの育成は現地任せになりがちですが、本社として検討すべきポイントとして、(1)企業理念の浸透(2)ニーズ把握と目的別研修(3)リテンション対策、の3つが挙げられています。


3-1. 企業理念の浸透は「想像以上に関心が高い」

海外の現地スタッフは、本社が思う以上に企業理念・ビジョン・ミッションへの関心が高く、日系企業の基本的な考え方(ビジネスマナー、PDCA、問題解決、顧客志向など)を学びたがるケースもあります。さらに文化的背景を添えると、理解と実務への応用効果が高まります。 


3-2. ニーズ把握は「難しい診断」より“簡単な把握”から

大切なのは一人ひとりの的確なニーズ把握で、最初は難しいアセスメントより、簡単なアンケートとヒアリングで知識・スキルを把握し、仕事で求められていることを特定するのがよいとされています。人数が少ない場合は、オンデマンド研修+コーチング、個人別ラーニングジャーニーも有効です。 


3-3. リテンション対策としての研修(“育成”と“定着”をつなぐ)

海外企業では研修ラインアップの充実が満足度を高め、研修が不十分に見えるとスキルアップやキャリアへの不安から転職を考え始めることがあります。シンプルな対策として、ラーニングコンテンツライブラリー導入が挙げられています。


まとめ

外国籍社員育成のポイントは、コンテンツ以前に「設計」を変えることです。実務で効く打ち手としては、

  • 文化的背景の事前説明
  • 受け入れ側(上司・職場)への研修
  • 配属後の定期フォロー設計(1〜2時間/1〜2カ月ごと/計3〜6回)
  • 海外拠点では「理念浸透/ニーズ把握/リテンション」を本社テーマとして持つ

が、再現性の高い柱になります。

そして、研修成果を最大化する鍵は「講師スキル」ではなく「研修の設計」であり、受講者が飽きずに集中できるよう配慮して設計することが重要です。


4. よくある質問(FAQ)

Q1. 外国籍社員向け研修は、日本人向け研修を翻訳すれば足りますか?

翻訳だけでは足りないケースが多いです。背景となる文化や職場の前提を補い、受け入れ側・配属後フォローまで含めた“設計”が成果を左右します。 

Q2. 配属後フォローは、どのくらいの頻度が現実的ですか?

1〜2時間、1〜2カ月に1回程度で、合計3〜6回という設計イメージが示されています。 

Q3. 海外拠点の育成は現地に任せるべきでは?

現地任せでも回りますが、本社としては「理念浸透/ニーズ把握/リテンション」を押さえる価値が大きいです。 

Q4. ニーズ把握はアセスメントを入れた方が良いですか?

最初は難しい診断より、簡単なアンケート+ヒアリングで知識・スキルを把握し、仕事で求められていることを特定する進め方が推奨されています。


5. 研修の見直し・設計相談

外国籍社員の育成は、正解となる“型”が一つに決まっているテーマではありません。採用形態(国内採用/来日研修/海外拠点)や、受け入れ側の体制、現場の期待値によって、最適な打ち手は変わります。

アイディア社では、研修コンテンツの提供だけでなく、御社の状況に合わせた研修設計(目的設計・対象設計・現場定着のフォロー設計)からご一緒しています。
「何から整理すべきか分からない」「現場の受け入れも含めて設計したい」など、壁打ち段階でも構いません。お気軽にご相談ください。



本記事は、@人事「プライムコラム」掲載の寄稿
(執筆:ジェイソン・ダーキー/IDEA DEVELOPMENT株式会社)をもとに
当社ブログ向けに再編集しています。

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