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ATD(ASTD)2013レポート|ダラスから届いた人材育成5大トレンド

📘 ASTD ICE 2013 帰国報告会レポート(全50ページ)を無料でダウンロード

ラーニングトランスファー、ラーニングテクノロジー、グローバル人材育成、リーダーシップ開発など、2013年のASTD国際会議で発表された最新トレンドと企業事例をまとめたレポートです。

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2013年5月、米国テキサス州ダラスで開催されたASTD ICE 2013(現ATD国際会議)は、世界87カ国から約9,000名の人材育成関係者が集結する大規模イベントとなりました。ASTD(American Society for Training & Development、現ATD)は1943年に設立された世界最大級の人材開発団体であり、この国際会議は人材育成の最先端情報が発表される場として毎年注目を集めています。

アイディア社では、多忙な人材育成担当者の皆様に代わり、メンバーが現地ダラスに赴き、約300のセッションと300社以上の展示会から厳選した情報を収集しました。本記事では、その帰国報告会レポート(全50ページ)の内容から、日本企業の研修担当者が実務で活用できるポイントを中心にお伝えします。

ASTD ICE 2013のセッションは「キャリア開発」「学習の設計と促進」「グローバル人材開発」「人材」「リーダーシップ開発」「ラーニングテクノロジー」「測定・評価・ROI」「職場の能力開発」の8トラックで展開され、なかでも「ラーニングトランスファー(研修の学びを職場で定着させる手法)」と「ラーニングテクノロジーの活用」が大きな注目を集めました。

📋 この記事でわかること

ASTD ICE 2013 基本データ

9,000
名の参加者
87
カ国
300+
セッション
300+
展示ブース
8
トラック

なお、海外からの参加者国別ランキングでは韓国が387名でトップ、カナダ235名、中国172名に続き、日本は128名で第4位でした。日本からの参加者数の多さは、国内の人材育成担当者が世界のトレンドに対して高い関心を持っていることを示しています。

ラーニングトランスファー ― 研修の学びを職場で定着させる

ASTD ICE 2013で最も注目を集めたテーマの一つが「ラーニングトランスファー」です。研修で学んだことを実際の業務で活用し、成果に結びつけるこのプロセスは、多くの企業が課題とする領域でした。

6Dsフレームワーク ― 研修効果を最大化する6つのステップ

The 6Ds CompanyのAndrew Jefferson氏とRoy Pollock氏が紹介した「6Ds(6 Disciplines of Breakthrough Learning)」は、研修の学びを確実に職場で定着させるためのフレームワークです。研修効果が出ない原因の多くは、研修内容そのものではなく「研修前後の設計」が不十分なことにあります。6Dsでは以下の6つのステップを一貫した流れで設計することを提唱しています。

1

Define ― ビジネス成果を「定義」する

研修目的の前に、期待するビジネス成果を明確にする。職場でどんな行動・成果を期待するのかを明文化することが第一歩。

2

Design ― 受講者体験の全体を「設計」する

準備 → 研修受講 → トランスファー → 達成の4フェーズを一連の流れで設計。研修単体に依存しない。

3

Deliver ― 職場で「できる」ように「伝達」する

「わかる」ではなく「できる」が目標。講義:演習=1:2が推奨比率。

4

Drive ― 職場での実践を「推進」する

リマインドメール、ヒント集、上司を巻き込む仕掛けなど。上司の巻き込みが成否を決める。

5

Deploy ― サポートツールを「展開」する

チェックリスト、手順書、ワークシート、コーチング、メンタリングなどを整備する。

6

Document ― 成果を「書類化」する

報告書の構成・判断基準・計測方法を事前に決めておく。成功でも報告が下手なら伝わらない。

このフレームワークの核心は、受講者一人ひとりに「Can I?(自分にできるか?)」「Will I?(自分はやるか?)」という2つの問いに「はい」と答えてもらえる環境を整えることです。スキル・機会・自信・サポートが揃っていなければ実践にはつながりません。また、上司や同僚からの支援がなければモチベーションも維持できません。研修単体を磨くだけでなく、研修前後のプロセス全体を設計することが投資効果を最大化する鍵です。

企業事例:SK Telecom ― ボトムアップ型チェンジマネジメントで劇的復活

SK Telecom(韓国) ― 企業風土改革の事例

BEFORE 2000年代前半

業績が急降下。外部調査で「軍隊調・官僚的・トップダウン型の社風」が根本原因と判明。社員のエンゲージメントが低く、イノベーションが生まれにくい環境。

AFTER 改革後

業績と株価が劇的に回復。社員満足度が急上昇。Best Workplace(2008〜2012)、Global Telecoms Business Innovation Award(2012)を受賞。

改革の3方針

① 年がら年中作戦(単発にしない) ② ボトムアップ作戦(トップダウンの逆) ③ オープン作戦(進捗を全社公開)

SK Telecomの事例は、欧米式のトップダウンだけが正解ではないことを証明しました。ボトムアップ型であっても、行動と成果にこだわり、PDCAサイクルを回し続ける仕組みを人事部門が設計すれば、劇的な業績回復を実現できるのです。自社の研修効果を高めるうえで、「研修後のフォローアップをどこまで設計しているか」を見直す良いきっかけになる事例です。

研修の学びを職場で定着させる仕組みづくりについて、自社の課題を整理されたい方はお気軽にご相談ください

LEANトレーニング ― 研修の「8つのムダ」を排除する

Maverick InstituteのTodd Hudson氏が紹介した「LEANトレーニング」は、製造業で確立されたPDCA改善サイクルを人材育成に適用し、目的達成とムダの排除を両立させるアプローチです。研修にありがちな「ムダ」として、以下の8つが挙げられました。

▍インパクト大(優先的に改善すべき)

1

Defects(欠陥品)

間違った・古くなった内容や資料

2

Delay(時間の差)

アップデートの遅れ、待ち時間、非効率な流れ

3

Over Teaching(教え込みすぎ)

既知の内容や必要以上に細かい内容を教えるムダ

4

Unused Talent(人材のムダ)

講師の資格にこだわりすぎて、教えられる社員を活用しない

▍インパクト小(エネルギーをかけすぎない)

5

Transportation(交通)

人と物を必要以上に動かすムダ

6

Inventory(在庫)

使わない情報、余分な教材や資料

7

Extra Steps(余計な手順)

テキスト校正、ソフト確認、不要なレポート作成

8

Motion(行動)

情報を探す、入力する、アクセスしようとする時間

LEANトレーニングの考え方は、特に限られたリソースで研修を回している企業にとって示唆に富んでいます。「1〜4のインパクトが大きいムダを優先的に減らすことで、より効率的な人材育成が実現できる」というメッセージは、2013年時点の提言でありながら、2020年代のコスト意識が高まる環境においてもそのまま通用する普遍的な原則です。

ラーニングテクノロジー ― デジタルで研修を変える

2013年当時、ソーシャルメディアやeラーニングの導入が本格化し始めた時期であり、ASTD ICE 2013ではテクノロジーを活用した研修設計の事例が数多く報告されました。

企業事例:The Aerospace Corporation ― ソーシャルメディアで研修改革

米国カリフォルニア州に本社を置くThe Aerospace Corporationは、航空宇宙分野のエンジニアリング会社で、社員3,700人のほとんどが高度な専門性を持つ科学者やエンジニアです。全米に拠点が分散している特性を踏まえ、従来の集合研修をソーシャルメディアを活用した形態に変更し、成果を収めました。

ブレンドラーニングへの移行イメージ

STEP 1
1日目 集合研修
アイスブレーク・解説・目的確認
STEP 2
宿題:動画制作
5分間のプレゼン動画
STEP 3
オンライン議論
3週間の情報共有・意見交換
STEP 4
バーチャル研修
障害と気づきの確認

この取り組みにより、受講者数を12名から20名に拡大しつつ拘束時間を短縮。集合研修と同程度の満足度・理解度を維持しながら、より正確なフィードバックを得られるようになりました。パイロット的に2クラスを早期に実施し、その結果をもとに教材を改善して本実施に入った点も、成功を早めた要因です。2013年の事例ですが、「まずパイロットで試し、改善しながら拡大する」という進め方は、2020年代のオンライン研修導入においても有効なアプローチです。

企業事例:Yum! Brands ― 5年でアナログからデジタルに完全移行

Yum! Brands ― ラーニングテクノロジー導入の事例

BEFORE 2008年

すべてが紙ベース。世界5ブランド(KFC、ピザハット、タコベル等)で研修内容の統一性・品質管理が困難。

AFTER 2012年

ブレンドラーニング最適化+ソーシャルポータル導入完了。統一性・品質が向上、経費削減、社員満足度↑、退職率↓。

Yum! Brandsのデジタル移行タイムライン

2008年 ― すべて紙ベース

2009年 ― 単純なeラーニングを導入

2010年 ― バーチャルトレーニングを試験開始

2011年 ― サポートツールを導入

2012年 ― ブレンドラーニング最適化+ソーシャルポータル導入完了

Yum! Brandsの事例で最も示唆に富むのは、「スタートラインが低くても気にせず始める」という姿勢です。たった5年で完全なアナログからデジタルへの移行を実現しました。そのプロセスでは、まず関係者を巻き込んで方針を伝え、小規模なパイロットから段階的にスケールアップしています。技術的なトラブルよりも、各部門の理解を得ることのほうが困難だったという指摘は、日本企業がデジタル研修を導入する際にも共感できるポイントでしょう。

バーチャル研修・モバイル研修のヒント

NetSpeed Learning SolutionsのCynthia Clay氏は、バーチャルラーニングで陥りがちな3つの落とし穴として「ヒューマンエラー(スキル不足・操作不慣れ・準備不足)」「テクニカルトラブル(ネットワーク遅延・ソフトの不安定さ)」「コンティンジェンシー(サポート講師不在・トラブル対応チェックリストの欠如)」を挙げました。受講者を飽きさせないためには、チャット・アンケート・ステータス表示・ビデオなどのツールを積極的に活用することが有効です。

また、San Diego State UniversityのAllison Rossett氏はモバイルラーニングの可能性を提唱し、「使わずにいられないくらい便利にすること」「細かいニッチを狙うこと」「他の施策とブレンドすること」をサポートツール設計のコツとして紹介しました。ラーニング(知識・スキルの獲得)とパフォーマンスサポート(ツールで成果を支援)を組み合わせる発想は、現在のマイクロラーニングやジョブエイドの考え方と直結しています。

研修のデジタル化やブレンドラーニングの設計について、自社に最適な形をお探しの方はお問い合わせフォームからご連絡ください。

グローバル人材育成 ― 真のグローバル企業に変わるために

グローバル展開を加速させる企業にとって、「多国籍企業」と「真のグローバル企業」の違いは何なのか。ASTD ICE 2013では、この問いに対する具体的なアプローチが複数の企業事例を通じて紹介されました。

企業事例:MAPFRE ― 46カ国35,000人の価値観統一

MAPFRE(スペイン) ― グローバル企業化の事例

BEFORE
25% 海外売上比率

各国拠点が独自に運営。価値観やコンピテンシーの統一ができていなかった。

AFTER
67% 海外売上比率

46カ国35,000人が共通の価値観を共有。受講者の提案の85%が承認・実行。

成功のポイント

① コンピテンシーを3つに絞って集中投資 ② 集合研修75%で逆行&大成功 ③ 年間教育予算15億円=「投資」として本気

MAPFREの事例が興味深いのは、eラーニング全盛の中であえて集合研修を75%と高比率にした点です。4大陸から受講者を集めて研修の場で交ぜることで、実体験を通じたグローバルな信頼関係が構築されています。テクノロジーを使うことが目的ではなく、どの手法が自社の人材育成において最も効果的かを冷静に判断することの重要性を示しています。

企業事例:IBM ― 新興国派遣でグローバルリーダーを鍛える

IBMのRobert Osmond氏は、全40万人の社員のうち5%(20,000人)をリーダー候補として登録し、体系的な育成プログラムを提供していることを紹介しました。特に注目すべきは「Corporate Services Corps(CSCプログラム)」で、世界中のIBM社員が選出されて新興国のNGO/NPOで1カ月間働き、クリエイティブなリーダーシップを磨くというものです。

このプログラムは「現地コミュニティの問題解決」「受講者自身のリーダーシップ向上」「会社にとっての新市場開拓のヒント」という一石三鳥の効果を狙っています。事前学習3カ月、現地派遣1カ月、事後フォロー2カ月という設計も、先述の6Dsフレームワークの考え方と一致しています。組織力が通じない環境でこそリーダーシップが効率的に強化されるという知見は、グローバルリーダー育成を検討している企業にとって有益なヒントです。

グローバル展開を成功させる4つの準備

Wilson LearningのDavid Yesford氏は、グローバル展開の成功と失敗を分ける最大の要因は「自社の準備態勢」だと指摘しました。準備に必要な4つの柱は、①Alignment(明確な方向性とリーダーシップチーム構成)②Inclusion(幅広い関係者の巻き込み)③Sustainability(「常に学習する」文化づくり)④Integration(プロセスとスキルの浸透)です。自社のグローバル準備度を客観的に測る「Go Global! Audit」という自己診断ツールも紹介され、社内でグローバル展開について議論を始めるきっかけとして有効です。

グローバル人材育成の設計やプログラム構築について詳しくは、お問い合わせページからお気軽にご相談ください。また、最新のATD国際会議の動向を知りたい方は無料レポート一覧からダウンロードいただけます。

リーダーシップ開発 ― 多様なアプローチで次世代リーダーを育てる

ASTD ICE 2013では、リーダーシップ開発のセッションも充実しており、グローバルリーダーに求められる資質から具体的な育成プログラムの事例まで、幅広い知見が共有されました。

Multipliers ― 「増幅型リーダー」と「消耗型リーダー」の違い

基調講演に登壇したLiz Wiseman氏は、リーダーを「増幅型(Multiplier)」と「消耗型(Diminisher)」に分類し、その違いが組織のパフォーマンスに与える影響を解説しました。

消耗型リーダー(Diminisher)

上司の役割

自分で全ての答えを持ち、自分で判断する

意思決定

勝手に決める・細かく管理する

部下の成果

ベストの半分程度しか出さない

結果

指示待ち・リスク回避の文化

増幅型リーダー(Multiplier)

上司の役割

部下に任せ、考えさせる余白をつくる

意思決定

話し合ってから決める

部下の成果

ベストを発揮できる

結果

自律・成長・責任感の文化

増幅型リーダーは「優秀な社員が自然と集まる」「部下の考える余白をつくる」「適切なストレッチを与えて成長を促す」という特徴を持っています。一方、消耗型リーダーは自分がすべてやろうとし、部下から考える機会を奪ってしまいます。このフレームワークは2013年の発表でしたが、心理的安全性やエンパワーメントが重視される2020年代のマネジメント論とも完全に整合しており、管理職研修に取り入れる価値の高い概念です。

企業事例:UPS ― 40万人規模のリーダーシップ開発をブレンドで実現

世界220カ国で事業を展開するUPS(社員40万人、うちマネージャー以上35,000人)は、2008年まで実施してきた係長層以上の教育が「コストが高い割に成果が低い」という問題を抱えていました。この課題を解決するため、ブレンドラーニングを活用してリーダーシップ開発プログラムをフルリニューアルしました。

特筆すべきは、研修形態のバランス設計です。集合研修9コース、ウエビナー23コース(社内講師が1時間担当)、eラーニング53コース、シミュレーション27コースという構成で、特にウエビナーの活用が成功の鍵となりました。また、階層によって対面型とオンライン型の最適比率が異なり、係長層では20:80、幹部層では80:20という使い分けをしている点も実践的な知見です。

フォロワーシップ ― リーダーシップの第一歩

Johnsonville SausageのCory Bouck氏は、リーダーシップの土台として「フォロワーシップ」の重要性を説きました。優れたフォロワーに必要なスキルは「高い生産性(Be Productive)」「新鮮な発想(Be Innovative)」「専門知識(Be the Expert)」「良いマナーと気配り(Be Polite)」の4つ。また、場面に応じて「コンシェルジュ」「メンター」「カメレオン」「親」の4つの役割を使い分けることが求められます。リーダーシップ開発は、まずフォロワーとしての力を養うところから始まるという視点は、若手社員の育成にも応用可能です。

研修の質を高めるヒント

ゲーミフィケーション ― 受講者のモチベーションを引き出す

Bloomsburg UniversityのKarl Kapp氏は、ゲームデザインの原則を研修に応用する方法を紹介しました。ゲームが学習に効果的な理由は、継続的なフィードバック・適度なチャレンジ・繰り返し訓練の3要素が自然と組み込まれているためです。具体的なポイントとして、①ポイント制で細かくフィードバックする(「レベルクリア」だけでは不十分)、②ゴールを高く設定し簡単に達成できないようにする、③相対評価ではなく絶対的な目標値を設定する、の3つが挙げられました。

2013年時点での提唱でしたが、ゲーミフィケーションは2020年代の研修設計においても広く活用されており、まさに時代を先取りした知見でした。

基調講演から ― 情熱と想像力の力

ASTD ICE 2013の基調講演では、John Seely Brown氏が「一生懸命、必死に遊びなさい(Play in a very deep, hardcore way)」「学びは想像力から生まれる」というメッセージを発信しました。また、Sir Ken Robinson氏は「成功のカギは情熱である。好きなことであれば、仕事と感じないものだ」「人生は自分で創造するもの」と語り、会場に大きなインスピレーションを与えました。これらのメッセージは、人材育成の根底にある「人は成長できる」という信念を改めて想起させるものです。

ASTD ICE 2013が示す不変の原則

2013年の会議から10年以上が経過した今、テクノロジーは劇的に進化し、研修の形態も大きく変わりました。しかし、ASTD ICE 2013で語られた本質的な原則の多くは、時代を超えて有効です。

2013年に語られたこと → 2020年代にこう使われている

2013年

「研修前後の設計が成果を決める」(6Dsフレームワーク)

2020年代

ラーニングジャーニー設計が標準化。事前課題→研修→フォロー→成果報告を一連のフローとして設計するのが当たり前に。

2013年

「上司の巻き込みが定着の鍵」(6Ds・SK Telecom事例)

2020年代

1on1ミーティングの普及で上司の関与が制度化。研修後の実践を1on1で確認する企業が増加。

2013年

「パイロットで試して段階的に拡大」(Aerospace・Yum!事例)

2020年代

アジャイル型研修開発が主流に。MVP(最小限の研修)→検証→改善のサイクルが常識に。

2013年

「手法より目的。集合研修75%でも成功できる」(MAPFRE事例)

2020年代

コロナ後に「対面に戻す研修」と「オンラインのままの研修」を目的別に使い分ける企業が成果を上げている。

2013年

「教育は費用ではなく投資」(MAPFRE:年間教育予算15億円)

2020年代

人的資本経営・ISO 30414の開示義務化で、「教育=投資」が経営の共通言語になりつつある。

これらの原則は、テクノロジーがどれだけ進化しても、人材育成の核心にあり続けるものです。ASTD ICE 2013のレポートは、最新トレンドだけでなく、こうした普遍的な知恵の宝庫として、今なお参照する価値があります。

よくある質問(Q&A)

Q1. ASTDとATDの違いは何ですか?

ASTDは「American Society for Training & Development(米国人材開発機構)」の略称で、2014年に「ATD(Association for Talent Development)」に名称変更されました。アメリカに限定しない・トレーニングに限定しないという方針を反映した名称変更であり、組織としての連続性は保たれています。2013年開催のイベントは「ASTD ICE 2013」の名称で行われました。

Q2. ラーニングトランスファーの6Dsは自社の研修にどう活用できますか?

6Dsフレームワークの中で最も手軽に始められるのは、D1(Define=ビジネス成果の定義)とD4(Drive=上司を巻き込む仕掛け)です。研修の企画段階で「この研修を受けた社員が、職場でどんな行動を取り、どんな成果を出すことを期待するか」を明文化するだけでも、研修の方向性が明確になります。次のステップとして、受講者の上司に研修内容を共有し、職場での実践を支援する役割を依頼することが効果的です。

Q3. 研修のデジタル化は小規模な会社でも可能ですか?

Yum! Brandsの事例が示すように、完全な紙ベースからでもデジタル化は段階的に進められます。The Aerospace Corporationはオープンソースのプラットフォーム(ELGG)で十分なコスト効率を実現しました。重要なのは「最初から完璧を目指さず、パイロットで試して改善しながら拡大する」アプローチです。まずWeb会議ツールを使った短時間の研修から始めるなど、小さな一歩が大切です。

Q4. グローバル研修で集合研修とeラーニングの最適バランスはありますか?

ASTD ICE 2013の事例では、一律の正解は示されませんでした。MAPFREは集合研修75%で成功し、UPSは係長層にはオンライン80%が最適と判断しています。大切なのは、対象者の層・研修目的・拠点の分散度に応じて比率を調整すること、そして定期的に効果を検証して見直すことです。

Q5. 2013年のレポートは、現在の研修設計にも役立ちますか?

テクノロジーの部分(ツール名や具体的なプラットフォーム)は更新が必要ですが、「研修前後の設計が成果を左右する」「上司の巻き込みが定着の鍵」「パイロットで試して段階的に拡大する」「教育は投資である」といった原則は2020年代でもそのまま有効です。特に6Dsフレームワークやブレンドラーニングの設計思想は、現在の研修設計の教科書にも引用されるほど普遍的な知見です。

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