ASTD2014 人材育成からビジネスの成果へ~その3~
この記事では、ASTD2014帰国報告会のうち「人材育成からビジネスの成果へ(サウジアラムコの事例)~その3~」をお伝えします。
その1、その2については以下をご参照ください。
※「ASTD(ATD)人材育成国際会議 帰国報告会」は、世界最大の人材育成会議であるASTD(ATD) ICEで発表された内容を日本企業に役立つように紹介するセミナーで、アイディア社が毎年開催しているものです。
講演者:Anthony Arden
会社名:Saudi Aramco(サウジアラムコ)
Level 4:ビジネス成果
研修受講を契機として取り組んだ受講者自身のMYプロジェクトがどのようなビジネス成果につながったのかを、評価票を使って確認する。
自ら行った業務について、自らその効果を証明する説明責任が求められている。
→ 以前はこのような風土も仕組みもまったくなかった
Level 4はResultと言って、実際に職場で本当に成果が出たのかどうかこれを確認していこうということです。
彼らが言っていたことでなるほどなと思ったことがあります。
例えば職場で誰かのどっかのマネージャーが、「こういうことをやってみたらいいかもしれない」と思いつきました。
→ 実行しようと思った。
→ 実際にやり始めた。
→ でも忙しい。
→ 上司からまた別の仕事が振られる。
そういったちょっとした業務改善の良いアイディアは、結局途中で消えてしまうということが結構現場レベルであるでしょうし、我々の日常の仕事の中でも、結構そういうことってあると思います。
ところが、この研修の課題として設定してしまったら、もうフォローしていく仕組みが続くので、逃げられない。
逆に言うと上司もコミットしてしまっているので、部下に成果を出させないといけないんです、
そうすると、
- 業務が本当に進む
- 業務が改善する
- 本当に成果が出る
という
「ある程度なのですが、研修という枠組みとかで強制力を持たせることによって、実際に現場が良くなっていくということが予想外にあった」
という話が得られました。
得られた知見
1.現場レベルでの改善アイディアが実現されることは少ないが、研修のアクションプランとして位置づけると確実に実践に移されていく
2.上司や経営層を巻き込んでおくことが必要不可欠
3.Level4の測定を初めて行い、ビジネス成果があまりに大きいことに驚く
1番目がまさにそういう話なのですが、これをうまくやっていくポイントとしては、やはり上司や経営層をいかに巻き込んでおくかということがポイントです。
あとは、やはり
「測る仕組みがないと、どこまで本当にうまくいっているかわからないので、そういうところをきちんと押さえていきましょう」
ということが実際に得られた知見ということでした。
お勧めしたいポイント
1.実践と成果にこだわろう!
2.測って見える化しよう!
3.関係者を巻き込み続けよう!
4.常に実験しながら改善し続けよう!
お勧めしたいポイントは上記の画像の内容です。
これは皆さんに今回1番お伝えしたいことに近いです。
言われてみたら当たり前かもしれないけれども、やはりこういうところに真実とか本質が宿っているんじゃないかなと思います。
1番目:実践と成果にこだわろう
研修の内容とか学習の内容よりも
・現場でどういう成果を作ればいいのか
・そのためにどういうことを実践させればいいのか
というそういった現場から逆算する発想で考えていく
2番目:とにかく、1.測ろう、2.見える化しよう、3.掲示板にも貼ってしまおう、という作戦
3番目:関係者を巻き込み続ける仕組みを入れましょう
例えば、経営層と2か月に1回のミーティングをやっていくというのも、年間決めてしまえばいいわけです。2か月に1回、このプロジェクトをやりますから、この日にしましょうって一応年間の予定を仮ぎめしておいて、もし都合が悪くなったら変えると。そうすると、経営層の時間も取ってるわけなの自分達もやらざる を得ないです。とにかく関係者を巻き込み続ける仕組み、これもぜひ考えていただきたいです。
4番:一発勝負 完璧主義を狙わない
ちょっとこれをやったらうまくいくかもしれない、ということで実験してみる。
見える化をしてみたものの、あれ?思ったより成果がでない。じゃあ、次にどうしよう?となった時に、
「この実験を継続そして改善をしていくという本当にメーカー氏の品質改善とかのプロセスでこういったことをアプローチしていくと良い」
ということが彼らのお勧めしてくれたことでした。
この事例から得られるヒント(詳細)
最後に冒頭で記載した「この事例から得られるヒント」ところを再確認したいと思います。
1.「測る」とドラマが始まる
この記事を読んで頂いている方で研修効果の測定をきっちり行われている会社さんはそんなには多くないと思います。
・やってるけれども、まだなんか不完全
・そこから先どうやってやればいいかわからない
・そこからあんまりやっちゃうと現場に嫌われる
という悩みを抱えている方がほとんどで完璧にできているんだという自負を持てる方はなかなかいらっしゃらないと思います。
しかしそれでも、ラフでもいいから測るとドラマが始まりますということなんです。
2.完璧主義を捨てる(計測することが重要。精度は二の次)
とにかく計測するということを集中してやってみましょう。その精度がどこまで高いか低いかなんていうのは無視してもいいので、まずそういった枠組みを作っていこうということです。
3.たった一人から始まったという事実
このサウジアラビアの巨大企業にリバプールから単身で乗り込んで組織を大きく変えていこうという時に、現場の1個1個の細かいことを自分でやってったらうまくいきません。なのでまずこういったことを測るという基準を決めて、そのあとは測りながら業務プロセスを良くしていくというプロセスを設計します。それを
・スタッフ
・現場の人
・経営層
を巻き込みながら形にしていくと、たった1人でも賢く作戦を組んでいけば成果が出せるんだと。
彼も全然完璧主義者みたいなトーンじゃないんです。
実験主義的にやっていきましょうということでした。
研修効果の測定というと「きっちり評価しないと意味がない」というパラダイムというか、そういうことに捕われている自分にもセッションに行って気付かされました。
ですから最初は精度が低くても構わないので、まず測らないよりかは測りましょう。
見えないよりかは、見えるようにしてモノを考えていこうというふうにアプローチしていただいたらよろしいんじゃないかなと思います。
あとがき
このセッションをワシントンD.C.で受けている時に、日本に帰ってどういうことを皆さんにお伝えしたらいいかなということを考えながら聞いていた時に1番強く感じたのがこの3つのメッセージでした。