Jim Collinsはすごい迫力
今日のデンバーは曇り。昨晩は少し雨も降りました。
さて、ASTD 2012に参加して4日目。いよいよ基調講演が始まりました。そして午後は昨日と同じように個別Sessionが3つの時間帯で開催されました。
基調講演のレポート
ジム・コリンズからのメッセージ
「ビジョナリー・カンパニー」三部作で有名なジム・コリンズによる講演のポイントをご紹介します。
- GOOD(良い)ではなく、GREAT(偉大、卓越した)を目指せ
- 偉大なリーダーになるために、Personality(高邁な人格やカリスマ性)が必要な訳ではない。Humility combined with ferociousness(どう猛さと組み合わさった謙虚さ)なのである
- 偉大なリーダーを育成するために強化すべき3つの力
- -Fanatic DISCIPLINE
- -Empirical CREATIVITY
- -Productive PARANOIA
トニー・ビンガム(ASTD会長)からのメッセージ
今一番注目してほしいのは、mLearning(モバイル ラーニング)。昨年もこう言っていたが、今年は更にトーンが強調されました。
特にスマートフォンの急速な普及が、ラーニングを根本から変える可能性があるとのこと。2016年には世界のスマートフォン利用者が10億人を超えるという統計すらあるのです。
また、子供は学校教育で携帯電話やスマートフォンを既に使って学習し始めています。この流れを考慮すると、最も時代から取り残されるのが社会人教育の分野である可能性が高いので、今直ぐにmLearningの導入に取り組んでほしいとのことでした。
潜入したSessionのキモ
以下に3人のスパイが手分けして潜入したSessionの概要を、今日は次の4つのテーマに分けて紹介していきます。
- 1.GLOBAL
- 2.LEARNING TECHNOLOGY
- 3.LEARNING TRANSFER
- 4.Other
※文章中の「ヒント」とは?
各Sessionでスパイたちが収集した情報の中から、日本の人材育成担当者の方にとってヒントになりそうなことをエッセンスとして記しています。
1. GLOBAL
#004 Catherine
M215 4つのT:ヒュンダイのコアバリュー
Four T: Core Values at Hyundai
(Namhyung Yoon)
内容:
韓国の自動車会社ヒュンダイが、創始者を失って落ち込んだ業績にテコ入れするため、新しいコーポレートバリューを創造した。コアバリューである4つのT:「Trust(信頼)」「Talent(才能)」「Tenacity(不屈)」「Togetherness(団結)」を定着させるためのチャレンジと手法を紹介する。
ヒント:
- 企業理念に対する経営層の揺るぎない情熱を感じた。経営陣みずからが4Tを社内に浸透させるために努力をしている
- 新入社員のコアバリュー教育では、新世代向けにユニークでバリエーション豊富なスタイルを特別に企画デザインしている
- 企業理念を徹底的に叩き込むため、終日連続4週間の新人研修を実施している
#005 David
M303 多国籍バーチャルクラスにおける研修プログラムの設計と進行
Designing and Facilitating Within the Multicultural Virtual Classroom
(David Smith, Jennifer Hofmann)
内容:
Cultural considerations when implementing virtual training across cultures.
ヒント:
When delivering virtual training across cultures, be sure to consider these factors: the language used and learners’ levels, cultural references that learners may not understand, interaction style, comfort with technology, expected delivery style, learners’ views of the trainer, and technical infrastructure.
#004 Catherine
M322 世界で実践されているリーダーシップ研修のベストプラクティス
Best Practices from Around the Global; Leadership Programs in Action
(Albert Siu, Helen Peng, Sandra Edwards)
内容:
グローバルにビジネス展開をしているPAREXEL社とPratt & Whitney社が、AMA(American Management Association)と恊働して開発したグローバルリーダーシップ研修の事例を紹介する。
ヒント:
- AMAの調査:60%の企業がグローバルリーダーシップ開発を取り入れチャレンジしているにもかかわらず、マスターしているのはほんの30%である
- グローバルリーダーに必要なコンピテンシーは2011年からあまり変容していない
- 「チェンジマネジメント」は現在でも最も重要なコンピテンシーのひとつだが、将来的には「影響を与えながら他者と連携していく力」がさらに必要になってくる
2. LEARNING TECHNOLOGY
#005 David
M105 デジタル世代に向けた研修設計デザイン5原則
The Five Superpowers of Learning for The Digital Age
(Anders Gronstedt)
内容:
The importance, need and how-to of eLearning and mLearning. These are necessary because we are moving into the post-PC era and current eLearning is not exciting.
ヒント:
- 3D immersive: 3D makes for a more dynamic, exciting experience, a more intuitive interface and more functions, such as conducting breakout groups.
- Gamification: Make eLearning fun and engaging – like a game – with (many)points, levels, time pressure and challenges.
- Social: Let people connect and learn from each other.
- Story: Give your eLearning a story with a plot and characters to engage and interest learners.
- Mobile: This is the wave of the future – you should catch it or be left behind.
#004 Catherine
M118 ビジネスケースとしての21世紀のデジタルワークスペース
Digital Workspaces in the 21st Century as a Business Case
(Jos Arets, Vivian Heijnen)
内容:
テクノロジーの進歩による時代の変化で、伝統的なフォーマルラーニングの実施だけでは企業パフォーマンスの向上が望めなくなってきている。企業デジタルワークスペースを構築することで、いつでもどこでも従業員がアクセスし学習できる環境を提供することが、企業成長にインパクトを与えることになる。
ヒント:
70/20/10の学習コンセプトを認識する重要性
学習の70%は実生活や普段の仕事の経験から、20%は他者からのフィードバック、わずか10%がフォーマルラーニングからもたらされるという。デジタルワークスペースを使うことによって、現在公式に実施されている研修をインフォーマルへ「Push」し、インフォーマルに行われている学習を公式なものに「Pull」することができる。
#002 Kageyama
M123 学習会議をインタラクティブなバーチャル研修に変換する
Transform Your Live Learning conference into an Interactive Virtual Series
(Cindy Gogets, Sheri Jeavons)
内容:
UnitedHealth社における集合研修をバーチャル研修に変えた事例が紹介された。
- (変更前)2〜4日の集合研修、60名/クラス、年間4開催
- (変更後)トータル4ヶ月の研修期間、移動を伴う集合研修はゼロ、3時間のバーチャルセッション×3回、受講者同士での電話会議×9回など
- (成果)学習効果が高く、また受講者からも大好評(参加型でよかった、飽きない、仲間と電話会議が効果的、会社が本気で人材育成を考えていることが分かったなど)
ヒント:
- 短いセッションを頻度高く実施する(毎月に1回2時間のバーチャル研修よりも、毎週1回30分行う方が効果的)
- 集中力を持続させるために、30〜90秒に一度は画面を動かす必要あり。3〜5分に一度は、体を動かさせる必要あり。このことをeラーニングを導入する際の製品選定基準にすることができる
#005 David
M209 「ビッグスイッチ」:モバイル機器で行うセールストレーニングとアセスメント
The Big Switch: Moving Sales Training and Assessment to Mobile Devices
(Barry Jass, Jeff Place)
内容:
Tips and advice on making great mLearning courses.
ヒント:
- mLearning should be kept simple in order to allow it to load easily on a mobile phone and to allow ease of use and viewing.
- Videos should be short and placed at the end to allow time to load.
- mLearning should be kept short to allow busy businesspersons to do it quickly (moreover, people do not want to spend much time on it).
- QR codes are useful for directing learners to content and quizzes.
- When it comes to mLearning, be aware that making something short is more difficult than making something long.
- When implementing an mLearning solution, be sure to include training on using the device to ensure learning can and will use them.
#002 Kageyama
M304 最新ブレンドラーニングモデル:先達から学ぶこと
The New Blended Learning Model in Action: Lessons from Leaders
(Lance Dublin)
内容:
新しい発想で設計されたブレンドラーニングを実施している成功事例を豊富に紹介しながら、新発想のブレンドラーニングに今すぐ推奨された。紹介された事例は、グーグル、ジェネンテック、東芝、日産自動車、ACSの5社。
新しい発想のブレンドラーニングとは、次のように定義されている。
Uniquely Blended Learning (UBL)
The use of a full-range of tools and approaches to provide an environment that enables performance in the context of the work.
ソーシャルメディア(マイクロブログ、facebookなど)、無料コンテンツ(Youtube、wikiなど)、情報共有ストレージなど幅広い道具と発想で、職場における成果を高める取り組みが必要とのこと。
ヒント:
- ブレンドラーニングとは「e-Learning+集合研修」だけではないことを、まずはしっかりと認識する
- e-Learningから、学習にeの力をフル活用する「Learning e」に変えることで、学習成果を高めながら費用を下げることも可能となる。そのため、関連情報がキャッチできるようアンテナを立てておく。
3. LEARNING TRANSFER
#002 Kageyama
M210 オラクルの事例:セールスマネジメントチームの変容
Transforming the Sales Management Team at Oracle: A Case Study
(Beverly Lock, Martyn Lewis)
内容:
オラクル社における集合研修をBlended Learningに変えた事例が紹介された。
- 受講者: 35名の営業マネージャー(北米、南米、インド)
- 変更点: 3日間の集合研修 → 4ヶ月のBlended Learningプログラム(週に1回、75分のバーチャルクラスルームを計12回が中心)
- 成果: Better(営業成果が大きく)、Cheaper(費用が安くなった、特に旅費)、Faster(成果が素早く出た)
ヒント:
オラクル社の事例では、75分間のバーチャルクラスルームを受講したら、すぐに学んだことを必ず実践する仕掛け(Application)が用意されており、このことを毎週繰り返した。このように学習したら必ず実践する仕掛けを組み込むことは、すべての研修に対して有効であろう。
4. OTHER
#005 David
CPLP Recertification Program Overview
(Diane Daly, Tanya Rivera)
内容:
The process and requirements necessary to re-certify as a CPLP, which must be done every three years once you have obtain your CPLP. In the three years, you need 60 hours of credit to re-certify, which can be obtained in many ways.
ヒント:
- All credit hours must be related to WLP.
- You must maintain your own records to prove your credit hours, especially if audited.
- ASTD CI (Certification Institute) staff is always willing to answer questions and provide help, so ask early.
- Recertification and the above are not difficult. For example: attending all four days of ASTD ICE and attending all general sessions and three other sessions a day can give you 21 hours of Continuing Education Credit (max 30 in this category); and documenting this can simply be keeping the session book and circling the sessions you attended.
明日の予告:
明日も朝一番でGeneral Session(基調講演)が行われます。スピーカーは、Creativity(創造力)開発の第一人者であるJOHN KAO氏。
その後は、また9つの個別Sessionに参加して収集した情報も併せてお伝えする予定です。